人気のキーワード
★隙間時間にコラムを読むならアプリがオススメ★
あなたはインドと聞いて何を思い浮かべますか?カレーにナン、ヨガやガンジー、カースト制度、タージ・マハル、ゼロの概念や仏教発祥の地。
インドの国民の8割がヒンドゥー教徒です。ヒンドゥー教は世界で3番目に信者の多い宗教。
インド神話に登場する神様のお話は驚くほどにユーモアがあります。
インド神話が生まれた時代や神々の相関図、現代でも感じられるヒンドゥー教の神々の姿に、びっくり仰天なトリビアをご紹介します。
【出典・参考文献について】
出典・参考文献は文末にまとめてあります。本文内のローマ数字をクリックすると出典・参考文献に飛びます。出典・参考文献から本文を見たい場合も、ローマ数字をクリックすると該当箇所に飛びます。
とんでもないくらいに、ぶっ飛んでいてネットでも「やばい」と声のあがるインドの神様たち。インド神話がどうやってできあがり、現代まで伝わったのか、ご説明します。
インド神話は、紀元前15世紀に成立[ⅰ]した『ヴェーダ』というサンスクリット語で書かれた讃歌(神様を賛美する文献)が始まり[ⅱ]です。
インド土着の動物神や自然神、土地ごとの女神(大地母神)と、インドに侵入したアーリア人の持ち込んだバラモン教[ⅲ]が混ざり合い、日本の八百万の神々のようにインドで多くの神様が生まれました。
アーリア人の持ち込んだヴェーダの神様と、インドの土着神を融合・合体したり、女神様と結婚させたのでインドの神様は多くの別名を持っています。また、一体の神様が忍法分身の術を使ってべつの神様に変身したり、化身として人間や動物などの姿に転生するようになりました。
インドの神様は手が何本もあったり、動物の格好をしていたりと姿は人間離れしていますが、中身はまるで私たち人間となんら変わりません。ときに愛し合い、憎しみや嫉妬の感情を持ったり、自分の選択に迷ったり、葛藤します。
「神様」と聞くと完璧超人のすごく偉い人を想像する人も多いと思います。しかしインド神話に出てくる神様は失敗したり、ふざけたり、「それって冗談でしょ?」と思うような行動をする人間臭い性格をしています。
どの神話も、現代を生きる私たちに驚きや感動を与え、人の心は今も昔も変わらないことを感じさせてくれるエピソードです。
今回はインド国内で有名な神様と、その奥さんである女神様、ゲームや書籍などで日本や世界で名前が知られている動物神とインドの二大叙事詩『マハーバーラタ』に出てくるキーパーソンをご紹介します。
ヒンドゥー教では宇宙は創造、維持、破壊のサイクルを繰り返していると考えられています。
まず創造神ブラフマーが宇宙を作り、続いて維持神ヴィシュヌが宇宙の状態を維持し、最後に破壊神シヴァが宇宙を破壊し尽くす。そうしてまたブラフマーが宇宙を作り始めます。
インドの三神一体の神様について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
▼日本の大黒様はインドの破壊神シヴァ? インドの神様シヴァとは?
▼インドで大人気!愛にあふれた宇宙を維持する神ヴィシュヌ
▼創造神ブラフマーは、維持神ヴィシュヌ、破壊神シヴァとともに三神一体(トリムルティ)を構成する神様
三神一体の神様は女神様を妻として迎えています。
ブラフマーは芸術の女神サラスヴァティーを、ヴィシュヌは幸運と富の女神ラクシュミー、シヴァは山の娘パールヴァティーを神妃として、そばに置いているのです。
三神一体の神々と、その妻の馴れ初めや、とんでもエピソードを見たい!という方は、こちらの記事がオススメです。
▼あふれる美貌と才能を備えたインドの芸術の女神サラスヴァティーは、日本で弁財天になった!?
▼熱狂の祭典!!毎年10数億人を魅了する美貌と富貴の女神ラクシュミー
▼穏やかで心優しい黄金の女神パールヴァティーはインド神話の破壊神シヴァの力の源・シャクティ様
続いてインド土着の神様の中でも日本や世界で名前を知られている有名な神様です。ガネーシャ、ハヌマーンは動物神になります。ゾウの頭をしたユーモアたっぷりの富と幸福の神は日本の書籍の表紙を飾り、猿の神ハヌマーンは『西遊記』の孫悟空のモデルと考えられています。
ハヌマーンがいなければ社会現象を巻き起こした週刊少年ジャンプの『ドラゴンボール』が生まれなかったり、『ONE PIECE』の主人公ルフィがワノ国で披露したゴムゴムの猿神銃(バジュラングガン=ハヌマーンの銃)も生まれてこなかった[ⅳ]かもしれません。
クリシュナはヴィシュヌの化身とされ、『マハーバーラタ』の主人公・アルジュナのいとこであり、親友です。スマホゲームの『Fate/Grand Order』のプレイヤーで、その名を知らない者はいません。
個性豊かな神様のもっと面白おかしいお話しは、ここから見られます。
▼ガネーシャって何の神? 〜象の頭をしたおちゃめで食いしん坊な神様はアジアで大人気!〜
▼猿神ハヌマーンは王子ラーマに対して忠誠心のある義理堅い英雄
▼誰もが振り向かずにはいられないヒンドゥー教の美少年、英雄神クリシュナ
インドの神様は今現在もインド各地で目にすることができますよ。どのような形で生活に根ざし、信仰されているのか、ご紹介します。
インドにはヒンドゥー教の神々をまつった数多くの寺院があり、インドの人々はお寺を参拝し、日々の祈りを捧げているのです。月ごとに神様に関連したお祭りが行われ、神像を花やアクセサリーで飾り立てます。
また映画やテレビドラマ、アニメ、ゲームなどで神様の姿を見ることができます。なんだか今の日本と似ていますね。
ただ、ひとつだけ異なる点があります。それは映画にでてきたサントーシーという架空の女神のための寺院が実際に現実世界で建てられ、ご利益を得られる断食について広まり[ⅴ]ました。
20世紀後半に作られたフィクションの世界の女神様が、何千年も前から存在するインドの神様と同じようにまつられるなんて驚きです!
ヒンドゥー教の神様の姿はインド料理店やインドの雑貨を扱っている店舗で見ることができます。
インドの人々は、日本のように手を合わせて神様を拝むのではなくダルシャン(Darshan)という「見る」行為を重要視しています。これは見て、触れて、知って、物事の真理を理解するという思想です。
神様の本質に近づくため、目でじっと見る行為をインドの人たちは大切にしていますよ[ⅵ]。
最後は思わず目玉が飛んでいっちゃいそうな、ぶっ飛んだインドの神様の世界観をご紹介します。
神様の寿命と私たち人間の寿命は、まったく異なります。そのため神々の時間は、とんでもなく長いです。
ヴィシュヌのまばたき一回はブラフマーの寿命にあたり[ⅶ]、宇宙の誕生から崩壊までの時間とされています。そのブラフマーにとっての一日の長さは86億4,000万年!
気が遠くなるような数字ですね。
インド神話では、ガンジス川はシヴァの頭を経由して神々の世界から流れてきたことになっています。
神々の世界の水を人間の世界にも流すよう命令されたガンジス川の化身ガンガー女神は空の上からシヴァの頭に飛び乗り、地上で川を作ることに成功しました。
以降、ガンジス川がシヴァの頭から流れている・ガンガーがシヴァの頭にいる状態で描かれるようになった[ⅷ]のです。
インド中央エリアには1986年に世界遺産に登録されたガジュラーホの建造物群があります。ガジュラーホは11世紀に建造された寺院です。ガンダーリャ・マハーデーヴァは現存するガジュラーホの中でも最大規模であり、北インドを代表する寺院です。
この寺院はシヴァのシャクティの姿を目に見える形で現し、宇宙を示しています。シヴァリンガ(シヴァの男根)をまつる聖なる本堂「子宮の部屋」の上には、高さ30メートル以上の塔[ⅸ]があります。子宮の部屋を通っている目に見えない柱に気づくことで人々は神とひとつになり、解脱(モークシャ)できると考えられています[ⅹ]。本堂を訪れた人間はシヴァリンガがヨニ(女性器)に刺さっているのを見ている状態です。
まるで私たち人間が女神の子宮の中にいる、まだ受精していない卵子みたいですね。そのため宇宙は、女神の子宮の中でまだ生まれていないというふうにイメージできますよ。
ガネーシャ神はトガリネズミを乗り物としています。これは穀物を荒らす害獣であるネズミを富や幸福を与えるガネーシャがコントロールしていることを現しているのです。
神々のすみかである須弥山(メール山)はゾウとカメ、そしてヘビが支える世界の上に存在していると考えられています。巨大なとぐろを巻いたヘビまたは龍の上に、インド神話の宇宙が創造された乳海攪拌にも登場する最初の生き物であるメスのカメ(アクーパラまたはクールマ)の上に立つ4頭または8頭のオスのゾウ(ローカパーラエレファント)が乗っている状態です。
この下に人間の世界があります。ゾウとカメとヘビは宇宙を表し、神々から世界を支えるよう命令されている[ⅺ]のです。
クリシュナには16,000人の奥さんがいました。
悪魔から解放されたものの行き場がなく、人々から虐げられる女性たちを哀れに思ったクリシュナ。彼は分身の術で16,000人の自分を作り、女性たちのよき夫となって彼女たちを平等に愛したのです。
これは彼がヴィシュヌの化身だからできた神技といえます。
金曜ロードショーで何度も取り上げられている『天空の城ラピュタ』。主人公パズーとヒロインシータの前に立ちはだかる敵ムスカは、ラピュタの威力を発揮します。一瞬にして世界を滅ぼす核爆弾並に危険な光線を放ったのです。ムスカは「ラーマーヤナではインドラの矢ともつたえているがね」[ⅻ]と表現しました。
インドラは雷をつかさどる神様で、ヴェーダでは3/4も登場シーンがある神々の王様です。二大叙事詩『マハーバーラタ』に出てくる主人公アルジュナの父親にあたります。『ラーマーヤナ』の主人公ラーマは妻シーターをさらった悪鬼ラーヴァナとその部下である恐ろしい怪物を倒すために、戦場でインドラの矢を使用しました。
インドラの矢は、ブラフマーがインドラのために作った特別な矢です。まるで煙のない炎のように輝き、矢羽は美しい鳥のように色とりどりの羽が存分に使われています。弓で放つと光の速度で飛んでいき、夜でも辺り一面が昼と変わらない明るさになり、シヴァと同等の力で敵を必ず滅ぼします。敵を仕留めた後は自動的に矢筒へ戻ってくる不思議な矢[xiii]です。
インドの神様は男も、女も腕が何本も生えている姿で描かれることが多いです。
ブラフマーは顔が4つありました。これは娘兼求愛相手のサラスヴァティーをどこにいても見つけるためです。
ドゥルガーを始めとした神様が多くの手を持ち、ブラフマーの顔が4つもあるのは…
など、上記のような理由が考えられます。
インド神話は大学の博士や学者によって意見が大きく別れたり、さまざまな見解がある宗教です。個人的な解釈として見てください。
アーリア人が外部から連れてきた神様とインド土着の神様が混ざり合ったので、パールヴァティーがドゥルガーやカーリーと同一視され、悪鬼への怒りによって変身を遂げたり、ヴィシュヌのように化身(アバター)として10回も輪廻転生するようになりました。また宇宙の根本原理である「ブラフマン」を擬人化した神様としてブラフマーが生まれたのです。
「ヒンドゥー教の神様って、わかりにくい…」と思うのは複数の神様が一体の神様の中に存在したり、次々に名前や姿を変えていくこと、概念を無理やり神様にしたことが原因なんですよ。
今回の記事でインド神話とインドの神様について知ることはできましたか?
インド神話は…
です。
日本の東京から飛行機に乗ってインドへ行こうとすると約8時間半〜9時間程度かかります。大昔は決死の覚悟で海を渡り、シルクロードを歩いていかないと到着できませんでした。今では実働8時間の仕事を行い、1時間休憩をとるくらいの感覚でインドへ行けるのです!
日本国内の寺院でも仏教版のインドの神様の名前や姿を確認することができ、インドにちなんだお店ではポスターやイラストで本場インドの神様の姿を見ることができます。
あなたも、ヒンドゥー教の神様と触れ合ってみませんか?
ガネーシャ、ラクシュミ、ハヌマーン…人気のインドの神様が入ったランダムくじです。最強のレアみくじが、シークレットデザインが低確率で入っています。※一袋一枚入り。ランダムでのお届けとなりますので、柄の種類は選べません。どの神様が届くかお楽しみに!
神秘的な香りをお届け。インド神話の神様をイメージした香り。
惑星とインド神話の関係▼
宝船に乗っている、ぽっちゃりしたありがたい神様たち▼
出典
◎『[ヴィジュアル版] インド神話物語百科』、マーティン・J・ドハティ[著]、井上廣美[訳]、原書房、2021年、7,8頁
◎『基礎から学ぶ 宗教と宗教文化』、岸清香、勁草書房、2022年、109頁
◎第1075話 二十年の祈り!ワノ国を取り戻せ | TVアニメ - ONE PIECE.com(ワンピース ドットコム)
◎Jai Santoshi Maa - FILMSAAGAR
◎ダル シャンについて 及 川 弘 美 - J-Stage
◎シヴァとスサノヲ―その奇妙な類似に ついて
◎『インド神話入門』、長谷川明、新潮社、1988年、42頁
◎『地球の歩き方 D28 インド 2020〜2021年版』、『地球の歩き方』編集室、ダイヤモンド社、2020年、365,388,391頁
◎『元型と象徴の事典(新装版)』、アーキタイプ・シンボル研究文庫べヴァリー・ムーン[編]、橋本槇矩[訳者代表]、青土社、1998年、88〜90頁
◎『世界神話伝説大事典』、篠田知和基・丸山顯德[編]、勉誠出版、2016年、104頁
◎『世界シンボル辞典』、D・J・Cクーパー[著]、岩崎宗治,鈴木繁夫[訳]、三省堂、1992年、282,283頁
◎『世界の怪物・神獣事典』、キャロル・ローズ、松村一男[監訳]、原書房、2004年、9,470頁
◎『スタジオジブリ絵コンテ全集2 天空の城ラピュタ』、宮崎駿、徳間書店、2001年、601頁
◎『新訳 ラーマーヤナ6(全7巻)』、ヴァールミーキ、中村了昭[訳]、平凡社、2013年、187,400,401頁
◎インドの宗教に於ける「十六」の概念 - researchmap
◎『インド神話入門』、長谷川明、新潮社、1988年、22頁
あなたはインドと聞いて何を思い浮かべますか?
カレーにナン、ヨガやガンジー、カースト制度、タージ・マハル、ゼロの概念や仏教発祥の地。
インドの国民の8割がヒンドゥー教徒です。
ヒンドゥー教は世界で3番目に信者の多い宗教。
インド神話に登場する神様のお話は驚くほどにユーモアがあります。
インド神話が生まれた時代や神々の相関図、現代でも感じられるヒンドゥー教の神々の姿に、びっくり仰天なトリビアをご紹介します。
目次
【出典・参考文献について】
出典・参考文献は文末にまとめてあります。
本文内のローマ数字をクリックすると出典・参考文献に飛びます。
出典・参考文献から本文を見たい場合も、ローマ数字をクリックすると該当箇所に飛びます。
インド神話はスケールが大きい神様たちの物語
とんでもないくらいに、ぶっ飛んでいてネットでも「やばい」と声のあがるインドの神様たち。
インド神話がどうやってできあがり、現代まで伝わったのか、ご説明します。
インド神話が成立したのは紀元前1500年前
インド神話は、紀元前15世紀に成立[ⅰ]した『ヴェーダ』というサンスクリット語で書かれた讃歌(神様を賛美する文献)が始まり[ⅱ]です。
サナータマ・ダルマ〜「永遠の法」に基づいた世界観〜
インド土着の動物神や自然神、土地ごとの女神(大地母神)と、インドに侵入したアーリア人の持ち込んだバラモン教[ⅲ]が混ざり合い、日本の八百万の神々のようにインドで多くの神様が生まれました。
アーリア人の持ち込んだヴェーダの神様と、インドの土着神を融合・合体したり、女神様と結婚させたのでインドの神様は多くの別名を持っています。
また、一体の神様が忍法分身の術を使ってべつの神様に変身したり、化身として人間や動物などの姿に転生するようになりました。
インド神話の魅力は人間くさい神々のドラマ的ストーリー
インドの神様は手が何本もあったり、動物の格好をしていたりと姿は人間離れしていますが、中身はまるで私たち人間となんら変わりません。
ときに愛し合い、憎しみや嫉妬の感情を持ったり、自分の選択に迷ったり、葛藤します。
「神様」と聞くと完璧超人のすごく偉い人を想像する人も多いと思います。
しかしインド神話に出てくる神様は失敗したり、ふざけたり、「それって冗談でしょ?」と思うような行動をする人間臭い性格をしています。
どの神話も、現代を生きる私たちに驚きや感動を与え、人の心は今も昔も変わらないことを感じさせてくれるエピソードです。
一目見てわかる!主要なインドの神様たちの相関図
今回はインド国内で有名な神様と、その奥さんである女神様、ゲームや書籍などで日本や世界で名前が知られている動物神とインドの二大叙事詩『マハーバーラタ』に出てくるキーパーソンをご紹介します。
インドの三神一体の神々(トリムルティ)
ヒンドゥー教では宇宙は創造、維持、破壊のサイクルを繰り返していると考えられています。
まず創造神ブラフマーが宇宙を作り、続いて維持神ヴィシュヌが宇宙の状態を維持し、最後に破壊神シヴァが宇宙を破壊し尽くす。
そうしてまたブラフマーが宇宙を作り始めます。
インドの三神一体の神様について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
▼日本の大黒様はインドの破壊神シヴァ? インドの神様シヴァとは?
▼インドで大人気!愛にあふれた宇宙を維持する神ヴィシュヌ
▼創造神ブラフマーは、維持神ヴィシュヌ、破壊神シヴァとともに三神一体(トリムルティ)を構成する神様
三神一体の神々の妻である女神様
三神一体の神様は女神様を妻として迎えています。
ブラフマーは芸術の女神サラスヴァティーを、ヴィシュヌは幸運と富の女神ラクシュミー、シヴァは山の娘パールヴァティーを神妃として、そばに置いているのです。
三神一体の神々と、その妻の馴れ初めや、とんでもエピソードを見たい!
という方は、こちらの記事がオススメです。
▼あふれる美貌と才能を備えたインドの芸術の女神サラスヴァティーは、日本で弁財天になった!?
▼熱狂の祭典!!毎年10数億人を魅了する美貌と富貴の女神ラクシュミー
▼穏やかで心優しい黄金の女神パールヴァティーはインド神話の破壊神シヴァの力の源・シャクティ様
日本や世界でも名前を知られている個性豊かな神様と化身
続いてインド土着の神様の中でも日本や世界で名前を知られている有名な神様です。
ガネーシャ、ハヌマーンは動物神になります。
ゾウの頭をしたユーモアたっぷりの富と幸福の神は日本の書籍の表紙を飾り、猿の神ハヌマーンは『西遊記』の孫悟空のモデルと考えられています。
ハヌマーンがいなければ社会現象を巻き起こした週刊少年ジャンプの『ドラゴンボール』が生まれなかったり、『ONE PIECE』の主人公ルフィがワノ国で披露したゴムゴムの猿神銃(バジュラングガン=ハヌマーンの銃)も生まれてこなかった[ⅳ]かもしれません。
クリシュナはヴィシュヌの化身とされ、『マハーバーラタ』の主人公・アルジュナのいとこであり、親友です。
スマホゲームの『Fate/Grand Order』のプレイヤーで、その名を知らない者はいません。
個性豊かな神様のもっと面白おかしいお話しは、ここから見られます。
▼ガネーシャって何の神? 〜象の頭をしたおちゃめで食いしん坊な神様はアジアで大人気!〜
▼猿神ハヌマーンは王子ラーマに対して忠誠心のある義理堅い英雄
▼誰もが振り向かずにはいられないヒンドゥー教の美少年、英雄神クリシュナ
ときを超えてヒンドゥー教の神様と身近に暮らすインドの人々
インドの神様は今現在もインド各地で目にすることができますよ。
どのような形で生活に根ざし、信仰されているのか、ご紹介します。
日々の祈り、お祭り、神像、エンタメでインドの神様が見られる
インドにはヒンドゥー教の神々をまつった数多くの寺院があり、インドの人々はお寺を参拝し、日々の祈りを捧げているのです。
月ごとに神様に関連したお祭りが行われ、神像を花やアクセサリーで飾り立てます。
また映画やテレビドラマ、アニメ、ゲームなどで神様の姿を見ることができます。
なんだか今の日本と似ていますね。
ただ、ひとつだけ異なる点があります。
それは映画にでてきたサントーシーという架空の女神のための寺院が実際に現実世界で建てられ、ご利益を得られる断食について広まり[ⅴ]ました。
20世紀後半に作られたフィクションの世界の女神様が、何千年も前から存在するインドの神様と同じようにまつられるなんて驚きです!
日本で見かけるインドの神様
ヒンドゥー教の神様の姿はインド料理店やインドの雑貨を扱っている店舗で見ることができます。
インドの人々は、日本のように手を合わせて神様を拝むのではなくダルシャン(Darshan)という「見る」行為を重要視しています。
これは見て、触れて、知って、物事の真理を理解するという思想です。
神様の本質に近づくため、目でじっと見る行為をインドの人たちは大切にしていますよ[ⅵ]。
あなたはいくつ知っている?インドの神様に関連したトリビア
最後は思わず目玉が飛んでいっちゃいそうな、ぶっ飛んだインドの神様の世界観をご紹介します。
神様の時間感覚が壮大すぎる
神様の寿命と私たち人間の寿命は、まったく異なります。
そのため神々の時間は、とんでもなく長いです。
ヴィシュヌのまばたき一回はブラフマーの寿命にあたり[ⅶ]、宇宙の誕生から崩壊までの時間とされています。
そのブラフマーにとっての一日の長さは86億4,000万年!
気が遠くなるような数字ですね。
ものの大きさがバグを起こしてる
ガンジス川はシヴァの頭から流れている?
インド神話では、ガンジス川はシヴァの頭を経由して神々の世界から流れてきたことになっています。
神々の世界の水を人間の世界にも流すよう命令されたガンジス川の化身ガンガー女神は空の上からシヴァの頭に飛び乗り、地上で川を作ることに成功しました。
以降、ガンジス川がシヴァの頭から流れている・ガンガーがシヴァの頭にいる状態で描かれるようになった[ⅷ]のです。
宇宙は女神の子宮の中でまだ生まれていない?
インド中央エリアには1986年に世界遺産に登録されたガジュラーホの建造物群があります。
ガジュラーホは11世紀に建造された寺院です。
ガンダーリャ・マハーデーヴァは現存するガジュラーホの中でも最大規模であり、北インドを代表する寺院です。
この寺院はシヴァのシャクティの姿を目に見える形で現し、宇宙を示しています。
シヴァリンガ(シヴァの男根)をまつる聖なる本堂「子宮の部屋」の上には、高さ30メートル以上の塔[ⅸ]があります。
子宮の部屋を通っている目に見えない柱に気づくことで人々は神とひとつになり、解脱(モークシャ)できると考えられています[ⅹ]。
本堂を訪れた人間はシヴァリンガがヨニ(女性器)に刺さっているのを見ている状態です。
まるで私たち人間が女神の子宮の中にいる、まだ受精していない卵子みたいですね。
そのため宇宙は、女神の子宮の中でまだ生まれていないというふうにイメージできますよ。
ネズミに象が乗る?
ガネーシャ神はトガリネズミを乗り物としています。
これは穀物を荒らす害獣であるネズミを富や幸福を与えるガネーシャがコントロールしていることを現しているのです。
世界はゾウとカメとヘビの上に乗っている?
Public domain, via Wikimedia Commons
神々のすみかである須弥山(メール山)はゾウとカメ、そしてヘビが支える世界の上に存在していると考えられています。
巨大なとぐろを巻いたヘビまたは龍の上に、インド神話の宇宙が創造された乳海攪拌にも登場する最初の生き物であるメスのカメ(アクーパラまたはクールマ)の上に立つ4頭または8頭のオスのゾウ(ローカパーラエレファント)が乗っている状態です。
この下に人間の世界があります。
ゾウとカメとヘビは宇宙を表し、神々から世界を支えるよう命令されている[ⅺ]のです。
クリシュナの奥さんの人数が万単位
クリシュナには16,000人の奥さんがいました。
悪魔から解放されたものの行き場がなく、人々から虐げられる女性たちを哀れに思ったクリシュナ。
彼は分身の術で16,000人の自分を作り、女性たちのよき夫となって彼女たちを平等に愛したのです。
これは彼がヴィシュヌの化身だからできた神技といえます。
宮崎駿監督のジブリ『天空の城ラピュタ』にも出てきた、世界を一瞬で滅ぼすインドラの矢「ラピュタの雷」
金曜ロードショーで何度も取り上げられている『天空の城ラピュタ』。
主人公パズーとヒロインシータの前に立ちはだかる敵ムスカは、ラピュタの威力を発揮します。
一瞬にして世界を滅ぼす核爆弾並に危険な光線を放ったのです。
ムスカは「ラーマーヤナではインドラの矢ともつたえているがね」[ⅻ]と表現しました。
インドラは雷をつかさどる神様で、ヴェーダでは3/4も登場シーンがある神々の王様です。
二大叙事詩『マハーバーラタ』に出てくる主人公アルジュナの父親にあたります。
『ラーマーヤナ』の主人公ラーマは妻シーターをさらった悪鬼ラーヴァナとその部下である恐ろしい怪物を倒すために、戦場でインドラの矢を使用しました。
インドラの矢は、ブラフマーがインドラのために作った特別な矢です。
まるで煙のない炎のように輝き、矢羽は美しい鳥のように色とりどりの羽が存分に使われています。
弓で放つと光の速度で飛んでいき、夜でも辺り一面が昼と変わらない明るさになり、シヴァと同等の力で敵を必ず滅ぼします。
敵を仕留めた後は自動的に矢筒へ戻ってくる不思議な矢[xiii]です。
神様だから、たくさんある!?インドの神様の頭と腕
インドの神様は男も、女も腕が何本も生えている姿で描かれることが多いです。
ブラフマーは顔が4つありました。
これは娘兼求愛相手のサラスヴァティーをどこにいても見つけるためです。
ドゥルガーを始めとした神様が多くの手を持ち、ブラフマーの顔が4つもあるのは…
など、上記のような理由が考えられます。
インド神話は大学の博士や学者によって意見が大きく別れたり、さまざまな見解がある宗教です。
個人的な解釈として見てください。
ヒンドゥー教の神々は、たくさんの神様を吸収して複雑な姿になった
アーリア人が外部から連れてきた神様とインド土着の神様が混ざり合ったので、パールヴァティーがドゥルガーやカーリーと同一視され、悪鬼への怒りによって変身を遂げたり、ヴィシュヌのように化身(アバター)として10回も輪廻転生するようになりました。
また宇宙の根本原理である「ブラフマン」を擬人化した神様としてブラフマーが生まれたのです。
「ヒンドゥー教の神様って、わかりにくい…」と思うのは複数の神様が一体の神様の中に存在したり、次々に名前や姿を変えていくこと、概念を無理やり神様にしたことが原因なんですよ。
人間みたいに喜怒哀楽があるインドの神様たち
今回の記事でインド神話とインドの神様について知ることはできましたか?
インド神話は…
です。
日本の東京から飛行機に乗ってインドへ行こうとすると約8時間半〜9時間程度かかります。
大昔は決死の覚悟で海を渡り、シルクロードを歩いていかないと到着できませんでした。
今では実働8時間の仕事を行い、1時間休憩をとるくらいの感覚でインドへ行けるのです!
日本国内の寺院でも仏教版のインドの神様の名前や姿を確認することができ、インドにちなんだお店ではポスターやイラストで本場インドの神様の姿を見ることができます。
あなたも、ヒンドゥー教の神様と触れ合ってみませんか?
インドの神様にあやかりたい!
ガネーシャ、ラクシュミ、ハヌマーン…人気のインドの神様が入ったランダムくじです。最強のレアみくじが、シークレットデザインが低確率で入っています。※一袋一枚入り。ランダムでのお届けとなりますので、柄の種類は選べません。どの神様が届くかお楽しみに!
神秘的な香りをお届け。
インド神話の神様をイメージした香り。
関連記事
惑星とインド神話の関係▼
宝船に乗っている、ぽっちゃりしたありがたい神様たち▼
出典
◎『[ヴィジュアル版] インド神話物語百科』、マーティン・J・ドハティ[著]、井上廣美[訳]、原書房、2021年、7,8頁
◎『基礎から学ぶ 宗教と宗教文化』、岸清香、勁草書房、2022年、109頁
◎第1075話 二十年の祈り!ワノ国を取り戻せ | TVアニメ - ONE PIECE.com(ワンピース ドットコム)
◎Jai Santoshi Maa - FILMSAAGAR
◎ダル シャンについて 及 川 弘 美 - J-Stage
◎シヴァとスサノヲ―その奇妙な類似に ついて
◎『インド神話入門』、長谷川明、新潮社、1988年、42頁
◎『地球の歩き方 D28 インド 2020〜2021年版』、『地球の歩き方』編集室、ダイヤモンド社、2020年、365,388,391頁
◎『元型と象徴の事典(新装版)』、アーキタイプ・シンボル研究文庫べヴァリー・ムーン[編]、橋本槇矩[訳者代表]、青土社、1998年、88〜90頁
◎『世界神話伝説大事典』、篠田知和基・丸山顯德[編]、勉誠出版、2016年、104頁
◎『世界シンボル辞典』、D・J・Cクーパー[著]、岩崎宗治,鈴木繁夫[訳]、三省堂、1992年、282,283頁
◎『世界の怪物・神獣事典』、キャロル・ローズ、松村一男[監訳]、原書房、2004年、9,470頁
◎『スタジオジブリ絵コンテ全集2 天空の城ラピュタ』、宮崎駿、徳間書店、2001年、601頁
◎『新訳 ラーマーヤナ6(全7巻)』、ヴァールミーキ、中村了昭[訳]、平凡社、2013年、187,400,401頁
◎インドの宗教に於ける「十六」の概念 - researchmap
◎『インド神話入門』、長谷川明、新潮社、1988年、22頁