「月餅」ってどんなお菓子?中秋節との関係や地域ごとの違いもご紹介!

みなさんは、「月餅(げっぺい)」という中国のお菓子を知っていますか?
なんとなく名前は聞いたことがあるという方や、実際に食べたことがあるという方など、人によってさまざまだと思います。中国は豊かな食文化を持つことでも有名ですが、月餅は特に中国で大切にされてきた食べ物です。

今回のコラムでは、そんな月餅に焦点をあてて、詳しくご紹介していきたいと思います。具体的には、月餅の由来や中秋節との関係、いろいろな月餅の種類、地域による月餅の違い、さらには月餅の楽しみ方などをわかりやすく丁寧に解説します。

月餅について知りたいと思っている方や、中秋節を楽しみたいと考えている方は、ぜひ最後まで読んで参考にしてみてくださいね。

月餅の由来と中秋節

月餅の由来と中秋節

月餅(中国語では「ユエピン」と呼びます)は、丸い形で、薄い皮に具材と餡を入れ、それを押しつけて焼き上げたお菓子です。中国の伝統的なお菓子として、現代でも多くの人に親しまれています。

まずは、月餅の起源や由来、さらに中秋節との関係を一緒にチェックしていきましょう!日本でもお菓子屋さんや中華料理店などいろいろな場所でよく見かける月餅ですが、どのような歴史を持つのでしょうか?

月餅の起源

月餅の起源・由来には諸説ありますが、古いものだと、中国の唐の時代(618年から907年まで)までさかのぼると言われています。

当時の皇帝・李淵(りえん)が戦いから凱旋したときに、軍の勝利を祝うお菓子として贈呈された大きな丸餅を切り分け、群臣たちに食べさせたのが始まりだと考えられています。

宋や元の時代を経て、明の時代(1368年から1644年まで)に書かれた書物「西湖遊覧志会」には、月餅に関する記述が見られます。また、清の時代(17~20世紀初頭まで)にも、月餅を食べる習慣があったことがわかっています。

このように、月餅は、古くから途切れることなく人々に親しまれてきたことがわかります。

中秋節との関係

中秋節との関係

中国には、年間を通じて大切な行事がいくつかあります。中秋節はそのなかのひとつで、春節、清明節、端午節と並んでとても重要なものです。

中秋節とは、旧暦の8月15日であり、新暦に変換すると2025年は10月6日にあたります。月がきれいに見える秋半ばに、家族円満の象徴である満月を愛でるという風習から生まれた行事です。中秋節では、離れて暮らす家族が集まり、みんなで楽しく過ごします。中秋節は別名「団円節(だんえんせつ)」とも言い、大変おめでたい日なんです。

月餅は、そんな中秋節で食べられるもののひとつです。満月に似た丸い月餅は家族団らんや一族の繁栄・幸福の象徴として好んで食べられているのです。

なお、「中秋節」については、別のコラムで詳しくご紹介していますので、そちらもぜひあわせて読んでみてくださいね。

究極の月が輝く中国の祝日「中秋節」 2025年はいつ?

月餅の種類

月餅が中国の伝統や人々の生活に密接に結びついていることがわかりましたね。ここからは、月餅の種類をご紹介します。一言で「月餅」といっても、実は餡や形、大きさなど、さまざまな違いがあるんです……!

月餅の餡

月餅の餡

月餅は、薄皮の生地にみっちりと詰まった餡が特徴ですが、餡は実にバリエーション豊か。たとえば、日本人にも人気の小豆(こしあん)は、やさしい甘みと素朴な味わいが魅力です。また、五仁(うにん)餡はクルミ・落花生・アーモンドなど、木の実たっぷりの餡。ざくっとした食感が特徴で、中華圏では伝統的な餡です。

ほかに、蓮の実で作られた白い餡や、鹹蛋(シェンタン)というアヒルの卵の塩漬けを忍ばせたものも中華圏で定番。さらにナツメ餡、紫芋餡、ゴマ餡など、たくさんの種類がありますよ。甘い餡だけではないのがポイントですね。

月餅の模様

月餅の模様

月餅といえば、薄皮の生地の模様も魅力のひとつ。実はこれも1種類ではなく、さまざまなものがあるんです。たとえば、雷のような形をした四角い渦巻き模様は、伝統的な月餅の模様として有名です。

また、花やキャラクターを型取ったもの、「月餅」という文字や、製造しているお店の名前が刻印されたものなどもありますよ。

月餅の形やサイズ

月餅は、形やサイズも実に多様なんです。丸い形が一般的ですが、四角いものやドーム型のものなどもあります。

また、サイズもさまざま。直径8~12cmくらいの月餅は、家族で切り分けて食べるのにおすすめです。また、直径4cmくらいの一口サイズのミニ月餅は手軽に食べることができます。ちなみに、中国ではなんと直径60cmほどにもなる、とても大きな月餅もあったそうですよ。

地域による月餅の違い

月餅にはさまざまな種類があることがわかりましたね。つづいてここからは、月餅の地域ごとの違いをご紹介します。どのような特色があるのか、一緒にチェックしていきましょう!

広式月餅

日本でも親しまれているのが広式月餅です。中国での人気も高く、起源は広州ですが、広東、江西、上海などの地方でも生産され、最もポピュラーな月餅と言われています。皮が薄く、なめらかな口あたりの餡がしっかり詰まっているのが特徴ですよ。

京式月餅

京式月餅は、北京や天津をはじめとする、北方地域でよく食べられている月餅です。皮がそれほど薄くないのが特徴で、皮の食感や味わいもしっかりと楽しめます。餡も甘すぎず、さっぱりと食べやすいのが特徴です。

蘇式月餅

蘇州(上海の西側にある都市)とその周辺から生まれた月餅です。五仁(うにん)餡やこしあんなど、甘みが感じられる餡を使っているのが特徴です。サクサクとした食感の皮も人気の理由です。

日本の月餅

月餅は、16世紀ごろに、長崎の出島を通じて中国から伝わったと言われています。時代を経て、次第に日本人の好みに合うように少しずつ変化していきました。日本の月餅の特徴は、餡が甘いこと、油っこさが少ないこと、皮の口当たりがなめらかなことなどが挙げられます。

月餅の楽しみ方

月餅の楽しみ方

最後に、私たちの日々の生活にも取り入れやすい、月餅の楽しみかたをご紹介します!

月餅は、9月から10月の、中秋節の前後の時期に多く売り始められます。しかし、特にオンラインショップなどでは、1年を通じて手に入れることもできます。

月餅をさらにおいしく食べるポイントとしては、切り分ける際に「包丁を使うこと」。その理由は、中華風の本格的な月餅に使われる餡は独特の粘りがあるため、包丁で切ることで、切り口がなめらかになり、見た目だけでなく口当たりも良くなるからです。

また、月餅には日本茶や中国茶がよく合いますが、意外とブラックコーヒーもおすすめ。濃厚な舌触りの中華餡とビターなコーヒーがほどよくマッチすると評判です。

さらに、中秋節では、月餅だけでなくカボチャやサツマイモを食べる風習もあります。月餅とあわせてこうした食べ物も味わうことで、より中秋節の雰囲気を楽しめるはずです。

奥深い月餅の世界に親しもう

一言で「月餅」といっても、餡や形、大きさなど、さまざまな種類があることがわかりましたね。また、中国国内での地域差や、日本の月餅などの違いもおもしろかったのではないでしょうか。
知れば知るほど奥深い月餅。もし食べる機会があれば、ぜひこのコラムでご紹介した内容を思い出しながら味わってみてくださいね♪


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