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彼岸花とは、赤い炎が揺らめくような花を咲かせる秋を代表する花です。中国では仏教の天上に咲く美しい花として、欧米では花が美しく育てやすいことから人気が高い彼岸花ですが、日本ではなぜか怖く悲しいイメージが強い花です。
そこで今回は、彼岸花が怖いと思われている理由を、彼岸花の生態や特徴などとあわせて紹介します。
彼岸花は中国や韓国などが原産で、室町時代ごろまでに日本に伝わったといわれています。今では日本全国で見られる花となった彼岸花には、独自の生態や特徴があるので詳しく解説していきます。
彼岸花とは、ヒガンバナ科ヒガンバナ属(リコリス属)に属する多年草の球根植物です。田畑の畔や道のわき、神社や寺の参道や墓地へ続く道沿いなどに群生し、7月下旬から10月ごろに花を咲かせます。開花時期になると花茎を30~50㎝ほど真っすぐ伸ばし、花茎の先に5~7個の小さな花を放射状に咲かせます。1つに花の花びらは6枚で、細長く縮れて大きく反り返っており、花から6本の雄しべと1本の雌しべが長く伸びています。また、彼岸花は球根で繁殖するため、種を付けないという特徴があります。
彼岸花は花が咲き終わるまで葉を付けないという独特の生態をもちます。彼岸花の葉は、花が咲き終わってから葉が伸び始め、冬の間に茂って光合成を盛んに行い、球根に栄養を蓄えます。また、彼岸花は毒を持つという特徴があります。彼岸花は、リコリンやガランタミンなどの約20種類もの「アルカロイド」という毒素を持っています。毒は葉や茎など株全体に含まれていますが、特に球根の内側である鱗茎(りんけい)に多く含まれています。
赤く美しい花を咲かせる彼岸花はどうしてこのような名前が付けられたのでしょうか?それは、彼岸花の生態に大きく関連しています。そこで今回は、複数ある彼岸花の別名とともに、名前の由来を紹介していきましょう。
「彼岸花」という名前は、秋のお彼岸の時期に花を咲かせることから付けられました。また、彼岸花には毒があるので、食べたら「彼岸(=あの世)」に行ってしまうことから名付けられたともいわれています。
彼岸花には複数の別名があり、その数は1000以上もあるといわれています。その中でも次のような別名がよく知られています。
・曼珠沙華(まんじゅしゃげ・まんじゅしゃか)
彼岸花の別名で最もよく知られている名前です。曼珠沙華の由来は、サンスクリット語で「赤い花」という意味の「manjusaka(マンジュシャカ)」という言葉です。法華経などの経典には、天には「manjusaka(マンジュシャカ)」という赤い花が咲いていて、釈迦の説法中に他の花々と共に天から降ってきたという場面があり、日本で彼岸花を経典に登場する「manjusaka(マンジュシャカ)」に見立て、漢字を充てたのだといわれています。
花の形が仏具の天蓋に似ていることが由来となって付けられた名前です。
花が咲いているときには葉が無く、葉が茂っているときには花が咲いていないことから付けられた名前です。
花びらや葉の形が剃刀に似ていることから付けられた名前です。
このほかにも、「火付け花」「家焼き花」「狐花」「雷花」「灯篭花」「火事花」など花の形と赤い色が「火」を連想させることから付けられた名前や、「葬式花」「地獄花」「墓花」「死人花」「幽霊花」「捨て子花」「毒花」「痺れ花」「疫病花」などの怖い別名が多くあります。これは、彼岸花に毒があることから昔から不吉な花とされていたことや、寺や墓場などにも多く咲いていることが由来となっています。
生花店などでは彼岸花を「リコリス」と表記されることもあります。「リコリス」とは彼岸花の学名「リコリス(Lycoris )」からきた呼び方です。「リコリス」の由来は、ギリシャ神話に登場する海の精霊「リコリアス(Lycorias)」で、彼女の持つ美しい金髪を連想させることから名付けられたといわれています。彼岸花は欧米では人気の高い花で、赤の他にも黄色や白の花を咲かせる種類があります。はっきりとはしていませんが、黄色の彼岸花がリコリアスの金髪の様に美しかったから「リコリス」と名付けられたのかもしれませんね。
彼岸花は日本各地で怖い別名が付けられていますが、花言葉も怖いものがあるというイメージがありますが、怖い花言葉はありません。では、どのような花言葉があるのでしょうか?花の色によっても意味が違っているので、詳しく紹介します。
彼岸花の花言葉は、「悲しき思い出」「あきらめ」「また会う日を楽しみに」「独立」「情熱」などです。怖い意味というよりも、悲しい意味の言葉が多いですね。これは、彼岸花が秋のお彼岸の時期に咲くため、故人を思い出させるからだといわれています。また、「情熱」は燃え盛る炎のような赤い花から連想された花言葉とされています。
彼岸花は、花の色によっても意味が違っています。
赤や白の彼岸花は少し切ない花言葉が多いですが、黄色やピンクは明るい色だからかポジティブな花言葉が多くあります。
日本では昔から、彼岸花はなぜこんなにも怖いイメージが強いのでしょうか。その理由について解説していきましょう。
彼岸花は海外では美しいと人気の高い花なのに、日本ではなぜか怖いイメージがついています。しかし、彼岸花は本当に怖い花なのでしょうか?彼岸花に怖いイメージが付いてしまった理由としては次のようなものがあります。
彼岸花には、アルカロイドという毒が含まれています。とくに球根の鱗茎に多く含まれており、誤って食べてしまうと腹痛や下痢、嘔吐などの症状を引き起こし、最悪の場合は呼吸困難を起こして亡くなってしまうこともあります。
しかし、昔は飢饉で食べるものが無かったときに、彼岸花の球根を非常食として食べられていました。彼岸花の球根にはデンプン質が豊富に含まれており、何度も水にさらして毒抜きをすれば食用にできたからです。彼岸花のデンプンを粉にして団子にしたり雑穀に混ぜたりして食べていたそうですが、毒抜きが不十分で亡くなった人も多くいました。そのため、彼岸花を食べると毒で亡くなるという怖いイメージが付いたといわれています。しかし、口にしなければ大丈夫なので、彼岸花を触ったらすぐに手を洗って口に入らないようにしてください。
彼岸花は、昔から墓地に多く咲いており「あの世」や「死」を連想させることから怖いイメージがついたといわれています。昔からある墓地に彼岸花が多く見られるのは、昔の人たちによって植えられたからです。彼岸花の毒成分は、ネズミやモグラなどの害獣を寄せ付けない効果があるとされており、昔は田んぼや畑の周り植えられていました。そして、かつての日本は土葬で埋葬していたため、害獣や虫などに亡骸を掘り起こされないようにするために墓地にも彼岸花を植えていたのです。しかし、墓地に真っ赤な花を咲かせる彼岸花は、亡骸の血を吸ったから赤くなったといわれるようになり、怖いイメージが広がってしまったといわれています。
彼岸花の花は、真っ赤な色で細長い花びらが上に反り返っています。この色と形が燃え盛る炎を連想させることから、昔は「家に持ち帰ると火事が起きる」といわれていたため、怖いイメージが広がったとされています。しかし実際は、子供たちが花の美しさから手折ってしまい、誤って毒を摂取しないようにするための迷信だったと考えられています。
これらの理由から彼岸花は怖いというイメージが付いてしまいましたが、彼岸花は人の手によって植えられ増えていきました。これは、彼岸花が美しく、毒を持つのでお墓に植えて外敵から故人を守るという昔の人の知恵だったのです。
彼岸花が属するヒガンバナ属(リコリス属)には多くの種類があります。「彼岸花」とは昔から日本に自生している野生種のことを指し、「リコリス」世界中に分布しているヒガンバナ科ヒガンバナ属の園芸品種のことを指します。ここでは、日本に昔から自生しているものや海外から帰化したものなどを紹介していきます。
彼岸花には次のような色々な色の品種があります。
赤い彼岸花は、日本に昔から自生しているヒガンバナ属の原種です。彼岸花の仲間の中で最もポピュラーな色で、野生でも繁殖しやすく、日当たりの良い野原などで群生することもあります。
黄色い彼岸花とは「ショウキズイセン」や「ショウキラン」などと呼ばれるヒガンバナ属の植物で、鮮やかな黄色花を咲かせる品種です。中国が原産地で、日本でも南部の方に多く自生しています。10月頃に開花し、赤い彼岸花よりも花びらの幅が広く、花や茎、葉などが大きいのが特徴です。
白い彼岸花とは「白花曼珠沙華」や「白彼岸花」などと呼ばれるヒガンバナ属の植物で、白い花を咲かせる品種です。赤い彼岸花とショウキズイセンの交配種や、赤い彼岸花の突然変異種と考えられています。主に九州南部や沖縄などに多く自生し、9月頃に開花します。花びらの縁が緩やかに波打っていますが、赤い彼岸花ほど反り返っていないのが特徴です。
オレンジ色の彼岸花とは「キツネノカミソリ」と呼ばれるヒガンバナ属の植物で、オレンジ色の花を咲かせる品種です。東北よりも南に自生しており、彼岸花よりも少し早いお盆時期に開花します。花びらはあまり反り返らず、花が斜め上を向いて咲くのが特徴です。名前は、花の色が狐の毛色のようで、葉の形が剃刀に似ていることに由来しています。
ピンク色の彼岸花とは「ネリネ」と呼ばれるヒガンバナ科ヒメヒガンバナ属(ネリネ属)の植物で、鮮やかなピンク色の花を咲かせる品種です。花びらに光が当たるとキラキラと反射するとことから「ダイヤモンドリリー」とも呼ばれています。彼岸花よりも花びらの幅が広く、ユリのような形をしているのが特徴で、10月中旬から12月中旬に花を咲かせます。南アフリカ原産で日本には自生しておらず、欧米で人気のリコリス(園芸品種)です。
彼岸花といえば、今話題の「鬼滅の刃」にも「青い彼岸花」が登場します。作中では、鬼舞辻無惨が鬼になったのは「青い彼岸花」で作った薬を飲んだからだとされており、重要なキーワードとして度々出てきます。
しかし、実際には「青い彼岸花」は存在しません。青いバラや青いカーネーションは品種改良で生まれたのに、どうして「青い彼岸花」は作ることができないのでしょうか?それは、彼岸花が種を作ることができないからです。そのため、人工的に交配させて青い色の花にすることが難しいだけでなく、仮に突然変異で青い花が咲いたとしても子孫を残すことができません。ですから、現段階では「青い彼岸花」を作り出すことも増やすこともできないのです。しかし、最近は遺伝子工学の技術を使って「青い菊」が誕生したという研究発表もあるので、「青い彼岸花」が誕生する日も来るかもしれませんね。
倭物やカヤには、彼岸花をモチーフにした商品が数多くあります。ここでは、人気の彼岸花モチーフの商品を紹介していきましょう。
黒地に赤と白の艶やかな彼岸花を大胆に描いた和風テイストのワンピースです。襟元は深めのVネックなので、スッキリとした見た目になります。サラサラとしたレーヨン素材と、サイドにスリットが入りゆったりとしたシルエットで、暑い夏でも涼しく過ごせます。
「彼岸花」「コウモリ」「ざくろ」柄を、現代的な色彩で大胆に描いたワンピース。着物風羽織はもちろん、ジャンパー等のカジュアルなジャケットと合わせても、スタイリッシュな和洋折衷の雰囲気が楽しめます。
赤い彼岸花とその周りを舞う蝶々を、日本独自の染色技法である「注染染め」で職人が染め上げた手拭です。素材は綿100%で肌触りが良く吸水性が高いので、布巾や汗拭き、アイマスクなどとして使用できます。サイズも大きいので、風呂敷の様にラッピングとしても使えます。また、鮮やかで美しい絵柄なので、観賞用として楽しむのもおすすめです。
彼岸花は、毒を持っていたり墓場に植えられていたりしたことから、怖いイメージが持たれています。しかし、その毒性から農作物や亡骸を害獣や虫から守ったり、飢饉の際には非常食となったりと、日本人の命を守る重要な花として利用されてきました。ですから、日本人はどこか怖いイメージを持ちつつも、美しい彼岸花を愛してきたのだと思います。毒を持つとはいえ、正しく取り扱えば問題はないので、皆さんも彼岸花やリコリスを植えたり飾ったりして楽しんでみてはいかがでしょうか。
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彼岸花とは、赤い炎が揺らめくような花を咲かせる秋を代表する花です。
中国では仏教の天上に咲く美しい花として、欧米では花が美しく育てやすいことから人気が高い彼岸花ですが、日本ではなぜか怖く悲しいイメージが強い花です。
そこで今回は、彼岸花が怖いと思われている理由を、彼岸花の生態や特徴などとあわせて紹介します。
目次
彼岸花とは
彼岸花は中国や韓国などが原産で、室町時代ごろまでに日本に伝わったといわれています。
今では日本全国で見られる花となった彼岸花には、独自の生態や特徴があるので詳しく解説していきます。
彼岸花の生態
彼岸花とは、ヒガンバナ科ヒガンバナ属(リコリス属)に属する多年草の球根植物です。
田畑の畔や道のわき、神社や寺の参道や墓地へ続く道沿いなどに群生し、7月下旬から10月ごろに花を咲かせます。
開花時期になると花茎を30~50㎝ほど真っすぐ伸ばし、花茎の先に5~7個の小さな花を放射状に咲かせます。
1つに花の花びらは6枚で、細長く縮れて大きく反り返っており、花から6本の雄しべと1本の雌しべが長く伸びています。
また、彼岸花は球根で繁殖するため、種を付けないという特徴があります。
彼岸花の特徴
彼岸花は花が咲き終わるまで葉を付けないという独特の生態をもちます。
彼岸花の葉は、花が咲き終わってから葉が伸び始め、冬の間に茂って光合成を盛んに行い、球根に栄養を蓄えます。
また、彼岸花は毒を持つという特徴があります。
彼岸花は、リコリンやガランタミンなどの約20種類もの「アルカロイド」という毒素を持っています。
毒は葉や茎など株全体に含まれていますが、特に球根の内側である鱗茎(りんけい)に多く含まれています。
彼岸花の名前の由来とは?
赤く美しい花を咲かせる彼岸花はどうしてこのような名前が付けられたのでしょうか?
それは、彼岸花の生態に大きく関連しています。
そこで今回は、複数ある彼岸花の別名とともに、名前の由来を紹介していきましょう。
彼岸花の名前の由来
「彼岸花」という名前は、秋のお彼岸の時期に花を咲かせることから付けられました。
また、彼岸花には毒があるので、食べたら「彼岸(=あの世)」に行ってしまうことから名付けられたともいわれています。
彼岸花の別名
彼岸花には複数の別名があり、その数は1000以上もあるといわれています。
その中でも次のような別名がよく知られています。
・曼珠沙華(まんじゅしゃげ・まんじゅしゃか)
彼岸花の別名で最もよく知られている名前です。
曼珠沙華の由来は、サンスクリット語で「赤い花」という意味の「manjusaka(マンジュシャカ)」という言葉です。
法華経などの経典には、天には「manjusaka(マンジュシャカ)」という赤い花が咲いていて、釈迦の説法中に他の花々と共に天から降ってきたという場面があり、日本で彼岸花を経典に登場する「manjusaka(マンジュシャカ)」に見立て、漢字を充てたのだといわれています。
•天蓋花(てんがいばな)
花の形が仏具の天蓋に似ていることが由来となって付けられた名前です。
•葉見ず花見ず(はみずはなみず)
花が咲いているときには葉が無く、葉が茂っているときには花が咲いていないことから付けられた名前です。
•剃刀花(かみそりばな)
花びらや葉の形が剃刀に似ていることから付けられた名前です。
このほかにも、「火付け花」「家焼き花」「狐花」「雷花」「灯篭花」「火事花」など花の形と赤い色が「火」を連想させることから付けられた名前や、「葬式花」「地獄花」「墓花」「死人花」「幽霊花」「捨て子花」「毒花」「痺れ花」「疫病花」などの怖い別名が多くあります。
これは、彼岸花に毒があることから昔から不吉な花とされていたことや、寺や墓場などにも多く咲いていることが由来となっています。
リコリスとも言われている?
生花店などでは彼岸花を「リコリス」と表記されることもあります。
「リコリス」とは彼岸花の学名「リコリス(Lycoris )」からきた呼び方です。
「リコリス」の由来は、ギリシャ神話に登場する海の精霊「リコリアス(Lycorias)」で、彼女の持つ美しい金髪を連想させることから名付けられたといわれています。
彼岸花は欧米では人気の高い花で、赤の他にも黄色や白の花を咲かせる種類があります。
はっきりとはしていませんが、黄色の彼岸花がリコリアスの金髪の様に美しかったから「リコリス」と名付けられたのかもしれませんね。
彼岸花の花言葉には怖い意味もある?
彼岸花は日本各地で怖い別名が付けられていますが、花言葉も怖いものがあるというイメージがありますが、怖い花言葉はありません。
では、どのような花言葉があるのでしょうか?
花の色によっても意味が違っているので、詳しく紹介します。
彼岸花の花言葉
彼岸花の花言葉は、「悲しき思い出」「あきらめ」「また会う日を楽しみに」「独立」「情熱」などです。
怖い意味というよりも、悲しい意味の言葉が多いですね。
これは、彼岸花が秋のお彼岸の時期に咲くため、故人を思い出させるからだといわれています。
また、「情熱」は燃え盛る炎のような赤い花から連想された花言葉とされています。
色別の花言葉
彼岸花は、花の色によっても意味が違っています。
赤や白の彼岸花は少し切ない花言葉が多いですが、黄色やピンクは明るい色だからかポジティブな花言葉が多くあります。
彼岸花は本当に怖い花?怖いイメージが付いた理由とは
日本では昔から、彼岸花はなぜこんなにも怖いイメージが強いのでしょうか。
その理由について解説していきましょう。
彼岸花は海外では美しいと人気の高い花なのに、日本ではなぜか怖いイメージがついています。
しかし、彼岸花は本当に怖い花なのでしょうか?
彼岸花に怖いイメージが付いてしまった理由としては次のようなものがあります。
彼岸花は毒を持っているから
彼岸花には、アルカロイドという毒が含まれています。
とくに球根の鱗茎に多く含まれており、誤って食べてしまうと腹痛や下痢、嘔吐などの症状を引き起こし、最悪の場合は呼吸困難を起こして亡くなってしまうこともあります。
しかし、昔は飢饉で食べるものが無かったときに、彼岸花の球根を非常食として食べられていました。
彼岸花の球根にはデンプン質が豊富に含まれており、何度も水にさらして毒抜きをすれば食用にできたからです。
彼岸花のデンプンを粉にして団子にしたり雑穀に混ぜたりして食べていたそうですが、毒抜きが不十分で亡くなった人も多くいました。
そのため、彼岸花を食べると毒で亡くなるという怖いイメージが付いたといわれています。
しかし、口にしなければ大丈夫なので、彼岸花を触ったらすぐに手を洗って口に入らないようにしてください。
墓地に植えられていたから
彼岸花は、昔から墓地に多く咲いており「あの世」や「死」を連想させることから怖いイメージがついたといわれています。
昔からある墓地に彼岸花が多く見られるのは、昔の人たちによって植えられたからです。
彼岸花の毒成分は、ネズミやモグラなどの害獣を寄せ付けない効果があるとされており、昔は田んぼや畑の周り植えられていました。
そして、かつての日本は土葬で埋葬していたため、害獣や虫などに亡骸を掘り起こされないようにするために墓地にも彼岸花を植えていたのです。
しかし、墓地に真っ赤な花を咲かせる彼岸花は、亡骸の血を吸ったから赤くなったといわれるようになり、怖いイメージが広がってしまったといわれています。
彼岸花は火を連想させるから
彼岸花の花は、真っ赤な色で細長い花びらが上に反り返っています。
この色と形が燃え盛る炎を連想させることから、昔は「家に持ち帰ると火事が起きる」といわれていたため、怖いイメージが広がったとされています。
しかし実際は、子供たちが花の美しさから手折ってしまい、誤って毒を摂取しないようにするための迷信だったと考えられています。
これらの理由から彼岸花は怖いというイメージが付いてしまいましたが、彼岸花は人の手によって植えられ増えていきました。
これは、彼岸花が美しく、毒を持つのでお墓に植えて外敵から故人を守るという昔の人の知恵だったのです。
彼岸花の種類
彼岸花が属するヒガンバナ属(リコリス属)には多くの種類があります。
「彼岸花」とは昔から日本に自生している野生種のことを指し、「リコリス」世界中に分布しているヒガンバナ科ヒガンバナ属の園芸品種のことを指します。
ここでは、日本に昔から自生しているものや海外から帰化したものなどを紹介していきます。
彼岸花には次のような色々な色の品種があります。
赤い彼岸花
赤い彼岸花は、日本に昔から自生しているヒガンバナ属の原種です。
彼岸花の仲間の中で最もポピュラーな色で、野生でも繁殖しやすく、日当たりの良い野原などで群生することもあります。
黄色い彼岸花
黄色い彼岸花とは「ショウキズイセン」や「ショウキラン」などと呼ばれるヒガンバナ属の植物で、鮮やかな黄色花を咲かせる品種です。
中国が原産地で、日本でも南部の方に多く自生しています。
10月頃に開花し、赤い彼岸花よりも花びらの幅が広く、花や茎、葉などが大きいのが特徴です。
白い彼岸花
白い彼岸花とは「白花曼珠沙華」や「白彼岸花」などと呼ばれるヒガンバナ属の植物で、白い花を咲かせる品種です。
赤い彼岸花とショウキズイセンの交配種や、赤い彼岸花の突然変異種と考えられています。
主に九州南部や沖縄などに多く自生し、9月頃に開花します。
花びらの縁が緩やかに波打っていますが、赤い彼岸花ほど反り返っていないのが特徴です。
オレンジ色の彼岸花
オレンジ色の彼岸花とは「キツネノカミソリ」と呼ばれるヒガンバナ属の植物で、オレンジ色の花を咲かせる品種です。
東北よりも南に自生しており、彼岸花よりも少し早いお盆時期に開花します。
花びらはあまり反り返らず、花が斜め上を向いて咲くのが特徴です。
名前は、花の色が狐の毛色のようで、葉の形が剃刀に似ていることに由来しています。
ピンク色の彼岸花
ピンク色の彼岸花とは「ネリネ」と呼ばれるヒガンバナ科ヒメヒガンバナ属(ネリネ属)の植物で、鮮やかなピンク色の花を咲かせる品種です。
花びらに光が当たるとキラキラと反射するとことから「ダイヤモンドリリー」とも呼ばれています。
彼岸花よりも花びらの幅が広く、ユリのような形をしているのが特徴で、10月中旬から12月中旬に花を咲かせます。
南アフリカ原産で日本には自生しておらず、欧米で人気のリコリス(園芸品種)です。
鬼滅の刃で話題の「青い彼岸花」は存在するのか?
彼岸花といえば、今話題の「鬼滅の刃」にも「青い彼岸花」が登場します。
作中では、鬼舞辻無惨が鬼になったのは「青い彼岸花」で作った薬を飲んだからだとされており、重要なキーワードとして度々出てきます。
しかし、実際には「青い彼岸花」は存在しません。
青いバラや青いカーネーションは品種改良で生まれたのに、どうして「青い彼岸花」は作ることができないのでしょうか?
それは、彼岸花が種を作ることができないからです。
そのため、人工的に交配させて青い色の花にすることが難しいだけでなく、仮に突然変異で青い花が咲いたとしても子孫を残すことができません。
ですから、現段階では「青い彼岸花」を作り出すことも増やすこともできないのです。
しかし、最近は遺伝子工学の技術を使って「青い菊」が誕生したという研究発表もあるので、「青い彼岸花」が誕生する日も来るかもしれませんね。
おすすめ!彼岸花モチーフの商品を紹介
倭物やカヤには、彼岸花をモチーフにした商品が数多くあります。
ここでは、人気の彼岸花モチーフの商品を紹介していきましょう。
絢爛ワンピース BK HIGANBANA
黒地に赤と白の艶やかな彼岸花を大胆に描いた和風テイストのワンピースです。
襟元は深めのVネックなので、スッキリとした見た目になります。
サラサラとしたレーヨン素材と、サイドにスリットが入りゆったりとしたシルエットで、暑い夏でも涼しく過ごせます。
暗がりワンピース BK HIGANBANA
「彼岸花」「コウモリ」「ざくろ」柄を、現代的な色彩で大胆に描いたワンピース。
着物風羽織はもちろん、ジャンパー等のカジュアルなジャケットと合わせても、スタイリッシュな和洋折衷の雰囲気が楽しめます。
彼岸花手拭
赤い彼岸花とその周りを舞う蝶々を、日本独自の染色技法である「注染染め」で職人が染め上げた手拭です。
素材は綿100%で肌触りが良く吸水性が高いので、布巾や汗拭き、アイマスクなどとして使用できます。
サイズも大きいので、風呂敷の様にラッピングとしても使えます。
また、鮮やかで美しい絵柄なので、観賞用として楽しむのもおすすめです。
彼岸花は怖いイメージもあるけれど日本人の生活に重要な花
彼岸花は、毒を持っていたり墓場に植えられていたりしたことから、怖いイメージが持たれています。
しかし、その毒性から農作物や亡骸を害獣や虫から守ったり、飢饉の際には非常食となったりと、日本人の命を守る重要な花として利用されてきました。
ですから、日本人はどこか怖いイメージを持ちつつも、美しい彼岸花を愛してきたのだと思います。
毒を持つとはいえ、正しく取り扱えば問題はないので、皆さんも彼岸花やリコリスを植えたり飾ったりして楽しんでみてはいかがでしょうか。
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