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40 years with Nepalも最終回を迎えます。1989年の入社以来18カ国を海外出張で巡りましたが、その中でも特に長く深いネパールとの関わりを伝えるべく一年間連載してきました。 今回は、総集編風にネパールで出会った個性的なキャラを紹介していきます。
ネパール帽のトピ屋さん。 ネパーリ・トピ(帽)はネパールの国家の誇りを象徴する民族衣装で、100を超える民族を結びつけるネパール文化のシンボルです。男性の正装ではこれを被ります。
ヒンドゥー寺院 パシュパティナートのサドゥ達。 左のサドゥは、大学を卒業して会社に就職したものの、人間関係に疲れて最近サドゥになったそうです。 同じ寺院で何十年も暮らすサドゥも居れば、聖地を巡り移動を続けるサドゥもいるそうです。
私と話をして写真を撮っていたら、ストイックな先輩サドゥから 「おーい、そこの二人!チャラチャラしていないで、もっと祈りと修行に集中しなさい!」 と叱られていました。
原料となる樹皮から紙を作るのは、山村に住むマガール族の皆さん。チベット・ビルマ系なので日本人とも良く似ています。 民族が近いので、表情や仕草を見るだけでお互い気持ちが通じます。(⇒詳細レポートはこちら)
出来上がった手漉き紙は、首都カトマンズに住むネワール族の皆さんが手作業で仕上げていきます。
こちらもカトマンズ。手織り工房の皆さん。
床に座り、腰に腰帯をまわして経(たて)糸の張りを腰で調整しながら織っていく原始的な織機。 経糸の張りが優しく、やわらかい布に仕上がる。女性たちはしゃべりながらも手は止まらず、作業は着々と進みます。
同じ手織りでも、こちらは厚手のゲリファブリック担当チーム。
木の枠のある高機織。足踏みペダルで経糸の上下をさせて、その隙間に横糸をシャトルで通していきます。リズミカルにガシャンガシャンと足踏みの音とシュッシュとシャトルの音が工房に響きます。
⇒詳細レポートはこちら
こちらはバクタプル編み物チーム。 編み物は場所も時間も選ばず、道具も最小。彼女たちは子育てや家事の隙間を上手に使って作業しています。(⇒詳細レポートはこちら)
編み手の皆さんに商品の仕様を伝えたり、材料を配ったり、出来上がったら検品したり、梱包して輸出書類を作ったり。 彼女の様なプロデューサーさんがローカルな世界からグローバルビジネスの世界へ向けて準備をしてくれます。
続いて、ネパールの偉い人シリーズ!
まずは、マダン・クマール・バッタライ大使(Madan Kumar Bhattarai) ⇒テープカット写真中央・スピーチ写真壇上
写真は2013年、チャイハネパート1リニューアルオープンセレモニーです。当時の駐日ネパール大使である バッタライ大使にお祝いのスピーチをしていただきました。
続いて、サク村ニッターズ(編み手の皆さん)。竹で作った仮設住宅と共同作業場です。
その開村式に参加していただいたのは、マーダブ・クマール元首相(Madhav Kumar Nepal) 会場も今回作った共同作業場です。(⇒詳細レポートはこちら) セレモニーの後には、仮設住宅を一軒一軒訪ね、住民一人一人に声をかけていました。 まるで地元の町長さんかのように身近に感じられる暖かい人柄のマーダブ・クマール元首相でした。
駐日ネパール大使、ネパール元首相、その次は誰?
ラームバラン・ヤーダブ大統領。(Ram Baran Yadav 2015年当時) はい、国家元首です!しかもこの写真、大統領官邸ですよ!緊張したなー!
“被災地支援だけでなく、ビジネスを通して長期間ネパールに貢献してくれているね。そして、ネパールの若者たちをその活動に巻き込んでくれている事に感謝するよ、その若者達の経験と成長が国の未来を作るからね。” “若者達の経験~国の未来“ うーん、そこまで考えたことはなかったな....国家元首視点でのコメントありがとうございました。
はい、最後にもう一人。
この写真は2012年、震災の3年前です。“長期に渡り、サク村の女性達の生活と地位向上に貢献してくれましたね”と表彰された時の写真です。 私達は、サク村の編み手の皆さんの技術や、誠実で丁寧な仕事をリスペクトして商品作りを依頼しているのですが、それが継続的に仕事を供給する事に繋がり、社会的弱者である女性達の生活・地位向上に貢献していると評価していただきました。プレゼンターであるこの中央の女性は、ビドヤ・デビ・バンダリ大統領(Bidya Devi Bhandari)現役のネパール大統領です。(この文章を書いている2023.1月時点での現役ネパール大統領)
この式典の時は前国防大臣と紹介されたのですが、3年後の2015年に女性初の大統領に就任しました。知的で上品な女性という印象はもちろんですが、沢山の修羅場を経験しているのだろうなと想像される強さと凄みを感じました。きっと、どんな時代のどんな地域に生まれても、大きな集団のボスと呼ばれる存在になっている方だと思います。
はい、2015年ネパール大震災2ヶ月後の世界に戻ります。 このポスター“We love Nepal, we love your handmade”が、どのような想いで作られたかをまず解説しますね。
震災直後は命を守る事が第一という状況でした、以前から良く知る陽気で元気なおばちゃんも、兄弟を亡くしたショックで無気力・無表情でした。 帰国後に会社のメンバーと相談。 作り手の皆様を応援する為にお客様にも協力してもらおう!という事になり、チャイハネ各店でネパール商品をお買い上げのお客様に写真を撮らせていただきました。そして、各店から集めたお客様とネパール商品の写真からポスターが出来上がりました。
「We love Nepal, we love your handmade. 私達はネパールが大好き、あなたの手作り製品が大好きです。 悲しみを乗り越えて日常を取り戻そう! どんどん作ってね! 新たなネパール製品の入荷を心待ちにしているよ!」
という応援メッセージが込められています。
クリシュナ社長から、各地域から集まったニッターズ代表へのアナウンス “このポスターをそれぞれ持ち帰って共同作業場に貼ってくださいね。各地域のニッター達を勇気付けて、 早く仕事に戻って日常生活を取り戻す様に伝えてくださいね!“.
みんな社長の話聞いてる?...聞いてないよね...
ポスターや印刷物の中に自分が担当した商品を見つけては“これ!私が作ったのよ!あっ、これも!”と話そっちのけで、大騒ぎです。食い入るようにポスターの隅々までチェック。話を聞いてもらえるようになるまで、30分位かかりました。
見てください、このマネージャーさん達の表情! 育てた子供達(商品たち)の活躍を喜ぶお父さん、お母さんの様な表情ですね。
日常的にもこんな風に、作り手さんがお客さんを身近に感じ、お客さんが作り手さんを身近に感じられるようなサイクルが ずっとずっと続いていってほしいと思います。
はい、最後まで読んでいただきありがとうございました。 この最終回がアミナフライヤーズにアップされる頃には、私は33年間の社員生活を終えて旅先にいると思います。
最後にある筆者プロフィール、“元バックパッカー現商品本部長”が“元商品本部長、現バックパッカー”に変わったという意味です。 2~3月はネパールかな? その後も国内外でノマディックな(生活拠点を移動して暮らす)ライフスタイルを続けていくつもりです。旅行とノマディックライフの違いは、“宿泊費なし長期滞在型”である事です。まずはネパール各地で知り合いの家を訪ねて居候生活を始めます。
【40 years with Nepal コラム一覧】
ノマド夫婦を英語風にNomad hoof(=ノマド・フッフ/hoofは蹄、足、歩くという意味)と名付けました。インスタアカウントは、nomadhoof(=ノマドーフ)。胡麻豆腐(ゴマドーフ)にサウンドが寄ってしまいましたが、興味のある方はフォローして下さい。Amina Flyersでも5月頃に新連載スタート予定です。
Arigato & Namaste !
現バックパッカー・元商品本部長 1989入社、 履歴書に書いた海外渡航歴が決め手で採用される。 その後、世界の生産地を駆け巡って33年。 2023年2月に退社し、そろそろ…またバックパッカーに戻っているころ。
40 years with Nepalも最終回を迎えます。1989年の入社以来18カ国を海外出張で巡りましたが、その中でも特に長く深いネパールとの関わりを伝えるべく一年間連載してきました。
今回は、総集編風にネパールで出会った個性的なキャラを紹介していきます。
目次
街で出会った人たち
何屋さん?
ネパール帽のトピ屋さん。
ネパーリ・トピ(帽)はネパールの国家の誇りを象徴する民族衣装で、100を超える民族を結びつけるネパール文化のシンボルです。男性の正装ではこれを被ります。
サドゥ(修行僧)
ヒンドゥー寺院 パシュパティナートのサドゥ達。
左のサドゥは、大学を卒業して会社に就職したものの、人間関係に疲れて最近サドゥになったそうです。
同じ寺院で何十年も暮らすサドゥも居れば、聖地を巡り移動を続けるサドゥもいるそうです。
私と話をして写真を撮っていたら、ストイックな先輩サドゥから
「おーい、そこの二人!チャラチャラしていないで、もっと祈りと修行に集中しなさい!」
と叱られていました。
生産現場で働く私たちのパートナーたち
ネパール手漉き紙工房
原料となる樹皮から紙を作るのは、山村に住むマガール族の皆さん。チベット・ビルマ系なので日本人とも良く似ています。
民族が近いので、表情や仕草を見るだけでお互い気持ちが通じます。(⇒詳細レポートはこちら)
出来上がった手漉き紙は、首都カトマンズに住むネワール族の皆さんが手作業で仕上げていきます。
ネパールの手織り工房
こちらもカトマンズ。手織り工房の皆さん。
床に座り、腰に腰帯をまわして経(たて)糸の張りを腰で調整しながら織っていく原始的な織機。
経糸の張りが優しく、やわらかい布に仕上がる。女性たちはしゃべりながらも手は止まらず、作業は着々と進みます。
同じ手織りでも、こちらは厚手のゲリファブリック担当チーム。
木の枠のある高機織。足踏みペダルで経糸の上下をさせて、その隙間に横糸をシャトルで通していきます。リズミカルにガシャンガシャンと足踏みの音とシュッシュとシャトルの音が工房に響きます。
⇒詳細レポートはこちら
ネパールのニッターズ(編み物)の皆さん
こちらはバクタプル編み物チーム。
編み物は場所も時間も選ばず、道具も最小。彼女たちは子育てや家事の隙間を上手に使って作業しています。(⇒詳細レポートはこちら)
編み手の皆さんに商品の仕様を伝えたり、材料を配ったり、出来上がったら検品したり、梱包して輸出書類を作ったり。
彼女の様なプロデューサーさんがローカルな世界からグローバルビジネスの世界へ向けて準備をしてくれます。
ネパールの要人とも交流
続いて、ネパールの偉い人シリーズ!
バッタライ大使(駐日ネパール大使)
まずは、マダン・クマール・バッタライ大使(Madan Kumar Bhattarai)
⇒テープカット写真中央・スピーチ写真壇上
写真は2013年、チャイハネパート1リニューアルオープンセレモニーです。当時の駐日ネパール大使である
バッタライ大使にお祝いのスピーチをしていただきました。
マーダブ・クマール元首相
続いて、サク村ニッターズ(編み手の皆さん)。竹で作った仮設住宅と共同作業場です。
その開村式に参加していただいたのは、マーダブ・クマール元首相(Madhav Kumar Nepal)
会場も今回作った共同作業場です。(⇒詳細レポートはこちら)
セレモニーの後には、仮設住宅を一軒一軒訪ね、住民一人一人に声をかけていました。
まるで地元の町長さんかのように身近に感じられる暖かい人柄のマーダブ・クマール元首相でした。
駐日ネパール大使、ネパール元首相、その次は誰?
ラームバラン・ヤーダブ大統領(2015年当時)
ラームバラン・ヤーダブ大統領。(Ram Baran Yadav 2015年当時)
はい、国家元首です!しかもこの写真、大統領官邸ですよ!緊張したなー!
“被災地支援だけでなく、ビジネスを通して長期間ネパールに貢献してくれているね。そして、ネパールの若者たちをその活動に巻き込んでくれている事に感謝するよ、その若者達の経験と成長が国の未来を作るからね。”
“若者達の経験~国の未来“ うーん、そこまで考えたことはなかったな....国家元首視点でのコメントありがとうございました。
はい、最後にもう一人。
ビドヤ・デビ・バンダリ大統領(2023年1月時点の現役大統領)
この写真は2012年、震災の3年前です。“長期に渡り、サク村の女性達の生活と地位向上に貢献してくれましたね”と表彰された時の写真です。
私達は、サク村の編み手の皆さんの技術や、誠実で丁寧な仕事をリスペクトして商品作りを依頼しているのですが、それが継続的に仕事を供給する事に繋がり、社会的弱者である女性達の生活・地位向上に貢献していると評価していただきました。プレゼンターであるこの中央の女性は、ビドヤ・デビ・バンダリ大統領(Bidya Devi Bhandari)現役のネパール大統領です。(この文章を書いている2023.1月時点での現役ネパール大統領)
この式典の時は前国防大臣と紹介されたのですが、3年後の2015年に女性初の大統領に就任しました。知的で上品な女性という印象はもちろんですが、沢山の修羅場を経験しているのだろうなと想像される強さと凄みを感じました。きっと、どんな時代のどんな地域に生まれても、大きな集団のボスと呼ばれる存在になっている方だと思います。
笑顔が伝播する、つながる日本とネパール
はい、2015年ネパール大震災2ヶ月後の世界に戻ります。
このポスター“We love Nepal, we love your handmade”が、どのような想いで作られたかをまず解説しますね。
震災直後は命を守る事が第一という状況でした、以前から良く知る陽気で元気なおばちゃんも、兄弟を亡くしたショックで無気力・無表情でした。
帰国後に会社のメンバーと相談。
作り手の皆様を応援する為にお客様にも協力してもらおう!という事になり、チャイハネ各店でネパール商品をお買い上げのお客様に写真を撮らせていただきました。そして、各店から集めたお客様とネパール商品の写真からポスターが出来上がりました。
「We love Nepal, we love your handmade.
私達はネパールが大好き、あなたの手作り製品が大好きです。
悲しみを乗り越えて日常を取り戻そう!
どんどん作ってね!
新たなネパール製品の入荷を心待ちにしているよ!」
という応援メッセージが込められています。
食い入るようにポスターを見る
クリシュナ社長から、各地域から集まったニッターズ代表へのアナウンス
“このポスターをそれぞれ持ち帰って共同作業場に貼ってくださいね。各地域のニッター達を勇気付けて、
早く仕事に戻って日常生活を取り戻す様に伝えてくださいね!“.
みんな社長の話聞いてる?...聞いてないよね...
ポスターや印刷物の中に自分が担当した商品を見つけては“これ!私が作ったのよ!あっ、これも!”と話そっちのけで、大騒ぎです。食い入るようにポスターの隅々までチェック。話を聞いてもらえるようになるまで、30分位かかりました。
人の話を聞けないほど
見てください、このマネージャーさん達の表情!
育てた子供達(商品たち)の活躍を喜ぶお父さん、お母さんの様な表情ですね。
日常的にもこんな風に、作り手さんがお客さんを身近に感じ、お客さんが作り手さんを身近に感じられるようなサイクルが
ずっとずっと続いていってほしいと思います。
ポスターの貼られた工房で
はい、最後まで読んでいただきありがとうございました。
この最終回がアミナフライヤーズにアップされる頃には、私は33年間の社員生活を終えて旅先にいると思います。
最後にある筆者プロフィール、“元バックパッカー現商品本部長”が“元商品本部長、現バックパッカー”に変わったという意味です。
2~3月はネパールかな? その後も国内外でノマディックな(生活拠点を移動して暮らす)ライフスタイルを続けていくつもりです。旅行とノマディックライフの違いは、“宿泊費なし長期滞在型”である事です。まずはネパール各地で知り合いの家を訪ねて居候生活を始めます。
【40 years with Nepal コラム一覧】
ノマド夫婦を英語風にNomad hoof(=ノマド・フッフ/hoofは蹄、足、歩くという意味)と名付けました。インスタアカウントは、nomadhoof(=ノマドーフ)。胡麻豆腐(ゴマドーフ)にサウンドが寄ってしまいましたが、興味のある方はフォローして下さい。Amina Flyersでも5月頃に新連載スタート予定です。
Arigato & Namaste !
筆者プロフィール:上原 伸郎(うえはら しんろー)
現バックパッカー・元商品本部長
1989入社、
履歴書に書いた海外渡航歴が決め手で採用される。
その後、世界の生産地を駆け巡って33年。
2023年2月に退社し、そろそろ…またバックパッカーに戻っているころ。