木製織機の奏でる音~ハンドワークの街 古都バクタプル~ 40 years with Nepal Vol.10

工房を訪ねると、様々な音がしてきます。女性たちが手慣れた様子で機を織るそのリズミカルな音を聞いてください。

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ネパールに住む多様な民族

ネパールには多種多様な民族が住んでいます。

最大民族パルバテ・ヒンドゥーは、インド・アーリア系で彫りの深い顔立ちです。シェルパ族などの山岳民族はチベット・ビルマ系で日本人とも良く似ています。その中間的な特徴のネワール族がカトマンズ盆地を中心に居住しています。

ネパール全体での民族別人口比率では、5~6%に過ぎませんが、彼らの地元カトマンズ盆地(カトマンズ・パタン・バクタプール等)では、ネワール族の存在感が圧倒的です。

ネパールに住む多様な民族01
カトマンズ盆地
ネパールに住む多様な民族02
ネパールに住む多様な民族03

ネワールの女性達が集まる手織り工房

ネパールハンディクラフトの多くは、このネワールの女性達の手によって作られます。彼女達はとても手先が器用であるだけでなく、真面目で穏やかなハンドワークに向いた気質を持っています。地域や部族によっても得意不得意があるのですね。

今回は、ネワールの女性達が集まる手織り工房を訪問しました。レンガと木彫が美しい古都バクタプールの郊外です。

ネワールの女性達が集まる手織り工房04
ネワールの女性達が集まる手織り工房05

訪問したのは12月初旬。農閑期である11月~2月頃が織りの仕事に集中する時期になります。

シャトルの糸

シャトルの糸01

横糸がシャトルと呼ばれる器具の中にセットされ、縦糸の合間を交互に行き来する事によって生地は織られます。まずはその横糸準備チームの仕事から紹介していきましょう。

シャトルの糸02
シャトルの糸03

どうぞ動画をご覧になってください。
ブラッシングで表面を起毛している仕上げのシーンも入れました。

木製織機が奏でる音色01
ブラッシングで仕上げ

木製織機が奏でる音色

続いて手織りのシーン。織機に縦糸を張る仕事が一番複雑で時間もかかります。織りの作業自体は心地よい木製織機の奏でる音に包まれてピースフルに進みます。木製織機の工房はリズミカルな音が耳に優しいです。

動力にモーターを使う自動織機になると本体は金属製に変わり、サウンドがノイズに変わります。ハンドルームならではの音色を聞いてみてください。

木製織機が奏でる音色01
木製織機が奏でる音色02

どうでしたか?
縦糸コットンx横糸アクリルで織るこの布は、ネパールショールとして国内外で人気があります。太目の横糸で柔らかく織り上げていくので、リズミカルに結構速いペースで織られていきますね。

刺しゅうのような織物「ブータン織」

刺しゅうのような織物「ブータン織」01

これは現地でブータン織りと呼ばれる織物です。
この柄は織りながら入れていくのですが、めちゃくちゃ手間と時間がかかります。
さっきまでリズミカルにハイペースで織られていたのが、この柄の部分で超スローペースになります。

これも動画を用意してあるので是非ご覧になってください。

刺しゅうのような織物「ブータン織」02
刺しゅうのような織物「ブータン織」03

私達は彼女達のハンドワーク技術をリスペクトして仕事を依頼しています。それが彼女達の現金収入に繋がり、女性達の生活向上、地位向上に繋がっている事はとても嬉しいことです。

一時的に沢山の仕事を頼むより、継続的に仕事を依頼し続ける事の方が技術伝承にも有効です。
商品があるから皆様に紹介できますし、買っていただくから現地にまた仕事が生まれます。これからも皆様と共に守っていきたい大切な循環です。

刺しゅうのような織物「ブータン織」04
ネワール女性の手
刺しゅうのような織物「ブータン織」05
バクタプールの街並みとヒマラヤ

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上原さんのプロフィール画像

筆者プロフィール:上原 伸郎(うえはら しんろー)

元バックパッカー・現商品本部長
1989入社
履歴書に書いた海外渡航歴が決め手で採用される。
その後、世界の生産地を駆け巡って33年。
そろそろ…またバックパッカーに戻りたいと思っている。

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