人気のキーワード
★隙間時間にコラムを読むならアプリがオススメ★
皆さんはカレンダーや手帳、テレビやラジオなどで「睦月(むつき)」という言葉を耳にすることはありませんか?「睦月」とは、旧暦の月の呼び方「和風月名」の1つなのですが、いったい何月のことを指しているのでしょうか?
そこで今回は、「睦月」が旧暦の何月なのか、「睦月」という呼び方が付けられた由来やその言葉の意味、「睦月」の別名などと合わせて詳しく紹介していきます。
「睦月(むつき)」とは、旧暦の1月を指す和風月明です。現在日本で使われている新暦(太陽暦)は明治時代に西洋から伝わったもので、日本で古くから使われていた旧暦とは1~2か月のずれがあります。そのため、「睦月」を新暦に照らし合わせるとだいたい2月頃(1月下旬~3月上旬ごろ)になります。旧暦が使われていた時代の「睦月」は、新年を祝い、少しずつ近づいてくる春に喜びを感じる時期でした。
和風月名とは、現在使われている新暦が日本に導入された明治5年以前まで使われていた旧暦(太陰暦)での日本独自の月の呼び方です。和風月名は、季節の風景や行事などに合わせて付けられた名前で、現在でもカレンダーや手帳などに表記されることがあるので、ご存じの方も少なくないと思います。
和風月名がいつから使われ始めたのかはよく分かっていませんが、奈良時代に書かれた「日本書紀」の中で、「四月」の読み仮名を「ウズキ」、「二月」の読み仮名を「キサラギ」、十有一月(11月)を「シモツキ」、「十有二月(12月)」を「シハス」などと表記されていたことから、奈良時代には使われていたと考えられています。
各月の和風月名の一覧はこちらになります。
日本で明治5年(1872年)まで使われていた旧暦は「太陰暦」と呼ばれ、月の満ち欠けの周期を基準に1か月を定めていました。太陰暦では1か月が約29.5日となるため、29日と30日の月を交互に配置して1年を約354日としています。太陽の動きに基づく季節よりも約11日短いため、3年ほどでおよそ1か月分のずれが生じます。そこで、数年に一度「閏月(うるうづき)」と呼ばれる13か月目の月を設け、季節とのずれを調整していました。
一方、現在使われている新暦は「太陽暦」で、地球が太陽の周りを一周する周期(約365.24日)を1年とし、4年に1度、1年を366日としてずれを修正する「閏年」を設けています。
日本では明治6年(1873年)から太陽暦が採用されました。新暦が使われ始めた時、旧暦の明治5年12月3日を明治6年1月1日としたため、旧暦と新暦では実際の季節感が1か月ほど早まった印象になったのです。
旧暦の1月は「睦月(むつき)」という和風月名が付けられています。「睦月」は、正月に家族や親類一同が集まって仲睦まじく過ごす「睦び月(むつびつき)」が変化した呼び方だとされています。
また、1月は新年を迎える神事が行われる月であることから「神と人が睦まじくする月」という意味から付けられたという説や、イネの実を初めて水に浸す月という意味の「実月(むつき)」が転じたという説、色々な生き物が生まれる月という意味の「生月(うむつき)」が転じた説などもあります。
旧暦の1月には、睦月のほかにも幾つかの和風月名が付けられています。そこで今回は、睦月以外の和風月名について紹介します。
「元つ」とは、物事の始まりを意味する言葉であり、1月が1年の始まりの月であることから付けられた別名です。同じ意味で「元月(げんげつ)」という別名もあります。
「建寅月」とは、古代中国から伝わった呼び方です。古代中国では、一年中見える北斗七星のことを、時を司る星座としており、北斗七星を柄杓(ひしゃく)に見立てた際の柄の部分がどの方向を向いているかによって暦の月の名前を付けていました。
また、十二支は暦の月や方角、時間などを表す数字のような記号、「建」は「おざす(尾指す)」と読み、北斗七星の柄の部分がどの方向に向いているかという意味があります。そのため、旧暦の1月の時期である「建寅月」は、日没に見え始めた北斗七星の柄の部分が「寅の方角」を向く季節の暦月といった意味でした。
ただ、残念なことに季節の変化を知る手がかりだった北斗七星の柄の向きが、天文学で言う所の「歳差運動」というものの影響で長い年月の間に変化していき、北斗七星の柄が寅の方角を向かなくなってしまいした。そのため、現代では暦月と北斗七星を結び付けていた「月建」はかつての意味を失い、暦の上に昔の名残りとして書かれただけの意味を持たない言葉となっています。
因みに、他の月は次のようになります。
旧暦の1月は、現在の1月下旬から3月上旬のころにあたり、少しずつ暖かくなって春になっていく時期です。この時期は、多くの生命が生まれることから「生月」という別名が付けられたとされています。
旧暦の1月は、立春が近い時期にあたります。立春は、1年を24等分した二十四節気(にじゅうしせっき)の中の第1番目で、新しい年が始まる日であり、春が始まる日です。そのため旧暦の1月には、春の初めという意味の「初春」や、新しい年の春を迎えるという意味の「新春」といった別名が付けられました。
「太郎」には「最初」という意味があり、「1年の最初の月」という意味で付けられた別名です。
その他にも、草木が芽吹き始める時期であることから「早緑月(さみどりつき)」、新しい年を迎えて初めての空が見えることから「初空月(はつぞらづき)」などの別名があります。
このように、旧暦の1月の和風月名には新しい年や新しい春を迎える喜びや、少しずつ暖かくなって草木や生き物などの命が芽生えていく風景が感じられ、日本人が自然と共に生きてきた中で培われた日本人独自の自然観を垣間見ることができます。
日本では、昔から季節によって様々な行事や風習があり、それらによって季節を感じることができます。ここでは、睦月の風物詩といえる行事や風習などについて紹介していきましょう。
「元日(がんじつ)」とは1年の最初の日で、日本人にとって特別な日です。昔は、その年の年神様が新しい年を運んでくると考えられており、年神様をお迎えするための目印となる門松やしめ飾りを飾ったり、年神様にお供えする鏡餅を用意したりする風習が生まれたとされています。元日には、家族や親類とおせち料理を食べたり初詣に出かけたりして過ごすのが、日本の風物詩となっています。
ちなみに、「元旦」は元日の午前中までを指す言葉です。「元」は物事の始まりを意味し、「旦」は水平線から顔を出した太陽をかたどっています。
お節料理とは本来、季節の節目を祝う日や年中行事をする日などに神様へ供える「節供(せちく)」という料理のことを指していて、かつては宮中行事の際に出されていたものでした。
江戸時代に入ると節供は庶民にも広まっていき、正月が最も重要な節目であることから正月に家庭で神様と一緒にお節を食べる風習が広まっていったとされています。お節料理が重箱に詰められるようになったのは江戸時代からで、「福が重なる」という意味があります。詰められる料理にもそれぞれおめでたい意味が込められており、数の子は「子孫繁栄」、黒豆は「健康」、田作りは「五穀豊穣」、伊達巻は「学業成就」、昆布巻きは「喜ぶ」、栗きんとんは「金運」、紅白なますは「平安」、鯛は「目出度い」、エビは「長寿」などです。
七草がゆは、毎年1月7日に無病息災を願って7種類の若菜を入れたおかゆを食べる風習のことです。七草がゆの起源は、中国から伝わった1月7日に人間の1年について占い、7種類の若菜を入れたお吸い物を食べると病気や邪気を防ぐとされる「人日(じんじつ)の節句」の風習で、日本に伝わった後に汁がおかゆへと変わりました。
七草がゆに入るのは、「セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロ」という7種類の若菜で、平安時代には正月のお祝いが続きご馳走やお酒で弱った胃を休める意味もあったといわれています。
十日えびすとは、七福神の一員である恵比寿様に商売繁盛や家内安全などを願うため、毎年1月10日とその前後の1月9日、1月11日に行われる祭事です。
1月9日は「宵えびす」、1月10日を「本えびす」、1月11日は「残りえびす」と呼ばれています。とくに賑わうのが、日本三大恵比寿とされる兵庫県の西宮神社、大阪府の今宮戎神社、京都府の京都戎神社で、参拝客に十日えびす限定の「福笹」が授与されます。「福笹」とは、小判や米俵、鯛などの縁起物が下げられた笹で、商売繁盛をはじめとしたあらゆる福を招くとされるお守りです。また、今宮戎神社では「商売繁盛、笹もってこーい」という掛け声も風物詩の1つとなっています。
小正月とは1月15日を中心に1月14日から1月16日に行われる行事のことです。旧暦では、新月の日を月の初めの日としており、1月15日が1年で最初の満月にあたるため、色々な儀式が行われていました。現代でも、その年の正月飾りや門松などを集めて燃やし、年神様を天に返す「左義長(さぎちょう)」(どんと焼き)や、家庭で「小豆粥」を食べて厄を払い無病息災を願う風習、農作物の吉凶を占う「粥占(かゆうら)」や秋田県の「なまはげの訪問」などが小正月に行われています。しかし現在、「なまはげ」の行事はほとんどの地域で大晦日に行われています。
小正月の詳しい内容についてはこちらのコラムをご覧ください。
小正月とは?世界の小正月を祝う食べ物や意味を紹介
成人式とは、「大人になったことを自覚し、自ら生き抜こうとする青年を祝い励ます」ために制定された国民の祝日で、数え年の20歳を迎えた青年たちが成人の一員となったことを祝う行事が日本各地で行われています。成人の日が制定されたのは1948年(昭和23年)で、かつては1月15日を成人の日としていましたが、2000年(平成12年)から1月の第2月曜日となりました。成人式には振袖やスーツ、袴などの晴れ着に身を包んだ新成人が集まるため、街が華やかに賑わいます。
初天神とは、1年で最初の天神祭り(縁日)のことで、毎年1月25日に全国の天満宮や北野神社で行われています。天満宮や北野神社のご祭神である菅原道真は天神様とも呼ばれており、道真が6月25日に生まれて2月25日に亡くなったことから、毎月25日を縁日としています。初天神は受験の時期とも重なり、道真が学問の神様ともいわれていることから受験生の参拝者もたくさん訪れています。
「誕生石」とは、1月から12月までの各月当てはめられた宝石のことです。昔から、自分が生まれた月の宝石を身に付けるとそれぞれの宝石が持つパワーを得られ、幸せが訪れたり願いが叶ったりするといわれています。そのため、現在でも誕生石を使ったアクセサリーなどが自分用やプレゼントとして大人気です。
今回は、1月の誕生石「ガーネット」のついて詳しく紹介していきましょう。
ガーネットは和名を「柘榴石(ざくろいし)」という、深い赤色が印象的な宝石です。そのため、ガーネットは赤い宝石というイメージが強いですが、実は赤以外にも、オレンジ、ピンク、黄色、緑色、紫色、褐色など、様々な色があることが特徴の宝石でもあるのです。
「ガーネット」という名前は、ラテン語の「granatum(グラタナス:ザクロ)」という言葉が語源で、結晶の形がザクロの実に似ていることに由来しています。
ガーネットは5000年以上前から、真実や光のシンボルとして古代エジプトのファラオが身に付けていました。旧約聖書ではガーネットがノアの箱舟の行き先を灯す宝石として登場するため進路を指し示す力があると考えられるようになり、中世ヨーロッパでは怪我をさける力があるとされ十字軍の甲冑にガーネットがはめ込まれていました。
ガーネットの石言葉は「実り、真実、努力、成功、友愛、忠実、生命力、貞節」などで、地道な努力を実らせて成功へと導く効果や、生命力を高める効果、想像力や物事を見抜く力などを高める効果、恋愛成就、友情を深める効果、マイナスの感情を浄化する効果などがあるとされています。そのため、夢を叶えるために努力している人や仕事で成果を上げたい人、恋愛を成就させたい人などにおすすめの宝石です。
「和風月名」の「睦月」とは、旧暦の1月を指しています。「睦月」という呼び方は、正月に家族や親類が集まって仲睦まじく過ごす様子から付けられたとされています。旧暦の1月には、睦月以外にも「初春」や「新春」などの新しい春を意味する呼び方や、「元つ月」や「太郎月」など1年の始めを意味する呼び方、「生月」や「早緑月」など新しい命の誕生を表す呼び方などがあります。いずれも新しい年を迎えて気持ちも新たに1年を始めるという日本人の気持ちや、暖かい春を迎えて風景に色が増えていく様子が感じられます。また、睦月には新年を迎える行事や儀式が多くあり、現代でも受け継がれているものも沢山あるので、1年で最も伝統的な日本を感じられる月とも言えると思います。皆さんも、1月には家族や親せき、お友達などと仲睦まじく過ごして、1年の始まりを楽しんではいかがでしょうか。
1月の満月「ウルフムーン」とは?▼
初日の出を早く見ることができる場所は?▼
皆さんはカレンダーや手帳、テレビやラジオなどで「睦月(むつき)」という言葉を耳にすることはありませんか?
「睦月」とは、旧暦の月の呼び方「和風月名」の1つなのですが、いったい何月のことを指しているのでしょうか?
そこで今回は、「睦月」が旧暦の何月なのか、「睦月」という呼び方が付けられた由来やその言葉の意味、「睦月」の別名などと合わせて詳しく紹介していきます。
目次
睦月は何月?
「睦月(むつき)」とは、旧暦の1月を指す和風月明です。
現在日本で使われている新暦(太陽暦)は明治時代に西洋から伝わったもので、日本で古くから使われていた旧暦とは1~2か月のずれがあります。
そのため、「睦月」を新暦に照らし合わせるとだいたい2月頃(1月下旬~3月上旬ごろ)になります。
旧暦が使われていた時代の「睦月」は、新年を祝い、少しずつ近づいてくる春に喜びを感じる時期でした。
和風月名(わふうげつめい)とは
和風月名とは、現在使われている新暦が日本に導入された明治5年以前まで使われていた旧暦(太陰暦)での日本独自の月の呼び方です。
和風月名は、季節の風景や行事などに合わせて付けられた名前で、現在でもカレンダーや手帳などに表記されることがあるので、ご存じの方も少なくないと思います。
和風月名がいつから使われ始めたのかはよく分かっていませんが、奈良時代に書かれた「日本書紀」の中で、「四月」の読み仮名を「ウズキ」、「二月」の読み仮名を「キサラギ」、十有一月(11月)を「シモツキ」、「十有二月(12月)」を「シハス」などと表記されていたことから、奈良時代には使われていたと考えられています。
各月の和風月名の一覧はこちらになります。
なぜ旧暦と新暦とでは約1か月もの違いがあるの?
日本で明治5年(1872年)まで使われていた旧暦は「太陰暦」と呼ばれ、月の満ち欠けの周期を基準に1か月を定めていました。太陰暦では1か月が約29.5日となるため、29日と30日の月を交互に配置して1年を約354日としています。
太陽の動きに基づく季節よりも約11日短いため、3年ほどでおよそ1か月分のずれが生じます。そこで、数年に一度「閏月(うるうづき)」と呼ばれる13か月目の月を設け、季節とのずれを調整していました。
一方、現在使われている新暦は「太陽暦」で、地球が太陽の周りを一周する周期(約365.24日)を1年とし、4年に1度、1年を366日としてずれを修正する「閏年」を設けています。
日本では明治6年(1873年)から太陽暦が採用されました。
新暦が使われ始めた時、旧暦の明治5年12月3日を明治6年1月1日としたため、旧暦と新暦では実際の季節感が1か月ほど早まった印象になったのです。
睦月の由来と意味
旧暦の1月は「睦月(むつき)」という和風月名が付けられています。
「睦月」は、正月に家族や親類一同が集まって仲睦まじく過ごす「睦び月(むつびつき)」が変化した呼び方だとされています。
また、1月は新年を迎える神事が行われる月であることから「神と人が睦まじくする月」という意味から付けられたという説や、イネの実を初めて水に浸す月という意味の「実月(むつき)」が転じたという説、色々な生き物が生まれる月という意味の「生月(うむつき)」が転じた説などもあります。
睦月の別名
旧暦の1月には、睦月のほかにも幾つかの和風月名が付けられています。
そこで今回は、睦月以外の和風月名について紹介します。
●元つ月(もとつつき)
「元つ」とは、物事の始まりを意味する言葉であり、1月が1年の始まりの月であることから付けられた別名です。
同じ意味で「元月(げんげつ)」という別名もあります。
●建寅月(けんいんげつ)
「建寅月」とは、古代中国から伝わった呼び方です。
古代中国では、一年中見える北斗七星のことを、時を司る星座としており、北斗七星を柄杓(ひしゃく)に見立てた際の柄の部分がどの方向を向いているかによって暦の月の名前を付けていました。
また、十二支は暦の月や方角、時間などを表す数字のような記号、「建」は「おざす(尾指す)」と読み、北斗七星の柄の部分がどの方向に向いているかという意味があります。
そのため、旧暦の1月の時期である「建寅月」は、日没に見え始めた北斗七星の柄の部分が「寅の方角」を向く季節の暦月といった意味でした。
ただ、残念なことに季節の変化を知る手がかりだった北斗七星の柄の向きが、天文学で言う所の「歳差運動」というものの影響で長い年月の間に変化していき、北斗七星の柄が寅の方角を向かなくなってしまいした。
そのため、現代では暦月と北斗七星を結び付けていた「月建」はかつての意味を失い、暦の上に昔の名残りとして書かれただけの意味を持たない言葉となっています。
因みに、他の月は次のようになります。
●生月(うむつき)
旧暦の1月は、現在の1月下旬から3月上旬のころにあたり、少しずつ暖かくなって春になっていく時期です。
この時期は、多くの生命が生まれることから「生月」という別名が付けられたとされています。
●初春(しょしゅん)・新春(しんしゅん)
旧暦の1月は、立春が近い時期にあたります。
立春は、1年を24等分した二十四節気(にじゅうしせっき)の中の第1番目で、新しい年が始まる日であり、春が始まる日です。
そのため旧暦の1月には、春の初めという意味の「初春」や、新しい年の春を迎えるという意味の「新春」といった別名が付けられました。
●太郎月(たろうづき)
「太郎」には「最初」という意味があり、「1年の最初の月」という意味で付けられた別名です。
その他にも、草木が芽吹き始める時期であることから「早緑月(さみどりつき)」、新しい年を迎えて初めての空が見えることから「初空月(はつぞらづき)」などの別名があります。
このように、旧暦の1月の和風月名には新しい年や新しい春を迎える喜びや、少しずつ暖かくなって草木や生き物などの命が芽生えていく風景が感じられ、日本人が自然と共に生きてきた中で培われた日本人独自の自然観を垣間見ることができます。
睦月にまつわる日本の行事・風物詩
日本では、昔から季節によって様々な行事や風習があり、それらによって季節を感じることができます。
ここでは、睦月の風物詩といえる行事や風習などについて紹介していきましょう。
元日
「元日(がんじつ)」とは1年の最初の日で、日本人にとって特別な日です。
昔は、その年の年神様が新しい年を運んでくると考えられており、年神様をお迎えするための目印となる門松やしめ飾りを飾ったり、年神様にお供えする鏡餅を用意したりする風習が生まれたとされています。
元日には、家族や親類とおせち料理を食べたり初詣に出かけたりして過ごすのが、日本の風物詩となっています。
ちなみに、「元旦」は元日の午前中までを指す言葉です。
「元」は物事の始まりを意味し、「旦」は水平線から顔を出した太陽をかたどっています。
お節料理
お節料理とは本来、季節の節目を祝う日や年中行事をする日などに神様へ供える「節供(せちく)」という料理のことを指していて、かつては宮中行事の際に出されていたものでした。
江戸時代に入ると節供は庶民にも広まっていき、正月が最も重要な節目であることから正月に家庭で神様と一緒にお節を食べる風習が広まっていったとされています。
お節料理が重箱に詰められるようになったのは江戸時代からで、「福が重なる」という意味があります。
詰められる料理にもそれぞれおめでたい意味が込められており、数の子は「子孫繁栄」、黒豆は「健康」、田作りは「五穀豊穣」、伊達巻は「学業成就」、昆布巻きは「喜ぶ」、栗きんとんは「金運」、紅白なますは「平安」、鯛は「目出度い」、エビは「長寿」などです。
七草がゆ
七草がゆは、毎年1月7日に無病息災を願って7種類の若菜を入れたおかゆを食べる風習のことです。
七草がゆの起源は、中国から伝わった1月7日に人間の1年について占い、7種類の若菜を入れたお吸い物を食べると病気や邪気を防ぐとされる「人日(じんじつ)の節句」の風習で、日本に伝わった後に汁がおかゆへと変わりました。
七草がゆに入るのは、「セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロ」という7種類の若菜で、平安時代には正月のお祝いが続きご馳走やお酒で弱った胃を休める意味もあったといわれています。
十日えびす
十日えびすとは、七福神の一員である恵比寿様に商売繁盛や家内安全などを願うため、毎年1月10日とその前後の1月9日、1月11日に行われる祭事です。
1月9日は「宵えびす」、1月10日を「本えびす」、1月11日は「残りえびす」と呼ばれています。
とくに賑わうのが、日本三大恵比寿とされる兵庫県の西宮神社、大阪府の今宮戎神社、京都府の京都戎神社で、参拝客に十日えびす限定の「福笹」が授与されます。
「福笹」とは、小判や米俵、鯛などの縁起物が下げられた笹で、商売繁盛をはじめとしたあらゆる福を招くとされるお守りです。
また、今宮戎神社では「商売繁盛、笹もってこーい」という掛け声も風物詩の1つとなっています。
小正月
小正月とは1月15日を中心に1月14日から1月16日に行われる行事のことです。
旧暦では、新月の日を月の初めの日としており、1月15日が1年で最初の満月にあたるため、色々な儀式が行われていました。
現代でも、その年の正月飾りや門松などを集めて燃やし、年神様を天に返す「左義長(さぎちょう)」(どんと焼き)や、家庭で「小豆粥」を食べて厄を払い無病息災を願う風習、農作物の吉凶を占う「粥占(かゆうら)」や秋田県の「なまはげの訪問」などが小正月に行われています。
しかし現在、「なまはげ」の行事はほとんどの地域で大晦日に行われています。
小正月の詳しい内容についてはこちらのコラムをご覧ください。
小正月とは?世界の小正月を祝う食べ物や意味を紹介
成人式
成人式とは、「大人になったことを自覚し、自ら生き抜こうとする青年を祝い励ます」ために制定された国民の祝日で、数え年の20歳を迎えた青年たちが成人の一員となったことを祝う行事が日本各地で行われています。
成人の日が制定されたのは1948年(昭和23年)で、かつては1月15日を成人の日としていましたが、2000年(平成12年)から1月の第2月曜日となりました。
成人式には振袖やスーツ、袴などの晴れ着に身を包んだ新成人が集まるため、街が華やかに賑わいます。
初天神
初天神とは、1年で最初の天神祭り(縁日)のことで、毎年1月25日に全国の天満宮や北野神社で行われています。
天満宮や北野神社のご祭神である菅原道真は天神様とも呼ばれており、道真が6月25日に生まれて2月25日に亡くなったことから、毎月25日を縁日としています。
初天神は受験の時期とも重なり、道真が学問の神様ともいわれていることから受験生の参拝者もたくさん訪れています。
睦月(1月)の誕生石
「誕生石」とは、1月から12月までの各月当てはめられた宝石のことです。
昔から、自分が生まれた月の宝石を身に付けるとそれぞれの宝石が持つパワーを得られ、幸せが訪れたり願いが叶ったりするといわれています。
そのため、現在でも誕生石を使ったアクセサリーなどが自分用やプレゼントとして大人気です。
今回は、1月の誕生石「ガーネット」のついて詳しく紹介していきましょう。
ガーネット
ガーネットは和名を「柘榴石(ざくろいし)」という、深い赤色が印象的な宝石です。
そのため、ガーネットは赤い宝石というイメージが強いですが、実は赤以外にも、オレンジ、ピンク、黄色、緑色、紫色、褐色など、様々な色があることが特徴の宝石でもあるのです。
「ガーネット」という名前は、ラテン語の「granatum(グラタナス:ザクロ)」という言葉が語源で、結晶の形がザクロの実に似ていることに由来しています。
ガーネットは5000年以上前から、真実や光のシンボルとして古代エジプトのファラオが身に付けていました。
旧約聖書ではガーネットがノアの箱舟の行き先を灯す宝石として登場するため進路を指し示す力があると考えられるようになり、中世ヨーロッパでは怪我をさける力があるとされ十字軍の甲冑にガーネットがはめ込まれていました。
ガーネットの石言葉は「実り、真実、努力、成功、友愛、忠実、生命力、貞節」などで、地道な努力を実らせて成功へと導く効果や、生命力を高める効果、想像力や物事を見抜く力などを高める効果、恋愛成就、友情を深める効果、マイナスの感情を浄化する効果などがあるとされています。
そのため、夢を叶えるために努力している人や仕事で成果を上げたい人、恋愛を成就させたい人などにおすすめの宝石です。
その他の月の和風月名は?
後に水田という意味の「皐(さ)」が使われるようになった。
また、田に水を引く月「水の月」であること(ここでの「無」は「~の」という意味)や、田植えを皆やり尽くした「皆仕尽(みなしつき)月であることからとも。
また、イネの穂が実る月「穂含月(ほふみづき)」が短くなったという説も。
出雲地方では「神在月(かみありつき)」と呼ぶ。
また、年が終わる「年果つ(としはつ)」が形を変えたものという説も。
「睦月」は1年が始まり春を迎える喜びの月
「和風月名」の「睦月」とは、旧暦の1月を指しています。
「睦月」という呼び方は、正月に家族や親類が集まって仲睦まじく過ごす様子から付けられたとされています。
旧暦の1月には、睦月以外にも「初春」や「新春」などの新しい春を意味する呼び方や、「元つ月」や「太郎月」など1年の始めを意味する呼び方、「生月」や「早緑月」など新しい命の誕生を表す呼び方などがあります。
いずれも新しい年を迎えて気持ちも新たに1年を始めるという日本人の気持ちや、暖かい春を迎えて風景に色が増えていく様子が感じられます。
また、睦月には新年を迎える行事や儀式が多くあり、現代でも受け継がれているものも沢山あるので、1年で最も伝統的な日本を感じられる月とも言えると思います。
皆さんも、1月には家族や親せき、お友達などと仲睦まじく過ごして、1年の始まりを楽しんではいかがでしょうか。
関連記事
1月の満月「ウルフムーン」とは?▼
初日の出を早く見ることができる場所は?▼