文月とは?なぜ太陽が照り輝く7月を日本では文月と呼ぶのか

太陽の明るい輝きに夏のはじまりを感じる七月。
子どもたちの夏休みがはじまったり海開きがおこなわれたりと、楽しいイベントがたくさんあるイメージも手伝って、なんだかワクワクしてきますね。
夏の間にどんなことをしようかプランを立てるだけでも、心がはずむという方も多いことでしょう。

そんな明るく楽しいイメージのある7月のことを、日本では古くから「文月(ふみつき・ふづき)」と呼びます。どうして旧暦では文月と呼ぶのか、その謎に迫ります。
七月についての軽い豆知識も交えながら、日本の旧暦を味わってみませんか?

月の和名 和風月名について

日本では、現在一般的に使われている新暦(太陽暦:1月、2月など)に加えて、古くから使われてきた旧暦(太陰太陽暦)があります。旧暦では、1月から12月までそれぞれ、月を和風の名で呼ぶことを意味する「和風月名」が使用されています。

和風月名についての詳しい説明は、4月の卯月に関するコラムでお話していますので、ぜひそちらを読んでみてくださいね。

卯月に関するコラムは こちら

7月が文月と呼ばれる由来

7月は和風月名で「文月」といいます。読み方は「ふみつき」または「ふづき」が一般的です。「文」と「月」という、どちらも風情の感じられる字が組み合わさった名前ですが、いったいどうして7月は文月と呼ばれるのでしょうか?

7月が文月と呼ばれるようになった由来には、いくつかの説があります。

もっとも一般的なのは「文月は、“文披月(ふみひらきづき・ふみひろげづき)”が省略されたもの」という説。「文」とは、古くは「書物」という意味がありました。そして、7月7日の七夕の日に詩歌を献じたことや、書物を夜風にさらし、書の上達を願うという風習があったことから「文披月」と呼ぶようになったといわれています。

7月が文月と呼ばれる由来

ちなみに、この風習は中国から伝わったものです。中国では、昔から書物などを夏の晴れた日に虫干しをする文化がありました。これが次第に年中行事となり、7月7日に行われるようになりました。七夕は奈良時代に中国から伝わったものであり、それより前の日本にはなかった行事であることから、この由来に疑問を投げかける声もあります。

ほかには、収穫が近づくにつれて稲穂が膨らむことから「穂見月・穂含月(ほふみづき)」または「含月(ふくむづき)」が変化して「文月(ふづき)」になったという説も有力です。ちなみに、「ふふむ」は古語で含むや膨らむという意味があります。7月で稲穂が膨らむの?と不思議に思うかもしれませんが、これは旧暦が新暦とずれていることが理由です。旧暦7月は今でいうと7月下旬〜9月上旬くらいにあたります。

7月が文月と呼ばれる由来02

どちらも、古くからの文化や自然との関係がうかがえる、風情ある由来ですよね。

文月以外の7月の異名

7月といえばやはり「文月」が代表的ですが、実はほかにも雅な雰囲気をまとった異名があるんです。ひとつずつ紹介していきます。

七夕月(たなばたづき)

ずばりそのまま、七夕のある月という意味で「七夕月」という異名があります。古くから7月といえば七夕の月、と思えるほど、人々が七夕を楽しみにしていたことが伝わってくるような名前ですね。

七夕月(たなばたづき)

愛逢月(めであいづき)

なんともロマンチックなひびきをもつ「愛逢月」も、七夕に由来する7月の異名です。織姫さまと彦星さまがお互いに愛し合う月、愛し合う2人が逢う月、という意味があります。織姫さまと彦星さまの、仲睦まじい様子が目に浮かぶようですね。

親月(おやづき、しんげつ)

旧暦では、7月に盂蘭盆会(うらぼんえ)、つまりお盆が行われていました。ご先祖様をお家にお迎えし供養をしたり、親のお墓参りに行く月、という意味で「親月」という異名がついています。

親月(おやづき、しんげつ)

秋初月(あきはづき・あきそめつき)

今の7月は、これから本格的な暑さがはじまる月、というイメージですよね。しかし、旧暦の7月は秋がはじまるころでした。そのため、秋の初めの月という意味で「秋初月」と呼ばれていました。

女郎花月(おみなえしづき)

一風変わった名前の「女郎花月」。こちらは、秋の七草のひとつ・女郎花(おみなえし)の花が咲く月ということが由来で名づけられました。旧暦では7月ごろに咲いた、美しい黄色いお花です。

女郎花月(おみなえしづき)

現在の7月のイメージに近い七夕に由来する異名、ご先祖様や親を思う気持ちが表れた異名、自然に由来する異名など、さまざまなものがありましたね。自分だったら7月にどんな和風月名をつけるかな、などと考えてみるのも楽しいかもしれません。

秋の季語「文月」

文月は秋の季語でもあり、七夕に関連した句に多く残されています。
秋の時候、初秋を現す季語として分類される「文月」を使った句は、かの有名な松尾芭蕉も詠んでいます。

『 文月や 六日も常の 夜には似ず 』

意訳:文月だな~七夕の前日の夜はいつもと違う雰囲気だ。

七夕の祭りにむけて、どこか浮き足だつような雰囲気は今も同じですね。

7月といえば…

みなさんは、7月と聞いてどのような風景を思い描きますか?本格的な夏のはじまりにぴったりの、明るい景色や思い出が頭に浮かぶ方も多いのではないでしょうか。

夏休み

7月といえば、子どもたちは夏休みに入りますよね。海やプールに行ったり、旅行に行ったりと、楽しい夏休みの思い出がたくさんある、という方も多いのではないでしょうか。日本の学校制度は1872年(明治5年)の「学制」から始まりました。

夏休みについては、その9年後の1881年(明治14年)に「夏季冬季休業日」が登場しました。ちなみに、1900年代になってから、「(夏休みの期間は)起きる・寝る時間を定めるべし」といった、夏休みの心得のようなものも出されるようになったとか。

夏休み

海開き

海や海水浴が好きな人にとって、待ち遠しいのが海開きですよね。
海開きの時期は地域によって違いがあり、早いところであれば6月、多くの場合は7月が一般的です。ちなみに、同じ海水浴場でも毎年海開きの日にちは変わるんですよ。これは、市区町村が「安全に遊泳できるか」「海水浴をするのに適している水温・気温か」といった基準で判断するからです。安全に海を楽しめるようになる目安となるのが、海開きですね。

海開き

7月の誕生日石の紹介

7月の誕生日石といえば、みなさんはなにをイメージするでしょうか?
ルビーが有名ですが、ほかにカーネリアンやロードクロサイトという宝石もあります。7月がお誕生日だという方はもちろん、大切な人のお誕生日が7月だという方も、ぜひここからご紹介する誕生日石に、心躍らせてみませんか?

ルビーは、ラテン語で「赤」という意味がある「ルベウス」をその名の由来としています。日本名では「紅玉(こうぎょく)」。どちらも、鮮やかな色味を表した名前ですよね。ルビーは、その美しさから「宝石の女王」とも呼ばれているんですよ。繁栄や富をもたらす象徴として、長いあいだジュエリーとして愛されてきました。ちなみに、ダイヤモンドに次ぐ硬さを誇ります。

カーネリアンは、日本名を「紅玉髄(べにぎょくずい)」といい、華やかな赤褐色やオレンジ色が特徴の宝石。昔から世界で使われてきた歴史ある石でもあります。邪気から身を守る石としても有名で、お守りとして扱われることもあるんですよ。

ロードクロサイトは、濃いピンクや、ピンクとオレンジを混ぜたような色など、多様な表情を持つ宝石です。アルゼンチンやペルーなどで主に採れる石のため「インカローズ」と呼ばれることもあります。身につけると恋愛運と仕事運アップが期待できるとか。

7月の誕生日石の紹介

まとめ

7月がどうして文月と呼ばれるようになったのか、その意味や由来がわかると、日本の風習や文化がぐっと身近に感じられるようになりませんか?七夕や夏休みなど、心躍るイベントがたくさんある7月。

ぜひこの機会に、文月を含む和風月名に興味をもっていただけたらうれしいです。

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