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かつて日本で使われていた月の呼び方「和風月名」の「師走(しわす)」とは、何月を指しているかご存知ですか?
今回は、「師走」が何月のことなのかやこの呼び名が付けられた由来、「師走」ならではの風物詩や誕生石などについて詳しく解説していきます。
「師走(しわす)」とは、旧暦の12月を指す和風月名です。現在使われている新暦と旧暦では1~2か月のずれがあり、師走を新暦に照らし合わせるとだいたい1月ごろ(1月上旬~2月上旬ごろ)になります。旧暦が使われていた当時の師走は、新年の準備で慌ただしい年末の時期でした。
和風月明とは、日本で古くから使われてきた旧暦で、1月から12月のそれぞれの月に付けられた日本ならではの呼び方のことです。いつ頃作られたのかはよく分かっていませんが、奈良時代に発行された日本最古の歴史書「日本書紀」の中では、四月を「うづき」、二月を「きさらぎ」と読むように書かれているので、奈良時代には和風月名が使われていたとされています。
日本で明治5年(1872年)まで使われていた旧暦は「太陰暦」と呼ばれ、月の満ち欠けの周期を基準に1か月を定めていました。太陰暦では1か月が約29.5日となるため、29日と30日の月を交互に配置して1年を約354日としています。太陽の動きに基づく季節よりも約11日短いため、3年ほどでおよそ1か月分のずれが生じます。そこで、数年に一度「閏月(うるうづき)」と呼ばれる13か月目の月を設け、季節とのずれを調整していました。
一方、現在使われている新暦は「太陽暦」で、地球が太陽の周りを一周する周期(約365.24日)を1年とし、4年に1度、1年を366日としてずれを修正する「閏年」を設けています。
日本では明治6年(1873年)から太陽暦が採用されました。新暦が使われ始めた時、旧暦の明治5年12月3日を明治6年1月1日としたため、旧暦と新暦では実際の季節感が1か月ほど早まった印象になったのです。
和風月名は、季節やその月に行われる行事などに合わせて名付けられています。旧暦の12月を「師走」と呼ぶようになったのは、年末に「師=僧侶・お坊さん」が忙しく走っている様子が由来となっています。かつての日本では、年末年始にお坊さんを家に呼んでご先祖様の霊を供養する風習や、12月に行われる「仏名会(ぶつみょうえ)」という大きな法要があったので、この時期のお坊さんたちは忙しくしていました。そのため、普段は落ち着いている「師=僧侶・お坊さん」も、走り回るほど忙しい様子を表して「師走」と名付けられたとされています。
また、昔は12月のことをその年が終わる(果てる)という意味で「年果つ(としはつ)」と呼んでおり、これが変化して「しはす(しわす)」になったという説もあります。
旧暦の12月には「師走」以外にも沢山の別名が使われていました。ここでは、その中のいくつかを紹介していきましょう。
極月(ごくげつ、ごくつき、きょくげつ、きわまりづき、きわまるつき)
「極月」は様々な読み方をされてきましたが、一般的には「ごくげつ」と読みます。「極まる」には「終わる・果てる・尽きる」などの意味があり、12月は1年が極まる(尽きる)月であることからこの呼び方が使われていました。
限月(かぎりのつき)
「限る」という言葉には、時間や空間などに境目をつけるという意味があります。そのため、「年の境目の月」という意味でこの名前が付けられたとされています。
春待月(はるまちつき)
旧暦の12月は現在の1月上旬~2月上旬のころにあたり、冬の終わりを感じる時期でした。そのため昔の人たちにとって12月は、暖かい春への期待を寄せる時期だったことでしょう。この春を待ち望む気持ちから「春待月」という呼び名がつけられた由来となっています。
除月(じょげつ)
「除月」とは、「古い年を払い除く月」という意味をもつ別名です。12月は1年の中の最後の月で、新しい年神様を迎え入れる準備をする月でもあります。年神様をお迎えする際に、古い年の邪気を払い除いて清めることから「除月」という名前が付けられたとされています。大晦日の夜を「除夜」と呼ぶのも、「古い年の煩悩を払い除く」という意味からです。
年積月(としつみづき、としつもづき)
年末は、「年が終わる月」という考え方が一般的ですが、これとは違って「年が積み重なる月」という意味の別名です。昔は、生まれた日に年をとるのではなく、正月に日本人全員が1つ年をとっていました。いわゆる「数え年」の考え方です。このことから、「年が積み重なる」という意味の呼び方ができたとされています。
その他にも、年の暮れを意味する「臘月(ろうげつ)」や「暮歳(ぼさい)」、旧暦の12月が梅の咲き始める時期であることから「梅初月(うめはつづき)」などの異名があります。
このように旧暦12月の和風月名は、年の暮れの慌ただしさや1年が終わる風景、春を待ち望む気持ちなどが反映されていて、四季と共に生活し、自然と向き合ってきた日本人特有の自然観を感じ取ることができます。
日本では、昔から季節ごとに様々な行事が行われてきました。ここでは、師走の風物詩となっている行事や習わしなどについて紹介していきます。
羽子板市とは、浅草寺で毎年12月17日から19日ごろにかけて行われる歳の市です。羽子板と羽根は、邪気をはね(羽根)返す縁起のよいものといわれており、江戸時代末期ごろから正月飾りとして歳の市で売り出されるようになったといわれています。浅草寺の羽子板は人気を呼ぶようになり、昭和25年(1950年)ごろには「羽子板市」として師走の風物詩として定着しました。羽子板市では、歌舞伎の助六や藤娘などの伝統的な絵柄の羽子板に加え、その年話題になった有名人やスポーツ選手などを描いた「世相羽子板」なども販売されます。
冬至とは、二十四節気(太陽の動きを元に作られた季節の目安)1つで、1年で最も昼が短く夜が長い日のことです。毎年12月21日または22日が冬至にあたります。古来冬至は、太陽の力が最も弱くなる日であるとともに、冬至以降は太陽が力を増し、運気が上がっていくと考えられ、世界各地でお祝いされてきました。日本では大きな行事はありませんが、各家庭で柚子湯に入ったり、カボチャを食べたりする風習が現在も残っています。柚子湯に入るのは、柚子の香りに穢れを祓う力があるからという説や、柚子に含まれる成分に血行を良くして体を温める効果があるためという説などがあり、「冬至に柚子湯に入ると風邪をひかない」という言い伝えもあります。カボチャを食べるのは、野菜が不足する冬場に栄養価の高いカボチャを食べて寒い冬を乗り切ろうという暮らしの知恵から生まれたとされています。
煤払い(すすはらい)とは、新年を連れてくる年神様を迎えるため、家の中に溜まった煤やほこりなどの汚れを落として清めるという風習で、大掃除の起源とされる行事です。現在も、毎年12月13日に全国の神社やお寺で煤払いが行われ、テレビなどでも大掃除関連のCMなどが流れ始めます。12月13日が煤払いの日となったのは、12月13日は「鬼宿日(きしゅくにち)」という縁起の良い日で年神様を迎える準備をする日に相応しいとされ、江戸城で毎年この日に煤払いが行われていたためだといわれています。
「大晦日(おおみそか)」とは、1年で最後の日となる12月31日のことを指します。旧暦は月の満ち欠けで1か月を決めており、新月を1日として数え始め、月が隠れる約30日目を月の最終日としていました。そのため、月が隠れて暗くなるという意味の「晦」という字を充て、「三十日(みそか)」と同じ読み方をするようになったとされています。そのため、旧暦では毎月の最終日を「晦日(みそか)」と呼んでおり、1年の最後の日となる12月31日を「大晦日」と呼ぶようになりました。
平安時代から、大晦日は年神様を迎え入れるための準備を整える重要な日とされており、現在も宮中や全国の神社では、1年の間に受けた罪や穢れを祓う「大祓いの儀」が行われます。
寺院で行われる「除夜の鐘」を鳴らす儀式は、日本の大晦日の風物詩となっています。「除夜の鐘」とは、鐘を108回打ち鳴らすことで人間の抱える108つの煩悩を取り払い、清らかな心で新しい年を迎える仏教儀式で、新年を迎える日本の大切な風習として根付いています。
家庭では、大晦日に「年越しそば」を食べますが、これは江戸時代中期に始まったとされる風習です。細くて長い蕎麦を食べることで長寿を願うと意味や、切れやすい蕎麦を食べることで1年の厄災や苦労を切って翌年に持ち越さないという意味があると考えられ、食べられるようになったといわれています。
「誕生石」とは、各月に振り分けられた宝石のことです。昔から誕生石にはそれぞれパワーがあると考えられており、身に付けると幸せが訪れるとされています。ここでは、12月の誕生石である「ラピスラズリ」「ターコイズ」について詳しく紹介しましょう。
ラピスラズリは和名を「瑠璃(るり)」という、紺に近い深く鮮やかな青が特徴的な宝石です。複数の鉱物が集合した鉱石で、黄鉄鉱が含まれたものは夜空の星のような金色の斑点が見られることもあります。
「ラピスラズリ」という名前は、ラテン語で「石」を意味する「ラピス」とペルシャ語で「青、空」を意味する「ラズリ」が由来となっています。
紀元前から古代エジプトなどで「聖なる宝石」として儀式や装飾品などに使われてきました。また、青色の絵の具の材料としても使われています。
ラピスラズリの石言葉は「高貴・冷静・幸運・健康・真実・成功の保証」などで、魔除けや邪気を祓う効果、幸運や成功を引き寄せる効果などがあるとされていて、人生の転機や新しいスタートを迎える人にぴったりの石です。また、心を落ち着かせる効果があるとされているので、感情に流されず、冷静に判断したい人にもおすすめです。
ターコイズは和名を「トルコ石」という、独特な不透明のブルーグリーンの色合いが人気の宝石です。「ターコイズ」という名前は、原産地であるイランやシナイ半島からトルコを経由してヨーロッパに運ばれていたことからフランス語で「トルコの石」を意味する「ピエール・テュルクワーズ(pierre turquoise)」と呼ばれていたことが由来となっています。
中近東やネイティブアメリカンの間では、昔から「神聖な石」として大切にされており、雨乞いの儀式に使われたり、お守りとして身に付けられたりしてきました。
ターコイズの石言葉は「成功・繁栄・健康・旅の安全」などで、邪気を祓う効果、ストレスを軽減する効果、健康な体を守る効果などがあり、意志を強くして困難に負けない強い心を育てるといわれています。
また、古代の砂漠を渡る隊商がターコイズのお守りをラクダや馬の首に付けていたことから、旅の安全を守る効果があるともいわれているので、旅行に行く人のお守りとしてもおすすめの石です。
和風月明は、それぞれの月の季節感や行事に由来した呼び名が付けられています。ここでは、「師走」以外の月の和風月名とその由来について解説します。
和風月明の「師走」とは、旧暦の12月を指します。「師走」という呼び名は、年末に僧侶(師)が走らなければならないほど忙しい様子が由来となっています。旧暦が使われていた時代の年末の風物詩を感じさせる名前ですよね。また、別名には「限月」や「晩冬」などの1年の終わりを意味する名前や、「春待月」や「梅咲月」など年が明けると同時にやってくる春を待ち望む気持ちが見られる名前などがあります。
これらの12月の和風月名からは、昔の日本人が、12月を1年の締めくくりの月とし、新春を心待ちにしている背景を伺い知ることができます。現代でも、12月は新年を迎える準備をする月として忙しいですが、新年を迎えるワクワク感もあり、昔の人たちと同じような感覚を感じ取れる日本らしい月なのではないでしょうか。
和風月名「霜月」って何月のこと?霜月と呼ばれるようになった由来とは▼
天上の神々が宿るターコイズってどんな宝石?▼
かつて日本で使われていた月の呼び方「和風月名」の「師走(しわす)」とは、何月を指しているかご存知ですか?
今回は、「師走」が何月のことなのかやこの呼び名が付けられた由来、「師走」ならではの風物詩や誕生石などについて詳しく解説していきます。
目次
師走(しわす)は何月?
「師走(しわす)」とは、旧暦の12月を指す和風月名です。
現在使われている新暦と旧暦では1~2か月のずれがあり、師走を新暦に照らし合わせるとだいたい1月ごろ(1月上旬~2月上旬ごろ)になります。
旧暦が使われていた当時の師走は、新年の準備で慌ただしい年末の時期でした。
和風月名(わふうげつめい)とは
和風月明とは、日本で古くから使われてきた旧暦で、1月から12月のそれぞれの月に付けられた日本ならではの呼び方のことです。
いつ頃作られたのかはよく分かっていませんが、奈良時代に発行された日本最古の歴史書「日本書紀」の中では、四月を「うづき」、二月を「きさらぎ」と読むように書かれているので、奈良時代には和風月名が使われていたとされています。
なぜ旧暦と新暦とでは約1か月もの違いがあるの?
日本で明治5年(1872年)まで使われていた旧暦は「太陰暦」と呼ばれ、月の満ち欠けの周期を基準に1か月を定めていました。太陰暦では1か月が約29.5日となるため、29日と30日の月を交互に配置して1年を約354日としています。
太陽の動きに基づく季節よりも約11日短いため、3年ほどでおよそ1か月分のずれが生じます。そこで、数年に一度「閏月(うるうづき)」と呼ばれる13か月目の月を設け、季節とのずれを調整していました。
一方、現在使われている新暦は「太陽暦」で、地球が太陽の周りを一周する周期(約365.24日)を1年とし、4年に1度、1年を366日としてずれを修正する「閏年」を設けています。
日本では明治6年(1873年)から太陽暦が採用されました。
新暦が使われ始めた時、旧暦の明治5年12月3日を明治6年1月1日としたため、旧暦と新暦では実際の季節感が1か月ほど早まった印象になったのです。
師走の由来と意味
和風月名は、季節やその月に行われる行事などに合わせて名付けられています。
旧暦の12月を「師走」と呼ぶようになったのは、年末に「師=僧侶・お坊さん」が忙しく走っている様子が由来となっています。
かつての日本では、年末年始にお坊さんを家に呼んでご先祖様の霊を供養する風習や、12月に行われる「仏名会(ぶつみょうえ)」という大きな法要があったので、この時期のお坊さんたちは忙しくしていました。
そのため、普段は落ち着いている「師=僧侶・お坊さん」も、走り回るほど忙しい様子を表して「師走」と名付けられたとされています。
また、昔は12月のことをその年が終わる(果てる)という意味で「年果つ(としはつ)」と呼んでおり、これが変化して「しはす(しわす)」になったという説もあります。
師走の別名
旧暦の12月には「師走」以外にも沢山の別名が使われていました。
ここでは、その中のいくつかを紹介していきましょう。
極月(ごくげつ、ごくつき、きょくげつ、きわまりづき、きわまるつき)
「極月」は様々な読み方をされてきましたが、一般的には「ごくげつ」と読みます。
「極まる」には「終わる・果てる・尽きる」などの意味があり、12月は1年が極まる(尽きる)月であることからこの呼び方が使われていました。
限月(かぎりのつき)
「限る」という言葉には、時間や空間などに境目をつけるという意味があります。
そのため、「年の境目の月」という意味でこの名前が付けられたとされています。
春待月(はるまちつき)
旧暦の12月は現在の1月上旬~2月上旬のころにあたり、冬の終わりを感じる時期でした。
そのため昔の人たちにとって12月は、暖かい春への期待を寄せる時期だったことでしょう。
この春を待ち望む気持ちから「春待月」という呼び名がつけられた由来となっています。
除月(じょげつ)
「除月」とは、「古い年を払い除く月」という意味をもつ別名です。
12月は1年の中の最後の月で、新しい年神様を迎え入れる準備をする月でもあります。
年神様をお迎えする際に、古い年の邪気を払い除いて清めることから「除月」という名前が付けられたとされています。
大晦日の夜を「除夜」と呼ぶのも、「古い年の煩悩を払い除く」という意味からです。
年積月(としつみづき、としつもづき)
年末は、「年が終わる月」という考え方が一般的ですが、これとは違って「年が積み重なる月」という意味の別名です。
昔は、生まれた日に年をとるのではなく、正月に日本人全員が1つ年をとっていました。
いわゆる「数え年」の考え方です。
このことから、「年が積み重なる」という意味の呼び方ができたとされています。
その他にも、年の暮れを意味する「臘月(ろうげつ)」や「暮歳(ぼさい)」、旧暦の12月が梅の咲き始める時期であることから「梅初月(うめはつづき)」などの異名があります。
このように旧暦12月の和風月名は、年の暮れの慌ただしさや1年が終わる風景、春を待ち望む気持ちなどが反映されていて、四季と共に生活し、自然と向き合ってきた日本人特有の自然観を感じ取ることができます。
師走にまつわる日本の行事・風物詩
日本では、昔から季節ごとに様々な行事が行われてきました。
ここでは、師走の風物詩となっている行事や習わしなどについて紹介していきます。
歳の市・羽子板市
羽子板市とは、浅草寺で毎年12月17日から19日ごろにかけて行われる歳の市です。
羽子板と羽根は、邪気をはね(羽根)返す縁起のよいものといわれており、江戸時代末期ごろから正月飾りとして歳の市で売り出されるようになったといわれています。
浅草寺の羽子板は人気を呼ぶようになり、昭和25年(1950年)ごろには「羽子板市」として師走の風物詩として定着しました。
羽子板市では、歌舞伎の助六や藤娘などの伝統的な絵柄の羽子板に加え、その年話題になった有名人やスポーツ選手などを描いた「世相羽子板」なども販売されます。
冬至
冬至とは、二十四節気(太陽の動きを元に作られた季節の目安)1つで、1年で最も昼が短く夜が長い日のことです。
毎年12月21日または22日が冬至にあたります。
古来冬至は、太陽の力が最も弱くなる日であるとともに、冬至以降は太陽が力を増し、運気が上がっていくと考えられ、世界各地でお祝いされてきました。
日本では大きな行事はありませんが、各家庭で柚子湯に入ったり、カボチャを食べたりする風習が現在も残っています。
柚子湯に入るのは、柚子の香りに穢れを祓う力があるからという説や、柚子に含まれる成分に血行を良くして体を温める効果があるためという説などがあり、「冬至に柚子湯に入ると風邪をひかない」という言い伝えもあります。
カボチャを食べるのは、野菜が不足する冬場に栄養価の高いカボチャを食べて寒い冬を乗り切ろうという暮らしの知恵から生まれたとされています。
煤払い(大掃除)
煤払い(すすはらい)とは、新年を連れてくる年神様を迎えるため、家の中に溜まった煤やほこりなどの汚れを落として清めるという風習で、大掃除の起源とされる行事です。
現在も、毎年12月13日に全国の神社やお寺で煤払いが行われ、テレビなどでも大掃除関連のCMなどが流れ始めます。
12月13日が煤払いの日となったのは、12月13日は「鬼宿日(きしゅくにち)」という縁起の良い日で年神様を迎える準備をする日に相応しいとされ、江戸城で毎年この日に煤払いが行われていたためだといわれています。
大晦日、除夜の鐘
「大晦日(おおみそか)」とは、1年で最後の日となる12月31日のことを指します。
旧暦は月の満ち欠けで1か月を決めており、新月を1日として数え始め、月が隠れる約30日目を月の最終日としていました。
そのため、月が隠れて暗くなるという意味の「晦」という字を充て、「三十日(みそか)」と同じ読み方をするようになったとされています。
そのため、旧暦では毎月の最終日を「晦日(みそか)」と呼んでおり、1年の最後の日となる12月31日を「大晦日」と呼ぶようになりました。
平安時代から、大晦日は年神様を迎え入れるための準備を整える重要な日とされており、現在も宮中や全国の神社では、1年の間に受けた罪や穢れを祓う「大祓いの儀」が行われます。
寺院で行われる「除夜の鐘」を鳴らす儀式は、日本の大晦日の風物詩となっています。
「除夜の鐘」とは、鐘を108回打ち鳴らすことで人間の抱える108つの煩悩を取り払い、清らかな心で新しい年を迎える仏教儀式で、新年を迎える日本の大切な風習として根付いています。
家庭では、大晦日に「年越しそば」を食べますが、これは江戸時代中期に始まったとされる風習です。
細くて長い蕎麦を食べることで長寿を願うと意味や、切れやすい蕎麦を食べることで1年の厄災や苦労を切って翌年に持ち越さないという意味があると考えられ、食べられるようになったといわれています。
師走(12月)の誕生石
「誕生石」とは、各月に振り分けられた宝石のことです。
昔から誕生石にはそれぞれパワーがあると考えられており、身に付けると幸せが訪れるとされています。
ここでは、12月の誕生石である「ラピスラズリ」「ターコイズ」について詳しく紹介しましょう。
ラピスラズリ
ラピスラズリは和名を「瑠璃(るり)」という、紺に近い深く鮮やかな青が特徴的な宝石です。
複数の鉱物が集合した鉱石で、黄鉄鉱が含まれたものは夜空の星のような金色の斑点が見られることもあります。
「ラピスラズリ」という名前は、ラテン語で「石」を意味する「ラピス」とペルシャ語で「青、空」を意味する「ラズリ」が由来となっています。
紀元前から古代エジプトなどで「聖なる宝石」として儀式や装飾品などに使われてきました。
また、青色の絵の具の材料としても使われています。
ラピスラズリの石言葉は「高貴・冷静・幸運・健康・真実・成功の保証」などで、魔除けや邪気を祓う効果、幸運や成功を引き寄せる効果などがあるとされていて、人生の転機や新しいスタートを迎える人にぴったりの石です。
また、心を落ち着かせる効果があるとされているので、感情に流されず、冷静に判断したい人にもおすすめです。
ターコイズ
ターコイズは和名を「トルコ石」という、独特な不透明のブルーグリーンの色合いが人気の宝石です。
「ターコイズ」という名前は、原産地であるイランやシナイ半島からトルコを経由してヨーロッパに運ばれていたことからフランス語で「トルコの石」を意味する「ピエール・テュルクワーズ(pierre turquoise)」と呼ばれていたことが由来となっています。
中近東やネイティブアメリカンの間では、昔から「神聖な石」として大切にされており、雨乞いの儀式に使われたり、お守りとして身に付けられたりしてきました。
ターコイズの石言葉は「成功・繁栄・健康・旅の安全」などで、邪気を祓う効果、ストレスを軽減する効果、健康な体を守る効果などがあり、意志を強くして困難に負けない強い心を育てるといわれています。
また、古代の砂漠を渡る隊商がターコイズのお守りをラクダや馬の首に付けていたことから、旅の安全を守る効果があるともいわれているので、旅行に行く人のお守りとしてもおすすめの石です。
ほかの月の和風月名は?
和風月明は、それぞれの月の季節感や行事に由来した呼び名が付けられています。
ここでは、「師走」以外の月の和風月名とその由来について解説します。
草木が生い茂ってくる月であるという意味。
後に「水田」という意味の「皐(さ)」が充てられた。
また、「水の月(「無」は「の」という意味)」で、田んぼに水を引く月であることや、田植えが終わった「皆仕尽(みなしつき)」が由来という説もある。
また、稲穂が実る月という意味の「穂含月(ほふみづき)」が転じたという説もある。
出雲地方では「神在月(かみありつき)という。
また、「年が果てる(終わる)」という意味の「歳果つ(としはつ)」から「しはす」になったという説もある。
師走は1年を締めくくり新しい年を迎える準備をする月
和風月明の「師走」とは、旧暦の12月を指します。
「師走」という呼び名は、年末に僧侶(師)が走らなければならないほど忙しい様子が由来となっています。
旧暦が使われていた時代の年末の風物詩を感じさせる名前ですよね。
また、別名には「限月」や「晩冬」などの1年の終わりを意味する名前や、「春待月」や「梅咲月」など年が明けると同時にやってくる春を待ち望む気持ちが見られる名前などがあります。
これらの12月の和風月名からは、昔の日本人が、12月を1年の締めくくりの月とし、新春を心待ちにしている背景を伺い知ることができます。
現代でも、12月は新年を迎える準備をする月として忙しいですが、新年を迎えるワクワク感もあり、昔の人たちと同じような感覚を感じ取れる日本らしい月なのではないでしょうか。
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和風月名「霜月」って何月のこと?霜月と呼ばれるようになった由来とは▼
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