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「ワヤン・クリ」はユネスコ無形文化資産に登録されているインドネシアの伝統芸能です。 一言で表現すると人形を使った影絵芝居なのですが「子供向けでは?」と侮ることなかれ!
このコラムでは「ワヤン・クリ」の基本、楽しみ方、知られざる舞台裏について紹介します。 良い意味で想像を裏切る「ワヤン・クリ」を知ったら、その神秘的な世界観に引き込まれることでしょう。
「ワヤン・クリ(Wayang Kulit)」はバリ島やジャワ島で観賞できる伝統的な影絵芝居、または使われる人形そのものを指します。 なお「ワヤン」はインドネシア語で「影」、クリは「皮」という意味を持つのだとか。
舞台に白い布を貼ってスクリーンにしています。 裏側から石油ランプを当てて芝居をするのですが、最近は石油ランプの代わりに電灯の使用が多くなっているそうですよ。
インドネシアの伝統芸能「ワヤン・クリ」は、10世紀には演じられていた記録が残っています。 日本だと10世紀は平安時代の前半あたりになりますので、伝統あるという言葉がピッタリ!
2009年に「ワヤン・クリ」がユネスコの無形文化遺産に登録されました。 なお、日本では人形浄瑠璃文楽が2008年に登録されています。 日本とインドネシア、同じアジアエリアで人形を使った伝統芸能が同じくらいの時期に受賞しているのが興味深いですね。
演目はインドの叙事詩「マハーバーラタ」「ラーマーヤナ」のどちらかが選ばれることが多いようです。 叙事詩と聞くと難しいと感じてしまいますが、実はそんなことはありません! ロールプレイングゲームやファンタジー小説のような世界観が楽しめますよ。
代表的な2つの物語を簡単に見ていきましょう。
「マハーバーラタ」は、クル王国のパーンドゥ王が死去すると残された5人の子供と、その従弟の間で王位継承争いが勃発。その経緯が18巻に渡り書かれていくという壮大なストーリー。
「ラーマーヤナ」はコーサラ国の王子・ラーマとその妻シータがメインの登場人物です。 ラーマの継母の策略によって追放されたり、敵役であるランカー島の王・ラーヴァナに美しいシータを誘拐されたりと困難だらけ…。 1つずつ乗り越えていくラーマは、勇気の象徴として人気を博しました。
ラーマーヤナについて詳しくは コチラ
どちらも現代人である私達が見ても、思わず「それで、それで?」と次の展開が気になってしまいますよね。
ジャワ島やバリ島で「ワヤン・クリ」の上演を観に行くのであれば、スクリーンの裏側について知っておきたいところ。 何しろ舞台裏にこそ、影絵芝居のエッセンスと醍醐味がギュッと詰まっているからです。 まずは人形遣いダランが、いかに凄いのか、華やかなイメージの陰にある大変さについて見ていきましょう。
人形遣いと聞くと1人で人形1体を担当するイメージがありませんか? 日本の人形劇や浄瑠璃はそれに近いものがあります。
しかし「ワヤン・クリ」の人形遣いのダランは全部1人でこなしています。
出演も演出も1人でやっているようなもの。 かなり忙しいでしょうね。 スクリーンの裏側から、どう操っているのか観てみたくなります。
上演は1時間~2時間程度になりますが、長いものになると6~8時間くらいの演目もあるそうです。 拘束時間が長いうえに重労働…。お手洗いはどうしているのでしょうか。
ダランは多くの知識を要求されるので、若い頃から熟練のダランに弟子入りして何年も助手として働きながらスキルを学ぶという道が一般的です。
こういった背景から、かつては世襲が多かったとのこと。
近年は、大学や専門学校でカリキュラムが用意されています。昔よりハードルが下がったのかもしれませんが、ダランになるのが大変なのは間違いなさそうですね。
影絵はフォルムがボンヤリしているイメージがありますが「ワヤン・クリ」の人形は、そんな常識を覆してしまいます。
造りが精巧なだけではなく、実は煌びやかな色になっているのは奥深い秘密があるのです。
ワヤン・クリの人形の材料は、水牛の皮を薄く伸ばしたもので、操作する部分は竹が使われています。 関節が伸縮可能で、剣を持った手を伸ばしたり引っ込めたりできる点が特徴です。
横から見ると平べったくなっていて、どの役も顔が横向きです。 これは影人形のシルエットにした時にわかりやすいからだとされています。
衣装にあたる部分も繊細かつ精密な造りで、本当に人形劇なのかと思う人も多いことでしょう。 小さな穴は光を通して透かし模様のように浮かび上がり、物語に奥行きを持たせます。
そして真ん中から1本、棒が付けられていて先端が尖っています。 これはダランが台座に人形を突き刺して立てておき、1度に複数の人形を操れるようになっているのだとか。
さらにダランは人形をスクリーンに近づけたり、遠ざけたりと前後に動かすこともしています。 人形が膨張でぼやけたり、遠ざかったりする様子も表現でき、迫力のある舞台を楽しめるのです。
こうやって人形に生命を吹き込み、動きのある舞台を演出しているんですね。
さて、ここで1つ疑問が湧きます。 影絵人形劇はスクリーンの向こう側から見たら真っ黒になってしまいますよね。 なぜ、人形はこれほどに色鮮やかなのでしょうか。
これにはいくつかの説があります。 説1: スクリーンの裏側は、あの世で極彩色。この世は白黒に見えるという表現 説2: 複数の人形を操るダランが間違えないように
現世で見える景色が、あの世では彩色になっていて見え方が違うなんて! なんとも世界観が独特ですよね。 ちなみに、スクリーンはインドネシアで「ケリル」と呼ばれており、空や宇宙を意味しているそうです。
説2については現実的なミス防止策といったところでしょうか。
スクリーンの向こう側から芝居を見る時に観客が直感的に理解できる工夫があります。 人形の形や大きさを役によって少しずつ変えているのです。
英雄や神は大きく堂々と、女性は繊細で優雅に、悪役は小さくて不味フォルム。 道化役には団子鼻に太鼓腹と、子供でも視覚的に理解できるようになっています。
芝居上演中に知っているともっと楽しめるのがグヌンガンの存在。 ジャワで使われている山の形をした影絵のことで、芝居が始まる前と後、場面転換に登場します。 劇中では山、森、宇宙、火、風と色々な表現に使われているのです。
もちろんグヌンガンも煌びやかで金色、青と赤ベース、炎をイメージしたオレンジなど様々。 精巧な造りで、生命樹を表現する木や動物が描かれています。 怪物が描かれていて不気味な雰囲気を放っているものも…。 影絵にしてしまうのがもったいないくらいですね!
なおバリ島では「カヨナン」という名前で呼ばれており、フォルムが丸みを帯びています。
海外の雰囲気を実感するのに大事な要素は音楽です。 ガムランはインドネシアの打楽器で、聞いていると心が落ち着く不思議な音色を奏でます。 「ワヤン・クリ」の芝居では、ダランの後ろに待機して演奏します。
演奏者は出番のない時間帯に、食事をしたりスマホをチェックしたりと自由度が高いのが特徴。 居眠りをする奏者もいるのですが、不思議に出番になるとシャキッとなるのだとか。
つい物語に引き込まれてしまうのは、ガムランの神秘的な音が大きな役割を果たしているのです。 外国でその国の匂いや音楽に触れることで非日常感に浸れますよね。
実際にジャワやバリに旅行に行く場合、どうしたら「ワヤン・クリ」を楽しめるでしょうか。 バリで鑑賞した経験を持つライターが勧める見どころやコツを解説します。
元々「ワヤン・クリ」は寺院において祭礼や儀式の一環として日没後から一晩中行われてきました。 その名残で、寺院で日没後から上演というケースが多いです。
ジャワでもバリでも旅行者向けに約1時間30分程度の定期上演があります。 座席は固定席ではなく、芝居中に席を好きに移動がOKな緩いルールで運営されている会場が多いようです。
当日は、上演前に余裕をもって早めの夕食を済ませておきたいですね。
もし可能であればスクリーンの裏側で観ることをお勧めします。 白黒の影絵ではありませんが、スクリーンの裏側にこそ見どころが詰まっているからです。
スクリーン裏の見どころポイント
現地の人であれば、セリフを聴いて「ドッ」と笑うなんてことも。 私達は言語がわからないので「どういう状況?」って感じることもあるでしょう。
事前に演目がわかるのであればストーリーを調べておいて、どのシーンが上演されるのかエージェントに質問してみてください。物語にガッツリのめり込めますよ。
「ワヤン」というのはインドネシア語で影を意味していますが、実は「ワヤン」と名の付くものが数多く存在しています。 最後に雑学として、ワヤンの多様性と人形の形が平面的になった歴史的背景を見ていきましょう。
ワヤン・クリの「クリ」は革を意味しています。その他にも…
人形や劇に関する言葉が多いですね。 ワヤン・ベベルは絵巻を繰り延べながら、ガムランの演奏に合わせて物語を朗読するというもの。 ここから派生したのが「ワヤン・クリ」と「ワヤン・ゴレ」なのです。
インドネシアではワヤン・ゴレこそ立体的な人形であるものの、全体的には平面的な人形が多く出回っています。 平面な人形が主流になったのは、偶像崇拝を禁じているイスラム教の影響がありました。 神様を銅像、彫像などでリアルに表現すること自体が恐れ多いという背景があるようです。
ジャワやバリで上演されている「ワヤン・クリ」は、ユネスコの無形文化遺産に登録されているインドネシアの伝統芸能です。 ケチャと比べると知名度は下がりますが、お芝居は迫力満点。
複数の役を演じるダランやガムランの神秘的な音色、が徐々に物語へ誘ってくれます。
演目は「マハーバーラタ」「ラーマーヤナ」のどちらかが採用されることが多いので、事前にストーリーを頭に入れておくとより楽しめますよ。
アジア旅行を計画しているなら、是非ジャワかバリで本場の影絵劇を鑑賞してみませんか?
1981年、中華街の片隅に、赤い木で縁取られ通りから中が覗けるガラス張りの舞踏館が誕生しました。 チャイハネがこころをときめかせる刺激の場所ならば、舞踏館はからだを動かし自分と向き合う意識の場所。 対であり影響しあう存在です。
街並みも暮らしぶりも行き交う人も変容していくなか、1993年に余儀なく閉館となりましたが、2001年月に旧舞踏館のあった隣で再び産声を上げました。 地下階に作られた今度の舞踏館は、ネイティブ・アメリカンの神聖な場所キヴァを模しています。 ネイティブ・アメリカンたちは屋根から出入りする半地下のキヴァの中で、そこにこもって、そして大地の懐に抱かれ、祭の歌詞を作り、歌を歌い、踊りを習い、お話を聞き、布を織り、瞑想をし、体を清めたりします。
アクセス
▼▼▼シルクロード舞踏館について、詳細はこちら
頭に残る音。呪術の儀式に参加して▼
バリ島の伝統舞踊「ケチャ」に触れる
シルクロード舞踏館の過去の公演▼
インドネシアの伝統的な影絵人形劇『まよかげ/Mayokage』
「ワヤン・クリ」はユネスコ無形文化資産に登録されているインドネシアの伝統芸能です。
一言で表現すると人形を使った影絵芝居なのですが「子供向けでは?」と侮ることなかれ!
このコラムでは「ワヤン・クリ」の基本、楽しみ方、知られざる舞台裏について紹介します。
良い意味で想像を裏切る「ワヤン・クリ」を知ったら、その神秘的な世界観に引き込まれることでしょう。
目次
ワヤン・クリって何?
「ワヤン・クリ(Wayang Kulit)」はバリ島やジャワ島で観賞できる伝統的な影絵芝居、または使われる人形そのものを指します。
なお「ワヤン」はインドネシア語で「影」、クリは「皮」という意味を持つのだとか。
舞台に白い布を貼ってスクリーンにしています。
裏側から石油ランプを当てて芝居をするのですが、最近は石油ランプの代わりに電灯の使用が多くなっているそうですよ。
約千年の歴史を持つ伝統芸能
インドネシアの伝統芸能「ワヤン・クリ」は、10世紀には演じられていた記録が残っています。
日本だと10世紀は平安時代の前半あたりになりますので、伝統あるという言葉がピッタリ!
2009年に「ワヤン・クリ」がユネスコの無形文化遺産に登録されました。
なお、日本では人形浄瑠璃文楽が2008年に登録されています。
日本とインドネシア、同じアジアエリアで人形を使った伝統芸能が同じくらいの時期に受賞しているのが興味深いですね。
上演されている演目と物語のあらすじ
演目はインドの叙事詩「マハーバーラタ」「ラーマーヤナ」のどちらかが選ばれることが多いようです。
叙事詩と聞くと難しいと感じてしまいますが、実はそんなことはありません!
ロールプレイングゲームやファンタジー小説のような世界観が楽しめますよ。
代表的な2つの物語を簡単に見ていきましょう。
「マハーバーラタ」は、クル王国のパーンドゥ王が死去すると残された5人の子供と、その従弟の間で王位継承争いが勃発。その経緯が18巻に渡り書かれていくという壮大なストーリー。
「ラーマーヤナ」はコーサラ国の王子・ラーマとその妻シータがメインの登場人物です。
ラーマの継母の策略によって追放されたり、敵役であるランカー島の王・ラーヴァナに美しいシータを誘拐されたりと困難だらけ…。
1つずつ乗り越えていくラーマは、勇気の象徴として人気を博しました。
ラーマーヤナについて詳しくは コチラ
どちらも現代人である私達が見ても、思わず「それで、それで?」と次の展開が気になってしまいますよね。
スクリーン裏側に注目!「ダラン」が有能すぎる
ジャワ島やバリ島で「ワヤン・クリ」の上演を観に行くのであれば、スクリーンの裏側について知っておきたいところ。
何しろ舞台裏にこそ、影絵芝居のエッセンスと醍醐味がギュッと詰まっているからです。
まずは人形遣いダランが、いかに凄いのか、華やかなイメージの陰にある大変さについて見ていきましょう。
演者と演出家を兼務
人形遣いと聞くと1人で人形1体を担当するイメージがありませんか?
日本の人形劇や浄瑠璃はそれに近いものがあります。
しかし「ワヤン・クリ」の人形遣いのダランは全部1人でこなしています。
出演も演出も1人でやっているようなもの。
かなり忙しいでしょうね。
スクリーンの裏側から、どう操っているのか観てみたくなります。
上演は1時間~2時間程度になりますが、長いものになると6~8時間くらいの演目もあるそうです。
拘束時間が長いうえに重労働…。お手洗いはどうしているのでしょうか。
ダランになる方法
ダランは多くの知識を要求されるので、若い頃から熟練のダランに弟子入りして何年も助手として働きながらスキルを学ぶという道が一般的です。
こういった背景から、かつては世襲が多かったとのこと。
近年は、大学や専門学校でカリキュラムが用意されています。昔よりハードルが下がったのかもしれませんが、ダランになるのが大変なのは間違いなさそうですね。
影絵人形の秘密が奥深い
影絵はフォルムがボンヤリしているイメージがありますが「ワヤン・クリ」の人形は、そんな常識を覆してしまいます。
造りが精巧なだけではなく、実は煌びやかな色になっているのは奥深い秘密があるのです。
形状と素材
ワヤン・クリの人形の材料は、水牛の皮を薄く伸ばしたもので、操作する部分は竹が使われています。
関節が伸縮可能で、剣を持った手を伸ばしたり引っ込めたりできる点が特徴です。
横から見ると平べったくなっていて、どの役も顔が横向きです。
これは影人形のシルエットにした時にわかりやすいからだとされています。
衣装にあたる部分も繊細かつ精密な造りで、本当に人形劇なのかと思う人も多いことでしょう。
小さな穴は光を通して透かし模様のように浮かび上がり、物語に奥行きを持たせます。
そして真ん中から1本、棒が付けられていて先端が尖っています。
これはダランが台座に人形を突き刺して立てておき、1度に複数の人形を操れるようになっているのだとか。
さらにダランは人形をスクリーンに近づけたり、遠ざけたりと前後に動かすこともしています。
人形が膨張でぼやけたり、遠ざかったりする様子も表現でき、迫力のある舞台を楽しめるのです。
こうやって人形に生命を吹き込み、動きのある舞台を演出しているんですね。
影絵なのに色鮮やかな理由は?
さて、ここで1つ疑問が湧きます。
影絵人形劇はスクリーンの向こう側から見たら真っ黒になってしまいますよね。
なぜ、人形はこれほどに色鮮やかなのでしょうか。
これにはいくつかの説があります。
説1: スクリーンの裏側は、あの世で極彩色。この世は白黒に見えるという表現
説2: 複数の人形を操るダランが間違えないように
現世で見える景色が、あの世では彩色になっていて見え方が違うなんて!
なんとも世界観が独特ですよね。
ちなみに、スクリーンはインドネシアで「ケリル」と呼ばれており、空や宇宙を意味しているそうです。
説2については現実的なミス防止策といったところでしょうか。
役柄によってフォルムや大きさが違う!
スクリーンの向こう側から芝居を見る時に観客が直感的に理解できる工夫があります。
人形の形や大きさを役によって少しずつ変えているのです。
英雄や神は大きく堂々と、女性は繊細で優雅に、悪役は小さくて不味フォルム。
道化役には団子鼻に太鼓腹と、子供でも視覚的に理解できるようになっています。
グヌンガンの演出も見逃せない
芝居上演中に知っているともっと楽しめるのがグヌンガンの存在。
ジャワで使われている山の形をした影絵のことで、芝居が始まる前と後、場面転換に登場します。
劇中では山、森、宇宙、火、風と色々な表現に使われているのです。
もちろんグヌンガンも煌びやかで金色、青と赤ベース、炎をイメージしたオレンジなど様々。
精巧な造りで、生命樹を表現する木や動物が描かれています。
怪物が描かれていて不気味な雰囲気を放っているものも…。
影絵にしてしまうのがもったいないくらいですね!
なおバリ島では「カヨナン」という名前で呼ばれており、フォルムが丸みを帯びています。
芝居を盛り上げるガムランが神秘的
海外の雰囲気を実感するのに大事な要素は音楽です。
ガムランはインドネシアの打楽器で、聞いていると心が落ち着く不思議な音色を奏でます。
「ワヤン・クリ」の芝居では、ダランの後ろに待機して演奏します。
演奏者は出番のない時間帯に、食事をしたりスマホをチェックしたりと自由度が高いのが特徴。
居眠りをする奏者もいるのですが、不思議に出番になるとシャキッとなるのだとか。
つい物語に引き込まれてしまうのは、ガムランの神秘的な音が大きな役割を果たしているのです。
外国でその国の匂いや音楽に触れることで非日常感に浸れますよね。
ワヤン・クリ鑑賞を楽しむ方法
実際にジャワやバリに旅行に行く場合、どうしたら「ワヤン・クリ」を楽しめるでしょうか。
バリで鑑賞した経験を持つライターが勧める見どころやコツを解説します。
上演は日没後
元々「ワヤン・クリ」は寺院において祭礼や儀式の一環として日没後から一晩中行われてきました。
その名残で、寺院で日没後から上演というケースが多いです。
ジャワでもバリでも旅行者向けに約1時間30分程度の定期上演があります。
座席は固定席ではなく、芝居中に席を好きに移動がOKな緩いルールで運営されている会場が多いようです。
当日は、上演前に余裕をもって早めの夕食を済ませておきたいですね。
スクリーン裏側の見どころ
もし可能であればスクリーンの裏側で観ることをお勧めします。
白黒の影絵ではありませんが、スクリーンの裏側にこそ見どころが詰まっているからです。
スクリーン裏の見どころポイント
ちょっとしたコツ
現地の人であれば、セリフを聴いて「ドッ」と笑うなんてことも。
私達は言語がわからないので「どういう状況?」って感じることもあるでしょう。
事前に演目がわかるのであればストーリーを調べておいて、どのシーンが上演されるのかエージェントに質問してみてください。物語にガッツリのめり込めますよ。
インドネシアにはワヤンがいっぱい!
「ワヤン」というのはインドネシア語で影を意味していますが、実は「ワヤン」と名の付くものが数多く存在しています。
最後に雑学として、ワヤンの多様性と人形の形が平面的になった歴史的背景を見ていきましょう。
多種多様なワヤン
ワヤン・クリの「クリ」は革を意味しています。その他にも…
人形や劇に関する言葉が多いですね。
ワヤン・ベベルは絵巻を繰り延べながら、ガムランの演奏に合わせて物語を朗読するというもの。
ここから派生したのが「ワヤン・クリ」と「ワヤン・ゴレ」なのです。
インドネシアの人形事情
インドネシアではワヤン・ゴレこそ立体的な人形であるものの、全体的には平面的な人形が多く出回っています。
平面な人形が主流になったのは、偶像崇拝を禁じているイスラム教の影響がありました。
神様を銅像、彫像などでリアルに表現すること自体が恐れ多いという背景があるようです。
奥深い無形文化遺産のワヤン・クリに挑戦してみよう!
ジャワやバリで上演されている「ワヤン・クリ」は、ユネスコの無形文化遺産に登録されているインドネシアの伝統芸能です。
ケチャと比べると知名度は下がりますが、お芝居は迫力満点。
複数の役を演じるダランやガムランの神秘的な音色、が徐々に物語へ誘ってくれます。
演目は「マハーバーラタ」「ラーマーヤナ」のどちらかが採用されることが多いので、事前にストーリーを頭に入れておくとより楽しめますよ。
アジア旅行を計画しているなら、是非ジャワかバリで本場の影絵劇を鑑賞してみませんか?
ワヤン・クリットの芸術を記録する |ナショナルジオグラフィック「芸能の庭」シルクロード舞踏館について
1981年、中華街の片隅に、赤い木で縁取られ通りから中が覗けるガラス張りの舞踏館が誕生しました。
チャイハネがこころをときめかせる刺激の場所ならば、舞踏館はからだを動かし自分と向き合う意識の場所。
対であり影響しあう存在です。
街並みも暮らしぶりも行き交う人も変容していくなか、1993年に余儀なく閉館となりましたが、2001年月に旧舞踏館のあった隣で再び産声を上げました。
地下階に作られた今度の舞踏館は、ネイティブ・アメリカンの神聖な場所キヴァを模しています。
ネイティブ・アメリカンたちは屋根から出入りする半地下のキヴァの中で、そこにこもって、そして大地の懐に抱かれ、祭の歌詞を作り、歌を歌い、踊りを習い、お話を聞き、布を織り、瞑想をし、体を清めたりします。
アクセス
▼▼▼シルクロード舞踏館について、詳細はこちら
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インドネシアの伝統的な影絵人形劇『まよかげ/Mayokage』