掲載日:2025.06.18

中国茶の種類とは?6種類それぞれの特徴や、中国のお茶文化もご紹介!

みなさんは、普段からお茶を飲みますか?日本茶、紅茶、チャイなど、日本をはじめ世界にはさまざまなお茶がありますよね。今回のコラムでは、日本のお隣、中国の「中国茶」に注目してみたいと思います!

中国茶の分類やそれぞれのお茶の特徴、特別な加工による中国茶の種類、中国におけるお茶文化、日本茶と中国茶の違いなどをわかりやすくていねいに解説していきます。

中国茶を飲んでみたい方、中国の文化や観光に興味を持ち始めた方、中華街に行って食事をする予定の方などは、ぜひ最後まで読んで参考にしてみてくださいね。

中国茶の種類とその特徴

中華街をはじめとして、日本にもたくさんの中華料理屋さんがあるため、「中国茶」という言葉を目にしたり耳にしたりしたことがある方も多いのではないでしょうか。しかし、一言で「中国茶」といっても、実はいくつかの種類があるんです……!まずは、中国茶の種類とそれぞれの特徴を一緒にチェックしていきましょう!

中国茶の6大分類

中国茶の6大分類

中国茶は、大きく6種類に分類されます。その6種類とは、「緑茶」、「白茶」、「黄茶」、「青茶」、「紅茶」、「黒茶」です。なお、最近では「青茶」の代わりに、広義の「烏龍茶」という言葉が使われることもあります。

そもそも中国茶は長い歴史があり、銘柄は数千から数万にまでおよぶとも言われています。古くから人々は、そんな数多くある中国茶の分類を試みてきました。現在の6種類の分類は、1978年に安徽農業大学教授の陳椽(ちんてん)教授によって提唱された考え方です。

発酵度による中国茶の分類と特徴

発酵度による中国茶の分類と特徴

中国茶の6種類は、発行度合いによって分類されています。ここからは、それぞれの香り、甘みの特徴、発酵のプロセスの違いについてご紹介していきたいと思います。

緑茶

緑茶は不発酵茶で、中国で最も生産量・消費量が多いお茶の種類です。蒸さずにほとんどすべて釜炒りでつくられ、茶葉は緑色をしています。香りは豆や青々とした草にたとえられることが多く、味わいとしては、さわやかさと少しの渋みがあるのが特徴です。

主な銘柄は、龍井茶(ロンジンチャ)・太平猴魁(タイヘイコウカイ)・碧螺春(ピロチュン)などがあります。

白茶

弱発酵(微発酵)茶で、茶葉が芽吹いて白毛の取れないうちに採取し、早い段階で自然乾燥させたお茶です。福建省で多く生産されています。まろやかでやさしい口あたりが特徴で、長い時間お湯に浸出していても苦くなりません。

主な銘柄は、銀針白毫(ギンシンハクゴウ)・白牡丹(パイムータン)などがあります。

黄茶

弱後発酵茶で、生産量が少なく貴重なお茶です。見た目は黄色っぽく、味わいはまろやかでコクがあります。製法は緑茶に似ていますが、黄茶は発酵を止めた茶葉を紙で包み、時間を置いて酸化を促す「悶黄(もんおう)」という独自の工程があります。

主な銘柄は、君山銀針(クンザンギンシン)・蒙頂黄芽(モウチョウコウガ)などがあります。

青茶

半発酵茶であり、さわやかな味わいと、発酵によって生まれた紅茶のような芳香が特徴です。烏龍茶に代表されるお茶であり、中国茶で何を飲もうか迷ったらまずは「青茶」をおすすめするほど、飲みやすいです。

発酵度のバリエーションも豊かで、多くの銘柄や香りが楽しめます。主な銘柄は、大紅袍(ダイコウホウ)・凍頂烏龍(トウチョウウーロン)・文山包種(ブンザンホウシュ)・鉄観音(テツカンノン)などがあります。

紅茶

全発酵茶で、茶葉を完全に発酵させてつくります。イギリスの紅茶文化を取り入れ、中国で独自に発展しました。インドやヨーロッパの紅茶と比べ、甘く渋みが少ないのが特徴です。そのため、お砂糖を入れずにそのまま飲む人も多いです。

主な銘柄は、祁門(キーモン)・正山小種(ラプサンスーチョン)などがあります。祁門は、緑茶に次いで2番目に多い生産量となっています。

黒茶

後発酵茶で、完成した茶葉に微生物を植え付け、発酵させてつくります。日本でも有名な「プーアル茶」は黒茶の一種です。こってりとした風味を持ち、ややクセがあるため、好き嫌いがわかれやすいお茶です。

主な銘柄は、普洱茶(プーアールチャ)・六堡茶(ロッポチャ)などがあります。

特別な加工による中国茶の種類

ここまでご紹介した6種類以外に、特別な加工による中国茶の種類として、「ジャスミン茶」があります。

特別な加工による中国茶の種類

茶葉とジャスミンの花を何層にも堆積させ、香り付けしてつくるお茶です。中国では「茉莉花(まりか)」と呼ばれ、何種類もある花茶のなかで最も有名と言えるでしょう。現在、中国から日本に輸出されているお茶は烏龍茶が一番多いのですが、かつてジャスミン茶が一番多かった時代がありました。

中国におけるお茶文化

中国茶にはさまざまな種類があり、それぞれとても個性豊かなことがわかりましたね。ここからは、中国のお茶文化をご紹介していきたいと思います!

中国茶の喫茶文化の歴史

中国はとても長い歴史を持つ国ですが、お茶文化・喫茶文化も古くから存在していました。

喫茶文化のはじまりについては、明確な時期はわかっていません。しかし、三国時代(3世紀)の『広雅(こうが)』という書物によれば、茶の葉を餅状に丸め、あぶって搗(つ)き、湯をかけ、みかんの皮、ねぎ、しょうがなどと混ぜて、他の材料と一緒に煮てスープのようにして飲まれていたそうです。この時期、お茶はお酒と同じように扱われ、朝廷では社交の場やもてなしの場で飲まれていました。

唐の時代(618~907年)には、喫茶文化が高貴な人々だけでなく庶民にも広まりました。この時代、世界初となる茶の百科事典『茶経(ちゃきょう)』が陸羽(りくう)によって書かれました。これには、製茶道具、茶道具、喫茶法などがていねいに解説されています。

中国茶の喫茶文化の歴史

当時のお茶は餅茶と呼ばれる固形茶でした。

宋の時代(960~1279年)には、茶の品質の良し悪しを判定する「闘茶」も行われるようになりました。また、お茶を飲みながら書をたしなんだり、絵を描いたり、哲学を論じ合ったりするような楽しみ方も始まりました。

明の時代(1368~1644年)には、お茶の製造に手間がかかるという理由で、初代皇帝・洪武帝が餅茶の製造を禁止しました。すると、代わりに葉茶を急須に入れ、お湯で成分を抽出して喫する「煎茶」の喫茶法が主流に。急須を使うことで、茶葉の色や香り、湯の音、味を楽しみながら手軽に飲むことができるようになり、これが現代まで続いています。

中国茶の健康効果

中国茶には、さまざまな健康効果があると言われています。

まず、特に黒茶には、ポリフェノールやフラボノイドなどが含まれています。これらは血中コレステロールや血糖値を下げる効果が期待できます。また、緑茶に多く含まれているカテキン、ビタミンCなどは、抗酸化作用や脂肪燃焼効果があります。さらに、心臓病やがんの予防にも役立つと考えられています。

また、茶葉に含まれるアミノ酸やミネラルなどは、リラックス効果が期待できます。ストレスが減ることで、気持ちが落ち着いたり、夜しっかり眠ることができるようになるなどのメリットもあります。

日本茶と中国茶の違い

最後に、日本茶と中国茶の違いをご紹介します。似ているようで違うそれぞれのお茶について、ぜひ詳しくなりましょう!

日本と中国の「緑茶」の違い

日本と中国の「緑茶」の違い

「日本茶」といわれるもののほとんどが「緑茶」です。ご紹介したとおり、中国茶にも緑茶はありますが、作るときの少しだけ違います。基本的には同じなのですが、お茶の製造の最初の工程である加熱(殺青:さっせい)方法が違うんです……!日本茶は茶葉を摘んですぐに蒸すのですが、中国の緑茶は釜で炒る、という方法をとっています。

蒸す・炒るという方法の違いにより、味や香りに差が出るのです。日本茶は香りが穏やかで、味が濃くなります。一方、中国の緑茶は味は穏やかですが、香りが強くなります。

お茶文化の違い

日本では、カジュアルにお茶を楽しむ文化ももちろんありますが、「茶道」という独自の文化が発展しました。茶をたてる所作、道具の扱いなどにも意味があり、茶室の静寂の中で、一服の抹茶を味わいます。茶室や庭といった空間演出も含め、日本らしい美学が見られるのが茶道に代表される日本のお茶文化です。

一方、中国ではお茶は「人と人をつなぐもの」と捉えられています。お茶の専門店である「茶館」が中国にはいくつもあり、家族や親しい友達どうしなどで、会話を楽しみながらお茶を飲む文化があります。また、中国ではビジネスシーンでもお茶が出されることが多いです。お客様をおもてなしする手段という意味合いも持っています。

それぞれの特徴を知って、6種類の中国茶を味わおう!

「中国茶」と一言で言っても、大きく6種類にわけられ、それぞれに違った特徴や味わいがあることがわかりましたね。もちろん、本場・中国で味わうのも素敵ですし、日本にある中華料理屋さんで飲むのも良いですね。

飲み比べをしてみたり、自分のお気に入りのお茶の種類を見つけたり、さまざまな楽しみ方ができるのも中国茶の魅力。ぜひ、みなさんも中国茶を味わってみてくださいね。

このコラムが、みなさんが中国茶に興味を持つきっかけになればうれしいです!


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