しめ縄の意味や由来は?意外と知らない、お正月に飾る「しめ飾り」との違いも解説!

神社の社殿や鳥居にもつけられているのを見かける事も多い「しめ縄」。
なんとなく神々しく、触れてはならない雰囲気で緊張感を感じるかたも多いかもしれません。
みなさんはしめ縄に込められた意味をご存じですか?

今回は、しめ縄の意味や由来等を詳しく解説していきます。時期的にも気になる正月飾りとの違いについてもご紹介。

町中でも見かける事ができる「しめ縄」の本当の意味を知ってみませんか。

しめ縄とは

しめ縄の意味

神社でよく見かけるしめ縄には、いくつかの意味があります。

御神木や巨石など、神様が宿る場所

神様は私たちには見えず、色々な場所に存在すると考えられてきました。神様が宿る石や巨木・滝などの自然物があり、そこに人々が拝殿等を建てて神社が生まれてきました。
依り代のような意味を持つ自然物につけることで、神様がいることを表しているようです。

御神木や巨石など、神様が宿る場所

神様のいる世界と、私たちのいる俗世を隔てる境界の役割

神社等、神様の暮らす清らかな世界と、わたしたちのいる俗世を分ける境界線という意味を持ちます。

災いや悪いものが侵入しないようにする結界

または悪い物を封じ込めるともいわれています。
近い使い方をされるもので、「勧請縄(かんじょうなわ)」というものがあります。これは村の境目などにつるすことで悪霊や疫病をしめ出す役割を持つものだそう。

しめ縄の語源

しめ縄の語源は複数あり、いくつかの漢字があてられています。神様が領域を「占める」という意味が主ですが、ほかにも〆縄、占縄、尻久米縄、七五三縄と表記がなされることがあります。

また、あまり見慣れない「注連縄」という表記をされることもありますが、これも同じく「しめなわ」という読み方。中国から伝わったもので、清めた縄を玄関に張ることで亡くなった人の魂が家に戻るのを防ぐ「注連(ちゅうれん)」の風習が由来とされています。

「七五三縄」も読み方は同じ「しめなわ」で、これはしめ縄から垂れた「しめの子」と呼ばれる藁を七・五・三本垂らす事から呼ばれているものです。
この数字は陰陽道の陽数を指します。陰の気が入ることを防ぐといわれているようです。

しめ縄の由来

しめ縄の由来は、有名な日本神話「天岩戸神話」にあります。

あるとき、太陽の女神である天照大御神(アマテラスオオミカミ)が、弟のスサノオ(須佐之男命)の乱暴なふるまいに困り、岩戸に身を隠したことで、世界が闇に包まれてしまいました。

しめ縄の由来

これに困った他の神々は、にぎやかな宴を催し、天照大御神が岩戸から顔を出したところを外に連れ出しました。
その際、天照大御神が二度と隠れることのないようにしめ縄で塞いだのが、しめ縄の由来。天岩戸神話の舞台は、宮崎県にある「天岩戸神社」と言われており、しめ縄もこの地が発祥となっています。

紙垂とは

しめ縄から垂れ下がっている、白い紙は何なのかご存じですか?
お正月に飾る「鏡餅」にもついている、あのギザギザした紙は「紙垂(しで)」といいます。

特徴的な形は稲妻を表しているとも呼ばれ、雷の語源は「神鳴り」からきており、雷には邪悪なものを追い払い、豊作をもたらす力があると古来より信じられてきました。
また雷が多い秋の時期に稲が実るため、雷と豊作を結びつけて考えていたようです。

しめ縄の向きは決まっている?交換時期はあるの?

しめ縄をつける向き

しめ縄は「左縄」(反時計回りにねじったもの)が多く、ねじったときに太い部分が向かって右に来るような向きで飾るのが一般的です。
これは、古来より「左が神聖・右が俗」と考えられてきたことから、神様から見て左に太い方が来るようにするためです。

ですが、しめ縄を飾る向きは地域によって異なり、出雲大社では太い部分を左側にして社殿に飾っています。

しめ縄をつける向き

ちなみに「左が上位、右が下位」という考え方は、現代でも様々なところでみられます。
たとえば、神社の手水舎で手を洗うときは、左から洗いますよね。
神楽は左足から踏み出し、盆踊りでは左回りに踊ることが多いのも、この考え方がもとになっています。

◆プチ雑学◆

なぜ出雲大社は逆なのか。
実は出雲大社は元来、右を上位・左を下位と考える今の神道とは逆の考え方だったようです。実際に、現在本殿に祀られている5柱の神様のうち、一番の位の天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)が一番左に祀られています。

しめ縄を飾る期間・交換の時期

神様は新しいもの好きと言われているため、神様の神聖な居場所を表すしめ縄は、定期的に新しく清らかなものに交換する必要があります。

自宅の神棚につけるしめ縄は、一年に一度、12月29日(二重苦につながる)と31日(一夜飾りになる)を避けた、年末の時期につけかえます。

一方、神社の大きなしめ縄の交換時期や頻度には、特に決まりはありません。
それぞれの神社によって異なっており、年末の時期や例大祭に合わせてとりかえる、数年に一度のみ交換、あるいは何十年も交換しない神社もあるようです。

しめ縄の種類

しめ縄には、形や素材によっていくつかの種類があります。

形の違い

しめ縄には、次の3つの形があります。

・鼓胴型

鼓胴型は、中央が最も太く端にかけて細くなっていく形です。
先ほどご紹介したように、しめ縄は太い部分が向かって右に来るように飾るのが一般的ですが、この形は左右対称のため、設置する向きを考慮しなくてもよいのが特徴です。
神社の鳥居や社殿、手水舎、家の神棚などのさまざまな場所でみられます。

鼓胴型

・牛蒡(ごぼう)型

牛蒡型は、その名のとおりごぼうのような細長い形をしています。
藁などを一方向にねじって作り、片方が太く、もう一方が細いのが特徴です。

牛蒡(ごぼう)型

牛蒡型と同じような形で、縄がより太いものは「大根型」と呼ばれています。
しめ縄を牛蒡や大根の形にした理由は、豊作を祈願したことによると考えられています。

・一文字型

一文字型は、一本線を書いたような、端から端までが同じ太さの形です。

素材の違い

しめ縄の素材には、一般的には稲藁が多く使われていますが、地域でとれる植物によって様々な違いがあります。

出雲地方では、真菰(まこも)を使ったしめ飾りが多く飾られています。
その理由は、真菰は出雲大社のしめ縄や茅の輪に使用されており、夏場には無病息災を願う「真菰の神事」が行われるためだとか。

素材の違い

北海道や東北など、寒さが厳しく稲作が難しい地域では、菅(すげ)が多く使われています。

そのほかの素材として、麻やい草などが使われる地域もあります。

「しめ縄」と「しめ飾り」の違い

お正月に自宅の玄関や神棚などに飾る、一般的に「しめ縄」と呼ばれているものは、正式には「しめ飾り」または正月飾りともいいます。
それでは、「しめ縄」と「しめ飾り」の違いはなんでしょうか?

縁起物の飾りの有無

しめ縄としめ飾りの違いのひとつめは、縁起物の飾りの有無です。

しめ飾りには、縁起のいい飾りをつけるのが一般的です。
橙(ダイダイ:家運隆盛)や裏白(ウラジロ:不老長寿)、タイなどの縁起のいい飾りをつけることで、歳神様をお迎えするおめでたい気持ちや、家運隆盛や健康長寿などの願いを込めています。

縁起物の飾りの有無

しめ飾りの形は地域によって大きく異なり、縁起物にもそれぞれ特徴があります。

・北海道「宝章飾り」

北海道の広大な大地を表すような大きなサイズで、飾りにオカメや鯛を豊富に使用

・関東地方「玉飾り」

粋な江戸文化を継承し、橙、裏白、ゆずり葉、タイ、エビ、昆布などの縁起物を多く飾りつける

・関西地方「ゴンボ」

橙、裏白、ゆずり葉、ゴヘイの縁起物を使用したものが一般的

・九州地方「鶴飾り」

藁を鶴のように作り、縁起物の橙、裏白、ゆずり葉を飾りつけるのが特徴

役割の違い

しめ縄としめ飾りの違いのふたつめは、役割の違いです。

しめ縄は、神社や御神木などに祀られている神様の居場所を示しています。
一方、しめ飾りは、お正月に山からいらっしゃる歳神様(としがみさま)をお迎えする目印となるものです。

歳神様は、一年に一度、初日の出とともに山から来訪される神様で、穀物の神様や先祖の霊など、地域によって解釈はさまざまです。
しめ飾りに縁起物が飾られるのは、縁起物や木の葉をあしらうことで、歳神様を歓迎する気持ちを表しているからだと言われています。

場所 縁起物の飾り 役割
しめ縄 神社の社殿や鳥居、
御神木など
なし 神社に祀られている神様(御祭神)の居場所を示す
しめ飾り 自宅の玄関や神棚など あり 山からやってくる神様(歳神様)をお迎えするための目印

しめ縄もしめ飾りも、どちらも神様の神聖な領域を守る結界の役割を果たしています。

現代のモダンなしめ飾り

近頃のしめ飾りは、古き良き雰囲気をまといつつ、モダンでおしゃれなものも多くみられるようになりました。
こちらのサイトでは、和風のお家はもちろん、洋風のお家やマンションなどにもなじむ、モダンでおしゃれなデザインのしめ飾りを多数ご用意しています。

新たな年に歳神様を謹んでお迎えする気持ちで、年末の大掃除の締めくくりとして、しめ飾りを飾ってみてはいかがでしょうか。

神様を想う、その証としての「しめ縄」

神社にあるしめ縄は、どこか神秘的で少しだけ怖いような印象をもつかもしれません。

ですが、それは神様にとって心地よい居場所を作るためのもの。
私たちの暮らしをそっと見守り、ときには勇気をくださる神様を大切にする気持ちの証でもあります。

お正月のしめ飾りもまた、神様を想う気持ちの表れです。
みなさんも新年の喜ばしい日に、一年の幸せを願って神様をお家に招いてみてはいかがでしょうか。

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