だるまの飾り方と供養 ~昨年の感謝と新しい年の希望を願って~

「だるま」と聞いてパッと思い浮かぶのはコロンとした可愛らしいフォルムと色鮮やかなカラーリング、厳しさはあるけれど決して怖くない表情ではないでしょうか。
昔ながらの民芸の代表とも言えるだるま。
だるまの存在は知っていても、その文化や供養についてご存知の方は少ないのでは…
今回はそんな「だるま」の飾り方と供養についてご紹介します。

江戸時代から親しまれているだるま

だるまの飾り方は?目はいつどっちに入れるの?

だるま

だるまとは中国の唐の時代の玩具が日本に伝えられ、形を変えながら時を経て江戸時代に「起き上がり達磨(だるま)」が誕生しました。
達磨が当時の偉いお坊さん「達磨大師」の名前であったこと、滅多に倒れず倒れてもすぐに起き上がることから縁起が良いとされ、人々はだるまに願いを託していました。

現在、国内随一の生産量の「高崎だるま」が有名ですが、生産地によって特徴や雰囲気が異なるだるまがたくさん販売されています。
だるまの置き場所に決まりはありません。お好きな場所に置いて埃などで汚れないように掃除をしてあげてくださいね。

目入れについては諸説ありますが、一般的には最初にだるまの左目に黒目を入れて祈願します。
その後、1年間無事に過ごせたときまたは願いが成就したときに感謝の気持ちをこめて右目にも黒目を入れると言われています。

感謝の気持ちをこめてだるま供養へ

だるまのご利益の期限は1年間と言われています。もし1年間で願いが成就しなくても、だるまの右目に目を入れてから新しいだるまと交換します。
新年や年度の変わり目に新しいだるまと交換し、古いだるまには感謝の気持ちをこめて、お寺や神社、地元のどんど焼きで供養をしたり、だるま市で引き取っていただきましょう。
だるまの由来が仏教の偉いお坊さんである「達磨大師」なのでお寺での供養が1番良いと言う説もあります。

新しいだるまをお迎えしましょう!

だるまは季節に関係なくさまざまな場所で販売されていますが、毎年決まった期間に開催される「だるま市」というイベントがあります。
群馬県高崎市の少林山七草大祭だるま市、東京都調布市の厄除元三大師大祭だるま市、静岡県富士市の毘沙門天大祭だるま市は「日本三大だるま市」として有名です。こちらでは前年のだるまを供養して新たに新年の願いを託すだるまをお迎えする習わしがあり、大小さまざまなだるまが販売されています。
ただ「日本三大だるま市」は開催期間が短く遠方でなかなか行けないと言う方もたくさんいらっしゃいますよね。
そんなときは、お近くのお店やオンラインショップでご自身の願いに合ったお気に入りのだるまを見つけましょう。ご利益はどこで購入しても変わりませんし、願いを込めて一年を大切に過ごそうという気持ちが大切です。

だるま供養ってどんなことするの?

だるま供養・お焚き上げとは?

だるま供養とは、1年間自宅や職場などに飾っていただるまに感謝の気持ちをこめてお寺や神社などに納め、お焚き上げをしてもらうことです。
「お焚き上げ」は一般的な「焼却」とは意味が異なります。1年分の思いや願いがこもっただるまをお寺や神社などに預けて護摩の火で焚き上げて天にお還しするのが「お焚き上げ」です。
だるまに託した思いや願いをお焚き上げで天に届け、次なる願いをお焚き上げ供養に託すことで明るい人生が歩めるという説もあります。

群馬県のお焚き上げ供養祭

群馬県達磨製造協同組合が実施したお焚き上げ供養祭に参加しました。
一年間役目を果たした、だるまが積み上げられ、地元の方や役員の方に見守られながらお焚き上げが行われました。

だるま
願いが集まった大きな達磨が2つ

毎年開かれる高崎だるま市で「願い事を自由に書くことができる巨大だるま」として置かれていたものだそうです。大きさは2mほど。
2日間でこれだけの寄せ書きが集まるのを見ると、日本人のだるまに込める思いが詰まっているように感じます。みなさんの願い事がたくさん書かれていて、その願いが届くようにお焚き上げされていきます。

だるま
供養場の様子

組合員の方々が作った丸いくぼみ。
供養はだるまだけでなく、招き猫や注連縄なども一緒にお焚き上げされます。

だるま

一周ぐるりと周り、だるまにお酒や塩を撒いてお浄めしながら行っていました。
参加者全員でだるまに向かって手を合わせて供養します。
その後、だるまに火がつけられます。

※だるまは起き上がりができるように、底に金属が入っている為、お焚き上げ前に全て抜かれてから詰まれます。

だるま紹介

新しい年を一緒に過ごしたくなる個性あふれるだるまたちをご紹介します。

カラフルで可愛い「豆無地だるま」

だるま

福島県白河市の「白河ダルマ」を豆サイズ(縦5cm、横4cm)に。
ひとつひとつ色に意味があり、好きな色や叶えたい意味で選べます。
コロンとしたフォルムが可愛らしく、贈り物にもおすすめですよ。

お風呂好きな方に「湯のだるま」

だるま

だるまの産地、群馬県高崎市で作られた「高崎だるま」別名「福だるま」「縁起だるま」とも呼ばれています。
水玉が印象的な「湯だるま」 のぼせ顔の「お猿だるま」転んでも起き上がる縁起物ですよ。

まとめ

1年間飾っていただるまには、無事に過ごせたこと、願いが成就したこと(残念ながら願いが成就しなかった場合も)などに対して「今までありがとう」と感謝の気持ちをこめて、お寺・地元のどんど焼き・だるま市などに納めてだるま供養をしましょう。

新しいだるまをお迎えしたら「これから1年間よろしくね」という気持ちで願い事をして、ときどきだるまの埃を掃除してあげるとだるまのご利益があるかもしれませんよ。
だるまの飾り方や供養などを知ってだるまを身近に感じた方は、新年からだるまデビューしてみませんか?

だるま
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