掲載日：2023.12.30

ハワイの“ティキ”って何？～ポリネシア文化に見る幸せの神様～

Aloha! こんにちは。
新たな年を迎えるこの時期は、一年を振り返る時。
来年こそは良い年にしたい!　幸せになりた～い！などなど夢と希望にワクワクしますよね。

ところでハワイの“ティキ”ってご存知ですか？
ハワイを訪れたことのある方は、お店の前や美術館などで一度はティキを目にしたことがあるかもしれません。

今回は、ハワイやハワイの人々にとって大切なティキについて、歴史や文化、そして私たちにどんな影響を与えるものなのか。
そのあたりをじっくり掘り下げてみたいと思います！

ハワイのティキとは？

ティキの歴史～ポリネシア文化との関わり

ハワイと深い関わりを持つと言われるティキ。
ハワイの人々は、その地に根付く神々を崇拝してきました。
その中でも特に慕われてきたのが、ティキの神様です。

❇ティキってハワイ語じゃない？～元祖はポリネシアン⁉

“ティキ”という呼び名。実はハワイ語ではないんです。
ではこの言葉、いったいどこからやって来たのでしょう？

さて、ここまで読んできたけれど、結局、ティキって何？
そんな声が聞こえてきそうです。
ズバリお答えします！

ティキ＝ハワイ神話の神様たちをモチーフにした木彫りや石で作られた“神の像”

ティキはニュージーランドのマオリ族の言葉。
マオリはニュージーランドの先住民族で、約1000年前にポリネシア諸島のハワイキという場所から来たと言われています。
（マオリ族と言えば、ラグビーの試合などで有名な伝統舞踊ハカですね。）

マオリ族をきっかけとし、ポリネシア諸島に広まっていったティキは、ポリネシアン文化の象徴といっても過言ではありません。
古代ポリネシア時代の人々は、ティキを偶像として家に祀ったり、身に付けたりして崇めていたと言います。
数あるポリネシアの神話の中で、ティキは“地球で最初の人間”を表していると記されています。

ティキはハワイ語でなんて言うの？

ハワイの人々は、ティキ（Tiki）のことを“キー（Ki`i）”と呼んでいます。
（ハワイ語にはTi（ティ）の発音が無いため、また、Tの音がKに代わるという説から、“キー”と呼ばれています。）

また、キーやティキは人を模した像を意味するため、ティキ（キー）の正式名称は、

“アクア・キイ” ＝ “神の像”
（アクアはハワイ語で神様を意味します。）

❇ティキ作りは神聖な作業＝“神事”だった！

ティキは、古代ハワイ人が建設したヘイアウに祀られ、崇拝されてきました。
ヘイアウを建てるのに使用する木には、魚や豚、バナナやヤシの実などの供物が捧げられ、ティキ作りの際にも神々に対する祝宴が開かれていたのだとか。
そして、一部のティキはヘイアウに祀られる際に、3人が人身御供されていたと言います。
こうして見てみると、ヘイアウやティキ作りは神聖な作業、つまり神事そのものだったことが伺えますね。

❇カメハメハ2世によって抑圧されてしまった悲しい過去…

ティキがハワイに伝えられたのは、宗教やその信仰を広めるため。
ハワイの人々は、ティキの姿で表現された多くの神々を純粋に崇拝していたと言います。
しかし、カメハメハ大王が亡くなった1819年の宗教改革では、カメハメハ2世によってティキや多くの宗教的表現が抑圧されることに。
その結果、多くのキー（ティキ）が破壊されてしまったという悲しい過去がありました。

ティキの象徴的な意味～“マナ”との関係～

ティキには“マナ”が宿るといわれています。
マナとは、ハワイ語で“人も自分も幸せにする魂やエネルギー”。
ハワイの人々は、万物にはマナが宿ると考えてきたため、強いマナを持っていれば、困難にさえも立ち向かえると信じてきました。

このような信念からもティキには、
幸せを運び、不運や災いを遠ざけ守ってくれる
といった意味が込められており、魔除けやお守りとしても親しまれています。

ハワイの四大神のティキの紹介

ハワイのティキの代表と言えば、ハワイ神話に出てくる四大神を表したもの。
ハワイの人々によって厚く信仰されている、素晴らしき神様たちなんです！

カナロア（KANALOA）

最高位の神、海の神、黄泉の神

（見た目）：頭が長く四角い感じ
水や海を司り、ハワイの人々にとっては大切な神。
ポリネシアの大半の地域ではタンガロアと呼ばれ、最高位の人気な神様です。

カーネ（KANE）

創造の神、神羅万象の神、男性神

（見た目）：リボンのような顔
カーネはハワイ語で男性を意味します。（女性はハワイ語でワヒネ）
あらゆる生命を司ることから、四大神の中ではリーダ的な存在で、優れものと言われている神様。
死者を蘇らせる「カネの水」という伝説も有名です。

クー（KU）

森・山・戦いの神

（見た目）：大きく開けた口と表情は怖め⁈
戦いの神様と言われ、最も恐れられていたとされる神。
カメハメハ大王が崇拝し、人間の生贄を捧げていた神という言い伝えもあるとか。
ハワイ語で“KU”は、立ち上がるという意味を持つことから、何があっても負けない強さを持つ神様だとも言われています。

ロノ（LONO）

豊饒の神、農業の神

（見た目）：頭上には船の帆のようなものがある
愛と平和をもたらし、ハワイの人々に大人気の癒しの神様。
また、豊穣を司る古代ハワイの最大の収穫祭マカヒキの主神とも言われています。

ティキの種類や表情の意味

ティキには四大神のみならず、その他沢山の種類が存在しているのをご存知ですか？

❇ティキの種類は大きく分けて3つある

特定の神様をあらわすもの
子孫繁栄や豊穣を願って作られたもの
魔除け・厄除けとして作られたもの

一つ目の特定の神様とは、ハワイに宿ると言われる神々のこと。
例えば、火の女神ペレや海の神マウイ、太陽の女神ラカなど。
もちろん四大神（クー、カーネ、カナロアとロノ）も含まれます。

二つ目は、子宝や豊作を願って作られたティキ。

三つ目は、災難や悪霊などから身を守るために作られたティキです。

この3タイプは更に細かく分けられるため、無数とも言えるティキが存在するのには驚かされます。

❇ティキの表情はバリエーション豊か！

守護を表すティキ：目が上を向いている
幸せをもたらすティキ：目が下を向いている
幸福を表すティキ：笑顔
平和をもたらすティキ：口を開けている

また、舌を突き出したティキは、戦闘を意味するのだとか…
その他、様々な表情を放つティキが存在しています。

穏やかな空気に包まれたい時、何か勝負事の時などなど、今自身に必要なティキはどんなタイプでしょうか？
是非参考にしてみて下さい。

ハワイのティキに関連する文化

ポリネシアン文化との関係～ティキの種類や表情～

ニュージーランドのマオリ族をきっかけに、ポリネシアの人々によってハワイに伝えられたティキ。
ティキは、ポリネシアの歴史や文化を伝承すべく貴重な遺産の一つとも言われ、世界中で注目されているんです。

また、ハワイには、ポリネシアの文化やハワイへ与えた影響などなど、様々な角度から学んで楽しめる“ポリネシアカルチャーセンター”もあります。
センターの入り口では、巨大なティキがお出迎え！
ティキのみならず、ポリネシア文化をもっと深く知りたいという方には、とてもおすすめの場所です！

ティキはハワイを象徴するアート

長い歴史を経て受け継がれてきたティキ。
現在では、アートとしても注目されています。

ハワイのティキは手作りの木彫りがほとんど。
（古代ハワイでは石や羽毛、サンゴやウニの棘に彫られたものもありました。）
一つ一つに祈りが込められ、大切に作られているティキ。
個性的な表情には、親近感さえ湧いてくるでしょう。
伝統文化としてはもちろん、ハワイ芸術の象徴として存在するのがティキなんです。
ハワイでは家の玄関前や部屋の中、オフィスやお店などいたる所に飾られていたり、ティキをモデルにした絵画や写真、イラストなども見かけます。

幸運や豊さをもたらすと信じられ、魔除けや厄除けとしても人気のティキは、その役割だけでなく、ハワイを象徴するアートそのもの!と言っても過言ではありませんね。

伝統的な信仰や神話とのつながり

信仰とのつながり

ハワイの信仰と言えば、自然崇拝“アニミズム”。
自然を敬う中で神々を見出し、共存しながら命を繋いできた古代ハワイアン。
ハワイの人々は大自然に宿る神々を擬人化し、信仰の対象としてきました。
そして今でも尚、その伝統は大切に受け継がれています。

神話とのつながり

数あるハワイの神話の中で、最初に登場したのが先にご紹介した四大神。
クー、カーネ、カナロア、ロノの四大神はこの世の創造主であり、遥か遠い世界から精霊たちと共にやってきたと伝えられています。
神話によると、海の神カナロアと創造の神カーネはとても仲が良く、2人は人間に姿を変え、島々巡りを楽しんでいる場面もあるのだとか！
きっとハワイの人々を災いから守り、幸せを運ぶ旅なのかもしれませんね！