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壁に描く邪視よけのアート~スルクジャの壁画~
インドの村落には家の内外の壁に壁画を描く習慣が残っています。マドバニ地方のミティラ絵画、グジャラト州の白いレリーフ壁画などは、もう日本でもよく知られた民芸です。ただ内陸部のデカン高原のスルクジャ地方の壁画はまだまだ知られていません。スルクジャ地方はデリーから飛行機で2時間ほどのライプールという町から、さらに車で350キロメートル北へ走ったところにあります。
村のほとんどの家には、その家の主婦によるいかにも民芸らしい絵が美しい彩色で描かれています。壁画が描かれるのは基本的には家に入った最初の土間の部屋と、そこから入る四角い中庭を囲む廊下の壁面です。壁画には孔雀やワニ、あるいは猿や人を遊ばせる樹木や鹿や、なかにはガネーシャやクリシュナといったヒンドゥーの神々、ここらでは牛の神様とされているラクシュミなどが、それぞれの家の主婦たちの感性で描かれています。こういう家に入っていくとおとぎ話の国に紛れ
2022.03.06
ロケットの中に想いを込めて。願いを叶えるアクセサリー
インドから中近東にかけて、回教徒やヒンドゥー教徒のあいだにタビーズという名のお守りがあります。
ネックレスやヒップベルトそしてブレスレット状のものにロケットがついたものです。
中には回教徒ならコーランの文句、ヒンドゥー教徒なら「オームナモ シバイェ(シヴァ神の唱えかた)」などのマントラ(真言)を書いた紙を入れています。
もちろん人によってさまざまなバリエーションがあります。
ニール(34歳)という女性が妹のニーナ(27歳)とともにこのタビーズについて語ってくれました。
パキスタンからデリーに脱出して来た家族に生まれたニールは、政府給費の日本留学の経験があり、なめらかに日本語をしゃべり理解します。
眉のはっきりした、明るく元気のよい美人で、いつも活発に動いているという印象です。
「妹は引っ込み思案で試験のときなんかすぐ上がってしまうタイプ。神経質にあれこれ考えすぎて実力の半分も出せずに悪い成績ばかり取っていたの。
2022.02.24
【世界の不思議なお守り】テラコッタ
南インドには、馬や牛の形をした巨大な陶器のお守りがあると聞いていました。
タミール・ナドゥー州にアイアナール・テンプルという独特のお寺がたくさんあり、その境内にずらりと並んでいるというのです。
9月。ちょうど田植えの時期です。
娘たちが華やかな衣装を着てたんぼで働くのを見ながら、街道をどこまでも車で走りました。
左に原っぱが見えたと思ったら茶色の馬の群れが目に飛び込んできました。
ここがそのアイアナール・テンプルのようです。
別に御堂もなく、境内は広い草っぱらです。
馬は人の身長の2倍はありそうな見上げるほどの大きさで、胸を反らし堂々と立っています。
5頭並んでいて、さらに反対側の草原のほうにはひとまわり小さい馬と牛が一列に並んで境界を仕切っていました。
2022.02.08
【世界の不思議なお守り】ジャナイ
赤や、黄色や、緑にそれぞれ段染めにした3本の糸を、よじって作ったひも。
これが手首に数回巻かれただけの素朴なブレスレットを初めて見たのは、インドのデリーで開かれた、とあるパーティーの席でした。
隣り合わせたおじいさんが右手につけていたのです。
「これはモウリと言ってね、このあいだ、おばあさんの年周忌のプージャ(祈りのセレモニー)のときにプリースト(僧)からつけてもらったんだよ」
とおじいさんは説明していました。
身につけているあいだ、プージャの祝福が身にとどまっているのだそうです。
だからなるべく長くつけておいて、切れてしまったり外れてしまったら人の足に踏まれないよう家の中の鉢の土に埋めるそうです。
なくなるとすぐまたお寺に行ったりプリーストに会ってつけてもらいます。
帰国後、おじいさんの息子から丸く束ねられたモウリのひもが贈られてきました。
2022.02.02
【世界の不思議なお守り】カチナ
ホピ族が住むションゴパビの村の入口には「すべてのセレモニーはインディアンでない者には見せられない」という看板が立っていました。
お守りなどについても秘密だと言われることが多く、「祈りの羽根」の写真んですら撮るのが大変だったのです。
ホピの人たちはカチナと呼ばれる精霊の行事を中心に、1年を通して季節季節のお祭りをやってきました。
カチナとは、ホピのお祭りに出てくる数百もの先祖の精霊のことです。
強力なパワーを持ち、雨乞いや病気の克服、作物の豊作、はては地球の平和のために呼び出される神々です。
12月の新年に始まり、毎月決まったカチナのダンスがホピの村々で行われ、7月はそのしめくくりに精霊たちがもとの世界に帰っていく夏至の祭り(ニーマンダンス)が行われます。
村人たちは世界の調和と存族のためにキーヴァという神殿で神々に祈ります。
キーヴァは一見民家と変わらない一階建の平屋ですが、地下があり1階の天井に穴が開いています。
2022.01.27
【世界の不思議なお守り】悪い夢を退治するドリームキャッチャー
夢を持ち、悩みを抱えて生きている人間にとって、小さなお守りは常についてまわります。
それは昔から変わらないことですが、最近は国内のものだけでなく、海外のものにも関心が持たれています。
つまり外国のお守りも親しまれて普及してきているのです。
ここでは、アミナコレクションの創業者・進藤幸彦が出版した『世界の不思議なお守り』より、様々なお守りをご紹介していきます。
2022.01.20
チャイハネ
象の顔をした神様を海に流す祭り
インドの有名な神様、ガネーシャ。象の顔と人間の身体をしたこの神様のことを、皆様も一度は目にしたことがあるかと思います。とても印象的な見た目をした神様ですが、なぜ顔が象で身体は人間なのか、その理由はご存じですか?さて今回は、アミナコレクションの創業者、進藤幸彦が出版した『世界の不思議なお守り』より、ガネーシャの誕生にまつわる神話と、盛大に行なわれる祭りについて書かれていますので、ご紹介いたします。
2022.01.09
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村のほとんどの家には、その家の主婦によるいかにも民芸らしい絵が美しい彩色で描かれています。壁画が描かれるのは基本的には家に入った最初の土間の部屋と、そこから入る四角い中庭を囲む廊下の壁面です。壁画には孔雀やワニ、あるいは猿や人を遊ばせる樹木や鹿や、なかにはガネーシャやクリシュナといったヒンドゥーの神々、ここらでは牛の神様とされているラクシュミなどが、それぞれの家の主婦たちの感性で描かれています。こういう家に入っていくとおとぎ話の国に紛れ