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夢を持ち、悩みを抱えて生きている人間にとって、小さなお守りは常についてまわります。
それは昔から変わらないことですが、 最近は国内のものだけでなく、海外のものにも関心が持たれています。 つまり外国のお守りも親しまれて普及してきているのです。
ここでは、アミナコレクションの創業者・進藤幸彦が出版した『世界の不思議なお守り』より、様々なお守りをご紹介していきます。
第三弾となる今回は、ネイティブアメリカンの秘密のお守り、カチナをご紹介いたします。
アメリカ合衆国・アリゾナ州 ~ホピ族のダンスが呼ぶ数百もの精霊~
ホピ族が住むションゴパビの村の入口には「すべてのセレモニーはネイティブアメリカンでない者には見せられない」という看板が立っていました。 お守りなどについても秘密だと言われることが多く、「祈りの羽根」の写真んですら撮るのが大変だったのです。
ホピの人たちはカチナと呼ばれる精霊の行事を中心に、1年を通して季節季節のお祭りをやってきました。
カチナとは、ホピのお祭りに出てくる数百もの先祖の精霊のことです。 強力なパワーを持ち、雨乞いや病気の克服、作物の豊作、はては地球の平和のために呼び出される神々です。 12月の新年に始まり、毎月決まったカチナのダンスがホピの村々で行われ、7月はそのしめくくりに精霊たちがもとの世界に帰っていく夏至の祭り(ニーマンダンス)が行われます。
村人たちは世界の調和と存族のためにキーヴァという神殿で神々に祈ります。
キーヴァは一見民家と変わらない一階建の平屋ですが、地下があり1階の天井に穴が開いています。 カチナたちはここからはしごを使って出入りします。
男子と女子のキーヴァは別で、男子のキーヴァでは男たちがしょっちゅう集まって月ごとの祭りの準備や討論をしたり、喫煙したり、男の仕事である織物やカチナ人形作りに精を出します。 この半暗闇こそホピの人たちの精神のよりどころなのです。
ウォースさんは私たちの訪ねた水曜日の午後からキーヴァに入り、土曜日のニーマンダンスに向けて、毎夜遅くまで準備に追われていました。 何をしているかと聞くと衣装を準備したり、喫煙したり、祈ったりだというのです。 何しろ彼らにとってこの世はスピリットと交歓できる至上の世界なのです。
私が彼らのかぶるマスクについて質問しようとすると怒られました。 マスクではないというのです。 それは精霊そのものであって、そのようにパーツを個別に取り上げることは許されないのです。 祭りの当日はカメラも質問も許されません。
ダンスは夜明けとともに始まります。 夜明けというので4時半ごろからかと思いましたが、ウォースさんは6時半ごろといいます。 それでも少し早めの6時ごろに村に行ってみると、やはりすでに村じゅうに車があふれていてやっと駐車できました。
村の南側の台地は開けていて、太平洋が遠くの山並みまで続いています。 その台地の開けたところにびっしりと車が止まっていて、手にとうもろこしを抱えた男たちがいました。
私たちは近くの屋根の上に見物人が並んでいるのを見つけて、そこに立て掛けてあるはしごを上りました。反対側は家に囲まれた広場でした。 やがてコロンコロンという音がして男たちがぞろぞろ登場してきました。 上半身裸で黒く塗られた背中に渦巻き模様が描かれ、顔には青っぽい仮面をかぶっています。
崖の向こうにキーヴァがあると見えます。 仮面の絵柄は、細長い目といい口といい、何か抽象的で宇宙人のような印象さえあります。
この男たちは、先ほどの広場の外の男たちからとうもろこしを受け取り、それを広場に運び込んで静々と積み上げる、仮面の作業員でした。 右足につけた亀の甲羅が歩くたびに乾いた音を出し、左足にくくりつけられた鈴も鳴り響きます。
やがて男たちは広場を囲んで一列になりました。
次に登場したのは、白い仮面を被り白っぽい衣装に身を包み、髪をみずらのように見せた人たちで、別の列を作って男たちの列と向かい合います。 カチナ・マナといって少女役の人たちです。
彼女たちはひょうたんを彩った円い楽器を床に置き、ささら状のそれに乗せ、骨のようなものでこすりました。するとゲロゲロゲロと蛙の声のような音が聞こえて来るのです。 男たちもやはり右手にひょうたんのマラカスを持ち、いっせいにザッザッと鳴らし、低い唸り声をあげながら体を揺すります。
ゲロゲロザッザッの繰り返し。 これは完全に雨乞いの儀式です。
ひとしきり踊った後、彼らはそれぞれまた静かにとうもろこしを抱えてまわりの見物人に分けていきます。 今年最初の収穫だそうです。 踊りは日暮れまで続きました。
他の村でもニーマンダンスをやっているというので見てまわって来ました。 広場に集められたうりや西瓜やパンやピキ(とうもろこしの煎餅のようなもの)を配られたときは私たちもごちそうになりました。
また別の村では、とうもろこしの多くにカチナの形をした木製の人形がくくりつけられていて、ホピの女の子たちに渡されていました。 男の子にはカラフルに彩られた弓と矢でした。 得意そうな子供たちの笑顔を見ていると、端午の節句やひな祭りを思いだしました。
こうして世界の調和を図るというカチナの行事が伝承されていくのです。
夢を持ち、悩みを抱えて生きている人間にとって、小さなお守りは常についてまわります。
それは昔から変わらないことですが、
最近は国内のものだけでなく、海外のものにも関心が持たれています。
つまり外国のお守りも親しまれて普及してきているのです。
ここでは、アミナコレクションの創業者・進藤幸彦が出版した『世界の不思議なお守り』より、様々なお守りをご紹介していきます。
第三弾となる今回は、ネイティブアメリカンの秘密のお守り、カチナをご紹介いたします。
カチナ
アメリカ合衆国・アリゾナ州 ~ホピ族のダンスが呼ぶ数百もの精霊~
ホピ族が住むションゴパビの村の入口には「すべてのセレモニーはネイティブアメリカンでない者には見せられない」という看板が立っていました。
お守りなどについても秘密だと言われることが多く、「祈りの羽根」の写真んですら撮るのが大変だったのです。
ホピの人たちはカチナと呼ばれる精霊の行事を中心に、1年を通して季節季節のお祭りをやってきました。
カチナとは、ホピのお祭りに出てくる数百もの先祖の精霊のことです。
強力なパワーを持ち、雨乞いや病気の克服、作物の豊作、はては地球の平和のために呼び出される神々です。
12月の新年に始まり、毎月決まったカチナのダンスがホピの村々で行われ、7月はそのしめくくりに精霊たちがもとの世界に帰っていく夏至の祭り(ニーマンダンス)が行われます。
村人たちは世界の調和と存族のためにキーヴァという神殿で神々に祈ります。
キーヴァは一見民家と変わらない一階建の平屋ですが、地下があり1階の天井に穴が開いています。
カチナたちはここからはしごを使って出入りします。
男子と女子のキーヴァは別で、男子のキーヴァでは男たちがしょっちゅう集まって月ごとの祭りの準備や討論をしたり、喫煙したり、男の仕事である織物やカチナ人形作りに精を出します。
この半暗闇こそホピの人たちの精神のよりどころなのです。
ウォースさんは私たちの訪ねた水曜日の午後からキーヴァに入り、土曜日のニーマンダンスに向けて、毎夜遅くまで準備に追われていました。
何をしているかと聞くと衣装を準備したり、喫煙したり、祈ったりだというのです。
何しろ彼らにとってこの世はスピリットと交歓できる至上の世界なのです。
私が彼らのかぶるマスクについて質問しようとすると怒られました。
マスクではないというのです。
それは精霊そのものであって、そのようにパーツを個別に取り上げることは許されないのです。
祭りの当日はカメラも質問も許されません。
ダンスは夜明けとともに始まります。
夜明けというので4時半ごろからかと思いましたが、ウォースさんは6時半ごろといいます。
それでも少し早めの6時ごろに村に行ってみると、やはりすでに村じゅうに車があふれていてやっと駐車できました。
村の南側の台地は開けていて、太平洋が遠くの山並みまで続いています。
その台地の開けたところにびっしりと車が止まっていて、手にとうもろこしを抱えた男たちがいました。
私たちは近くの屋根の上に見物人が並んでいるのを見つけて、そこに立て掛けてあるはしごを上りました。反対側は家に囲まれた広場でした。
やがてコロンコロンという音がして男たちがぞろぞろ登場してきました。
上半身裸で黒く塗られた背中に渦巻き模様が描かれ、顔には青っぽい仮面をかぶっています。
崖の向こうにキーヴァがあると見えます。
仮面の絵柄は、細長い目といい口といい、何か抽象的で宇宙人のような印象さえあります。
この男たちは、先ほどの広場の外の男たちからとうもろこしを受け取り、それを広場に運び込んで静々と積み上げる、仮面の作業員でした。
右足につけた亀の甲羅が歩くたびに乾いた音を出し、左足にくくりつけられた鈴も鳴り響きます。
やがて男たちは広場を囲んで一列になりました。
次に登場したのは、白い仮面を被り白っぽい衣装に身を包み、髪をみずらのように見せた人たちで、別の列を作って男たちの列と向かい合います。
カチナ・マナといって少女役の人たちです。
彼女たちはひょうたんを彩った円い楽器を床に置き、ささら状のそれに乗せ、骨のようなものでこすりました。するとゲロゲロゲロと蛙の声のような音が聞こえて来るのです。
男たちもやはり右手にひょうたんのマラカスを持ち、いっせいにザッザッと鳴らし、低い唸り声をあげながら体を揺すります。
ゲロゲロザッザッの繰り返し。
これは完全に雨乞いの儀式です。
ひとしきり踊った後、彼らはそれぞれまた静かにとうもろこしを抱えてまわりの見物人に分けていきます。
今年最初の収穫だそうです。
踊りは日暮れまで続きました。
他の村でもニーマンダンスをやっているというので見てまわって来ました。
広場に集められたうりや西瓜やパンやピキ(とうもろこしの煎餅のようなもの)を配られたときは私たちもごちそうになりました。
また別の村では、とうもろこしの多くにカチナの形をした木製の人形がくくりつけられていて、ホピの女の子たちに渡されていました。
男の子にはカラフルに彩られた弓と矢でした。
得意そうな子供たちの笑顔を見ていると、端午の節句やひな祭りを思いだしました。
こうして世界の調和を図るというカチナの行事が伝承されていくのです。