最高気温は70度超!世界一暑い国「ジブチ」のビックリ体験談

今回は灼熱の国・ジブチ共和国のビックリなエピソードをお届けします。アフリカ大陸にあるジブチ共和国は、世界で一番暑い国として有名。

聞いたことない?いいえ、そんなことはありません!
日本とは縁もゆかりもないように思えるジブチですが、実は日本の自衛隊基地があるんです(それも自衛隊、唯一の海外拠点地)。だから、注意深くニュースを見聞きしていると意外とジブチの名前を耳にできますよ。

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暑くて蚊も飛ばない

灼熱の国・ジブチは、世界で一番暑い国と言われています。
冬でも気温が30度以下になることは滅多になく、真夏ともなれば50度超えも当たり前。なんと最高気温に71.5度!を記録したこともあるのだとか(70度はサウナレベルの暑さです)

このほかにも、昼間は暑すぎて蚊も飛ばないとか、飛んでいる鳥が失神するとか、プールが沸いて熱湯になるとか、ビックリエピソードには事欠きません。

私がこの国を旅行したのは3月と少し暑い時期ではありました。
ジブチはもう、とにかく暑い国です。空気は乾燥していてカラカラ。ギラギラ輝く太陽は日本のそれとはレベル違いの強さをもっていて、日中は陽の光の下に5分と立っていられません(太陽の熱によって、肌が刺されるような痛みに襲われます)。

乾燥しているというより、乾燥しきった大地にも風は吹きますが、それは心地よい風ではなく熱風。ムワッとした、息を吸うのをためらってしまうような重く熱い風です。

毎年夏になるとインド周辺で、熱波による死者が多数出たというニュースを見ますが、熱波といっても風でしょ?とイマイチ理解できていなかった私は、世界で一番暑い国ジブチで熱風を浴び、理解しました。
サウナの中で息を吸うような、肺が空気の暑さで痛むような、そんな風が世界には存在するのだと。「もっと強くもっと暑い風が吹いてきたら…死んでしまうかも」そう思わせてくれる体験でした。

ジブチの異常な暑さを伝えるエピソードをもう一つ。
安宿に泊まった翌朝、「こんな良い天気ならタオルも乾くかな?」と思ってバスタオルを手洗いしました。水に濡れたベタベタのバスタオルを手で絞ることもせず、「干す場所を探す少しの間だけだから」と、なんとなくプラスチックでできた椅子の背にタオルをかけました。

そのままバスタオルを干せそうな場所を探し振り返ると、なんと椅子の背でバスタオルはカラカラに乾いていたのです。その時間3~5分。アッという間に乾いてくれるだろうとは思いましたが、まさかものの5分で乾くとは…。あれ?と記憶違いを疑うほどの出来事でした。

サイの形をしているアフリカ大陸の〝角〟にある小国〝ジブチ〟サイの形をしているアフリカ大陸の〝角〟にある小国〝ジブチ〟

避暑地=お隣りの国

ジブチ共和国は、〝サイ〟の頭の形をしているアフリカ大陸の〝角〟の付け根あたりに位置する小さな国です。ソマリアやエチオピアといった大国に挟まれた小さな小さな国で、大きさは日本の四国をちょっと大きくしたほどしかありません。

資源もなく特出した技術もなく、あまり豊かではないこの国で、私は一人の優秀なガイドさんに出会いました(交通手段が0に等しいこの国では、観光客は移動のために運転手さんやガイドさんを雇わなければなりません)。

彼はエチオピアの大変優秀な大学を卒業したばかりの青年でした。年齢は聞きませんでしたが、20代前半でしょうか。彼と夕食をとっていた時のことです。

「エチオピアの大学に行ったって聞いたけど。どうして、わざわざ隣りの国に?」
「お母さんの故郷だからだよ。お母さんはエチオピア出身なんだ」
「そうなんだ。大学を出て就職でジブチにきたの?」
「違うよ。お父さんはジブチの人だよ。だから小さいころからジブチにいる。大学はエチオピアを選んだんだ」

聞けば彼の父親はジブチの、母親はエチオピアの国の人でした。そしてビックリなことに、彼は季節に合わせてジブチとエチオピア2か国を行き来していました。

「夏のジブチは暑いでしょ。だから夏の間はエチオピアで暮らすんだ。少し暑さが和らいできたらジブチに戻ってくる。小さい頃からずっとそうやって暮らしてきたよ。」

彼の話を聞いていると、彼ら一家にはまるで国境などないようでした。
ビザが大変とか滞在許可証がどうとか、会話にそんな話が出てくることもなく…。ただ単純に「暑い時期は涼しいエチオピアへ、暑さが和らいだらジブチへ。それがベストでしょ?」と。

(余談ですがトルコの南西部を旅した時、「目の前にある島はギリシャ領だから僕らは入れないんだ。許可書を出してもらえないんだよ。」と現地トルコ人に言われたことがあります。(頑張れば)泳いで行ける距離の場所に行けない寂しさ。ヨーロッパと非ヨーロッパを隔てる壁の分厚さ、国境の在り方を考えさせられました。)

島国で生きている私たちからは考えられない、フリーな感覚にビックリしたのを覚えています。

サイの形をしているアフリカ大陸の〝角〟にある小国〝ジブチ〟

キャンディーはあげないで

先ほど紹介した優秀なガイドさんと、旅をしていた時のことです。ジブチはとても貧しい国ですが、首都から離れるとその貧しさは、想像を絶するするほどでした。

水がない。じっと観察すると、ほぼすべての原因はそこにあるようでした。乾ききった大地には植物も育たず、固い砂の上に砂が舞っている寂しい景色が続いていました。

「もう少し走ると子どもたちがいる集落が見えてくる」

砂漠と表現しても良いほどカラカラに乾いた大地を走っていた時に、ガイドさんが言いました。

「そこで少しだけ車を休ませるけれど、絶対に子どもに食べ物を与えないで。」
「いい、絶対に子どもにキャンディーをあげないで」

ガイドさんは諭すように語りかけます。

「しっかり聞いて。君がキャンディーをあげてしまったら、どうなると思う?」

私は虫歯の危険?病院もないからかな?と彼の話を聞きながらも、のんきに考えていました。

「君が子どもにキャンディーをあげたとするよ。そうすると、子どもは『ここに座っていたら、キャンディーを貰える!』と学習するんだ。そして、明日も明後日も学校じゃなく、ここにキャンディーをもらいにくる。例え君が二度とやってこなくても、子どもはキャンディーが欲しいから、学校じゃなくてここにくるようになるんだ。子どもたちは学校に行かなきゃいけないんだ。学ぶ機会を奪わないでくれ」

貧しいジブチで育ち、優秀なエチオピアの大学を卒業した彼のこの言葉。本当の貧しさや貧困から抜け出せなくなる仕組みを身をもって知っている彼だからこそ出てきたのであろうこの言葉。

これまで「日本のお土産にもなるし、仲良くなるきっかけになるし」と、機会さえあればあげても良いかなと思っていた自分が恥ずかしくなる経験でした。

国の発展を考えたら、子どもたちの未来を考えたら、与えるだけではダメなのです。外国人が何も知らずにやってきて貧しい地域に学校を作る。子どもたちは珍しさもあり学校に通う。外国人たちは学校の成功を見るために視察にくる。そして来るたびにお菓子をばら撒く。やがて子どもはお菓子欲しさに学校の外で待機するようになる…。

一体何が助けになるのか。一体どうしたら発展の手助けをできるのか。私が出会ったガイドさんのような優秀な人物が旗振りをしてくれたなら、子どもたちの未来は変わるのではないかと、今は思っています。

出会う子のほとんどが、空のペットボトルを持っていました。灼熱の中、水を汲みにいくの…だよね?出会う子のほとんどが、空のペットボトルを持っていました。灼熱の中、水を汲みにいくの…だよね?

クイズの正解は?!

さて、さかのぼること8ヶ月前。私の旅の体験記【Lucia Travel】の第一回(プロローグ)の掲載時に、こんなクイズを出したの覚えていますか?

“人が住める限界の暑さ”と明言してしまっても良いようなジプチですが、最高気温は何度だと思いますか?

①80度 ②70度 ③65度

長くおまたせしてしまいましたが、皆さん答えは分かりましたか?
正解は今回の記事に記載しました!見飛ばした方は、ぜひ最初から読み返してください。きっとすぐ見つかります。

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R.香月(かつき)プロフィール画像

筆者プロフィール:R.香月(かつき)

大学卒業後、ライター&編集者として出版社や新聞社に勤務。
マイナーな国をメインに、世界中を旅する。
旅先で出会ったイスラム教徒と国際結婚。
出産&離婚&再婚を経て現在は2児の母。
公式HP:Lucia Travel

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