秋を伝える美しい季語! 豊かな景色を俳句やご挨拶に 秋の季語一覧も

秋の景色がありありと浮かんでくるような、そんな季語があります。
山粧う、火恋し、冬隣。

季節のうつろいを、景色に、心持ちに、写し取る季語。
日本で生まれた俳句というごく短い詩の世界を、一気に広げる特別な言葉でもあります。

そんな秋の季語について、使う時期や気をつけたい決まりごとを解説。印象的な秋の季語を一覧にまとめました。
これから冬へと向かう短く美しい季節、秋を映す豊かな季語の数々。
きっと心に止まる言葉が見つかるはずです。

季語とは?秋の季語を使う時期は?

季語とは?秋の季語を使う時期は?

季語とは、俳句や連歌で用いられる、特定の季節を表す言葉をさします。
その季節ならではの空模様や植物、私たちの暮らしにまつわる言葉など、さまざまな内容の言葉が並びます。

季語ってどんな言葉?

季語とは、そのひと言でふとある風景や心持ちを表すことができるちょっと特別な言葉。

俳句では季語を使うことで、その句は秋のはじまりを詠んでいるのか、それとも盛りか、肌寒くなるころなのかがおおよそ定まります。

俳句は五・七・五の十七音。
季語はこの日本独特の文字数が限られた詩に季節感を与えてくれるのです。

そしてその言葉ひとつで、句を目にした人の想像力をかきたて、世界観を一気に広げてくれる言葉でもあります。

秋の季語を使う時期と区分

俳句で秋の季語が使われるのは、旧暦の7・8・9月。
現代の私たちが使う新暦、太陽暦では8・9・10月ごろ、立秋(8月8日ころ)から立冬(11月7日)の前日までになります。
旧暦と新暦ではだいたい1ヶ月ほどの差があるのです。

秋の季語は、時期によって4つに分かれます。

  • 三秋(さんしゅう)…秋全体
  • 初秋(しょしゅう)…8月ごろ(旧暦7月)
  • 仲秋(ちゅうしゅう)…9月ごろ(旧暦8月)
  • 晩秋(ばんしゅう)…10月ごろ(旧暦9月)

そして、自然や生活など季語が表す内容によって、以下のように区分されています。

  • 時候…

    その季節の時期、暦などを表した季語

  • 天文…

    太陽・月・星・雨・風・雷など、天体や気象にかかわる季語

  • 地理…

    山野や海、川また、田畑など大地にかかわる季語

  • 生活…

    人々の暮らしにかかわる季語

  • 行事…

    その季節ならではの行事を表す季語、また人物の忌日

  • 植物・動物…

    その季節に活動が盛んになる植物・動物にかかわる季語

季語の使い方にルールはある?

俳句で季語を使う際には、決まりごとがあります。
まず以下の二つのことを気をつけてみましょう。

  • 一句に一季語
  • 歳時記を参考に

一句に一季語

基本的に、一つの俳句には一つの季語。

季語が二つ以上使われる句は「季重なり」といわれます。
季語を二つ以上使うと、詠む主題がブレやすいので、避けるのがよいとされているのです。

ただ、有名な句には季重なりも多くみられます。

白露もこぼさぬ萩のうねりかな 松尾芭蕉

白露も萩も秋の季語ですが、この句では萩が主役、白露は脇役となっているので問題ありません。
主役である季語がはっきりしていたり、互いが生かし合う使い方であったりする場合は、季重なりも許されるのです。

歳時記を参考に

歳時記とは、季節や内容によって区分された季語が、その意味や例句とともに収録されている、辞書のようなもの。

句を作る際には、歳時記がかたわらにあると安心です。
時代とともに生活は変わり、気候変動も手伝って、私たちの季節感と季語にずれがあることも。
例えば私たちにとって花火や朝顔といえば夏の風物詩ですが、季語では秋に分類されます。

歳時記は、使ってみたい季語があるときに季節や意味を確認したり、逆に歳時記をめくりながら使ってみたい季語を探したりと、さまざまに使えるとても頼もしい存在なのです。

秋の季語:三秋(秋全体)

秋の季語:三秋(秋全体)

三秋とは、秋のはじまりから盛り、そして終わりまで、秋の時期すべてにわたって使われる季語です。

区分 季語 意味・情景
時候 秋澄む
(あきすむ)
秋の澄みきった空気。西から移動性高気圧がやってきて、乾いた冷たい空気が入る。大気中の水蒸気が少なく、空も透明度を増す
秋麗
(あきうらら)
やわらかな陽射しが美しい、のどかで心地よい日和。単に「麗らか」は春の季語
秋の朝
(あきのあさ)
立秋を過ぎると、昼は暑さが厳しくとも朝晩はしだいに爽やかになる。空気も澄んで、すがすがしい朝
秋の宵
(あきのよい)
陽暮れまだ間もないころ。静かで穏やかながら、どこか寂しげな雰囲気が漂う
爽やか
(さわやか)
さやさやと乾いた風が吹き、あらゆるものがすがすがしいさま。そしてそのなかで、気分も晴れやかなさま
夜長
(よなが)
秋分を過ぎるとしだいに夜が長くなる。
秋が深まるにつれ、しみじみと長く感じる秋の夜
千秋楽
(せんしゅうらく)
法要や行事の最後に演奏されていた雅楽の曲。転じて同じ演目を行う興行の最終日を指す。秋の字が入るため秋の季語とされる
律の調べ
(りちのしらべ)
雅楽の基本の音階やその調子を律や呂という。律音階は、古風で落ち着いた秋らしい趣ある響き
自然(天文・地理) 秋高し
(あきたかし)
空気が澄み、上空高くに雲ができることから、秋は空がより高く見える
釣瓶落とし
(つるべおとし)
釣瓶とは井戸の水を汲み上げる桶。秋の陽暮れは、釣瓶がするすると井戸の底に落ちていくように、あっという間に暮れていく
色なき風
(いろなきかぜ)
秋の風。華やかな花や緑はなく、みずみずしさのない乾いた景色を吹きぬける。寂寥感が漂う
鰯雲
(いわしぐも)
鰯の群れのように見える、空に広がる小さな雲。この雲は高層にごく薄くできる。天気が崩れる前兆とも
星月夜
(ほしづきよ)
月がない、星明かりだけの空。まるで月が出ているかのように明るい夜空をいう
龍田姫
(たつたひめ)
奈良の龍田山に鎮座するという秋の女神。野山の美しい紅葉を司る。春の女神は佐保姫
山粧う
(やまよそおう)
秋の山々が赤や黄色に色づいたみごとなさま。まるで美しく装っているよう
花野
(はなの)
ハギやススキ、オミナエシなど秋の花が咲き乱れる野原。華やかさはなくどこか寂しげでもある
花畠
(はなばたけ)
秋の花々が咲き乱れる庭や畑。「お花畑」は高山植物が咲き乱れる花畑で、夏の季語
生活・行事 秋渇き
(あきがわき)
秋の実りが食卓に上り、食べても食べても食べ足りない旺盛な食欲。
涼しくなり夏バテ気味だった体も回復して、食欲が増す
秋思
(しゅうし)
物思いにふけること。気温も下がり、秋ならではの寂しい気配にどこか感傷的になる
夜食
(やしょく)
涼しくなった秋の夜長、勉強や仕事にも実が入る。するとやはり小腹も空く
美術展覧会
(びじゅつてんらんかい)
大きな公募展はとくに秋に集中して催される。大正時代、雑誌『新潮』で「美術の秋」という言葉が使われたことにもよる
猿酒
(さるざけ)
猿が木のうろなどに貯えた木の実と、降り込んだ雨水が一緒になり、自然に醸され芳醇な酒のようになったもの。猟師やきこりたちが探し求めたといわれる伝説上の酒
後の二日灸
(のちのふつかきゅう)
旧暦八月二日にすえるお灸のこと。とくに効能があり、無病息災に暮らせるとされる。
旧暦二月二日「二日灸」は春の季語
案山子
(かかし)
稲穂を鳥から守るために田んぼに立てる人形。
まるで本物の人間が立つように見せ、鳥を遠ざける
田守
(たもり)
田んぼを守ること、守る人。鳥獣から稲穂を守るため、棒で追ったり大きな音を立てたり。寝ずの番をすることもあった
虫選
(むしえらび)
平安時代の宮中や貴族の風習。野に出て鳴き声のよい虫を選び取り、美しい鳴き声を楽しんだ
秋祭
(あきまつり)
その年の実りに感謝して氏神様などに作物を供え、次の年の豊作を願う。稲刈りなどがひと段落したころに行われる
植物・動物 秋の七草
(あきのななくさ)
秋の野にみられる代表的な草花。ハギ・オバナ・クズ・ナデシコ・オミナエシ・フジバカマ・キキョウ。『万葉集』で山上憶良が「七種の花」と詠んだことが由来
毒茸
(どくたけ)
毒キノコ。日本には200種以上あるとも。食用とそっくりなものも多く「死の天使」という別名のドクツルタケは一本で致死量
露草
(つゆくさ)
道端などに見られる、小さな貝の形をした秋草。目の覚めるような青色の花をつける。朝露のような儚さからその名がついた
蟷螂
(かまきり)
前脚が鎌状になった肉食の昆虫。獲物を待つ姿から「拝み虫」とも。秋、メスは泡に包まれた100以上の卵を枝や草などに産みつける
七節
(ななふし)
棒切れのような姿の昆虫。枝などに擬態すると見分けがつかない。「七」はたくさんという意味で、実際節は10以上ある
秋鯖
(あきさば)
秋に旬を迎える鯖。産卵を終え、秋にはしっかり太り、脂がのって旨みが増す
色鳥
(いろどり)
秋になると北から渡ってくる美しい羽色をした鳥たち。マヒワやジョウビタキ、アトリなど
稲雀
(いなすずめ)
稲の穂が実るころ、群れをなしてついばみに来る雀。雀は雑食性だが、穀物好き
蚯蚓鳴く
(みみずなく)
実際にはミミズは鳴かない。秋の静けさのなか、土の中から聞こえる「ジー」という声を昔の人はミミズが鳴いていると思い込んだ。この声の正体はオケラ

秋の季語:初秋(8月ごろ)

秋の季語:初秋(8月ごろ)

初秋とは、立秋から白露(はくろ)の前日まで。
昼間はまだまだ厳しい暑さで、まだ夏の気配が残るころに使われる季語です。

区分 季語 意味・情景
時候 秋めく しだいに秋らしくなり、目だけでなく、耳や肌にも秋の気配を感じるようになること
新涼
(しんりょう)
夏の暑さから解き放たれ、新鮮で過ごしやすい涼しさになること
立秋
(りっしゅう)
二十四節気の一つ。新暦八月七日ころにあたり、暑さの盛りではあるが、そろそろ朝晩は秋の気配を感じるようになる
残暑
(ざんしょ)
立秋を過ぎてなお残る暑さのこと。近年ではまだまだ厳しい暑さが続く
鷹鳥を祭る
(たかとりをまつる)
十二侯の処暑の初候。鷹は捕らえた小鳥をすぐに食べず、神様にお供えするように並べておくという言い伝えにちなむ
禾すなはち登る
(いねすなわちみのる)
七十二候のうちの処暑の三候。「禾」は稲、「登る」は実る。稲が実り始めるころ
自然(天文・地理) 有明月
(ありあけづき)
夜が明けてなお、空に残る月のこと。夜を共にした男性が、有明の月の下帰っていくという切なさを表す
初嵐
(はつあらし)
立秋を過ぎ、初めて吹く強い風
二つ星
(ふたつぼし)
年に一度、旧暦七月七日に天の川を渡って会う織姫と牽牛(けんぎゅう)。
こと座のベガとわし座のアルタイル
盆東風
(ぼんごち)
秋のはじまり、お盆のころに吹く東風。伊勢や鳥羽の船乗りたちに使われていた舟言葉で、台風シーズンの到来や暴風雨の前兆とされる風のこと
富士の初雪
(ふじのはつゆき)
富士山にその年はじめての雪が降るころ。澄んだ空に白くなった山頂が映えて美しい
盆波
(ぼんなみ)
お盆の前後にみられる、太平洋岸に寄せる高波。晴れていても、台風の影響などで突然大きな波が寄せる
秋出水
(あきでみず)
台風や集中豪雨などで、河川が溢れること。刈り入れるばかりになった田んぼが台無しになることも
生活・行事 星合
(ほしあい)
旧暦七月七日、織姫と牽牛二つの星が天の川を渡り、出会うこと
願の糸
(ねがいのいと)
七夕、竹竿にかけた五色の糸を星に手向ける。機織りなどの上達を願う中国の風習が由来。その名残が笹に飾る吹き流しや短冊
星の貸物
(ほしのかしもの)
織姫が機を織る材料を貸すことで、織物などの上達を願う風習。七夕に糸や小袖を捧げ飾った
扇置く
(おうぎおく)
しだいに涼しい秋風が通るようになり、扇子や団扇を必要としなくなること
秋日傘
(あきひがさ)
秋になってさす日傘。陽射しはまだまだ厳しく、外を歩くときには手放せない
花火
(はなび)
かつてお盆の風物とされていた。打ち上げ花火は江戸時代の水神祭がはじめとされる。
飢饉や疫病でなくなった死者への鎮魂、悪霊退散の願いを込めて打ち上げられた
盆花
(ぼんばな)
お盆に供える花。日持ちする季節のキクやキキョウ、オミナエシなど。ホオズキは提灯に似て、先祖が帰ってくる目印になるとされる
廻り燈籠
(まわりどうろう)
二重構造になった灯籠で、仏壇や祭壇の脇に置かれる。内側に施された切り絵などの模様が、ゆっくり回りながら外の紙に映る
解夏
(げげ)
旧暦七月十五日、僧侶が行う九十日間の修行「安居(あんご)」を終えること。転じて長い我慢や苦しみから解放されること
風の盆
(かぜのぼん)
富山市八尾町で九月一日から三日にかけて行われる。ぼんぼりの灯る町中を夜通し踊り、流し歩く。豊作や風の災害除けを願ったとされ、300年以上の歴史がある
施餓鬼
(せがき)
お盆のころに行われる仏教の法要。飢えや渇きに苦しむ餓鬼や無縁仏に供物をし、供養する
衝突入
(つといり)
旧暦七月十六日、他人の家に立ち入り、遠慮なく秘蔵の家宝や嫁、娘を見ることができるという風習。伊勢山田地方などでは江戸時代まで残っていた
迎火
(むかえび)
八月十三日の夕方、先祖の霊を迎え入れるために家の門前で火を焚く風習。焚くのはオガラ(皮を剥いだ麻の茎)や白樺の皮など地方で異なる
大文字
(だいもんじ)
八月十六日夜、京都で行われる盆行事。東山の如意ヶ岳中腹に大の字に火をつけ、先祖の霊を送る
原爆忌
(げんばくき)
昭和二十年、八月六日広島、九日長崎に原爆が投下され、第二次世界大戦が終結する。平和を切に祈る日
植物・動物 朝顔
(あさがお)
夜明けに開き、昼になるとしぼんでしまう。遣唐使が薬として種を持ち帰り、日本に伝わる。七夕のころまで咲くため、「牽牛花」という別名も
女郎花
(おみなえし)
秋の七草の一つ。背丈は1mほどで、茎先端に黄色い粒状の花をつける。名の由来は「美しい女性を圧倒するほどに美しい」という説などがある
赤のまんま タデ科の一年草。紫紅色のつぶつぶの花をつける。ままごとでお赤飯に見立てたことからこの名で呼ばれる
蒲の絮
(がまのわた)
川や沼地などの水辺に群生する蒲。大きな茶色い筒状の花穂をつけ、熟すと小さな種のついたワタをふわふわと飛ばす
狐の剃刀
(きつねのかみそり)
ヒガンバナ科の多年草。お盆のころ、百合に似た橙色の花をつける。ユニークな名前の由来は、花の色が狐の毛色に似ている、葉の形がカミソリのよう、など
秋海棠
(しゅうかいどう)
秋の訪れを告げる花。日陰を好み群生する。うつむきがちに咲く桃色の花の中に、鮮やかな黄色の雄しべ雌しべをつける

(もも)
豊かな香りとあふれる果汁、緻密な果肉が魅力。グラデーションの色味も美しい。日本神話には、魔除けの力を持つ神聖な果実として登場する
山椒の実
(さんしょのみ)
春に花を咲かせたあと、雌株は小さな実をつける。独特の爽やかな香りとピリッとした辛味。保存食や香辛料に使われる
茗荷の花
(みょうがのはな)
根元に出た「花みょうが」の先に、淡い黄色の花がつぎつぎ咲く。一日花
秋の蝉 立秋を過ぎて聞こえる蝉の声。夏の盛りの勢いのある声とは違い、ツクツクボウシなどの声に寂寥感が漂う

(いなご)
黄金色になった実りの田んぼに跳ねるバッタ類の総称。稲の葉を食べる害虫で、捕まえて甘辛の佃煮にする
茶立虫
(ちゃたてむし)
体長わずか数ミリの虫。埃やカビを好み、古本などに見られる。名前は障子などにとまり、お茶を点てるような音をたてることにちなむ
草雲雀
(くさひばり)
1cm弱の小さな体にその4倍もある触覚を持つコオロギの仲間。美しく澄んだ鳴き声は、大空の雲雀のよう
鷹の山別れ
(たかのやまわかれ)
鷹の巣立ち。餌をもらっていた雛が親から狩りを学び、自分で餌を獲れるようになると一人立ちする

秋の季語:仲秋(9月ごろ)

秋の季語:仲秋(9月ごろ)

仲秋とは、白露から寒露(かんろ)の前日まで。
日中の暑さも和らぎ、すっかり秋らしく、過ごしやすくなるころに使われる季語です。

区分 季語 意味・情景
時候 白露
(はくろ)
二十四節気の一つ。九月七日〜二十二日ころ。夜の気温はぐっと下がり、草木に朝露が宿るようになる。その露が白く光るさま
八朔
(はっさく)
八月朔日。旧暦八月一日。早稲が実るころで、初穂を神様に供え豊作を願う。京都の花街では芸妓、舞妓がお茶屋や芸事の師匠のもとを訪れる伝統がある
かりがね寒き
(かりがねさむき)
秋も深まり、雁が北から渡ってくるころの寒さをいう
冷ややか
(ひややか)
冬の気配も感じる、ひんやりとした空気や肌の冷たさ
雷すなわち声を収む
(かみなりすなわちこえをおさむ)
七十二候の秋分の初候。夏のあいだ、夕方になるとゴロゴロいっていた雷が止むころ。空の様子もしだいに変わってくる
水はじめて涸る
(みずはじめてかるる)
七十二候の秋分の末候。水田の水が抜かれ刈り入れの準備に入るころ。草木のみずみずしさも失われ、乾いた景色が広がる
自然(天文・地理) 菊日和
(きくびより)
菊の盛り。空気が澄んで、晴れ渡った天気のこと。菊の華やぎが映える
青北風
(あおぎだ)
十月ごろに吹く強い北風。西日本の船言葉。晴天に吹くので「青」となる
野分
(のわき)
秋の野草を分けて吹き荒れる暴風。台風。
碇星
(いかりぼし)
カシオペア座の和名。W字に並ぶ五つの星を碇に見立てていう
宵闇
(よいやみ)
十五夜を過ぎるとしだいに月が上る時間が遅くなる。まだ月が上らない宵の暗さ
良夜
(りょうや)
月が明るい美しい夜をいう。とくに中秋の名月の夜
真夜中の月 午前0時を過ぎてひっそりと上り始める下弦の月。二十三夜の月とも
落し水
(おとしみず)
稲がこうべを垂れるころ、畦の一部を切って要らない水を落とす。田を乾かし、刈り入れに備える
不知火
(しらぬい)
旧暦八月一日あたりの夜中、有明海と八代海の沖に見られる無数の光の列。かつては妖怪とされてきたが、正体は蜃気楼の一種。何かわからぬ火の意
生活・行事 秋袷
(あきあわせ)
朝晩は肌寒くなるころ、夏の単衣の着物から、裏地のついた袷の着物に着替える。色や柄も落ち着いた秋の装いになる
障子貼る
(しょうじはる)
夏は涼をとるために外していた障子を、まっさらに張り替え、冬の寒さに備える
苺の根分
(いちごのねわけ)
春から初夏にかけて収穫した苺は、親株から細い茎を伸ばす。その先に子株ができ、株分けすることができる
大根蒔く
(だいこんまく)
八月中旬から九月にかけ、大根の種を蒔く。根菜類の代表格で、冬の食卓に欠かせない
薬掘る
(くすりほる)
枝葉が枯れはじめ根が成熟する秋、山野に生える薬草を採取する。アカネやリンドウ、クララなどの根や茎
葡萄酒醸す
(ぶどうかもす)
完熟したぶどうを発酵させ、ワインを仕込む。ぶどうはその年の天候によって質が左右され、仕込まれるワインの品質も決まる
夜庭
(よにわ)
庭とは農家の土間のこと。秋も深まった夜、土間で米の籾摺り(もみすり)などの作業をする
子規忌
(しきき)
俳人正岡子規の忌日。明治三十五年九月十九日没。子規とはホトトギスのこと。喀血したことで、口の中が赤いホトトギスを重ね号とした
秋の駒牽き
(あきのこまびき)
平安初期からはじまった宮廷の年中行事。地方の御料から優れた馬が都まで牽かれ、献上された
穂懸
(ほかけ)
稲の刈り初め神事。初穂を田の神や氏神に供え、その年の収穫に感謝する
植物・動物 竹の春
(たけのはる)
筍の出る春、親竹は養分を奪われて弱るが、しだいに勢いを取り戻し、秋には葉も青々と繁る
秋茄子
(あきなすび)
秋に獲れる茄子。弱くなった陽射しのため皮がやわらかく、実も締まって味がよい。「秋茄子は嫁に食わすな」は、意地悪とも体を冷やさぬようにという思いやりとも
風船葛
(ふうせんかずら)
蔓性多年草。秋には3cmほどの薄緑の実をつける。実は空気でぽんぽんにふくらみ、風船に似る。種がハート形なのもかわいい
桃吹く
(ももふく)
棉(わた)の実が熟し、割れて中から真っ白い綿毛が弾け出ること。棉の実が桃に似ることにちなむ
懸巣鳥
(かけす)
体長30cmほどの留鳥。羽色が美しく、翼の青と黒、白のだんだら模様が特徴。「ジェージェー」というしわがれた鳴き声
燕帰る
(つばめかえる)
春に南から渡ってきた燕は、秋に帰っていく。雛がぎゅっと詰まっていた巣も空っぽになり淋しい
穴惑ひ
(あなまどい)
秋の彼岸を過ぎても冬籠りする穴に入らずもたつく蛇

(ぼら)
成長にしたがい名が変わる出世魚。この時期は泥臭さが抜け、脂が乗って美味くなる。卵巣はからすみの原料

秋の季語:晩秋(10月ごろ)

秋の季語:晩秋(10月ごろ)

晩秋とは、寒露から立冬(りっとう)の前日まで。
朝晩はすっかり冷え込み、そろそろ冬の気配を感じられるころに使われる季語です。

区分 季語 意味・情景
時候 秋深し
(あきふかし)
しだいに秋が深まり、ますます日は短く、肌寒くなる。静けさも深く、寂しさが漂う
九月尽
(くがつじん)
旧暦九月の末日。最後の一日に、行く秋を名残惜しく思う気持ち
肌寒
(はだざむ)
秋が深まり、肌にじかに感じる空気の冷たさのこと
冬隣
(ふゆとなり)
もう冬がもうすぐそこまできていること。いよいよ厳しい季節が到来する
雀蛤となる
(すずめはまぐりとなる)
七十二候の一つ。寒い時期、雀が人里に姿を見せなくなるのは、海で蛤になるためと考えられていた。雀の羽と蛤の貝殻の模様が似ている。世の中のものごとが大きく変わる例えにも
豺獣を祭る
(やまいぬけものをまつる)
七十二候の霜降の初候。豺とは狼のこと。狼が獲物を獲ったあと、祭るように並べるという言い伝え
自然(天文・地理) 秋時雨
(あきしぐれ)
秋の終わりから冬のはじめにかけて、降ったり止んだりの寂しく冷たいにわか雨
露寒
(つゆざむ)
草木に降りた露がそろそろ霜に変わるころ。冬がもうすぐそこまできている
秋雪
(しゅうせつ)
立冬の前に降る雪。北海道や本州の高山では、紅葉が残る時期にも雪が降る
後の月
(のちのつき)
旧暦九月十三日の月。まだ満月より少し欠けたふっくらした月。完璧ではない美しさを愛でる日本ならではの感性
刈田
(かりた)
稲刈りが終わり、刈り取られたあとの株が並ぶ田んぼ。広々として、のんびりした風景
ひつぢ田 ひつぢ=穭。稲の刈り株から、青い二番穂芽生えている田んぼ。枯れ色のなかに、生命の力強さを感じる
野山の色
(のやまのいろ)
色とりどりに紅葉した野山が美しい時期。錦の野山と青く澄んだ空の色とのコントラストが鮮やか
生活・行事 秋収め
(あきおさめ)
稲刈りなど秋の収穫をすべて終えること。春から続いたさまざまな農作業が区切りとなり、お祝いをする風習もあった
菊枕
(きくまくら)
菊の花びらを干し、中綿として詰めた枕。邪気を払い、長寿や健康を願う風習。菊のほのかな香りに安眠効果もある
栗飯
(くりめし)
鬼皮渋皮を剥いた栗を炊き込んだご飯。栗は金色に輝き、ほくほくした栗の甘さとほんのり塩がきいた米は絶妙
芋煮会
(いもにかい)
この時期、山形や宮城など東北地方で行われる行事。河原などで里芋やねぎ、蒟蒻などを煮込んだ鍋を家族や友人と囲み、親睦を深める
球根秋植う
(きゅうこんあきうう)
冬を超え春に咲く花の球根を植える。チューリップや水仙、百合など
藁塚
(わらづか)
脱穀が済んだ藁束を乾燥させるために積み上げた塚。円錐のように高く積み上げたり、小人の家のような形のものがたくさん並んだりと、地方や使い道によってさまざま
火恋し
(ひこいし)
朝晩はぐっと冷え込み、そろそろ火の気が恋しくなる
後の雛
(のちのひな)
三月三日桃の節句に飾った雛人形を、旧暦九月九日重陽の節句にも飾る。江戸時代からの風習で、大切な人形の虫干しも兼ねる
神嘗祭
(かんなめさい)
その秋に収穫された新穀を、まず天照大御神にお供えし、その年の恵みに感謝する神事。十月十五〜十七日、伊勢神宮と宮中で執り行われる
菊の着綿
(きくのきせわた)
旧暦九月八日の夜、菊の花を真綿で覆い、重陽の節句である翌日の朝、菊の香りと夜露を吸った綿で体を拭い長寿を願った
山頭火忌
(さんとうかき)
自由律句の俳人、種田山頭火の忌日。ありのままの感情を詠んだ句で知られる。昭和十五年十月十一日没
植物・動物
(かえで)
ムクロジ科カエデ属の総称。イロハモミジやハウチワカエデなど約二十七種。樹々のなかでもとくに美しく染まる。
葉の形が蛙の手「かえるで」に似ることが名の由来
紫式部
(むらさきしきぶ)
秋にあでやかな紫色の小さな丸い実をいっぱいにつける低木。名は『源氏物語』の作者紫式部にちなむ
芒散る
(すすきちる)
陽を受けてつややかに揺れていたススキの穂も、しだいに乾き、風に散っていく
木犀
(もくせい)
橙色の金木犀、白色の銀木犀。この時期になるとどこからともなく木犀のよい香りが漂ってくる。甘く豊かな香り。花は小さな砂糖菓子のよう
無花果
(いちじく)
秋に熟す果物。外からは花をつけずして実がなるように見えることが漢字の由来。じつは内部に無数の花をつけている
秋刀魚
(さんま)
背は濃い青、腹は銀色。まるで刀のような姿であることからこの字が当てられる。脂が乗り、この時期の味覚の代表格
鰹の烏帽子
(カツオノエボシ)
電気くらげ。烏帽子の形をした青い浮袋から多くの触手などが下がる。触手に強い毒があり刺されると激痛が走る。鰹の時期、暖流とともにやってくることが名の由来
雪迎へ
(ゆきむかえ)
よく晴れた日、糸をつけた子グモが風に乗って流されていく。この姿が見られると、まもなく雪が降るとされる
残る虫
(のこるむし)
冬が間近になっても、草むらで力無く鳴いている虫をいう

手紙やSNSで取り入れやすい秋の季語

暑さもひと段落し、気持ちにも少しだけ余裕が生まれたら、久しぶりに連絡を取ってみようかな、と誰かの顔が浮かぶこともありそうです。

また、うれしい秋の実り、美味しいものも立派な秋の季語。
生活の中で見つけた秋の訪れを、気軽にSNSでアップしてみてはいかがですか?

  • 秋めく
    例「朝晩はすっかり秋めいてまいりましたが、いかがお過ごしですか」
  • 爽やか
    例「暑さもひと段落、爽やかな日が続いています」
  • 虫の声
    例「陽が暮れると虫の声が聞こえるようになり、秋の気配を感じる季節になりました」
  • 紅葉
    例「朝晩はすっかり冷え込むようになり、そろそろ紅葉の便りも届くでしょうか」
  • 秋深し
    例「秋も深まり、そろそろ冬の訪れを感じます。お風邪など召されませぬよう」
  • 旬の食べもの
    例「今年初秋刀魚―、いただきます!」「今晩は栗ご飯」「ぶどう狩りに来ています」
  • 秋の花々
    例「目が覚めるほど鮮やかな朝顔の青!」「通勤途中気づいた、金木犀のいい香り」

有名な秋の俳句

夏から冬へと向かう秋は、さまざまな感情が湧いてくる季節。
表情豊かな秋を詠んだ有名な俳句を紹介します。

名月を 取ってくれろと 泣く子かな /小林一茶

江戸三代俳人の一人、小林一茶の句です。
小さな生き物をやさしい眼差しでとらえ、ユーモア溢れた句を多く残しました。

名月とは、旧暦の八月十五日、十五夜の月。
このころは空気が澄み、夜空に浮かんだ月もくっきりと美しく見える季節です。

子どもは親におぶわれているでしょうか。手をいっぱいに伸ばしているかもしれません。
月に手が届くと思っている無邪気さが微笑ましい一句です。

柿食えば 鐘が鳴るなり 法隆寺 / 正岡子規

生涯に25,000もの句を詠んだという明治の俳人、正岡子規。
その中でも最も有名といえるのがこの一句です。

子規、28歳。10月、静養先の故郷松山から東京へ帰る途中、奈良で詠まれました。
そこで柿を食べていると、ちょうど法隆寺の鐘が鳴った、というもの。

子規は、自然や事物を観察し、ありのままに写し取る「写生」という手法を確立しました。
鮮やかに、その風景が浮かんでくるようです。

子規は柿が大好物だったそうですよ。

秋深き 隣は何を する人ぞ / 松尾芭蕉

江戸時代の俳人、松尾芭蕉の晩年の句です。

秋深まった静かな夜、旅宿の隣の家から何か物音が聞こえてきたよう。
人が暮らす暖かな気配に、耳を澄ませている様子です。

他に並ぶ者がない存在として「俳聖」と呼ばれる松尾芭蕉。
この句を詠んで2週間ほどののち、芭蕉はそのまま旅先の大阪で51年の生涯を閉じました。

枝豆や 3寸飛んで 口に入る / 正岡子規

なんとも愉快な正岡子規の一句。

9月のある日、枝豆を食べようとさやを押したところ、3寸、10cm近くもぷんと飛んで、子規の口にちょうど入った、というもの。
しっかり膨らみのある充実した豆の勢いすら感じるようです。

病床にありながらも、楽しく、生命力に満ちたこの句は、子規が亡くなる一年ほど前に詠まれました。

どこにでも、誰にでもある暮らしのなかの一場面を、みずみずしく写しています。

秋の彩りを楽しむ|秋のアイテムを紹介

暑さはまだまだ残るものの、朝晩は秋めいてきました。
ちょっと秋色を加えてみたり、秋らしい柄を取り入れたり、秋ならではのおしゃれを楽しんでみませんか?

お香が似合う季節

お香が似合う季節

空気が澄んだ秋は、お香の香りが一層引き立つ季節。
静かな秋を穏やかに包んでくれる、秋らしく落ち着いた香りをご用意しました。

古の京都をイメージした「古都香」やちょっぴりノスタルジックな秋の香り「金木犀香」、心がすっと落ち着く「墨香」など。

スティック30本入り、1本の燃焼時間は15〜17分です。
その日の気分で香りを変えるのも楽しいものですね。

とても豊かで、ちょっと寂しい季節

「やっとやっと過ごしやすくなる」とか「美味しいものいーっぱい」とか「紅葉がきれい」とか。
すごくうれしいなかに、やっぱり静かに、ちょっとだけ寂しさや切なさが漂うのが、秋。

日本人なら誰しも感じるそんな秋の二つの気持ちの謎を考えながら、
そしてお酒と一緒に秋の味覚を楽しみながら、
この秋の夜長、ちょっと一句作ってみるのはいかがでしょう?

岩座オンラインバナー

  • Twitter
  • Facebook
  • LINE