夏を鮮やかに切り取る美しい季語! 俳句やご挨拶にも使える言葉を紹介 夏の季語一覧も

夏の季語といって思い浮かぶのは?
ひまわり、蝉、入道雲。
昼寝、ボート、苺ミルク。

どこか懐かしい、しまいこんでいた記憶を呼び起こすような言葉も並びます。

俳句や連歌に使われる季語は、じつは私たちの暮らしに寄り添う言葉。
あまりに暑くなりすぎた今の夏。
この過酷な暑さも、私たちだからこそ詠める歌があるのです。

夏の表情を表す季語を、移りゆく時期ごとにピックアップ、一覧にまとめました。

夏のご挨拶やSNSに使いたくなるような、懐かしくまた新しく、あなたの夏の一場面を映す言葉がきっと見つかります。

季語とは?夏の季語はどの時期に使う?

季語とは?夏の季語はどの時期に使う?

耳にしたことはあるけれど、詳しくは知らないという方も多い季語。
どう使うものなのでしょうか?

そもそも季語ってなに?

季語とは、その文字通り、ある特定の季節を表す言葉で、俳句や連歌になくてはならない要素です。

季節感を込めない無季俳句など例外もありますが、基本的に五・七・五の俳句の中に季語を一つ入れることが、作句の定めとされています。

季語は、それ一つで、まだ暑くなる前の爽やかなころなのか、ジメジメした梅雨の真っ只中か、暑さを過ぎて秋に近いころなのか、など表すことができ、17音というとても短い俳句のなかのキーポイントとなる言葉でもあります。
季語は、詠み手がとらえたその景色を、私たちが想像するためのスイッチともなるのです。

季語は増え続けている?

私たち日本人は、古の時代から季節の移ろいを愛でてきました。
季語という概念が成立したのは、平安時代の終わりころ。

それから長い時代とともに増え続ける季語は、今や一万とも二万ともいわれます。

そんなあまたの季語が集められているのが、歳時記です。
歳時記は、季語を分類しそれぞれを解説、例句が添えられた書物で、まるで辞書や百科事典のような厚さのものも。

私たちの暮らしは変化し続けています。
見かけなくなった道具、旬がよくわからなくなった食べ物、定着した新しいイベント、いつの間にか、なくてはならなくなった身の回りのもの。

季語は、時代とともに増え続けると同時に、しだいに使われなくなっていくものも多くあります。
ふいに出会った馴染みのない季語から、その季語が生き生きと使われていた時代に思いを馳せるというのも、季語の楽しみ方の一つです。

夏の季語を使う時期と区分

俳句でいうところの夏とは、旧暦の4・5・6月のことをいいます。

現代使われている太陽暦では、だいたい5・6・7月ころ。
立夏(5月6日ころ)から立秋(8月8日ころ)の前日までです。

夏の季語は、時期によって4つに分けられています。

  • 三夏(さんか)…夏全体
  • 初夏(しょか)…5月ごろ(旧暦4月)
  • 仲夏(ちゅうか)6月ごろ(旧暦5月)
  • 晩夏(ばんか)…7月ごろ(旧暦6月)

また、内容によって以下のように区分されます。

  • 時候…その季節や時期、暦を表した季語
  • 天文…太陽・月・星・雨・風・雷など、天体や気象にかかわる季語
  • 地理…山野や海、川、また田畑などの大地にかかわる季語
  • 生活…私たちの暮らしにかかわる季語
  • 行事…その季節ならではの行事にかかわる季語、また人物の忌日
  • 植物・動物…その季節に動きがみられる植物・動物にかかわる季語

夏の季語:三夏(夏全体)

夏の季語:三夏(夏全体)

三夏とは、夏のはじまりから終わりまで、夏の時期すべてで使われる季語です。

区分 季語 意味・情景
時候 暑し
(あつし)
夏ならではの、気温の高さと湿度の高さからくる暑さ。春は「春暑し」、秋は「秋暑し」と使い分ける
涼し
(すずし)
風や日陰、また目に涼しいなど、暑い時だからこそ感じる心地よい涼しさ
短夜
(みじかよ)
昼夜が等しい春分から、夏至にかけて次第に短くなる夏の夜。その儚い時間を惜しむ心情
明易
(あけやす)
現象としては「短夜」と同じだが、こちらは明け急ぐように訪れる朝を嘆く気持ち
夏の朝
(なつのあさ)
まだひんやりと清々しいころ。これから、日の出とともに一気に気温が上がる前の心地よい時間
夏の宵
(なつのよい)
陽暮れまだ間もないころ。昼の厳しい暑さがようやくおさまり、ひと息つくころ
自然(天文・地理) 青嵐
(あおあらし)
青々とした木々を揺らして渡る、やや強いがさわやかな風
風薫る
(かぜかおる)
実際に香りがするわけではないが、若葉を渡って吹いてくる風のさわやかさを表す
雲の峰
(くものみね)
暑い午後、空に湧く入道雲。そのどこまでも高く聳えるさま
星涼し
(ほしすずし)
暑さがおさまった夏の夜、涼しさを感じるような、星のきらめきを表す
虹(にじ) 夕立のあとなどに見られる。思わず蒸し暑さを忘れて見上げる美しい七色の帯
滴り
(したたり)
山道、日陰の苔むした岩などから清洌な水が伝い落ちるさま。雨あとのポツポツと滴る水とは異なる
夏の庭
(なつのにわ)
強い陽射しの下、青々と繁る木々とその木陰、蝉の声など、生命力に溢れる庭の様子
夏富士 山頂あたりに残っていた雪も消える夏の富士山。山開きを迎え、短い登山シーズンは大いに賑わう
生活・行事 打ち水
(うちみず)
朝や夕に玄関先や庭、路地に水を撒き、気化熱で気温を下げるという、日本の伝統的な風習
昼寝
(ひるね)
寝苦しい夏、子どもも大人も睡眠不足になりがち。暑さによる疲れで、ゴロリ
蚊帳(かや) クーラーもなく、窓を開け放って寝た時代、部屋に吊って寝具を囲い、蚊などの侵入を防いだ
髪洗う
(かみあらう)
江戸時代後期には、髪を洗うのは月に数回だったとも。蒸し暑い夏には、髪を洗う頻度も増えた
草笛
(くさぶえ)
笹や蘆(あし)、麦の葉などを唇に当てて、息を吹いて鳴らす。音を出すのはなかなか難しい
香水
(こうすい)
おしゃれとして、また汗の匂いを隠す身だしなみに用いられたことから夏の季語に
レース ごく細い糸を透かし模様に編み上げた薄い布地。風通しよく、見た目も涼やか
アロハシャツ ハワイ発祥の大胆な柄を染め抜いた半袖の開襟シャツ。ゆったりとした風が通るシルエット
祭(まつり) 夏祭りのこと。神輿や山鉾の巡行などで疫病退散を祈ったことが起源。五穀豊穣を祈願、感謝する春秋の祭りとは異なる
植物・動物 万緑
(ばんりょく)
見渡す限り一面が緑である山野のさま。夏の草木の勢いを表す
木下闇
(こしたやみ)
鬱蒼とした木立の下にできる暗がり。強い日差しとの対比でより黒々と見える
青みどろ
(あおみどろ)
栄養豊富な池や川、水田に自生する淡水緑藻。強い繁殖力で水面を覆う
酢漿の花
(かたばみのはな)
庭や道端に自生する多年草。酸味のある小さなハート型の葉は、夜になると閉じる習性があり半分食べられた様に見えることから「片喰」とも書く
滑莧
(すべりひゆ)
道端や畦などによく見られる多肉質の一年草。暑さや乾燥にも強く、「日照草」の別名も
郭公
(かっこう)
初夏に南から渡って来て秋には戻っていく。「カッコウ、カッコウ」と鳴く。閑古鳥とも
雷鳥
(らいちょう)
氷河期の生き残りといわれる鳥。日本アルプスの高山帯に棲む特別天然記念物。冬は純白の羽色、夏には岩肌に紛れる茶の斑が現れる
揚羽蝶
(あげはちょう)
羽の文様が美しい大型の蝶。春に見られるアゲハチョウはより大きく、黒色が際立つ
糞ころがし
(ふんころがし)
日本にも生息する糞ころがし。別名糞虫。日本にいる糞虫の99%は転がさずに、動物の糞を巣に運び入れて餌にする
鱧(はも) 祇園祭は「鱧祭」とも呼ばれる。夏の京料理には欠かせない味覚

夏の季語:初夏(5月ごろ)

夏の季語:初夏(5月ごろ)

初夏とは、立夏から芒種(ぼうしゅ)の前日まで。
淡い色だった緑もいよいよ濃くなり、心地よい風が吹き抜ける夏の初めを表す季語です。

区分 季語 意味・情景
時候 余春
(よしゅん)
夏ではあるが、まだどことなく春らしい趣が残るさま
清和
(せいわ)
空気が清らかに澄んで、のどやかな気候
薄暑
(はくしょ)
動くとやや汗ばむくらいの暑さ
夏めく
(夏めく)
徐々に景色や気候、人々の装いも夏らしくなっていくさま
麦の秋
(むぎのあき)
5〜6月は麦畑が一面黄金色に色づき、実りの季節を迎える。「秋」には成熟や収穫の意がある
自然(天文・地理) 卯の花腐し
(うのはなくたし)
せっかく咲く卯の花が傷むほどに、長く続く初夏の雨のこと
卯月曇
(うづきぐもり)
5月ごろの曇り空。ほどよい湿気と気温で過ごしやすく、雲が多くても心地よい気候
迎え梅雨 梅雨の走り。本格的な梅雨を迎える前のぐずついた天気
麦の秋風
(むぎのあきかぜ)
麦が実りを迎えるころ、黄金色の畑を吹き渡る爽やかな風
茅花流し
(つばなながし)
茅(ちがや)の花の穂をなびかせて吹く風。「流し」は湿度のある南風を指す
生活・行事 苺ミルク 苺を軽くつぶし、砂糖などをまぶして牛乳をかける。美しいピンク色とやさしい甘さのデザート
新茶 お茶の収穫は年に4回。その年最初に摘み取られる新芽の一番茶をいう。香り高く、渋みがおだやかで、縁起物でもある
端午
(たんご)
旧暦、月初めの午の日。新暦の5月5日。男の子の節句
衣更
(ころもがえ)
季節の変わり目、気候に応じて衣服を着替えること、入れ替えること
ネル フランネル。起毛し、ふんわり軽い織物
繭(まゆ) 蚕がさなぎになるときに吐き出す糸で作るやわらかな殻。生糸の原料となる。とくに春の蚕が作る繭をさす
青葉の簾
(あおばのすだれ)
旧暦4月1日宮中で行われる衣更。冬のしつらえも夏のものに替える。青々とした簾に掛け替えられる
夏場所 大相撲の本場所のひとつ。毎年5月に両国国技館で行われる。夏の訪れを告げる行事として親しまれる
賀茂祭
(かもまつり)
葵祭の名で知られる、5月15日に上賀茂神社・下鴨神社で行われる例祭。国家安寧・五穀豊穣を祈願し、平安時代から続く
御柱祭 諏訪大社の祭。1200年以上続く、7年に一度の祭りで、日本三大奇祭のひとつ。16本のモミの巨木を山から曳き、境内に建てる
朔太郎忌
(さくたろうき)
詩人萩原朔太郎の命日。
植物・動物 薔薇(ばら) 美しく香り高い花をつけ、鋭い棘を持つものも。数千種があるが、初夏が盛りの品種が多い
余花(よか) 立夏が過ぎて、青葉の陰に残る桜の花
夏蜜柑
(なつみかん)
実るのは晩秋だが、酸味が強いので収穫せずそのまま熟させることで食べやすくなる。わずかな苦味と酸味が爽やかな味わい
青歯朶
(あおしだ)
湿度の高い日陰を好むぜんまいや蕨などのシダ類。初夏になり青々と葉を広げるさま
野蒜の花
(のびるのはな)
土手や田畑の畔に自生する多年草。野に生える蒜(にんにく)。『古事記』にも登場し、古くから食用とされた
新馬鈴薯
(しんばれいしょ)
5〜6月に獲れる成熟する前のじゃがいも。皮はごく薄く、水分が多い
蕗(ふき) この時期、傘のような葉を広げる。茎は茹でて灰汁を抜き、煮物などにする
竹の皮脱ぐ
(たけのかわぬぐ)
春出た筍が、新芽を保護していた皮を一枚ずつ脱ぎながら、上へ上へと生長していくさま
蜘蛛の囲
(くものい)
蜘蛛の巣。じつに精密に巡らされ、糸についた朝露が光を受けてきらめくさまなども美しい
鹿の袋角
(しかのふくろづの)
早春に古い角が落ち、生えたばかりのまだやわらかく皮膚に覆われた角
巣立鳥
(すだちどり)
春に孵った雛が大きくなり、初夏には巣立ちの時を迎える。まだ飛び方が拙い幼鳥も多い

夏の季語:仲夏(6月ごろ)

夏の季語:仲夏(6月ごろ)

仲夏とは、芒種から小暑(しょうしょ)の前日まで。
梅雨のころで、雨にまつわるじつに豊かな言葉の数々が並びます。

区分 季語 意味・情景
時候 入梅
(にゅうばい)
梅雨入りのこと。「梅雨」は梅の実が熟し始めるころの雨を意味する
梅雨寒
(つゆざむ)
オホーツク海からの、湿った冷たい風が吹く、肌寒い気候
夏至(げし) 北半球では太陽が最も高くにあって、一年で一番昼の時間が長い日。毎年6月21日か22日。本格的な夏の到来
白夜
(はくや)
日本の夏至の前後、高緯度の南極や北極、北欧などでは日没後も太陽が沈みきらない。薄明が続き、やがて夜明けとなる
芒種
(ぼうしゅ)
二十四節気のひとつ。6月6日ころを指し、稲や麦といった穀物の種まきをするころ
半夏生
(はんげしょう)
夏至から11日目、7月2日ころ。梅雨が明け、田植えも終盤。ドクダミ科の植物半夏生が生えるころ
自然(天文・地理) 黒南風
(くろはえ)
梅雨の時期、雲が垂れ込めるなか吹く湿った南風。重苦しい空の色、憂鬱な気分を表すように「黒」が添えられる
梅雨雷
(つゆなり)
梅雨の最中や、梅雨明けのころの雷鳴のこと。雷が鳴ると梅雨明けが近いとされる
梅雨の星 梅雨の晴れ間に見える星。雨間の澄んだ空気に輝く
五月闇
(さつきやみ)
梅雨のあいだ雲が垂れ込めて暗い昼間、また月や星も見えない闇夜
虎が雨
(とらがあめ)
陰暦5月28日の雨。仇討ちで亡くなった曽我兄弟、兄の十郎祐成の恋人虎御前が流した涙が雨になったといわれる。新暦6月28日は雨の特異日だとか
薬降る
(くすりふる)
陰暦5月5日は薬日。その午の刻に降る雨を使って作る薬は、効き目があるといわれる
夏ぐれ 沖縄独特の夏のにわか雨
皐月波
(さつきなみ)
梅雨のころの海に立つ波。強い南風の影響で白く波立つ、荒々しいさま
井水増す
(いすいます)
梅雨のころ、長雨のせいで井戸の水かさが増し、濁りを帯びること
生活・行事 雨乞
(あまごい)
稲作にとって最も大切といえる雨。夏の日照りが続くと、氏神や水神に祈り、雨を待つ
田植 苗代(なわしろ)で15cmほどにまで育った稲の苗を、水田に移植する。近年は5月初めに行う地域も多い
水番
(みずばん)
田んぼに引く水を、ほかの田に盗まれないように見張り番をする。水が不足しがちな夏の盛りは水泥棒があったのだとか
神水
(しんすい)
陰暦の5月5日、午の刻に降る雨が竹の節に溜まったもの。ご利益があるとされる
漆掻く
(うるしかく)
漆の木に傷をつけて、樹液である生漆を集める。このころに採る漆は上質といわれる
五月の鏡
(さつきのかがみ)
強い霊気が宿る美しい鏡のこと。端午の日に鋳造するのがよいとされた
集め汁
(あつめじる)
野菜などを取り合わせて煮た具だくさんの汁物。旧暦5月5日に食すと邪気を払うといわれる
朝顔市 7月6〜8日、入谷鬼子母神で行われる縁日。朝早くから朝顔を売る店など約100軒の露店が並び、賑わいをみせる
菖蒲の枕
(あやめのまくら)
端午の節句の夜、刈った菖蒲を枕の下に敷いて寝る。邪気を祓い、無病息災を祈る風習
富士詣
(ふじもうで)
陰暦の6月1日、富士の山開きにあわせて参詣する。富士山は神山とされ、江戸時代には富士講も盛んになった
伊勢の御田植 伊勢神宮の行事などで供える御料米のための田植の儀式。志摩市にある別宮伊雑宮(いざわのみや)では御田植祭が行われる
桜桃忌
(おうとうき)
入水自殺した小説家太宰治の遺体が発見された日6月19日。太宰の誕生日でもある。命日は6月13日
植物・動物 青梅 梅雨のころの、まだ青々と酸味の強い梅の実。この青い実を梅酢や梅酒にする
黴(かび) 高温多湿、ジメジメとしがちな梅雨に発生しやすい。醤油などの醸造には欠かせないものでもある
紫陽花
(あじさい)
梅雨のころに花をつける日本原産の低木。咲き始めから終わりまで色が次々変わることから、「七変化」という別名も
夾竹桃
(きょうちくとう)
このころから花をつける常緑低木。花が桃に、葉は竹に似る。街路樹や庭木として植えられるが強い毒を持つ
ラベンダー シソ科の常緑低木。豊かな心地よい香りで深い青紫の花穂をつける。和名は「薫衣草(くんいそう)」
竹の花 珍しい竹の花。60年から120年に一度、稲穂に似た花をつける。花が咲いたあと、竹は一斉に枯れてしまう。現在全国で開花が報告されている
破れ傘 夏に花をつける山野草。春先、深くまで裂けた傘のような姿を見せるのが、ユニーク名の由来
木耳
(きくらげ)
梅雨から秋にかけて広葉樹の倒木などに生える。クラゲのような歯触りが名の由来
蟷螂生る
(とうろううまる)
蟷螂とはカマキリ。秋の終わりに産みつけられた卵嚢から、数えきれないほどの小さなカマキリが生まれくる。そのうち成虫になれるのは2、3匹なのだとか
津走
(つばす)
出世魚であるブリの幼魚。ブリに比べると脂が少なくさっぱりとした味わい
蛇衣を脱ぐ 蛇は成長する過程で脱皮する。活動期であるこの時期、蛇の抜け殻をよく見かける
鯰(なまず) 沼や川に棲む淡水魚。鱗はなく、4本の口ひげをもつ。梅雨の時期に産卵するため、浅瀬によく現れる

夏の季語:晩夏(7月ごろ)

夏の季語:晩夏(7月ごろ)

晩夏とは、小暑から立秋の前日まで。
夏の終わりの意味ですが、まだまだ暑さはこれからといったところで、厳しい暑さをさまざまな角度から表しています。

区分 季語 意味・情景
時候 炎昼
(えんちゅう)
真夏の炎天下、焼けるような激しい昼間の暑さ
夏深し 夏の盛りを過ぎ、いよいよ夏も終わりの気配を感じるころ
夏の果
(なつのはて)
夏の終わり。暑さが少しずつおさまり、過ごしやすくなる一方で、どこか物悲しさも感じるさま
秋を待つ まだ続く夏の暑さ。秋が待ち遠しいという気持ちを表す
灼く(やく) 真夏のジリジリとした肌を焼くような、太陽の熱を表す
炎ゆ(もゆ) 太陽の熱ですべてが熱くなり、ゆらめくような風景のさま。視覚から伝わる暑さ
夜の秋 「秋の夜」ではない。夏の終わり、昼間は暑くとも、夜になると過ごしやすく虫の音も聞こえ、秋の気配が漂う
自然(天文・地理) 土用あい
(どようあい)
夏の終わり、土用のころに吹く北風。どこか秋の気配を含む。「あい」とは北風や東風をいう
送り梅雨 梅雨明け前によくみられる、雷をともなうような土砂降りの雨
油照
(あぶらでり)
薄曇りながら、風がなくじっとりと脂汗をかくような蒸し暑さ
朝凪 日の出後に、海辺で陸風から海風に切り替わる一時、風が止む時間帯
温風 梅雨明けに吹く、温かく湿気を含んだ風
風死す 風がぴたっと止み、ジリジリとした耐えがたい暑さ。「死」があることで絶望的な印象
喜雨(きう) 日照りが続いたあとの、恵みの雨。とくに農業に関わる人にはまさに喜び
白南風
(しろはえ)
梅雨が開けて、空も明るく、気分も明るいさまが「白」で表される
青田
(あおた)
稲の苗が育ち、田んぼが青々と見えるさま
雪渓
(せっけい)
高い山の斜面や渓谷などに局地的に、溶け残った積雪。涼を呼ぶ景色
お花畑 「花畑」は秋の季語。「お」がつくと夏の季語となる。夏になり、さまざまな高山植物が咲き乱れるさまを指す
生活・行事 梅干
(うめぼし)
塩漬けした梅を、梅雨の明けたころに天日に干して保存食にする。7月の土用のころのよく晴れたときに三日三晩干す
干瓢剥く
(かんぴょうむく)
干瓢を作るため、夕顔の果肉を薄く長く剥く作業。干瓢は江戸時代から親しまれてきた伝統的な保存食
醤油作る
(しょうゆつくる)
蒸した大豆と煎った麦などを使って醤油を作る。寒い時期に仕込み、気温の上昇を利用して発酵させる
川床
(かわゆか)
納涼のため、川に桟敷を出す。京都の鴨川沿い、また高雄や貴船の料亭などが有名
夜濯
(よすすぎ)
夜に洗濯すること。昼は暑くて洗濯を干すのも一苦労だが、夜は涼しく、夜風で洗濯物は朝までに乾く
日向水
(ひなたみず)
たらいなどに汲み置きして、夏の日差しに温められたぬるい水。昔はこれを風呂に利用したり、行水を行なったりした
祇園会
(ぎおんえ)
京都の夏の風物詩、祇園祭。千年以上続く八坂神社の祭礼。夏の疫病退散を祈ったのが起源。約1ヶ月間多くの祭事が行われる
海開き 七月上旬ごろ、各地で海水浴場が開設され、海水浴シーズンが始まる
五月蝿なす神
(さばえなすかみ)
夏に流行る疫病をもたらす疫病神や邪神を、旧暦五月ころに発生する蠅の鬱陶しさ、しつこさにたとえた言葉
茅の輪
(ちのわ)
夏越の祓に神社などに設らえられる茅を束ねて作られる大きな輪。祓詞を唱えながらくぐり、残り半年の無病息災を祈る
植物・動物 アスパラガスの花 春に土から出た30cmほどの若茎を食用とする。その後茎葉が1メートル以上に伸び、小さな釣鐘型をしたクリーム色の花をつける
青山椒 山椒の熟さない青々とした実。爽やかな香りと辛味が特徴。丸ごとちりめん山椒などの料理に用いられる
沙羅の花(しゃらのはな花) 白い花弁に黄色い花芯で、椿の花に似ることから、和名は夏椿。咲くと1日で花を落とす一日花
駒草
(こまくさ)
可憐な姿で非常に厳しい環境に生きることから「高山植物の女王」とも。ピンク色の花の形が馬の顔に似る
茗荷の子
(みょうがのこ)
地下茎から出る花蕾(からい)を食す茗荷。この花蕾を「茗荷の子」、「花茗荷」と呼ぶ
鶯音を入る
(うぐいすねをいる)
「入る」は「納る」の意味。春先から囀っていた鶯は、繁殖期を過ぎこのころになると囀りをやめ、地鳴きだけになる
薄翅蜉蝣
(うすばかげろう)
トンボによく似ており、美しく透き通った細長い羽を持つ。止まるときは羽をたたむ。この幼虫が蟻地獄
天牛
(かみきり)
非常に長い触覚を持つ甲虫。髪の毛を噛みちぎるほど顎が強いことが名の由来
紙魚(しみ) 衣服や紙などを食す虫。古本の間などに見られる。平たい体でくねくねと素早く動くさまが魚に似る
鷹羽遣いを習ふ
(たかはねづかいをならう)
鷹狩りの鷹は、羽が生え変わったころ飛行訓練を行う

暑中見舞いやSNSで取り入れやすい夏の季語

厳しい暑さのなか、あの方はお元気だろうかと気遣う暑中見舞いや残暑見舞い。また、この暑さヤバいよねー、と多くの人と共感したいSNS。

いつも使う言葉とはちょっと違う、季語。
じつはその夏の空気や情景、心持ちまで、表してくれるものもありそうです。

  • 風薫る
    例「風薫る季節となりました。いかがお過ごしでしょうか?」
  • 夏めく
    例「次第に夏めいてまいりました。皆様お変わりありませんか?」
  • 梅雨寒
    例「梅雨寒が続いております。風邪など召されませんように」
  • 酷暑
    酷暑の折、くれぐれもご自愛くださいませ」
  • 夏深し
    夏も深まり、夜には秋の気配も感じられるようになりました」

夏のさまざまな表情を、印象的な季語にのせて大切な人に伝えてみるのはいかがですか?

有名な夏の俳句

夏を詠んだ有名な俳句を紹介します。
どの句も、まるでその情景が浮かんでくるようです。

五月雨を あつめてはやし 最上川 / 松尾芭蕉

『奥の細道』に収められた、俳人松尾芭蕉の有名な句。

「五月雨」は仲夏の季語。
6月、梅雨の最中でしょうか。
山形県を訪れた芭蕉が、そこで催された句会の発句に詠んだのは、
「五月雨を あつめて涼し 最上川」
だったといいます。

その後、推敲され「涼し」が「はやし」となりました。

じつは「涼し」の句を詠んだあと、芭蕉は最上川の船下りを体験したのだそう。
日本三大急流にも数えられる最上川、しかも梅雨で増水したその流れは、それはそれは早かったことでしょう。

閑かさや 岩にしみ入る 蝉の声 / 松尾芭蕉

こちらも松尾芭蕉の『奥の細道』に収められています。

現在の山形市、立石寺(りっしゃくじ)を訪れた際の句。
険しく切り立った岩壁を背に、お堂が建てられています。

一心に鳴く蝉の声は、強い生命力を感じさせ、それとは対極の動かぬ岩にも吸い込まれていくよう。

「蝉」は晩夏の季語です。
蝉の声が、俗世と切り離されたような静寂を一層際立たせ、聞き入っている自分の心の静けさ、また寂しさも強く感じるという対比が感じられます。

夏嵐 机上の白紙 飛び尽くす / 正岡子規

夏嵐は、三夏の季語。
青々とした緑を大きく揺らして吹く、少し強めの風です。

病に臥す正岡子規の机には、まだなにも書き付けていない白紙。
どうもまだ句が浮かんでいない様子です。

勢いのある風に、その紙が吹き飛びました。
吹き込んだ風は、なかなか句が思いつかない、その滞った空気もさらっていったでしょうか。

外には瑞々しい緑が揺れ、風で舞った紙の白さが目に浮かぶよう。
躍動感あふれる句です。

目には青葉 山ほととぎす 初鰹 / 山口素堂

お気づきでしょうか?
じつは、この俳句には季語が3つ。

青葉、ほととぎす、初鰹すべて夏の季語です。
このように、一つの俳句に複数の季語が入ることは「季重なり」といい、本来はタブーとされるもの。

でもなんとも耳触りがよく、覚えている方も多い句ですよね。

目には青々と美しい青葉、耳に心地よく響くほととぎすの鳴き声、そして旬の味覚、初鰹。夏の訪れを喜ぶ気持ちがたっぷり盛り込まれている句です。

夏をまとう|夏を遊ぶアイテム紹介

ちょっと厳しすぎません?近ごろの夏。
せっかくのお出掛けも、あの日差しを考えると思わずテンション下がり気味です。

そんな時は、お気に入りの一枚を選びましょう。

たっぷりと風をはらんで、着心地も見た目も涼やかなワンピース。
和のテイストなので、あなただけの着方を楽しめます。

季語にもなっている夏の花々があしらわれたものや、UVカット加工がされたものも揃えました。
梅雨寒のころには、羽織ものとしても重宝します。

夏をまとう|夏を遊ぶアイテム紹介

暮らしの積み重なり

季語って、なんだか不思議。

ただ、ひまわりというと
「知ってる、あの大きな、タネがびっしり詰まった黄色の花」と思うのだけれど、季語ひまわり、なると、なんだか少し違うよう。

いつかのどこかの風景の中にある、記憶の中の「あのひまわり」が、ぼんやり浮かんでくるようです。

私たち日本人の暮らしが積み重なって、そこから生まれた季語の数々。
あなたの夏の風景、空気感を、思わず五・七・五に詠みたくなるような、そんな夏の季語に出会えますように。

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