太陽神とは?日本や世界の太陽神を神話とともに一覧でご紹介!

みなさんは、「太陽神」という言葉を聞いたことがありますか?
名前だけは何となく聞いたことがある、という方も多いかもしれませんね。実は、世界にはたくさんの太陽神が存在しています。

このコラムでは、世界のすべての太陽神ではなく、主な太陽神をご紹介していきたいと思います。また、太陽神にまつわる神話や、民族の言い伝えについても簡単に触れてご紹介します。

太陽神とは?

そもそも「太陽神って何?」と疑問に思っている方もいるかもしれませんね。まずは、太陽神とは何かについてご紹介します。

なぜ人は太陽を神と崇めたのか?太陽信仰とは。

なぜ人は太陽を神と崇めたのか?太陽信仰とは。

太陽神とは、太陽を信仰の対象としてとらえ、神格化したものです。大地に恵をもたらす太陽は、自然の中で生きていく人間にとって、古代から世界の至る場所で生活に大きな影響を与える神として信じられてきました。また、一言で「太陽神」といっても、世界の国や地域によってそれぞれ異なる太陽神の解釈があることも興味深い点の一つです。

ここからは、そんなさまざまな太陽神をご紹介していきます!

世界の太陽神/古代エジプト神話「ラー」「アテン」

太陽神と聞いて、古代エジプト神話の「ラー」や「アテン」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。この2柱の有名な太陽神がどのようなものか、チェックしましょう!

古代エジプトの太陽神「ラー」

古代エジプトの太陽神「ラー」

ラーは、太陽そのものを象徴する神であり、古代エジプト神話の最高神として崇められ、光と生命の源として信仰されていました。ヌンという原初の海から生まれたという説や、蓮の花から生まれたという説があります。

人間と神々が共存しているという設定の古代エジプトを舞台にした『キング・オブ・エジプト』という映画には、ラーが登場しますよ♪

古代エジプトの太陽神「アテン」

もともとは太陽神ラーから分離した神だと言われています。存在するだけで人々に光を与える慈愛の神として信仰されていました。アテンの姿はエジプトの壁画や碑文に描かれていることも多いです。

世界の太陽神/古代ギリシャ神話「ヘリオス」「アポロン」

エジプトと並び、多くの神話が残る古代ギリシャ。ここにも、太陽神が存在していました……!

古代ギリシャの太陽神「ヘリオス」

古代ギリシャの太陽神「ヘリオス」

ヘリオスという名前は「太陽」や「日」という意味があるため、太陽の化身として信仰されてきました。ヒュペリオンとテイアーという神の息子として生まれました。世界中を駆け巡り、地上での様々な出来事を監視していると言われていますよ……!

古代ギリシャの太陽神「アポロン」

古代ギリシャの太陽神「アポロン」

ヘリオスの神格を吸収して太陽の神となったと言われています。そのため、太陽神となったのは、古代ギリシャ時代(紀元前5~4世紀)のなかでも後の方の時代になってからだと考えられています。詩歌・医療・芸術の神としても崇められていますよ。

世界の太陽神/古代ローマ神話「ソル」「ソール・インウィクトゥス」

続いては、イタリア・古代ローマの太陽神を一緒にチェックしていきましょう!

古代ローマの太陽神「ソル」

古代ローマの太陽神「ソル」

太陽をつかさどる神で、ギリシャ神話のヘリオスと同一視されています。帝政ローマの時代には、主神のように人々から篤く信仰されました。ちなみに、名前の「Sōl」は英語の形容詞 solar(意味:太陽の)の語源でもありますよ。

古代ローマの太陽神「ソール・インウィクトゥス」

「不敗の太陽」という意味を持つ神で、西暦274年に、ローマ皇帝によって正式な信仰として認められました。兵士の守護神としても人々から崇められた神様です。なお、12月25日はソール・インウィクトゥスの祭りの日であったため、クリスマスはこの日に設定されたという言い伝えもありますよ。

世界の太陽神/アステカ神話「トナティウ」「ウィツィロポチトリ」

中央メキシコのアステカ文明は謎も多く、そのミステリアスな雰囲気に興味を惹かれる方も多いはず。ここでは、アステカ文明で語られていたアステカ神話に登場する太陽神をご紹介します。

アステカの太陽神「トナティウ」

アステカの太陽神「トナティウ」

名前には「光り輝くもの」、「暖めるもの」という意味が込められていますが、好戦的な戦いの神としての側面も持つ太陽神です。当時のアステカの人々は、捕虜をしばしば生け贄としてトナティウに捧げていたと言われています。

アステカの太陽神「ウィツィロポチトリ」

アステカの太陽神「ウィツィロポチトリ」

地母神・コアトリクエの身に宿っていたとき、400人の兄姉から暗殺されそうになるも、母の身を裂いて飛び出し、返り討ちにした、というインパクトの大きな誕生エピソードを持つ神。太陽神、軍神として信仰されていました。

世界の太陽神/マヤ神話「キニチ・アハウ」

日が没むと、ジャガーに変身して地下世界を闊歩するという言い伝えがあることから、ジャガーの姿で描かれることもある太陽神です。日本ではトレーディングカードゲームのキャラクターとして描かれることもありますよ。

世界の太陽神/インカ神話「インティ」

世界の太陽神/インカ神話「インティ」

虹と太陽をつかさどる、インカの最高神として信仰されてきた神です。創造神・ビラコチャと海をつかさどる女神、かつ人類の母ママ・コチャの息子という伝承もあります。寛大な性格ともいわれ、彼だけが農作物を育て、病気の治療や人々の願いをかなえることができるという言い伝えも残っています。

世界の太陽神/メソポタミア神話「シャマシュ」

世界の太陽神/メソポタミア神話「シャマシュ」

月の神・シンの子どもとして生まれました。病気を治し、邪悪を払い、法律を定めると言われています。また、商業や占いの神としても崇められています。ちなみに、「目には目を」で有名な「ハンムラビ法典」はシャマシュがハンムラビ王に授けたものとされています。

世界の太陽神/北アメリカ神話「マリナ」

北アメリカ大陸のイヌイットでも、興味深い太陽神が存在しますよ♪
情熱、勇気、および美の象徴ともされる太陽神です。兄弟であり月であるイガルク(アニンガン)との争いと、その結果として月から逃げる太陽という存在として神話に登場します。

世界の太陽神/ハワイ神話「アウマクア」

家族・子孫を守ってくれる神様として、ハワイ古来から信仰されてきました。先祖の霊が鮫やフクロウ、トカゲ、ネズミや芋虫などに姿を変えてこの世に戻ってくるとされる点がとてもユニークな神です。

世界の太陽神/日本神話「天照大神(アマテラスオオミカミ)」「トカプチュプカムイ」

私たちが暮らす日本にも、有名な太陽神が存在していますよ。アイヌ民族ならではの太陽神も一緒にチェックしていきましょう!

日本の太陽神「天照大神(アマテラスオオミカミ)」

世界の太陽神/メソポタミア神話「シャマシュ」 歌川国貞(歌川国貞), 天照大神
出典:Wikimedia Commons

日本神話の主神でもあるのが天照大神です。イザナギが禊によって顔を洗った時に左目から生まれた、という説が有力。現在の皇室の祖でもあり、皇室のルーツは稲作農耕民にあったと考えられていることから、人々は古くから収穫した米やその米から作った日本酒を神棚において天照大神に捧げていました。

あらゆる願いを聞き届けてくれる、所願成就の神様として知られていますよ。

アイヌの太陽神「トカプチュプカムイ」

月を司る神・クンネチュプと共に生まれたと考えられている太陽神です。名前には、「日中に輝く太陽のカムイ(神)」「明るい太陽のカムイ」という意味があります。国全体を明るく照らすため、黒雲に乗って天へ上り、国を照らしたという伝承が残っています。

世界の太陽神/中国神話「羲和(ギカ)」

続いて、日本のお隣、中国の太陽神をご紹介します。

中国の太陽神「羲和(ギカ)」
帝俊(ていしゅん:中国神話に登場する東方の天帝)の妻で、10個の太陽を産んだといわれています。その10個は甲乙丙丁といった十干の日付けにしたがい、毎日一個ずつ登るという伝承があります。

世界の太陽神/インド神話「スーリヤ」「サヴィトリ」

古くから豊かな歴史を持つインドにも、いくつかの興味深い太陽神がいるので、ここではそれらを一緒にチェックしていきましょう!

インドの太陽神「スーリヤ」

金色の髪に3つの目、そして4本の腕を持つ姿が特徴的な神です。太陽神だからこそ身体から高熱を発しており、あまりの熱さに、生まれた瞬間母親に放り投げられたという言い伝えが残っています。

インドの太陽神「サヴィトリ」

名前は「鼓舞する者」「激励する者」という意味があり、空気や風の循環など大気の運動を司り、万物を刺激鼓舞して生き物をいるべき場所へと配置する神様です。黄金の体、黄金に輝く目と舌、毛髪を持つ姿でよく描かれます。

世界の太陽神/スラヴ神話「ダジボーグ」

「ダジボーグ」には「与えるもの」という意味があり、富を与える神様としても崇められている太陽神です。ほかにも、人間の行いに報いを与える神として、悪人には悪い報いを、善人には善い報いを与えるともいわれているんですよ……!ダジボーグが見ていると思うと、善い行いをしないと!と思えますね。

世界の太陽神/北欧神話「ソール」

ムンディルファリという男が、自分の2人の子どもがあまりに美しいことから、娘にソール、息子にマーニ(月を表す名前)という名をつけたところ、これに怒った神が2人を捕らえ、ソールには太陽の運行を、マーニには月の運行を任せたことが太陽神の始まりだ、という伝承が残っています。

世界の太陽神/ケルト神話「ルー」

牧畜の神・キアンと、エスリンの2人のあいだに生まれたのが「ルー」です。槍を持っていて、武芸の神、さらには魔術などにもすぐれ、多芸な面を持っている神としても知られています。そのため、芸術、工芸の神として崇拝されてきました。

ちなみに、「Fate/Grand Order」というゲームに、ルーをモデルにしたキャラクターが登場していますよ♪

気になった太陽神をぜひ覚えてみよう

一言で「太陽神」といっても、とても多くの神様がいたことにびっくりした方も多いのではないでしょうか。すべてを覚えるのは大変なので、ぜひ気になった太陽神を覚えてみてくださいね。

このコラムが、みなさんが太陽神に興味を持つきっかけになればうれしいです!


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