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東南アジアの小国・ラオス。この国のことを考えると、私はいつもホッと肩の力が抜ける気がします。〝観光地化〟から取り残されたラオスは、手つかずの美しい自然と素朴な人々の暮らしが垣間見れる貴重な国。でも残念なことに「日本人が少女を買春する国」としてニュースになってしまいました。今回は余り知られていないラオスの魅力と買春問題に関してお届けします。
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ラオスは中国やベトナム、タイ、カンボジア、ミャンマーに囲まれた小国です。観光地として名高い国々に囲まれている中で、ミャンマーとラオスだけはちょっと異質。
ラオスに行って感じたのは、ラオスは取り残された国なのかな、でした。観光地として成功したり経済的に急速に発展するベトナムやタイの仲間にもなれず、きな臭い気配が断続的に漂うミャンマーとも違う路線で、ポツンと取り残された小さな国という雰囲気でした。
私の場合はタイから陸路でラオスに入国しましたが、ラオスに入った瞬間、ガラリと雰囲気が変わったのを覚えています。
未舗装の道路、木を張り合わせて造られた車、泥の中を駆け回る痩せ細った子どもたち、簡素な高床式住居。目の前に広がる光景は周辺国のそれとは全く別で、20~30年前にタイムスリップしたかのようでした。ラオスだけ時間が止まっている感覚です。
ラオスでおススメしたいのが、メコン川を見ながらビールを飲むこと。お酒が得意でないならコーラでも、フレッシュなフルーツジュースでも構いません。雄大なメコン川を前に、ただのんびり飲み物を飲む、その時間こそがラオスの最大の楽しみ&醍醐味だと私は思っています。
夕方メコン川の近くを散歩していると、ビーチで見かけるようなプラスチック製のテーブルや椅子が並んでいるのに気付きました。ラオスは基本何もなく、お店の存在そのものが珍しかった私は、誘われるように近付いてみます。そこでは無造作に置かれた椅子に腰掛けて、地元の人たちがのんびりビールを飲んでいました。屋台でしょうか?でもお店専用ではなく、お店を利用しない人も自由に使っている様子でした。
席まで誰かがオーダーを取りに来てくれるのか、自分で買いに行くのか、屋台の場所もイマイチ分からないまま椅子に座って周囲を観察していると、斜め向かいのテーブルにいるおじさんと目が合いました。おじさんは目で「ビールはあっちだよ」と合図をしてくれます。素直にその視線の先でビールを買いました。銘柄はラオスの国民酒「Beer Lao」。ビールはキンキンとまではいかないものの、きちんと冷えていて瓶が汗をかいています。
ビール片手に席に戻ると先ほどのおじさんがニコっと笑ってくれました。まずは一口。目の前には、雄大なメコン川が流れています。メコン川はタイとラオスを隔てている川で、湖と間違えるほど流れは穏やかでした。手前には手つかずの自然、川の対岸には隣国タイの姿も見えます。余裕ができた私は再度、周囲を観察します。どのテーブルを見ても食べ物はありませんでした。みんな飲み物だけを購入し、それだけを楽しんでいます。
徐々に陽が傾いていく中で、私はじっと目の前の景色を見ていました。周囲の人々も同じでした。誰一人として、音楽をかけたり、スマホを触ったり、大声で笑ったりしません。友人同士で時折、話しをすることはあっても、基本はみんな目の前の景色に夢中でした。ビールを飲む。川の音を聞く。空の色が変わったのに気付く。風の暖かさを感じる…。ゆったり&ゆったり時間は過ぎていきます。
どこか懐かしいような、忘れてしまった大切なものを思い出させてくれるような特別な時間が流れていました。余計なものをそぎ落とした結果の世界がそこにはありました。ここには何もありません。でも、それでいいんだ。これが幸せなんだと思わせてくれるような、肩の力が抜けていくような魔法がかかっていました。
ラオスへの入国手段は3種類あります。飛行機、陸路、そして船!私は陸路で入国しましたが、旅仲間曰く船で入国するのが一番面白いようです。
その人とはラオスの首都・ヴィエンチャンで出会いました。彼はタイの北部からメコン川を経由してラオスに入国したと話してくれました。話を聞いてビックリ!船での入国=観光船でのんびり優雅に入国と思っていたのは私だけで実は〝命がけだった〟そうです。
「初日は大きな船だったんだけど、2日目の川が激流で、ラフティングって知っている?」
「川下りのこと?」
「似たようなモノだけど、ヘルメットつけて全員がパドル持って激流を下るもっと過激な感じの船遊び。2日目がね、ラフティングそのものだった。全身ビショビショだし、荷物も濡れるし、船から振り落とされた人もいた」
「川に落ちるって???そんな密航みたいな感じで入国するの?」
「大きな船で進めばよかったんだけど、なぜか俺たちのグループだけ途中で船が変わったんだよ。理由は分からない。聞いても誰も教えてくれないし。他の船の人たちは大きな船のままだったから、エンジンが故障したのかなぁ」
川下りが急で振り落とされたのは白人の女性2人。自力で船に戻ってきたそうですが、かなりエキサイティングな体験だったようです。
〝日本人の男性がラオスの少女・幼女を買っている〟今年に入ってこんなニュースが報じられました。人身売買の多くの被害者は10代、中には10歳の幼女も含まれているというのです。この悲しいお話にも通じますが、ラオスでは白人の中年の男性と若い現地女性のカップルをたくさん見かけました。
ラオスはフランスの支配下に置かれた歴史があります。それが関係しているのか否か私には分かりませんが、純ヨーロッパの顔をした中年の男性を何度も見ました。そして傍らには、いつも若い現地の女性がいました。
ある日の昼下がり。私はお昼ご飯が食べられる場所を探していました。周囲には未舗装の道路が広がるのみで、お店など見当たりません。探して探してやっと辿り着いたレストラン(食堂)の奥には、中年白人男性と現地の若い女性のカップルが座っていました。英語で会話をしている彼ら。男性が女性に何かをささやくと、女性がラオスの言葉で料理やお酒を注文します。専属通訳のようにも見えますが、距離感が違いました。女性はかなりフレンドリーな雰囲気で食堂のおばちゃんに話しかけますが、おばちゃんは一線を引いているようでした。
なかなか気になって食事に集中できないままお店を後にします。安宿に戻ってその話をすると、宿の従業員が言葉少なく教えてくれました「よくあるのよ」と。彼女いわく、ラオスは早期退職した白人の男性がやってくる国なのだそうです。そうして、現地妻を見つけて一緒に暮らすのだとか。男性は何カ月、何年ラオスに滞在するか分からないけれど、必ず家を借りるから私たちはすぐそれを知る事になると。
1~2軒の安宿と数軒の食堂しかない小さな町。コンビニもなければスーパーもなく、売店はいつ開くかわからない個人商店のみ。そういう町で生きていくには現地の事情に精通した〝妻〟が必要なのでしょう。
旅の間そういったカップルを何度も見ましたが、主従関係が一目で分かるような力やお金で支配しているようなカップルは見かけませんでした。男性も女性に頼っていたり、女性をエスコートしていたり、年齢以外は普通のカップルに見えたりもしました。声を大にして言いたいのが女性はみな成人かそれに近い年齢だったという事。誰一人、少女を連れてはいませんでした。
日本の男性がラオスで幼女を買っているというニュースは、本当に気分の悪いモノです。大きなくくりで見ればどちらも買春なのかも知れませんが、そこには果てしない差があり、絶対に許してはいけない壁があります。ラオス好きの一人として、美しいラオスという国がこんな悍ましいニュースで話題にあがり注目を浴びるのが残念で仕方ありません。
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大学卒業後、ライター&編集者として出版社や新聞社に勤務。マイナーな国をメインに、世界中を旅する。旅先で出会ったイスラム教徒と国際結婚。出産&離婚&再婚を経て現在は2児の母。公式HP:Lucia Travel
東南アジアの小国・ラオス。この国のことを考えると、私はいつもホッと肩の力が抜ける気がします。
〝観光地化〟から取り残されたラオスは、手つかずの美しい自然と素朴な人々の暮らしが垣間見れる貴重な国。でも残念なことに「日本人が少女を買春する国」としてニュースになってしまいました。
今回は余り知られていないラオスの魅力と買春問題に関してお届けします。
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目次
ラオスってどんな国?
ラオスは中国やベトナム、タイ、カンボジア、ミャンマーに囲まれた小国です。観光地として名高い国々に囲まれている中で、ミャンマーとラオスだけはちょっと異質。
ラオスに行って感じたのは、ラオスは取り残された国なのかな、でした。
観光地として成功したり経済的に急速に発展するベトナムやタイの仲間にもなれず、きな臭い気配が断続的に漂うミャンマーとも違う路線で、ポツンと取り残された小さな国という雰囲気でした。
私の場合はタイから陸路でラオスに入国しましたが、ラオスに入った瞬間、ガラリと雰囲気が変わったのを覚えています。
未舗装の道路、木を張り合わせて造られた車、泥の中を駆け回る痩せ細った子どもたち、簡素な高床式住居。
目の前に広がる光景は周辺国のそれとは全く別で、20~30年前にタイムスリップしたかのようでした。ラオスだけ時間が止まっている感覚です。
雄大なメコン川とラオスビール
ラオスでおススメしたいのが、メコン川を見ながらビールを飲むこと。お酒が得意でないならコーラでも、フレッシュなフルーツジュースでも構いません。
雄大なメコン川を前に、ただのんびり飲み物を飲む、その時間こそがラオスの最大の楽しみ&醍醐味だと私は思っています。
夕方メコン川の近くを散歩していると、ビーチで見かけるようなプラスチック製のテーブルや椅子が並んでいるのに気付きました。ラオスは基本何もなく、お店の存在そのものが珍しかった私は、誘われるように近付いてみます。
そこでは無造作に置かれた椅子に腰掛けて、地元の人たちがのんびりビールを飲んでいました。屋台でしょうか?でもお店専用ではなく、お店を利用しない人も自由に使っている様子でした。
席まで誰かがオーダーを取りに来てくれるのか、自分で買いに行くのか、屋台の場所もイマイチ分からないまま椅子に座って周囲を観察していると、斜め向かいのテーブルにいるおじさんと目が合いました。おじさんは目で「ビールはあっちだよ」と合図をしてくれます。
素直にその視線の先でビールを買いました。銘柄はラオスの国民酒「Beer Lao」。ビールはキンキンとまではいかないものの、きちんと冷えていて瓶が汗をかいています。
ビール片手に席に戻ると先ほどのおじさんがニコっと笑ってくれました。まずは一口。目の前には、雄大なメコン川が流れています。
メコン川はタイとラオスを隔てている川で、湖と間違えるほど流れは穏やかでした。手前には手つかずの自然、川の対岸には隣国タイの姿も見えます。
余裕ができた私は再度、周囲を観察します。どのテーブルを見ても食べ物はありませんでした。みんな飲み物だけを購入し、それだけを楽しんでいます。
徐々に陽が傾いていく中で、私はじっと目の前の景色を見ていました。周囲の人々も同じでした。誰一人として、音楽をかけたり、スマホを触ったり、大声で笑ったりしません。友人同士で時折、話しをすることはあっても、基本はみんな目の前の景色に夢中でした。
ビールを飲む。川の音を聞く。空の色が変わったのに気付く。風の暖かさを感じる…。ゆったり&ゆったり時間は過ぎていきます。
どこか懐かしいような、忘れてしまった大切なものを思い出させてくれるような特別な時間が流れていました。余計なものをそぎ落とした結果の世界がそこにはありました。
ここには何もありません。でも、それでいいんだ。これが幸せなんだと思わせてくれるような、肩の力が抜けていくような魔法がかかっていました。
川に落ちることも!?命がけの船入国
ラオスへの入国手段は3種類あります。飛行機、陸路、そして船!
私は陸路で入国しましたが、旅仲間曰く船で入国するのが一番面白いようです。
その人とはラオスの首都・ヴィエンチャンで出会いました。
彼はタイの北部からメコン川を経由してラオスに入国したと話してくれました。話を聞いてビックリ!船での入国=観光船でのんびり優雅に入国と思っていたのは私だけで実は〝命がけだった〟そうです。
「初日は大きな船だったんだけど、2日目の川が激流で、ラフティングって知っている?」
「川下りのこと?」
「似たようなモノだけど、ヘルメットつけて全員がパドル持って激流を下るもっと過激な感じの船遊び。2日目がね、ラフティングそのものだった。全身ビショビショだし、荷物も濡れるし、船から振り落とされた人もいた」
「川に落ちるって???そんな密航みたいな感じで入国するの?」
「大きな船で進めばよかったんだけど、なぜか俺たちのグループだけ途中で船が変わったんだよ。理由は分からない。聞いても誰も教えてくれないし。他の船の人たちは大きな船のままだったから、エンジンが故障したのかなぁ」
川下りが急で振り落とされたのは白人の女性2人。自力で船に戻ってきたそうですが、かなりエキサイティングな体験だったようです。
白人中年男性×現地の若い美女のカップル
〝日本人の男性がラオスの少女・幼女を買っている〟今年に入ってこんなニュースが報じられました。人身売買の多くの被害者は10代、中には10歳の幼女も含まれているというのです。
この悲しいお話にも通じますが、ラオスでは白人の中年の男性と若い現地女性のカップルをたくさん見かけました。
ラオスはフランスの支配下に置かれた歴史があります。それが関係しているのか否か私には分かりませんが、純ヨーロッパの顔をした中年の男性を何度も見ました。そして傍らには、いつも若い現地の女性がいました。
ある日の昼下がり。私はお昼ご飯が食べられる場所を探していました。周囲には未舗装の道路が広がるのみで、お店など見当たりません。
探して探してやっと辿り着いたレストラン(食堂)の奥には、中年白人男性と現地の若い女性のカップルが座っていました。英語で会話をしている彼ら。男性が女性に何かをささやくと、女性がラオスの言葉で料理やお酒を注文します。専属通訳のようにも見えますが、距離感が違いました。
女性はかなりフレンドリーな雰囲気で食堂のおばちゃんに話しかけますが、おばちゃんは一線を引いているようでした。
なかなか気になって食事に集中できないままお店を後にします。安宿に戻ってその話をすると、宿の従業員が言葉少なく教えてくれました「よくあるのよ」と。
彼女いわく、ラオスは早期退職した白人の男性がやってくる国なのだそうです。そうして、現地妻を見つけて一緒に暮らすのだとか。
男性は何カ月、何年ラオスに滞在するか分からないけれど、必ず家を借りるから私たちはすぐそれを知る事になると。
1~2軒の安宿と数軒の食堂しかない小さな町。コンビニもなければスーパーもなく、売店はいつ開くかわからない個人商店のみ。そういう町で生きていくには現地の事情に精通した〝妻〟が必要なのでしょう。
旅の間そういったカップルを何度も見ましたが、主従関係が一目で分かるような力やお金で支配しているようなカップルは見かけませんでした。男性も女性に頼っていたり、女性をエスコートしていたり、年齢以外は普通のカップルに見えたりもしました。
声を大にして言いたいのが女性はみな成人かそれに近い年齢だったという事。誰一人、少女を連れてはいませんでした。
日本の男性がラオスで幼女を買っているというニュースは、本当に気分の悪いモノです。
大きなくくりで見ればどちらも買春なのかも知れませんが、そこには果てしない差があり、絶対に許してはいけない壁があります。
ラオス好きの一人として、美しいラオスという国がこんな悍ましいニュースで話題にあがり注目を浴びるのが残念で仕方ありません。
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筆者プロフィール:R.香月(かつき)
大学卒業後、ライター&編集者として出版社や新聞社に勤務。
マイナーな国をメインに、世界中を旅する。
旅先で出会ったイスラム教徒と国際結婚。
出産&離婚&再婚を経て現在は2児の母。
公式HP:Lucia Travel