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「こけし」は現在、ちょっとしたブームです。素朴な木の人形が昭和初期に民芸品・工芸品として注目されるようになってから、既に何回かのブームが起こりました。現在のブームは若い女性を中心に巻き起こっており、SNSでその魅力が広がっています。
今回は、こけしの歴史を探りながら、その魅力に迫りたいと思います。
こけしは、江戸末期ごろから作られている木製の人形です。 もともとは木製の生活用具(お椀やお盆など)を作っていた「木地師」と呼ばれる木工職人たちが、東北地方の温泉地で端材を使って作り始めたのが始まりでした。こけしは頭が大きく顔が描かれており、胴は筒状で手足はなく、伝統的な模様が描かれています。高さは10cmから50cmくらいです。始めのころは、子どものおもちゃとして人形と同じような取り扱いを受けたのですが、大正時代頃からは、大人が工芸品として大切に飾ることも多くなりました。
また、こけしは子宝を授かる願いや子どもの健康や成長の願いを込めて作られることもあります。その意味から魔除けの意味を込めて、赤を主体とした色付けがなされることもしばしばです。
当初のこけしは東北の温泉場で子ども向けの土産として販売されていました。こけしを手にした子どもは、普通の人形と同じように、着物を着せたり背負ったりして遊んだといわれています。
年月を経るにつれて、こけしは子どもの玩具や温泉場のみやげ物という役割を超えて、大人の審美眼にも耐える木工芸品として扱われるようになりました。コレクターも現れます。産地も東北から全国へ広がって行きます。昭和時代に入ると、こけし愛好家の団体すなわちファンクラブが、いくつか結成されていたようです。
ところで、この木の人形が「こけし」と呼ばれるようになったのは、いつからでしょうか?
有力な説のひとつに、江戸時代の子どものヘアスタイルのひとつである「芥子(けし)」坊主に似ているからだ、という説があります。江戸時代の子どもたちは、男の子も女の子も手入れを簡単にするために、頭頂部の毛髪だけを残した丸坊主(芥子坊主)にしていた場合が多かったのです。
この「芥子坊主」すなわち「小芥子(こけし)」説の他にも、「木の人形」から「木偶(でく)」すなわち「きでこ」と呼ばれていたという説や、「木を削る」から「木削子(こげし)」と呼ばれていたという説など、この人形には様々な呼び方がありました。地方によって呼び方が異なる場合もあったようです。
はっきりしているのは、愛好者の団体である「東京こけし会」が、1940年(昭和15年)の総会で、この素朴な木の人形の呼び方を「こけし」に統一することが決議され、現在に至っている、ということです。
現在では、こけしは発祥地の東北から日本中に広がり、デザインも伝統的なものだけでなく、モダンで自由なスタイルの「創作こけし」が作られるようになりました。
こけしは、全てを手作業で加工しなければならない手間のかかる人形です。そのため木地師が本業の片手間に作っていたこけしも、現代では専門の職人が製作するようになりました。こけしを作る職人のことを「こけし工人(こうじん)」と呼びます。
こけしのデザインも洗練され、手の込んだものになりました。ポップなこけしも作られています。その一方で、昔風のこけしの人気も高く、子ども用の素朴なおもちゃ時代のものを、集めるコレクターもいます。
今日、こけしは、古くからの技術をもとに作られている「伝統こけし」と、伝統こけしをベースに自由なデザインを施した「創作こけし」の2種類のカテゴリーに分かれています。
伝統こけしは、師匠から弟子へ、そして孫弟子へと、師弟相伝でデザインと技術が受け継がれています。その結果、伝統こけしは作り方・構造・デザインなど特徴の違いから、以下の通り11系統に分類されるようになりました。
津軽系は、頭と胴を1本の木から彫り出す「作りつけ」と呼ばれる構造です。胴はくびれてスカートのような裾広がり、頭はおかっぱ髪です。模様は津軽藩の家紋である牡丹の花・ねぶたのダルマ絵・アイヌ民族の文様などが描かれています。
木地山(きじやま)系は太目の胴とラッキョウ型の頭が特徴で、構造が作りつけ式です。胴には菊の花や梅花模様が描いたり、縞模様の着物に前掛けを描いたりするのが、一般的です。おかっぱの前髪に赤いリボンのような髪飾りが描かれているものも多くあります。
南部系は、頭が胴と別々に作られて取り付ける「差し込み式」で、頭がグラグラ動くのが特徴です。もともと赤ちゃんのおしゃぶりを原型につくられており、そのせいか彩色はほとんどありません。あったとしても簡素なヨダレ掛けや重ね菊が描かれている程度です。全体として、素朴な印象を与えます。
弥治郎(やじろう)系は差し込み式で、頭の上にろくろでカラフルな線が何重にも描かれているのが特徴です。「まるでベレー帽をかぶっているみたいだ」とも形容されます。 胴は筒状だったり、くびれがあったり、裾が広がっていたり、さまざまです。目は上まぶただけが描かれているのが一般的です。
遠刈田(とおがった)系は、差し込み式の大きめの頭部に描かれた、「手柄(てがら)」と呼ばれる放射状の華やかな模様が特徴です。目は三日月型の切れ長で、優しい表情に見えます。胴はなで肩かつ細めで、重ね菊や梅などが描かれています。
鳴子系は差し込み式で、首の部分を持って回すと摩擦でキイキイ鳴るのが特徴です。前髪は水引で結んだスタイルで、まるで御所人形のようです。胴は中央部がへこんだ弓なりの形状で、菊・撫子・かえでなどが描かれています。
作並(さくなみ)系は差し込み式で、子どもが握りやすいように作られた細い胴が特徴です。胴に描かれている、菊の花を蟹のようにアレンジした「カニ菊」模様が、印象的です。
蔵王高湯(ざおうたかゆ)系も差し込み式です。頭が大きく胴は太くて短めで、どっしりとした印象を与えます。遠刈田系の影響を受けており、頭に遠刈田系と同じ「てがら」が描かれている場合があります。「てがら」が描かれていない場合は、おかっぱスタイルです。胴には菊・桜・牡丹・紅花など、植物を描くのが主流です。
肘折(ひじおり)系は遠刈田系と鳴子系の両方の影響を受けて発達しました。大きな頭に太い胴で肩には段があり、差し込み式です。目は三日月型で、唇ははっきりと描かれているのが特徴です。胴は全体を黄色に染めてあることが多く、その上に菊や撫子などの植物が描かれています。
山形系は作並系の影響を強く受けており、似た特徴を持っています。小さめの頭に細めの胴が特徴です。胴には桜・梅・牡丹・紅花などが描かれています。
土湯(つちゆ)系は差し込み式で、首を回すとキィーと音が鳴ります。頭は小さく、胴は細めです。頭の上には蛇の目模様と「かせ」と呼ばれる赤い髪飾りが描かれています。目は鯨の背を思わせるくじら目で、たれ鼻、おちょぼ口のユニークな表情と、胴一面にろくろで描かれた赤・黄・緑などの横縞が入っていることが特徴です。
以上11系統のこけしのうち、鳴子系・遠刈田系・土湯系は歴史が古く、こけしが温泉場のみやげ物だった頃からの伝統を引き継いでいます。地域ごとの特色もはっきりしています。
そのため鳴子系・遠刈田系・土湯系の伝統こけしは「日本三大こけし」と呼ばれ、特に高い評価を受けています。
伝統こけしが東北で脈々と発展させてきた技術は、第二次世界大戦後の1947年(昭和22年)から1948年(昭和23年)頃から、全国に広まって行きました。この新しいタイプのこけしは「創作こけし」「近代こけし」「新型こけし」と呼ばれて、伝統こけしとは別のカテゴリーに分類されています。創作こけしは自由な発想にもとづいて製作され、作家の個性が強く反映されていることが特徴です。
創作こけしの歴史の中で、無視できないのは群馬県です。現在でも、創作こけしの6割から7割は、群馬県で作られています。群馬には、こまやけん玉など木製玩具の製作技術を持つ優れた職人が多かったこと、材料となる木材が豊富に得られたことも創作こけしの発展に関係しています。地域も創作こけし産業の育成に熱心で、新しい世代の創作こけしの工人が、順調に育っています。
創作こけしはテーマも自由です。人間の男の子や女の子をモチーフにするだけでなく、おひなさま・サンタクロース・干支の動物など、想像は果てしなく広がっています。伝統こけしが決して踏み込むことのなかった、手足のあるこけしも製作されています。
群馬県でも特に有名なのは、岡本卯三郎(1917年~2009年)とその工房「卯三郎こけし」が生み出したさまざまな作品です。卯三郎は1950年にこけし作りを始め、群馬県における創作こけしの発展に貢献しました。 卯三郎が完成させた、立体的なおかっぱ頭にふっくらとした胴のこけしは、海外でも高い評価を得ています。
卯三郎こけしの特徴は、まず木の材質が異なることです。伝統こけしはミズキの木を使って作られるのですが、卯三郎は美しい木目を持つケヤキや栗の木を使いました。また卯三郎は、こけしの表面に色を塗るだけでなく、焼き絵や彫刻といった技術も使用しています。
卯三郎は、ディズニーなど人気アニメのキャラクターとのコラボ製品も作っています。ミッキーやミニーなどのこけし、ドラえもんやバカボン、ミッフィーやスヌーピーなどのこけしです。自由な発想にもとづく愛らしいこけしは、子どもたちや愛好家たちにも大好評です。
株式会社アミナコレクションでは、店舗やオンラインショップで、次のようなこけし関連アイテムを扱っています。
東北のこけしの伝統に、作家のオリジナルなアイデアを加えた、新しいタイプの創作こけしです。店舗限定でお取り扱いしています。
こけしによく描かれる花柄からインスパイアされた、ビニール製のがま口のシリーズです。マチ付きで、お化粧品等の小物がしっかり入ります。ビニールなので、万が一水分や化粧品で汚れても、ふき取って使えます。
伝統的なこけしをモチーフにデザインされた手拭です。実際に手拭として使用してもチャーミングですが、インテリアとしてお部屋に飾ると、和の雰囲気と愛らしさが同時にアップします。
手のひらサイズで愛嬌のある、こけし型の「おじゃみ(お手玉)」です。 手作りで丁寧に作られており、飾っても遊んでも楽しめます。 こけし以外にダルマや招き猫など様々なデザインが揃っているので、まとめて飾るのも素敵です。
「こけし」は江戸時代後期に東北の温泉場のみやげ物として生まれ、技術の発展と共に工芸品としての地位を確立しました。現在のこけしは、師弟相伝の形で伝統を伝えてきた「伝統こけし」と、より自由な立場でオリジナリティにあふれた「創作こけし」の2つのカテゴリーに分かれています。 日本の縁起物であるこけしを通して、日本文化を身近に感じてみてはいかがでしょうか。
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「こけし」は現在、ちょっとしたブームです。素朴な木の人形が昭和初期に民芸品・工芸品として注目されるようになってから、既に何回かのブームが起こりました。現在のブームは若い女性を中心に巻き起こっており、SNSでその魅力が広がっています。
今回は、こけしの歴史を探りながら、その魅力に迫りたいと思います。
目次
「こけし」とは
こけしは、江戸末期ごろから作られている木製の人形です。
もともとは木製の生活用具(お椀やお盆など)を作っていた「木地師」と呼ばれる木工職人たちが、東北地方の温泉地で端材を使って作り始めたのが始まりでした。こけしは頭が大きく顔が描かれており、胴は筒状で手足はなく、伝統的な模様が描かれています。高さは10cmから50cmくらいです。始めのころは、子どものおもちゃとして人形と同じような取り扱いを受けたのですが、大正時代頃からは、大人が工芸品として大切に飾ることも多くなりました。
また、こけしは子宝を授かる願いや子どもの健康や成長の願いを込めて作られることもあります。その意味から魔除けの意味を込めて、赤を主体とした色付けがなされることもしばしばです。
こけしの歴史
当初のこけしは東北の温泉場で子ども向けの土産として販売されていました。こけしを手にした子どもは、普通の人形と同じように、着物を着せたり背負ったりして遊んだといわれています。
年月を経るにつれて、こけしは子どもの玩具や温泉場のみやげ物という役割を超えて、大人の審美眼にも耐える木工芸品として扱われるようになりました。コレクターも現れます。産地も東北から全国へ広がって行きます。昭和時代に入ると、こけし愛好家の団体すなわちファンクラブが、いくつか結成されていたようです。
「こけし」という名前の由来
ところで、この木の人形が「こけし」と呼ばれるようになったのは、いつからでしょうか?
有力な説のひとつに、江戸時代の子どものヘアスタイルのひとつである「芥子(けし)」坊主に似ているからだ、という説があります。江戸時代の子どもたちは、男の子も女の子も手入れを簡単にするために、頭頂部の毛髪だけを残した丸坊主(芥子坊主)にしていた場合が多かったのです。
この「芥子坊主」すなわち「小芥子(こけし)」説の他にも、「木の人形」から「木偶(でく)」すなわち「きでこ」と呼ばれていたという説や、「木を削る」から「木削子(こげし)」と呼ばれていたという説など、この人形には様々な呼び方がありました。地方によって呼び方が異なる場合もあったようです。
はっきりしているのは、愛好者の団体である「東京こけし会」が、1940年(昭和15年)の総会で、この素朴な木の人形の呼び方を「こけし」に統一することが決議され、現在に至っている、ということです。
こけしの現在
現在では、こけしは発祥地の東北から日本中に広がり、デザインも伝統的なものだけでなく、モダンで自由なスタイルの「創作こけし」が作られるようになりました。
こけしは、全てを手作業で加工しなければならない手間のかかる人形です。そのため木地師が本業の片手間に作っていたこけしも、現代では専門の職人が製作するようになりました。こけしを作る職人のことを「こけし工人(こうじん)」と呼びます。
こけしのデザインも洗練され、手の込んだものになりました。ポップなこけしも作られています。その一方で、昔風のこけしの人気も高く、子ども用の素朴なおもちゃ時代のものを、集めるコレクターもいます。
「伝統こけし」と「創作こけし」
今日、こけしは、古くからの技術をもとに作られている「伝統こけし」と、伝統こけしをベースに自由なデザインを施した「創作こけし」の2種類のカテゴリーに分かれています。
伝統こけし
伝統こけしは、師匠から弟子へ、そして孫弟子へと、師弟相伝でデザインと技術が受け継がれています。その結果、伝統こけしは作り方・構造・デザインなど特徴の違いから、以下の通り11系統に分類されるようになりました。
津軽系(青森県)
津軽系は、頭と胴を1本の木から彫り出す「作りつけ」と呼ばれる構造です。胴はくびれてスカートのような裾広がり、頭はおかっぱ髪です。模様は津軽藩の家紋である牡丹の花・ねぶたのダルマ絵・アイヌ民族の文様などが描かれています。
木地山系(秋田県)
木地山(きじやま)系は太目の胴とラッキョウ型の頭が特徴で、構造が作りつけ式です。胴には菊の花や梅花模様が描いたり、縞模様の着物に前掛けを描いたりするのが、一般的です。おかっぱの前髪に赤いリボンのような髪飾りが描かれているものも多くあります。
南部系(岩手県)
南部系は、頭が胴と別々に作られて取り付ける「差し込み式」で、頭がグラグラ動くのが特徴です。もともと赤ちゃんのおしゃぶりを原型につくられており、そのせいか彩色はほとんどありません。あったとしても簡素なヨダレ掛けや重ね菊が描かれている程度です。全体として、素朴な印象を与えます。
弥治郎系(宮城県)
弥治郎(やじろう)系は差し込み式で、頭の上にろくろでカラフルな線が何重にも描かれているのが特徴です。「まるでベレー帽をかぶっているみたいだ」とも形容されます。
胴は筒状だったり、くびれがあったり、裾が広がっていたり、さまざまです。目は上まぶただけが描かれているのが一般的です。
遠刈田系(宮城県)
遠刈田(とおがった)系は、差し込み式の大きめの頭部に描かれた、「手柄(てがら)」と呼ばれる放射状の華やかな模様が特徴です。目は三日月型の切れ長で、優しい表情に見えます。胴はなで肩かつ細めで、重ね菊や梅などが描かれています。
鳴子系(宮城県)
鳴子系は差し込み式で、首の部分を持って回すと摩擦でキイキイ鳴るのが特徴です。前髪は水引で結んだスタイルで、まるで御所人形のようです。胴は中央部がへこんだ弓なりの形状で、菊・撫子・かえでなどが描かれています。
作並系(宮城県)
作並(さくなみ)系は差し込み式で、子どもが握りやすいように作られた細い胴が特徴です。胴に描かれている、菊の花を蟹のようにアレンジした「カニ菊」模様が、印象的です。
蔵王高湯系(山形県)
蔵王高湯(ざおうたかゆ)系も差し込み式です。頭が大きく胴は太くて短めで、どっしりとした印象を与えます。遠刈田系の影響を受けており、頭に遠刈田系と同じ「てがら」が描かれている場合があります。「てがら」が描かれていない場合は、おかっぱスタイルです。胴には菊・桜・牡丹・紅花など、植物を描くのが主流です。
肘折系(山形県)
肘折(ひじおり)系は遠刈田系と鳴子系の両方の影響を受けて発達しました。大きな頭に太い胴で肩には段があり、差し込み式です。目は三日月型で、唇ははっきりと描かれているのが特徴です。胴は全体を黄色に染めてあることが多く、その上に菊や撫子などの植物が描かれています。
山形系(山形県)
山形系は作並系の影響を強く受けており、似た特徴を持っています。小さめの頭に細めの胴が特徴です。胴には桜・梅・牡丹・紅花などが描かれています。
土湯系(福島県)
土湯(つちゆ)系は差し込み式で、首を回すとキィーと音が鳴ります。頭は小さく、胴は細めです。頭の上には蛇の目模様と「かせ」と呼ばれる赤い髪飾りが描かれています。目は鯨の背を思わせるくじら目で、たれ鼻、おちょぼ口のユニークな表情と、胴一面にろくろで描かれた赤・黄・緑などの横縞が入っていることが特徴です。
日本三大こけし
以上11系統のこけしのうち、鳴子系・遠刈田系・土湯系は歴史が古く、こけしが温泉場のみやげ物だった頃からの伝統を引き継いでいます。地域ごとの特色もはっきりしています。
そのため鳴子系・遠刈田系・土湯系の伝統こけしは「日本三大こけし」と呼ばれ、特に高い評価を受けています。
創作こけし
伝統こけしが東北で脈々と発展させてきた技術は、第二次世界大戦後の1947年(昭和22年)から1948年(昭和23年)頃から、全国に広まって行きました。この新しいタイプのこけしは「創作こけし」「近代こけし」「新型こけし」と呼ばれて、伝統こけしとは別のカテゴリーに分類されています。創作こけしは自由な発想にもとづいて製作され、作家の個性が強く反映されていることが特徴です。
創作こけしの歴史の中で、無視できないのは群馬県です。現在でも、創作こけしの6割から7割は、群馬県で作られています。群馬には、こまやけん玉など木製玩具の製作技術を持つ優れた職人が多かったこと、材料となる木材が豊富に得られたことも創作こけしの発展に関係しています。地域も創作こけし産業の育成に熱心で、新しい世代の創作こけしの工人が、順調に育っています。
創作こけしはテーマも自由です。人間の男の子や女の子をモチーフにするだけでなく、おひなさま・サンタクロース・干支の動物など、想像は果てしなく広がっています。伝統こけしが決して踏み込むことのなかった、手足のあるこけしも製作されています。
群馬県でも特に有名なのは、岡本卯三郎(1917年~2009年)とその工房「卯三郎こけし」が生み出したさまざまな作品です。卯三郎は1950年にこけし作りを始め、群馬県における創作こけしの発展に貢献しました。
卯三郎が完成させた、立体的なおかっぱ頭にふっくらとした胴のこけしは、海外でも高い評価を得ています。
卯三郎こけしの特徴は、まず木の材質が異なることです。伝統こけしはミズキの木を使って作られるのですが、卯三郎は美しい木目を持つケヤキや栗の木を使いました。また卯三郎は、こけしの表面に色を塗るだけでなく、焼き絵や彫刻といった技術も使用しています。
卯三郎は、ディズニーなど人気アニメのキャラクターとのコラボ製品も作っています。ミッキーやミニーなどのこけし、ドラえもんやバカボン、ミッフィーやスヌーピーなどのこけしです。自由な発想にもとづく愛らしいこけしは、子どもたちや愛好家たちにも大好評です。
かわいいこけしが盛りだくさん!倭物やカヤアイテム紹介
株式会社アミナコレクションでは、店舗やオンラインショップで、次のようなこけし関連アイテムを扱っています。
こけし
東北のこけしの伝統に、作家のオリジナルなアイデアを加えた、新しいタイプの創作こけしです。店舗限定でお取り扱いしています。
こけしビニマルチがま
こけしによく描かれる花柄からインスパイアされた、ビニール製のがま口のシリーズです。マチ付きで、お化粧品等の小物がしっかり入ります。ビニールなので、万が一水分や化粧品で汚れても、ふき取って使えます。
こけしの手拭
伝統的なこけしをモチーフにデザインされた手拭です。実際に手拭として使用してもチャーミングですが、インテリアとしてお部屋に飾ると、和の雰囲気と愛らしさが同時にアップします。
こけしおじゃみ
手のひらサイズで愛嬌のある、こけし型の「おじゃみ(お手玉)」です。
手作りで丁寧に作られており、飾っても遊んでも楽しめます。
こけし以外にダルマや招き猫など様々なデザインが揃っているので、まとめて飾るのも素敵です。
「伝統こけし」の鍛え抜かれた美と「創作こけし」のオリジナリティ
「こけし」は江戸時代後期に東北の温泉場のみやげ物として生まれ、技術の発展と共に工芸品としての地位を確立しました。現在のこけしは、師弟相伝の形で伝統を伝えてきた「伝統こけし」と、より自由な立場でオリジナリティにあふれた「創作こけし」の2つのカテゴリーに分かれています。
日本の縁起物であるこけしを通して、日本文化を身近に感じてみてはいかがでしょうか。
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