なぜこどもの日に鯉のぼりを飾るの?意味と由来をわかりやすく解説

こどもの日と言えば、空高く泳ぐ鯉のぼりが思い浮かびます。
しかし、なぜこどもの日に鯉のぼりを飾るのでしょうか。実は、鯉のぼりを飾る風習は、端午の節句と深い関わりがあり、江戸時代に広まりました。なぜ鯉のぼりを飾るようになったのか、その意味と歴史を知れば、より深くこどもの日を楽しめるかもしれません。

この記事では鯉のぼりを飾る意味や由来をわかりやすく解説します。

鯉のぼりとは?

統治をせずに、母を想って泣きわめく

鯉のぼりとは、鯉の形をした布、もしくは紙でできたのぼりです。江戸時代中期に武家の間で、端午の節句に男児の健やかな成長を祈ってのぼりを飾ることから始まりました。
当初ののぼりには鯉は描かれておらず、のちに鯉の絵柄を描いたのぼりを家庭の庭先に飾るようになり、現代の鯉のぼりの文化に発展したのです。
鯉のぼりをあげる際は、五色(ごしき)の「吹き流し」と、風車のように回る「矢車」と先端に「回転球」という飾りを一緒に飾ります。
鯉のぼりは江戸時代から現代まで受け継がれている、日本の伝統的な飾りのひとつです。

端午の節句に五月人形と一緒に飾る理由

端午の節句に五月人形と一緒に飾る理由

端午の節句には鯉のぼりと一緒に、五月人形を飾ります。鯉のぼりと一緒に五月人形を飾る理由は、それぞれが異なる願いを込めた飾りだからです。
鯉のぼりには、生命力の強い鯉が滝を登る姿にあやかり、こどもがたくましく立派に育つようにという願いが込められています。また五月人形には、男の子の身代わりとなって、病気や災難から守るという魔除けの役割があります。
鯉のぼりと五月人形を一緒に飾ることで、男児の健やかな成長と立身出世を同時に願うのです。

そもそも端午の節句とはどんな行事?

端午の節句とは、5月5日に男児の成長を祝う行事です。元々は奈良時代に中国から伝わった風習で、日本における五節句のうちのひとつです。五節句には下記の5つがあります。

  • ● 1月7日 人日(じんじつ)の節句
  • ● 3月3日 上巳(じょうし)の節句 ※桃の節句
  • ● 5月5日 端午(たんご)の節句
  • ● 7月7日 七夕(しちせき)の節句
  • ● 9月9日 重陽(ちょうよう)の節句

節句とは昔からある日本の暦で、伝統的な行事を行う「季節の節目」となる日を表します。端午とは本来は「月の端(はじめ)の午(うま)の日」という意味ですが、「午」は「五」とも読むので現在のように5月5日が端午の節句と決められたそうです。
端午の節句は男の子の健やかな成長を祝う日として親しまれ、鯉のぼりや五月人形が飾られる伝統行事です。

雑学

こどもの日と端午の節句の違い

「こどもの日」と「端午の節句」は同じ5月5日に祝われますが、それぞれ意味と由来が異なります。端午の節句は、五節句のひとつで、こどもの日よりもずっと前から日本文化として受け継がれてきました。もともとは、端午の節句は男の子が元気に成長することを願う行事として始まったものです。

一方で、こどもの日は、1948年に国民の休日として定められています。国の祝日法によると『こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する』という日だそうです。
「母に感謝する日」とはあまり馴染みがないかもしれません。こどもの日は、男女問わずすべてのこどもの幸せを願い、母に感謝を伝える日でもあるのです。

引用: 国民の祝日について - 内閣府

なぜ鯉なの?鯉のぼりに込められた意味とは?

鯉のぼりの「鯉」がモチーフとして選ばれた理由には、昔からの言い伝えや特別な意味が込められています。なぜ他の魚ではなく、鯉だったのでしょうか。鯉が選ばれた理由を詳しくみていきましょう。

鯉は縁起の良い魚

鯉は縁起の良い魚

鯉は中国の伝説に由来し、縁起の良い魚とされています。中国の黄河中流には「竜門」という急流があり、そこを登り切った魚は霊力が宿り龍になるという言い伝えがあります。
あるとき、一匹の鯉が急流を登り切って龍に変身したという伝説が生まれました。また、竜門を登るという意味から「登竜門」という言葉が生まれたそうです。
伝説の中で龍へと成長した魚が鯉だったので、鯉は縁起がいい魚と言われるようになったのです。

鯉のぼりは成長と出世の象徴

鯉のぼりは男児の健やかな成長と立身出世を願う日本の伝統的な飾りです。「登竜門」の由来ともなった伝説から、難関を突破して成功すること、つまり立身出世の象徴となっています。
また、鯉は清流のみならず、池や沼でも生きられる生命力が強い魚なので、健やかな成長を願う意味も込められています。

色の意味

鯉のぼりにはさまざまな色があり、それぞれに意味があります。
一般的に黒い鯉(真鯉)はお父さん、赤い鯉(緋鯉)はお母さん、青い鯉はこどもを表しています。こどもが多い家庭では緑色や黄色やピンクの鯉のぼりを追加することもあるようです。

吹き流しや矢車・回転球の意味

吹き流しや矢車・回転球の意味

鯉のぼりの上の部分には五色のヒラヒラした吹き流しや矢車、回転球がついています。
吹き流しの色は赤・黄・白・黒・青の五色が使われることが多く、筒の形状です。各色にも意味があり、中国の「陰陽五行説」に基づいています。

吹き流しや矢車・回転球の意味02

陰陽五行説とは、すべて「陰」と「陽」のエネルギーと「火」「土」「金」「水」「木」の五つの要素で成り立っているという思想です。
「火」は赤色、「土」は黄色(金色)、「金」は白色、「水」は黒色、「木」は青色とされていて、五色の吹き流しに影響しているのです。吹き流しにはこどもを邪気や災いから守ってくれるお守りや魔除けの意味があります。

矢車は弓矢をもとにデザインされており、魔除けと幸せを呼び込むという意味があります。
さらに一番上にはボール型の回転球がついており、神様に男の子がいることを知らせる飾りです。

実は日本だけ?鯉のぼりの由来と歴史

鯉のぼりの由来は中国の伝説が関係していますが、現在のように飾る文化は日本独自のものです。江戸時代、武家の家庭ではこどもが生まれると端午の節句にのぼりを飾る風習がありました。

のぼりを飾る風習が、鯉のぼりの由来と言われています。
武家の文化だった鯉のぼりは江戸時代に庶民にも広がり、いくつかの変化を経て、現在の伝統行事になりました。ここでは、鯉のぼりの由来と歴史を紹介します。

日本で鯉のぼり文化が始まったきっかけ

日本で鯉のぼり文化が始まったのは、奈良時代に中国から伝わった「端午の節句」がきっかけだと言われています。
「端午」とは本来は「午の月(うまのつき、現在の5月)の最初(=端)」を祝う風習のことです。

春から夏へと季節が移り替わるこの時期は、気温の変化により体調を崩しやすい時期でもありました。昔の人々は、病気は邪気の仕業と考えていたので、端午の節句には邪気を払うために菖蒲(しょうぶ)を飾り、菖蒲酒や菖蒲を入れたお風呂に入り、健康を願っていました。

江戸時代、武家社会で広まった端午の節句と「のぼり」

江戸時代に入ると、武家の間で端午の節句は重要な行事になっていきました。これは「菖蒲」が「勝負」や「尚武(しょうぶ:武を重視すること」を連想させるからです。
徐々に、武家社会では、端午の節句は「邪気払い」の行事だけでなく、「男児の健やかな成長や立身出世を願う行事」となったのです。

また、武家の間で重要な行事となった端午の節句は、次第に華やかな行事になりました。
武家では端午の節句に鯉のぼりの由来となった「のぼり」を飾る風習が生まれました。武家ではこどもが生まれたときには、端午の節句にのぼりを飾るようになり、こののぼりが武家の間で「吹き流し」へと変化していったのです。

吹き流しには魔除けの意味や、男の子が生まれたことをその土地の人に報告する意味があったとも言われています。

鯉のデザインになったのは江戸時代中期

現在のような鯉のデザインになったのは江戸時代中期です。
主に武家の間で発展した、端午の節句ですが、江戸時代中期には庶民の間でも重要な行事になりました。

武家が五色の吹き流しを飾るのに対抗して、庶民の間では中国の登竜門伝説から影響を受けた鯉のぼりを飾るようになったのです。

また、日本を代表する浮世絵師「歌川広重」の『名所江戸百景 水道橋駿河台』からわかるように、この時代の鯉のぼりは真鯉一匹の飾りでした。

鯉のデザインになったのは江戸時代中期 歌川広重『名所江戸百景 水道橋駿河台』

現代の鯉のぼりへと進化するまでの歴史

江戸時代の鯉のぼりは1匹でしたが、明治時代では2匹に増えました。
1931年ごろに作られた童謡「こいのぼり」にも、「大きい真鯉はお父さん、小さい緋鯉はこどもたち」と歌われているように、当時の鯉のぼりは親子を表す2匹だったのです。昭和30年代以降、真鯉・緋鯉・子鯉の3匹で家族を表すようになったと言われています。

次第に人々のライフスタイルが変わり、集合住宅に住む家庭も増え、庭に大きな鯉のぼりをたてるのが難しくなりました。
現代のライフスタイルに合わせて、ベランダに簡単に設置できる鯉のぼりや、室内に飾れるコンパクトな鯉のぼりも登場したのです。

かつて端午の節句は男の子の成長を願う日とされていましたが、近年では性別を問わず、こどもの成長を願う日として広がっています。
鯉のぼりの由来や歴史を知ると、時代とともに形や風習は変化しても、こどもの成長を願う想いは変わらないことがわかります。

インテリアになじむおしゃれな鯉のぼりアイテム

こどもの日に欠かせない鯉のぼりですが、ライフスタイルに合わせたおしゃれな鯉のぼりアイテムが増えています。リビングやこども部屋にもピッタリなサイズのもの、シンプルでインテリアの邪魔をしない鯉のぼりや五月人形を紹介します。

木製の壁にかけられる鯉のぼり

木製の壁にかけられる鯉のぼり

部屋のインテリアの邪魔をしない木製の鯉のぼり。壁に掛けられるタイプなので、めんどうな出し入れもありません。シンプルで洗練されたデザインなので、どんな部屋にもなじみやすいでしょう。サイズは1番大きい真鯉で、縦38cm、横10cm。場所を選ばず飾ることができます。

木製やガラス製の五月人形

木製やガラス製の五月人形

白を基調とした兜飾りは、あえて白一色にしぼることで、布の質感や装飾の陰影が楽しめます。シンプルなのでお部屋のインテリアにも調和し、お祝いの雰囲気を味わうことができます。

左)購入はこちら

吹きガラスで作られたガラスの兜飾りは、鮮やかな色合いやガラスの中に閉じ込めた金箔がとても美しく見入ってしまうほどです。玄関や窓辺の近くに飾ると、光の入り方でさまざまな表情を楽しめます。

右)購入はこちら

受け継がれる鯉のぼり文化と想い

鯉のぼりとは、江戸時代に武家の間で始まり、端午の節句に男児の健やかな成長を願って飾られるようになったものです。もともとは武家の風習でしたが、次第に庶民にも広がり、現在のような鯉のぼりを飾る文化として定着しました。風を受けて空高く泳ぐ鯉の姿には困難を乗り越え、立身出世を願う意味が込められています。
鯉のぼりや五月人形の意味や歴史を知ると、伝統行事の大切さを再認識し、今までとは違った見方で楽しめるかもしれません。時代が変わっても、こどもたちの健やかな成長を願う気持ちは変わらずにこの先も受け継がれていくでしょう。

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