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みなさまはインドのお菓子を食べた事がありますか? 海外には日本とは違った魅力のあるお菓子達がたくさん存在していますが、なかでもインドで作られるスイーツはとっても甘いそうです。
その甘さは「世界一」といわれるほど。
今回はそんな世界一のお菓子についてご紹介していきます。激甘お菓子が集うインドで人気のスイーツにも注目です。
疲れたときは甘いもの!息抜きにぜひご覧ください。
「世界一甘い」で知られるお菓子、その名も「グラブジャムン」(グラーブ・ジャームン(गुलाब जामुन)) 食べた人からは歯が染みるほど甘い、甘すぎて背筋が凍る、などと評されていますが見た目は丸い一口サイズのドーナッツのような形をしています。
グラブジャムンの多くはシロップに漬けられた状態で並んでいますが、抜きんでた甘さはこのシロップ由来のものだそうです。詳しく特徴を見ていきましょう。
大粒のブドウくらいの大きさで、砂糖がまんべんなくまぶされた状態です。
小麦粉をベースにバターと牛乳でつくられた生地はまるで小さいサーターアンダギーのよう。まわりのシロップは砂糖と水を5:5に、カルダモンとローズウォーターを加えたもの。このシロップが甘さの秘訣で、浸して染み込ませることで強烈な甘さが完成します。
揚げられているので表面はカリッとしていますが、中はもっちりした食感。ほどよいキメのドーナツのような生地がシロップを吸い込んでいるので、噛めば甘いシロップが染み出します。
甘さと同時に、カルダモンのスパイシーな香りがやってきます。シロップに入ったローズウォータが甘い香りがします。
そんな甘いお菓子を、インドの人々はどんなタイミングで食べるのでしょうか。 誕生日や結婚にまつわるイベント・お祭りといったお祝い事で食べる事が多いそうで、特別感のあるお菓子のようです。
インドで愛されるお菓子が、なぜこんなに甘いのでしょう。インドのひとは甘党なのでしょうか。真相は、インドの環境や風土にありました。
インドの夏は過酷な暑さで気温が40~45度になることも。酷暑の中で冷蔵庫なしで食品を保存しなければいけません。 そこで役立つのが砂糖。砂糖に「賞味期限」が存在しないのはご存じですか?砂糖が50%以上含まれている食品は、一般的に細菌はほとんど繁殖しないとされています。最近では保存食としてようかん等が重宝されていますがそれも同じ理由です。
カビや細菌は活性化するために水分が必要ですが、多くの砂糖をくわえると食品の水分を砂糖が抱え込むので腐りにくくなります。 また、砂糖には酸化を防ぐ作用もあり、食品の変色や香りの劣化を遅らせることができます。こうした背景から、保存食に最適な甘いスイーツがインドの風土にぴったりはまったのです。
インドにはヒンドゥー教、イスラム教、キリスト教などさまざまな宗教が存在します。 その中でも、「ヒンドゥー教:79.8%」、「イスラム教:14.2%」が多いとされています。
ヒンドゥー教の規範とされている「マヌ法典」ではお酒を飲むことは「五大罪の一つ」とされているため、お酒を飲みません。お酒を飲まないことで体が糖分を欲しがり、甘党になりやすいといわれています。
また、インドでは、お祝いの日やヒンドゥー教の儀礼のときに甘いお菓子を供え物として食べる習慣があります。神様への供え物としてお菓子が用いられることがわかります。 宗教や文化と甘いスイーツは深い結びつきがあるのですね。
そもそも砂糖が世界に登場するのは、紀元前4世紀アレキサンダー大王のアジア遠征から始まります。アレキサンダー大王の遠征録にサトウキビの栽培についてが記録されているのが最古の記録です。つまり人類で初めて砂糖を作ったのはインド人ということになります。
サトウキビの汁を煮詰めると凝固し貯蔵性が良くなることを発見したインドの人々は、この製造技術をペルシャ、エジプトへと伝えていきました。
さらに12世紀頃から王侯貴族、聖職者、上流階級の間に広まり、コーヒーを飲む習慣が普及するにつれ、砂糖の消費量が増えていったそうです。
グラブジャムン以外にも、インドにはとっても甘いお菓子たちがたくさん存在します。 有名なものをいくつか紹介していきます。インドに渡ったことのあるかたは食べたことがあるものも出てくるかもしれません。
インドの郷土料理であり、祝い菓子ともされる「ジャレビ」は、主に中東から北アフリカにかけて一般的に見られるお菓子になります。
サクッとした軽い食感で、ライムジュースが使われることもあり、ローズウォーターやアダンの香りがする華やかなお菓子です。 ジャレビについて言及されている最も古い文献は、13世紀の料理書。イランでは、「ズルビア」と呼ばれ、ラマダーンの間では、貧者にジャレビを施す習わしがあったとされます。 ジュース入りのシロップに浸したことからその名がついたとされています。
「キール」はインドの代表的なデザートで、お祭りや祝い事によく出てくる、お米やナッツを甘く煮たミルク粥(ライスプティング)です。 インドのイスラム帝国で生まれ、ムスリムにとっては断食明けに食べるイード(祝祭)の重要な料理とされています。口当たり柔らかくカルダモンが香る味。
インドのイスラム帝国シェフの厨房で生まれたといわれ、ヒンドゥー教の祭や特別な日、また御客人をもてなすときにもふるまわれるといいます。 名前の由来は、サンスクリット語で「乳の意」ともいわれ、苦行を終えたブッダが初めて口にしたものがこの「キール」の元になる乳粥だったとされる説もあります。
「カジュ・カトリ」は、インドの祝い事やイベントには欠かせないお菓子。 大量のカシューナッツを砕いてペースト状にして砂糖を練り込み固めたもので、クッキー生地を焼く前のような食感です。表面には銀箔が張られていて美しい照り感があります。 この銀箔は、食用の銀粉から作られたアラザンなどに使われるものと同じそうです。
インドには、金や銀を体に取り込むことで元気になれるという思想があり、そこから生まれた装飾なんだそうです。
Kajuはカシューナッツのこと。「カシューナッツの薄いスライス」という意味の名前になっています。
インドやパキスタンで親しまれている「ガジャルハルワ」はにんじんを一本まるごと使ったお菓子。 温かいままでも美味しいですが、冷やしてもまた違った味わいを楽しめます。 にんじんの優しい甘みとスパイスのエスニックな風味、カルダモンの爽やかな香りが際立つ目にも鮮やかなお菓子です。
「ガジャル」はニンジン、「ハルワ」は練り菓子全般という意味で、すりおろしたにんじんと豆乳を水分が飛ぶまで煮込んで作ります。
インドの伝統的なお菓子で祝い事や宗教儀式でよく食べられます。 水分がなく乾燥していて、持ちがよいのも特徴です。食感は、口の中でホロホロと崩れ、ザクッとした食感。
ベサン粉(ひよこ豆)とギー(発行バター)、ナッツで作られたスパイスの効いたクッキーのようなお菓子です。
ガネーシャ神の好物としても知られていますが、ガネーシャの手の上に載せられているのは、上につんと伸びたお饅頭のような形の「モーダカ」で表されることが多いです。甘い物の食べ過ぎでおなかを蛇で縛ることになってしまったという逸話があるほど甘い物が好きなガネーシャ。
そんなガネーシャですが、実はもともと象の頭だったわけでは無いといいます。 詳しくは こちら で紹介していますので合わせてご覧ください。
全てのインドのお菓子で共通しているのは、「長持ちする」こと。インドの風土に寄り添った形で発達してきたスイーツたちは今や世界で愛され、強烈な甘さが癖になる魅惑のスイーツに変貌を遂げました。 インド料理屋さんにいくと結構な確率で遭遇できますので、見かけた際には是非召し上がってみてください。
ちなみに、インドは世界有数の糖尿病大国として知られています。 食べ過ぎにはご注意くださいね。
みなさまはインドのお菓子を食べた事がありますか?
海外には日本とは違った魅力のあるお菓子達がたくさん存在していますが、なかでもインドで作られるスイーツはとっても甘いそうです。
その甘さは「世界一」といわれるほど。
今回はそんな世界一のお菓子についてご紹介していきます。激甘お菓子が集うインドで人気のスイーツにも注目です。
疲れたときは甘いもの!息抜きにぜひご覧ください。
目次
世界一甘いスイーツ「グラブジャムン」
「世界一甘い」で知られるお菓子、その名も「グラブジャムン」(グラーブ・ジャームン(गुलाब जामुन))
食べた人からは歯が染みるほど甘い、甘すぎて背筋が凍る、などと評されていますが見た目は丸い一口サイズのドーナッツのような形をしています。
グラブジャムンの多くはシロップに漬けられた状態で並んでいますが、抜きんでた甘さはこのシロップ由来のものだそうです。詳しく特徴を見ていきましょう。
グラブジャムンの見た目
大粒のブドウくらいの大きさで、砂糖がまんべんなくまぶされた状態です。
小麦粉をベースにバターと牛乳でつくられた生地はまるで小さいサーターアンダギーのよう。まわりのシロップは砂糖と水を5:5に、カルダモンとローズウォーターを加えたもの。このシロップが甘さの秘訣で、浸して染み込ませることで強烈な甘さが完成します。
どんな味?
揚げられているので表面はカリッとしていますが、中はもっちりした食感。ほどよいキメのドーナツのような生地がシロップを吸い込んでいるので、噛めば甘いシロップが染み出します。
甘さと同時に、カルダモンのスパイシーな香りがやってきます。シロップに入ったローズウォータが甘い香りがします。
どんな時に食べるの?
そんな甘いお菓子を、インドの人々はどんなタイミングで食べるのでしょうか。
誕生日や結婚にまつわるイベント・お祭りといったお祝い事で食べる事が多いそうで、特別感のあるお菓子のようです。
なぜインドのスイーツが激甘なの?
インドで愛されるお菓子が、なぜこんなに甘いのでしょう。インドのひとは甘党なのでしょうか。真相は、インドの環境や風土にありました。
保存食
インドの夏は過酷な暑さで気温が40~45度になることも。酷暑の中で冷蔵庫なしで食品を保存しなければいけません。
そこで役立つのが砂糖。砂糖に「賞味期限」が存在しないのはご存じですか?砂糖が50%以上含まれている食品は、一般的に細菌はほとんど繁殖しないとされています。最近では保存食としてようかん等が重宝されていますがそれも同じ理由です。
カビや細菌は活性化するために水分が必要ですが、多くの砂糖をくわえると食品の水分を砂糖が抱え込むので腐りにくくなります。
また、砂糖には酸化を防ぐ作用もあり、食品の変色や香りの劣化を遅らせることができます。こうした背景から、保存食に最適な甘いスイーツがインドの風土にぴったりはまったのです。
宗教
インドにはヒンドゥー教、イスラム教、キリスト教などさまざまな宗教が存在します。
その中でも、「ヒンドゥー教:79.8%」、「イスラム教:14.2%」が多いとされています。
ヒンドゥー教の規範とされている「マヌ法典」ではお酒を飲むことは「五大罪の一つ」とされているため、お酒を飲みません。お酒を飲まないことで体が糖分を欲しがり、甘党になりやすいといわれています。
また、インドでは、お祝いの日やヒンドゥー教の儀礼のときに甘いお菓子を供え物として食べる習慣があります。神様への供え物としてお菓子が用いられることがわかります。
宗教や文化と甘いスイーツは深い結びつきがあるのですね。
砂糖とインドの意外な関係
そもそも砂糖が世界に登場するのは、紀元前4世紀アレキサンダー大王のアジア遠征から始まります。アレキサンダー大王の遠征録にサトウキビの栽培についてが記録されているのが最古の記録です。つまり人類で初めて砂糖を作ったのはインド人ということになります。
サトウキビの汁を煮詰めると凝固し貯蔵性が良くなることを発見したインドの人々は、この製造技術をペルシャ、エジプトへと伝えていきました。
さらに12世紀頃から王侯貴族、聖職者、上流階級の間に広まり、コーヒーを飲む習慣が普及するにつれ、砂糖の消費量が増えていったそうです。
インドで人気の甘いお菓子たち
グラブジャムン以外にも、インドにはとっても甘いお菓子たちがたくさん存在します。
有名なものをいくつか紹介していきます。インドに渡ったことのあるかたは食べたことがあるものも出てくるかもしれません。
ジャレビ(jalebi)
インドの郷土料理であり、祝い菓子ともされる「ジャレビ」は、主に中東から北アフリカにかけて一般的に見られるお菓子になります。
サクッとした軽い食感で、ライムジュースが使われることもあり、ローズウォーターやアダンの香りがする華やかなお菓子です。
ジャレビについて言及されている最も古い文献は、13世紀の料理書。イランでは、「ズルビア」と呼ばれ、ラマダーンの間では、貧者にジャレビを施す習わしがあったとされます。
ジュース入りのシロップに浸したことからその名がついたとされています。
キール(kheer)
「キール」はインドの代表的なデザートで、お祭りや祝い事によく出てくる、お米やナッツを甘く煮たミルク粥(ライスプティング)です。
インドのイスラム帝国で生まれ、ムスリムにとっては断食明けに食べるイード(祝祭)の重要な料理とされています。口当たり柔らかくカルダモンが香る味。
インドのイスラム帝国シェフの厨房で生まれたといわれ、ヒンドゥー教の祭や特別な日、また御客人をもてなすときにもふるまわれるといいます。
名前の由来は、サンスクリット語で「乳の意」ともいわれ、苦行を終えたブッダが初めて口にしたものがこの「キール」の元になる乳粥だったとされる説もあります。
カジュ ・カトリ(Kaju katli)
「カジュ・カトリ」は、インドの祝い事やイベントには欠かせないお菓子。
大量のカシューナッツを砕いてペースト状にして砂糖を練り込み固めたもので、クッキー生地を焼く前のような食感です。表面には銀箔が張られていて美しい照り感があります。
この銀箔は、食用の銀粉から作られたアラザンなどに使われるものと同じそうです。
インドには、金や銀を体に取り込むことで元気になれるという思想があり、そこから生まれた装飾なんだそうです。
Kajuはカシューナッツのこと。「カシューナッツの薄いスライス」という意味の名前になっています。
ガジャルハルワ(gajar halva)
インドやパキスタンで親しまれている「ガジャルハルワ」はにんじんを一本まるごと使ったお菓子。
温かいままでも美味しいですが、冷やしてもまた違った味わいを楽しめます。
にんじんの優しい甘みとスパイスのエスニックな風味、カルダモンの爽やかな香りが際立つ目にも鮮やかなお菓子です。
「ガジャル」はニンジン、「ハルワ」は練り菓子全般という意味で、すりおろしたにんじんと豆乳を水分が飛ぶまで煮込んで作ります。
ラドゥ(Laddu/Laddoo)
インドの伝統的なお菓子で祝い事や宗教儀式でよく食べられます。
水分がなく乾燥していて、持ちがよいのも特徴です。食感は、口の中でホロホロと崩れ、ザクッとした食感。
ベサン粉(ひよこ豆)とギー(発行バター)、ナッツで作られたスパイスの効いたクッキーのようなお菓子です。
ガネーシャ神の好物としても知られていますが、ガネーシャの手の上に載せられているのは、上につんと伸びたお饅頭のような形の「モーダカ」で表されることが多いです。甘い物の食べ過ぎでおなかを蛇で縛ることになってしまったという逸話があるほど甘い物が好きなガネーシャ。
そんなガネーシャですが、実はもともと象の頭だったわけでは無いといいます。
詳しくは こちら で紹介していますので合わせてご覧ください。
まとめ
全てのインドのお菓子で共通しているのは、「長持ちする」こと。インドの風土に寄り添った形で発達してきたスイーツたちは今や世界で愛され、強烈な甘さが癖になる魅惑のスイーツに変貌を遂げました。
インド料理屋さんにいくと結構な確率で遭遇できますので、見かけた際には是非召し上がってみてください。
ちなみに、インドは世界有数の糖尿病大国として知られています。
食べ過ぎにはご注意くださいね。