人気のキーワード
★隙間時間にコラムを読むならアプリがオススメ★
「ごはんつぶは一粒も残さずに食べましょうね」「まだお茶碗にごはんつぶが残っているから、きれいに食べなさい」など、小さいころに祖父母や両親から言われた経験はありませんか?
その理由として、「食べものを粗末にしないようにするため」というもの以外に「ごはんつぶ一粒一粒には神様がいらっしゃるから」というものを聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
日本には、古くから「一粒のお米には七人(七柱)の神様が宿る」という言い伝えがあります。このコラムでは、七人(七柱)の神様それぞれについて解説します。また、あわせて日本人がお米を大切にしてきた理由や、豊作を祈る日本のお祭りについてもご紹介します。
ぜひ最後まで読んで、私たちの生活に身近なお米について詳しくなりましょう!
日本のお米には七人(七柱)神様が宿ると言われてきました。なお、この七人(七柱)の神様には「水、土、風、虫、太陽、雲、作り手の神様である」「七福神である」「大国主命の御子神七人である」などの諸説があります。
ここからは、あらゆる説のなかでも特に有力な「水、土、風、虫、太陽、雲、作り手の神様である」という説について詳しくご紹介していきます。
お米の七人(七柱)の神様とは、「水、土、風、虫、太陽、雲、作り手」だという考え方があります。
・一人目(一柱目)の神様は水です。水は、植えた稲が強く、良く育つために田んぼに必要な豊富な水のことを指します。
・二人目(二柱目)の神様は土です。栄養素をたっぷりと含んだ土は、水とともに稲をしっかりと育てます。
・三人目(三柱目)の神様は風です。風は、1日しかない稲の開花しない間に受粉を行うための風のことを指します。これは、稲の花が風媒花と言われており、雄しべの花粉が昆虫に頼らないで風の力だけで運ばれて受粉をすることに由来します。
・四人目(四柱目)の神様は虫です。虫は、お米を食べてしまう害虫ではなく、害虫を食べてくれる益虫のことを指します。この益虫には、トンボやクモ、アメンボなどが含まれます。
・五人目(五柱目)の神様は太陽です。太陽は、稲が力強くグングンと成長するために欠かせません。太陽の光だけでなく、太陽がもたらす暑さも稲の成長には大切なのです。実際、田植えをするときには、どの苗にも公平に太陽光が行き届くように、ある程度の間隔を開けて植えます。
・六人目(六柱目)の神様は雲です。雲は、太陽の光を適度にさえぎる役割を果たします。稲は太陽を好む性質がありますが、あまりに強すぎる日差しは稲の葉を傷つけてしまうのです。
・七人目(七柱目)の神様は作り手です。最後の神様である作り手は、苦労しながら八十八の手間(工程)をかけて米作りを行います。こちらは少し興味深い雑学ですが、「米」という漢字は「お米を作るまでに八十八の手間ひまがかかること」が語源になっているんですよ!
農家のみなさんは、毎日の天気やその日の田んぼの状態、稲の健康状態に常に気を配り、稲によりそってていねいにお世話をします。手間をかけることを惜しまない、人間だからこそできる育みと言えるのです。
ここまでご紹介してきて、きっとみなさんも気づいたはず。このお米の七人(七柱)の神様は、いずれもお米作りに必要なものなんです。どれかひとつでも欠けてしまえば、稲は元気に育ちません。作り手と自然、さまざまな神様の手助けがあってこそ、お米ができるのです。
こう考えてみると、毎日食べているお米が、奇跡のように感じられませんか?ていねいにお米作りをしてくれる農家さんにも、大きな感謝の気持ちが湧いてくるはず。
続いてここからは、お米に関するそのほかの大切な神様たちをご紹介します。
「ニニギノミコト」はあまりみなさんに馴染みがない神様かもしれません。ニニギノミコトは、アマテラスオオミカミという神様の孫にあたる神様です。宮崎の高千穂に降臨した「天孫降臨(てんそんこうりん)伝承 」が有名です。天孫降臨伝承とは、『記紀(古事記と日本書紀)』に記された日本神話。ニニギノミコトが高天原から地上に降り立ち、地上世界を統治するための出来事のことを指します。天孫降臨は、天皇の起源にまつわる重要な神話であり、日本という国の基礎をつくるきっかけとなったと考えられています。
ニニギノミコトという名前は、「天地が豊かに賑わう神」という意味があるんですよ。アマテラスオオミカミは、ニニギノミコトに稲をさずけたと言います。そして、ニニギノミコトはアマテラスオオミカミの願いのとおり、土地を耕して稲を育てたと言われています。このことから、彼の到来は、日本の農耕文化の発展と密接に結びついており、その後の日本社会の基盤を築いたと考えられています。
稲荷神(お稲荷さん)は、名前の通り稲に関する神様。もともと稲は「命の根」という意味がありますが、その稲が生る=いなり、ということから、稲荷神(お稲荷さん)と呼ばれるようになりました。この神様は稲の豊作にご利益があると考えられ、人々から崇敬されています。
大黒天は、七福神の一人(一柱)。もともとはインドの神様で、中国、そして日本へと伝わりました。財運福徳や出世開運のご利益などとともに、「五穀豊穣」のご利益もあります。日本に大黒様が伝わったあと、神道の大国主(豊かさの象徴)と神仏習合をします。これにより、農耕の神様としての位置づけとなっていきました。ちなみに、大黒様と言えば米俵の上に乗っている姿をイメージするかと思いますが、大黒さまが米俵に乗るようになったのは江戸時代からと言われています。
日本人は、神様からもらった食物として、昔からお米を大事にしてきました。
日本は昔、「豊葦原の瑞穂の国(とよあしはらのみずほのくに)」と呼ばれていました。先ほどもご紹介したとおり、ニニギノミコトが日本に降り立つ際に、「人々が飢えることがないように」とアマテラスオオミカミからさずかったのが「稲」なのです。このことが、日本人がお米をずっと大切にしてきた理由です。
お米と神様の関係は現代の生活でも見ることができます。たとえば、建物を建てる際に「地鎮祭」を行いますが、そのときのお供え物の中心に据えるのはお米です。これは、お米や稲には神様が宿り、「神様が込め(米)られたもの」と考えられてきたことが理由です。
日本には、新嘗祭や神嘗祭といった豊作に関するお祭りがあるんですよ。以下、それぞれ詳しくご紹介します。
「新嘗祭(にいなめさい)」は、毎年11月23日に全国の神社で行われるお祭りです。その年に獲れたお米を天皇陛下がお供えし、ご自身でも食され、恵みに感謝し人々の幸せを祈ります。これは、1300年以上前から行われてきたと言われています。ちなみに、新天皇が即位したあとに初めて行う新嘗祭は特別に「大嘗祭(だいじょうさい)」と呼ばれています。
詳しくはこちら
「神嘗祭(かんなめさい)」は、毎年10月15~17日に行われる、伊勢神宮の年中行事きっての大祭です。その年に収穫された新しい穀物(初穂)を捧げて感謝するお祭りとして、長い伝統があります。新嘗祭と似ていますが、神嘗祭では、新嘗祭のように天皇陛下が自らお米を食すことはありません。
お米には七人(七柱)の神様がいて、そのどれもが米作りには欠かせないことがわかりましたね。お米を実らせるためには、とてつもない苦労が必要だという意味を持つ「米一粒、汗一粒」ということわざがありますが、まさにそのとおり。
お米の七人(七柱)の神様のことを知ると、毎日食べているお米が、奇跡のように感じられるはず。おいしいお米を育ててくれる自然と農家さんへの感謝の気持ちを持ってごはんを味わえたら素敵ですね。
「ごはんつぶは一粒も残さずに食べましょうね」「まだお茶碗にごはんつぶが残っているから、きれいに食べなさい」など、小さいころに祖父母や両親から言われた経験はありませんか?
その理由として、「食べものを粗末にしないようにするため」というもの以外に「ごはんつぶ一粒一粒には神様がいらっしゃるから」というものを聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
日本には、古くから「一粒のお米には七人(七柱)の神様が宿る」という言い伝えがあります。このコラムでは、七人(七柱)の神様それぞれについて解説します。また、あわせて日本人がお米を大切にしてきた理由や、豊作を祈る日本のお祭りについてもご紹介します。
ぜひ最後まで読んで、私たちの生活に身近なお米について詳しくなりましょう!
目次
日本のお米には神様が宿る
日本のお米には七人(七柱)神様が宿ると言われてきました。なお、この七人(七柱)の神様には「水、土、風、虫、太陽、雲、作り手の神様である」「七福神である」「大国主命の御子神七人である」などの諸説があります。
ここからは、あらゆる説のなかでも特に有力な「水、土、風、虫、太陽、雲、作り手の神様である」という説について詳しくご紹介していきます。
お米の七人(七柱)の神様
お米の七人(七柱)の神様とは、「水、土、風、虫、太陽、雲、作り手」だという考え方があります。
・一人目(一柱目)の神様は水です。水は、植えた稲が強く、良く育つために田んぼに必要な豊富な水のことを指します。
・二人目(二柱目)の神様は土です。栄養素をたっぷりと含んだ土は、水とともに稲をしっかりと育てます。
・三人目(三柱目)の神様は風です。風は、1日しかない稲の開花しない間に受粉を行うための風のことを指します。これは、稲の花が風媒花と言われており、雄しべの花粉が昆虫に頼らないで風の力だけで運ばれて受粉をすることに由来します。
・四人目(四柱目)の神様は虫です。虫は、お米を食べてしまう害虫ではなく、害虫を食べてくれる益虫のことを指します。この益虫には、トンボやクモ、アメンボなどが含まれます。
・五人目(五柱目)の神様は太陽です。太陽は、稲が力強くグングンと成長するために欠かせません。太陽の光だけでなく、太陽がもたらす暑さも稲の成長には大切なのです。実際、田植えをするときには、どの苗にも公平に太陽光が行き届くように、ある程度の間隔を開けて植えます。
・六人目(六柱目)の神様は雲です。雲は、太陽の光を適度にさえぎる役割を果たします。稲は太陽を好む性質がありますが、あまりに強すぎる日差しは稲の葉を傷つけてしまうのです。
・七人目(七柱目)の神様は作り手です。最後の神様である作り手は、苦労しながら八十八の手間(工程)をかけて米作りを行います。こちらは少し興味深い雑学ですが、「米」という漢字は「お米を作るまでに八十八の手間ひまがかかること」が語源になっているんですよ!
農家のみなさんは、毎日の天気やその日の田んぼの状態、稲の健康状態に常に気を配り、稲によりそってていねいにお世話をします。手間をかけることを惜しまない、人間だからこそできる育みと言えるのです。
ここまでご紹介してきて、きっとみなさんも気づいたはず。このお米の七人(七柱)の神様は、いずれもお米作りに必要なものなんです。どれかひとつでも欠けてしまえば、稲は元気に育ちません。作り手と自然、さまざまな神様の手助けがあってこそ、お米ができるのです。
こう考えてみると、毎日食べているお米が、奇跡のように感じられませんか?
ていねいにお米作りをしてくれる農家さんにも、大きな感謝の気持ちが湧いてくるはず。
お米に関するそのほかの神様たち
続いてここからは、お米に関するそのほかの大切な神様たちをご紹介します。
「ニニギノミコト」はあまりみなさんに馴染みがない神様かもしれません。
ニニギノミコトは、アマテラスオオミカミという神様の孫にあたる神様です。宮崎の高千穂に降臨した「天孫降臨(てんそんこうりん)伝承 」が有名です。天孫降臨伝承とは、『記紀(古事記と日本書紀)』に記された日本神話。ニニギノミコトが高天原から地上に降り立ち、地上世界を統治するための出来事のことを指します。
天孫降臨は、天皇の起源にまつわる重要な神話であり、日本という国の基礎をつくるきっかけとなったと考えられています。
ニニギノミコトという名前は、「天地が豊かに賑わう神」という意味があるんですよ。アマテラスオオミカミは、ニニギノミコトに稲をさずけたと言います。そして、ニニギノミコトはアマテラスオオミカミの願いのとおり、土地を耕して稲を育てたと言われています。このことから、彼の到来は、日本の農耕文化の発展と密接に結びついており、その後の日本社会の基盤を築いたと考えられています。
稲荷神(お稲荷さん)は、名前の通り稲に関する神様。もともと稲は「命の根」という意味がありますが、その稲が生る=いなり、ということから、稲荷神(お稲荷さん)と呼ばれるようになりました。この神様は稲の豊作にご利益があると考えられ、人々から崇敬されています。
大黒天は、七福神の一人(一柱)。もともとはインドの神様で、中国、そして日本へと伝わりました。財運福徳や出世開運のご利益などとともに、「五穀豊穣」のご利益もあります。日本に大黒様が伝わったあと、神道の大国主(豊かさの象徴)と神仏習合をします。これにより、農耕の神様としての位置づけとなっていきました。ちなみに、大黒様と言えば米俵の上に乗っている姿をイメージするかと思いますが、大黒さまが米俵に乗るようになったのは江戸時代からと言われています。
お米は神様からもらった食物
日本人は、神様からもらった食物として、昔からお米を大事にしてきました。
日本は昔、「豊葦原の瑞穂の国(とよあしはらのみずほのくに)」と呼ばれていました。先ほどもご紹介したとおり、ニニギノミコトが日本に降り立つ際に、「人々が飢えることがないように」とアマテラスオオミカミからさずかったのが「稲」なのです。このことが、日本人がお米をずっと大切にしてきた理由です。
お米と神様の関係は現代の生活でも見ることができます。たとえば、建物を建てる際に「地鎮祭」を行いますが、そのときのお供え物の中心に据えるのはお米です。これは、お米や稲には神様が宿り、「神様が込め(米)られたもの」と考えられてきたことが理由です。
豊作を祈る、日本のお祭り
日本には、新嘗祭や神嘗祭といった豊作に関するお祭りがあるんですよ。
以下、それぞれ詳しくご紹介します。
新嘗祭
「新嘗祭(にいなめさい)」は、毎年11月23日に全国の神社で行われるお祭りです。
その年に獲れたお米を天皇陛下がお供えし、ご自身でも食され、恵みに感謝し人々の幸せを祈ります。これは、1300年以上前から行われてきたと言われています。ちなみに、新天皇が即位したあとに初めて行う新嘗祭は特別に「大嘗祭(だいじょうさい)」と呼ばれています。
詳しくはこちら
神嘗祭
「神嘗祭(かんなめさい)」は、毎年10月15~17日に行われる、伊勢神宮の年中行事きっての大祭です。
その年に収穫された新しい穀物(初穂)を捧げて感謝するお祭りとして、長い伝統があります。新嘗祭と似ていますが、神嘗祭では、新嘗祭のように天皇陛下が自らお米を食すことはありません。
詳しくはこちら
お米の神様を知れば、温かな感謝の気持ちが生まれるはず
お米には七人(七柱)の神様がいて、そのどれもが米作りには欠かせないことがわかりましたね。お米を実らせるためには、とてつもない苦労が必要だという意味を持つ「米一粒、汗一粒」ということわざがありますが、まさにそのとおり。
お米の七人(七柱)の神様のことを知ると、毎日食べているお米が、奇跡のように感じられるはず。おいしいお米を育ててくれる自然と農家さんへの感謝の気持ちを持ってごはんを味わえたら素敵ですね。