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たわわに実った稲穂が風に揺れ、一面の黄金色が波打つ田園風景。 日本人の原風景ともいえる、秋の豊かな景色です。
毎年10月、そんな恵みに深く感謝する神嘗祭が行われます。 伊勢神宮で毎年執り行われる1500あまりの行事の中心であり、至高とされている神事。
神嘗祭とは、いったいどんなお祭りでどんな意味を持つのでしょうか? 豊かな暮らしが当たり前になった私たちの目に、神嘗祭はどう映るのでしょうか?
ここでは神嘗祭の由来と内容について、また日本人にとってお米の恵みがどんなものであるのかをご紹介していきます。
神嘗祭はどんなお祭りで、どんな由来や歴史があるのでしょうか。
神嘗祭は「かんなめさい」、「かんにえのまつり」や「しんじょうさい」とも読みます。 「嘗」は、食べ物でもてなす、お供えものをして神をお迎えするという意味を持つ漢字。
神嘗祭は、その秋に穫れた穀物を天照大御神にお供えし、その年の恵みに感謝するというものです。 10月15日から17日にかけて、三重県伊勢市にある伊勢神宮で執り行われます。
このお祭りは天照大御神が神々の住む天上の高天原(たかまがはら)で、初穂を食されたという神話に由来するといわれています。
また「日本書紀」によると、この国の稲作は、天照大御神から授けられた稲穂により始まりました。
歴代の天皇陛下は、この地にお米の恵みを伝えてくださった皇祖とされる天照大御神に感謝を捧げ、その年の初穂を奉納するのです。
伊勢神宮の皇大神宮、内宮で祀られている神こそ、稲穂を授けた「天照大御神」です。 天照大御神は天皇の御祖先の神であり、日本の総氏神とされています。
これが、収穫に感謝する神嘗祭が伊勢神宮で行われる理由です。
天照大御神は、稲作にはなくてはならない太陽、すべての生命の源ともいえる神なのです。
神嘗祭は西暦721年、奈良時代に始まったとされています。 それ以来、神嘗祭は9月17日に執り行われてきました。
明治5年の改暦の後、この時期ではお米の成長が不十分なため、明治12年以降はお米の成熟を待って、10月17日に行われるようになります。
長い歴史のなかでは、応仁の乱の頃、神嘗祭に際しての皇室からの勅使が途絶えてしまった時期もあります。
そして、戦前神嘗祭は皇室の大切な行事が行われる祭日の一つ、国民の休日と定められてきましたが、戦後GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の指導により皇室に関わる祭日はすべて廃止されていることとなりました。
このように、この神嘗祭はさまざまな歴史の波に飲まれながらも、いまの時代まで神宮最大のお祭りとして連綿と守り受け継がれてきたのです。
神嘗祭と11月に行われる新嘗祭はともに秋の実りに感謝する祭祀です。 とてもよく似た祭名ですが、どんな点が違うのでしょうか?
神嘗祭は、伊勢神宮で天照大御神に初穂を奉納し、感謝を捧げるお祭りでした。
一方の新嘗祭は、宮中で天皇陛下自ら天照大御神はじめ八百万神に新穀を奉納し、陛下自らも新穀を召し上がります。 また、全国の神社でも新穀をそれぞれの神に奉納します。
それでは、この神嘗祭ではどんなことが行われるのでしょうか?
神宮では、以下の3つの神事を中心に執り行われます。
由貴は「穢れがなく清浄な」、大御饌とは「貴い食事」のこと。 由貴大御饌は「清浄ですばらしい食事」のことをいいます。
神宮の神田で収穫された新米のほか、あわびや鯛、伊勢えびや野鳥、昆布など、30を超える海川山野の産物。 また神田で作られたお米を使って醸された白酒(しろき)、黒酒(くろき)、醴酒(れいしゅ)、清酒も奉納されます。
22時に由貴夕大御饌(夕食)、明けて2時には由貴朝大御饌(朝食)の儀式が行われます。 これは、深い闇の中、神職の持つ松明と提灯の灯りに照らされて執り行われる、神嘗祭の中でも最も大切な儀式です。
天皇陛下から遣わされた勅使が、神への捧げものをする儀式。 五色(青・黄・赤・白・黒)の絹の反物などをお供えします。
また、天皇陛下が皇居の御田で育てられた御稲穂が、内宮・外宮の御正殿を囲む内玉垣の正面に奉懸されます。 天皇陛下からの御稲束は、根が付いたまま、大きな紙垂(しで)がつけられているものです。
そして、内玉垣には並んで、懸税(かけちから)と呼ばれる全国各地の農家から集められた多くの稲穂も奉献されます。
神嘗祭の最後には、御祭神を和める奏楽、舞御が奉納されます。
また、神嘗祭は宮中でも行われています。
天皇陛下は17日、皇居内の神嘉殿から神宮を御遥拝されます。 続いて皇居内の宮中三殿の賢所で神嘗祭賢所の儀が行われ、天皇陛下が神に新穀を奉納され、五穀豊穣と国の安寧をお祈りされるのです。
神宮では年間1500余りの行事が行われていますが、その多くはお米作りに関したものだといいます。
「米」という字が「八十八」で成り立っているように、88もの手間がかかるというお米作り。
伊勢神宮では、そのさまざまな工程が古式ゆかしい儀式として執り行われます。 お米作りそのものがお祭りとなっているのです。
その中でも主な一部の行事をいくつかご紹介します。
2月
・祈年祭(きねんさい):春の耕作が始まるにあたり、五穀豊穣をお祈りします
4月
・神田下種祭(しんでんげしゅさい):今年の豊作を祈念し、神田に忌種(ゆだね)を蒔きます
5月
・神田御田植初(しんでんおたうえはじめ):諸祭典にお供えするお米の早苗を植えます ※県指定民俗文化財
・風日祈祭(かざひのみさい):風雨の災害に合わず、よい天候に恵まれ、五穀の稔りが豊かであるようにお祈りします
・神御衣祭(かんみそさい):皇大神宮とその別宮荒祭宮に、和妙(にぎたへ)と呼ばれる絹織物と、荒妙(あらたへ)と呼ばれる麻織物を御縫糸・御針と共に献上する
6月
・御酒殿祭(みさかどのさい):6月の月次祭でお供えする御料酒が美味しくできあがるよう、また全国の酒造業の繁栄をお祈りします
・月次祭(つきなみさい):神嘗祭と並んで神宮で最も由緒深い行事。皇室の繁栄、五穀豊穣、国の隆昌、国民の平安を祈願します
・伊雑宮(いざわのみや)御田植式:日本三大御田植祭の一つ。内宮別宮の伊雑宮に隣接する神田で行われます ※国の重要無形民俗文化財指定
8月
9月
・抜穂祭(ぬいぼさい):初穂を忌鎌で刈り取り、稲穂を一本ずつ抜いて束ね、奉納します
10月
・御酒殿祭(みさかどのさい):神嘗祭でお供えする御料酒が美味しくできあがるよう、また全国の酒造業の繁栄をお祈りします
・神嘗祭(かんなめさい):天照大御神にその年の初穂を奉納し感謝を申し上げ、皇室の弥栄、五穀の豊穣、国家の隆昌、並びに国民の平安を祈願します
11月
・新嘗祭(にいなめさい):天皇陛下が八百万神に初穂を捧げ、御自らも初穂を召し上がる
12月
・御酒殿祭(みさかどのさい):12月の月次祭でお供えする御料酒が美味しくできあがるよう、また全国の酒造業の繁栄をお祈りします
このようなお祭りの中心にあるのが神嘗祭です。
10月の「神御衣祭」は、神嘗祭前日10月14日に執り行われることになっています。 皇大神宮とその別宮荒祭宮に、和妙(にぎたへ)と荒妙(あらたへ)、御縫糸・御針を献上し、新しい御衣を奉り、あわせて他の装束やお祭りに使う祭器なども一新されるのです。
この神事では、新たな神衣を奉り、天照大御神の御神威(みいづ)が増すようお祈りするのだといいます。
そして、清々しく整えられた中で、神宮のすべての祭事の中心、「神宮のお正月」とも称される神嘗祭は幕を開けるのです。
2024年も伊勢神宮にて神嘗祭が執り行われます。その具体的な日程をご紹介します。
伊勢神宮では「外宮先祭」というしきたりがあり、参拝の際も外宮から先に行います。 この神嘗祭も同様で、内宮より一日先んじて外宮から執り行われます。
◆外宮(豊受大神宮) 由貴夕大御饌 10月15日(火)午後10時 由貴朝大御饌 10月16日(水)午前2時 奉幣 10月16日(水)正午 御神楽 10月16日(水)午後6時 ◆ 内宮(皇大神宮) 由貴夕大御饌 10月16日(水)午後10時 由貴朝大御饌 10月17日(木)午前2時 奉幣 10月17日(木)正午 御神楽 10月17日(木)午後6時
この季節、開門時間は内宮外宮とも午前5時から午後5時までとされています。 閉門したのち、夜間に行われる祭事は見学することができません。
この日に合わせて毎年参拝に訪れるという人も多い神嘗祭。
閉門時間に執り行われる由貴大御饌や御神楽を見学することはできませんが、奉幣は一般の参拝者でも見学することが可能です。 厳かな雰囲気の中、天皇陛下の勅使や祭主、真っ白な装束に身を包んだ神職たちが、玉砂利の参道を進む様子を見ることができます。
また、神嘗祭に合わせて初穂曳(はつほびき)も行われます。 伊勢の人々がその年収穫された稲穂を両宮に納める行事です。
揃いのハッピ姿に木遣歌も勇壮な、収穫の喜びにあふれた勢いのあるお祭りです。 神嘗祭に神宮を訪れる方は、ぜひあわせて見学してみたいですね。
◆2024年の初穂曳スケジュール 陸曳(外宮) 10月15日(火) 川曳(内宮) 10月16日(水)
天皇陛下は、神嘗祭で最高神である天照大御神に初穂を捧げたのち、11月23日の新嘗祭にて初穂を神々にお供えし、そして自らもともに召し上がります。
かつては新嘗祭で天皇陛下が初穂を召し上がるまで、人々はその年に収穫されたお米を口にすることはありませんでした。 今の時代も、その風習を受け継いで、新米は新嘗祭を過ぎてから口にする、という方もいます。
大型機械で刈り入れから乾燥までが行われる現代では、9月になると新米がそろそろ食卓にのぼるという方もいるかもしれませんね。
かつては、お米を刈り取ったのち、そのまま田んぼではざ掛けをして、3週間ほどかけてお米を乾燥させていました。保存と旨みのための工程です。 さらにその後、脱穀、籾摺りなどを経て、食べられるまでになりました。 そのように時間のかかる工程をいくつも経て、ちょうど新嘗祭のころに新しいお米が食べごろを迎えていたのでした。
岩座では、神嘗祭で奉納されるお米に関する商品を取り扱っております。
「銀鶴」は、神嘗祭で天皇陛下の刈り取られた御稲束と共に内玉垣に奉献される、「懸税」の発祥の地、三重県多気郡明和町で長きにわたって作り継がれてきました。
神饌や特別な日のお食事、大切な方への贈り物にも喜ばれる特別なお米です。
縁-えにし-:コシヒカリ 白米 2合(300g) 税込1,188円 恵-めぐみ-:コシヒカリ 白米 1号(150g) 税込648円
「一粒万倍」とは、籾を一粒蒔くと実を結んで万倍になる、という縁起のよい言葉。 この福守には神嘗祭の「懸税」として伊勢神宮に奉納される「銀鶴」の籾が納められています。
新しいことをはじめる時、幸せをふやしたい時、そんな時に支えになってくれるありがたい御守です。
福守 一粒万倍米:税込440円
こちらの2点の商品は実店舗のみの販売になります。
岩座は伊勢神宮内宮近くにある、おはらい町商店街にも店舗がございます。ぜひ、伊勢神宮に訪れる際はのぞいてみてください。
神宮の深い森の中で厳かに受け継がれてきた天照大御神への感謝のお祭り、神嘗祭。
これまで私たちと少し距離のあったこのお祭りは、知ることでぐっと引き込まれます。 なぜなら、私たち日本人が生きてきた道を示してくれているから。
ふっくらつややかに炊きあがった、今年のお米が食卓にのぼるのはもうすぐです。
天照大御神が授けてくださったお米の恵みが、私たち日本人をここまで運んでくれた。
この秋、その道程に想いを馳せてみるのはいかがですか。
たわわに実った稲穂が風に揺れ、一面の黄金色が波打つ田園風景。
日本人の原風景ともいえる、秋の豊かな景色です。
毎年10月、そんな恵みに深く感謝する神嘗祭が行われます。
伊勢神宮で毎年執り行われる1500あまりの行事の中心であり、至高とされている神事。
神嘗祭とは、いったいどんなお祭りでどんな意味を持つのでしょうか?
豊かな暮らしが当たり前になった私たちの目に、神嘗祭はどう映るのでしょうか?
ここでは神嘗祭の由来と内容について、また日本人にとってお米の恵みがどんなものであるのかをご紹介していきます。
目次
神嘗祭はどんなお祭り?
神嘗祭はどんなお祭りで、どんな由来や歴史があるのでしょうか。
神嘗祭とは
神嘗祭は「かんなめさい」、「かんにえのまつり」や「しんじょうさい」とも読みます。
「嘗」は、食べ物でもてなす、お供えものをして神をお迎えするという意味を持つ漢字。
神嘗祭は、その秋に穫れた穀物を天照大御神にお供えし、その年の恵みに感謝するというものです。
10月15日から17日にかけて、三重県伊勢市にある伊勢神宮で執り行われます。
神嘗祭の由来
このお祭りは天照大御神が神々の住む天上の高天原(たかまがはら)で、初穂を食されたという神話に由来するといわれています。
また「日本書紀」によると、この国の稲作は、天照大御神から授けられた稲穂により始まりました。
歴代の天皇陛下は、この地にお米の恵みを伝えてくださった皇祖とされる天照大御神に感謝を捧げ、その年の初穂を奉納するのです。
神嘗祭が伊勢神宮で行われる理由
伊勢神宮の皇大神宮、内宮で祀られている神こそ、稲穂を授けた「天照大御神」です。
天照大御神は天皇の御祖先の神であり、日本の総氏神とされています。
これが、収穫に感謝する神嘗祭が伊勢神宮で行われる理由です。
天照大御神は、稲作にはなくてはならない太陽、すべての生命の源ともいえる神なのです。
神嘗祭の歴史
神嘗祭は西暦721年、奈良時代に始まったとされています。
それ以来、神嘗祭は9月17日に執り行われてきました。
明治5年の改暦の後、この時期ではお米の成長が不十分なため、明治12年以降はお米の成熟を待って、10月17日に行われるようになります。
長い歴史のなかでは、応仁の乱の頃、神嘗祭に際しての皇室からの勅使が途絶えてしまった時期もあります。
そして、戦前神嘗祭は皇室の大切な行事が行われる祭日の一つ、国民の休日と定められてきましたが、戦後GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の指導により皇室に関わる祭日はすべて廃止されていることとなりました。
このように、この神嘗祭はさまざまな歴史の波に飲まれながらも、いまの時代まで神宮最大のお祭りとして連綿と守り受け継がれてきたのです。
神嘗祭と新嘗祭の違いとは?
神嘗祭と11月に行われる新嘗祭はともに秋の実りに感謝する祭祀です。
とてもよく似た祭名ですが、どんな点が違うのでしょうか?
神嘗祭と新嘗祭の共通点と違い
神嘗祭は、伊勢神宮で天照大御神に初穂を奉納し、感謝を捧げるお祭りでした。
一方の新嘗祭は、宮中で天皇陛下自ら天照大御神はじめ八百万神に新穀を奉納し、陛下自らも新穀を召し上がります。
また、全国の神社でも新穀をそれぞれの神に奉納します。
・豊かな実りに感謝し、五穀豊穣を祈る
・豊かな実りに感謝し、五穀豊穣を祈る
・天皇が新穀を召し上がる
神嘗祭は何をするの?
それでは、この神嘗祭ではどんなことが行われるのでしょうか?
神嘗祭の内容
神宮では、以下の3つの神事を中心に執り行われます。
♦由貴大御饌(ゆきおおみけ)
由貴は「穢れがなく清浄な」、大御饌とは「貴い食事」のこと。
由貴大御饌は「清浄ですばらしい食事」のことをいいます。
神宮の神田で収穫された新米のほか、あわびや鯛、伊勢えびや野鳥、昆布など、30を超える海川山野の産物。
また神田で作られたお米を使って醸された白酒(しろき)、黒酒(くろき)、醴酒(れいしゅ)、清酒も奉納されます。
22時に由貴夕大御饌(夕食)、明けて2時には由貴朝大御饌(朝食)の儀式が行われます。
これは、深い闇の中、神職の持つ松明と提灯の灯りに照らされて執り行われる、神嘗祭の中でも最も大切な儀式です。
♦奉幣(ほうへい)
天皇陛下から遣わされた勅使が、神への捧げものをする儀式。
五色(青・黄・赤・白・黒)の絹の反物などをお供えします。
また、天皇陛下が皇居の御田で育てられた御稲穂が、内宮・外宮の御正殿を囲む内玉垣の正面に奉懸されます。
天皇陛下からの御稲束は、根が付いたまま、大きな紙垂(しで)がつけられているものです。
そして、内玉垣には並んで、懸税(かけちから)と呼ばれる全国各地の農家から集められた多くの稲穂も奉献されます。
♦御神楽(みかぐら)
神嘗祭の最後には、御祭神を和める奏楽、舞御が奉納されます。
また、神嘗祭は宮中でも行われています。
天皇陛下は17日、皇居内の神嘉殿から神宮を御遥拝されます。
続いて皇居内の宮中三殿の賢所で神嘗祭賢所の儀が行われ、天皇陛下が神に新穀を奉納され、五穀豊穣と国の安寧をお祈りされるのです。
伊勢神宮の年間行事と神嘗祭
神宮では年間1500余りの行事が行われていますが、その多くはお米作りに関したものだといいます。
「米」という字が「八十八」で成り立っているように、88もの手間がかかるというお米作り。
伊勢神宮では、そのさまざまな工程が古式ゆかしい儀式として執り行われます。
お米作りそのものがお祭りとなっているのです。
その中でも主な一部の行事をいくつかご紹介します。
2月
・祈年祭(きねんさい):春の耕作が始まるにあたり、五穀豊穣をお祈りします
4月
・神田下種祭(しんでんげしゅさい):今年の豊作を祈念し、神田に忌種(ゆだね)を蒔きます
5月
・神田御田植初(しんでんおたうえはじめ):諸祭典にお供えするお米の早苗を植えます
※県指定民俗文化財
・風日祈祭(かざひのみさい):風雨の災害に合わず、よい天候に恵まれ、五穀の稔りが豊かであるようにお祈りします
・神御衣祭(かんみそさい):皇大神宮とその別宮荒祭宮に、和妙(にぎたへ)と呼ばれる絹織物と、荒妙(あらたへ)と呼ばれる麻織物を御縫糸・御針と共に献上する
6月
・御酒殿祭(みさかどのさい):6月の月次祭でお供えする御料酒が美味しくできあがるよう、また全国の酒造業の繁栄をお祈りします
・月次祭(つきなみさい):神嘗祭と並んで神宮で最も由緒深い行事。皇室の繁栄、五穀豊穣、国の隆昌、国民の平安を祈願します
・伊雑宮(いざわのみや)御田植式:日本三大御田植祭の一つ。内宮別宮の伊雑宮に隣接する神田で行われます
※国の重要無形民俗文化財指定
8月
・風日祈祭(かざひのみさい):風雨の災害に合わず、よい天候に恵まれ、五穀の稔りが豊かであるようにお祈りします
9月
・抜穂祭(ぬいぼさい):初穂を忌鎌で刈り取り、稲穂を一本ずつ抜いて束ね、奉納します
10月
・御酒殿祭(みさかどのさい):神嘗祭でお供えする御料酒が美味しくできあがるよう、また全国の酒造業の繁栄をお祈りします
・神御衣祭(かんみそさい):皇大神宮とその別宮荒祭宮に、和妙(にぎたへ)と呼ばれる絹織物と、荒妙(あらたへ)と呼ばれる麻織物を御縫糸・御針と共に献上する
・神嘗祭(かんなめさい):天照大御神にその年の初穂を奉納し感謝を申し上げ、皇室の弥栄、五穀の豊穣、国家の隆昌、並びに国民の平安を祈願します
11月
・新嘗祭(にいなめさい):天皇陛下が八百万神に初穂を捧げ、御自らも初穂を召し上がる
12月
・御酒殿祭(みさかどのさい):12月の月次祭でお供えする御料酒が美味しくできあがるよう、また全国の酒造業の繁栄をお祈りします
・月次祭(つきなみさい):神嘗祭と並んで神宮で最も由緒深い行事。皇室の繁栄、五穀豊穣、国の隆昌、国民の平安を祈願します
このようなお祭りの中心にあるのが神嘗祭です。
10月の「神御衣祭」は、神嘗祭前日10月14日に執り行われることになっています。
皇大神宮とその別宮荒祭宮に、和妙(にぎたへ)と荒妙(あらたへ)、御縫糸・御針を献上し、新しい御衣を奉り、あわせて他の装束やお祭りに使う祭器なども一新されるのです。
この神事では、新たな神衣を奉り、天照大御神の御神威(みいづ)が増すようお祈りするのだといいます。
そして、清々しく整えられた中で、神宮のすべての祭事の中心、「神宮のお正月」とも称される神嘗祭は幕を開けるのです。
2024年の神嘗祭のスケジュールは?
一般でも見ることができる?
2024年も伊勢神宮にて神嘗祭が執り行われます。その具体的な日程をご紹介します。
日程のご紹介
伊勢神宮では「外宮先祭」というしきたりがあり、参拝の際も外宮から先に行います。
この神嘗祭も同様で、内宮より一日先んじて外宮から執り行われます。
◆外宮(豊受大神宮)
由貴夕大御饌 10月15日(火)午後10時
由貴朝大御饌 10月16日(水)午前2時
奉幣 10月16日(水)正午
御神楽 10月16日(水)午後6時
◆ 内宮(皇大神宮)
由貴夕大御饌 10月16日(水)午後10時
由貴朝大御饌 10月17日(木)午前2時
奉幣 10月17日(木)正午
御神楽 10月17日(木)午後6時
この季節、開門時間は内宮外宮とも午前5時から午後5時までとされています。
閉門したのち、夜間に行われる祭事は見学することができません。
神嘗祭は参拝時間内の行事は見学可能
この日に合わせて毎年参拝に訪れるという人も多い神嘗祭。
閉門時間に執り行われる由貴大御饌や御神楽を見学することはできませんが、奉幣は一般の参拝者でも見学することが可能です。
厳かな雰囲気の中、天皇陛下の勅使や祭主、真っ白な装束に身を包んだ神職たちが、玉砂利の参道を進む様子を見ることができます。
また、神嘗祭に合わせて初穂曳(はつほびき)も行われます。
伊勢の人々がその年収穫された稲穂を両宮に納める行事です。
揃いのハッピ姿に木遣歌も勇壮な、収穫の喜びにあふれた勢いのあるお祭りです。
神嘗祭に神宮を訪れる方は、ぜひあわせて見学してみたいですね。
◆2024年の初穂曳スケジュール
陸曳(外宮) 10月15日(火)
川曳(内宮) 10月16日(水)
天皇陛下が神嘗祭で初穂を捧げ、新嘗祭で初穂を召し上がる
天皇陛下は、神嘗祭で最高神である天照大御神に初穂を捧げたのち、11月23日の新嘗祭にて初穂を神々にお供えし、そして自らもともに召し上がります。
かつては新嘗祭で天皇陛下が初穂を召し上がるまで、人々はその年に収穫されたお米を口にすることはありませんでした。
今の時代も、その風習を受け継いで、新米は新嘗祭を過ぎてから口にする、という方もいます。
大型機械で刈り入れから乾燥までが行われる現代では、9月になると新米がそろそろ食卓にのぼるという方もいるかもしれませんね。
かつては、お米を刈り取ったのち、そのまま田んぼではざ掛けをして、3週間ほどかけてお米を乾燥させていました。保存と旨みのための工程です。
さらにその後、脱穀、籾摺りなどを経て、食べられるまでになりました。
そのように時間のかかる工程をいくつも経て、ちょうど新嘗祭のころに新しいお米が食べごろを迎えていたのでした。
伊勢奉納米をご紹介
岩座では、神嘗祭で奉納されるお米に関する商品を取り扱っております。
「銀鶴」は、神嘗祭で天皇陛下の刈り取られた御稲束と共に内玉垣に奉献される、「懸税」の発祥の地、三重県多気郡明和町で長きにわたって作り継がれてきました。
神饌や特別な日のお食事、大切な方への贈り物にも喜ばれる特別なお米です。
縁-えにし-:コシヒカリ 白米 2合(300g) 税込1,188円
恵-めぐみ-:コシヒカリ 白米 1号(150g) 税込648円
「一粒万倍」とは、籾を一粒蒔くと実を結んで万倍になる、という縁起のよい言葉。
この福守には神嘗祭の「懸税」として伊勢神宮に奉納される「銀鶴」の籾が納められています。
新しいことをはじめる時、幸せをふやしたい時、そんな時に支えになってくれるありがたい御守です。
福守 一粒万倍米:税込440円
こちらの2点の商品は実店舗のみの販売になります。
岩座は伊勢神宮内宮近くにある、おはらい町商店街にも店舗がございます。ぜひ、伊勢神宮に訪れる際はのぞいてみてください。
まとめ
神宮の深い森の中で厳かに受け継がれてきた天照大御神への感謝のお祭り、神嘗祭。
これまで私たちと少し距離のあったこのお祭りは、知ることでぐっと引き込まれます。
なぜなら、私たち日本人が生きてきた道を示してくれているから。
ふっくらつややかに炊きあがった、今年のお米が食卓にのぼるのはもうすぐです。
天照大御神が授けてくださったお米の恵みが、私たち日本人をここまで運んでくれた。
この秋、その道程に想いを馳せてみるのはいかがですか。