ハワイを象徴する木「バニヤンツリー」って?その魅力に迫る!

ハワイを訪れると、まるで複数の幹が繋がったかのように見える不思議な姿をした木を見たことありませんか?歩き疲れてその木陰でひと休みした経験があるかもしれません。

枝から地面まで続く長い根をたくさん垂らしたバニヤンツリーは、ハワイを象徴する木。ハワイの神話にも登場し、インドでは「望みを叶える木」とされています。

今回は、そんな神秘の巨木「バニヤンツリー」について詳しく解説するとともに、ハワイでバニヤンツリーが見られる場所についても紹介します。

バニヤンツリーとはどんな木

バニヤンツリーは成長すると高さ30mほどになる大樹。インパクトのあるその姿は、不思議な魅力にあふれています。ここではバニヤンツリーの基本的な特徴と、伝統的な利用法について触れています。

種類・特徴

種類・特徴

バニヤンツリーとは、ベンガルボダイジュ(ベンガル菩提樹)の別名。インド原産のクワ科イチジク属の常緑高木です。ハワイ語では「パニアナ」といいます。

沖縄にあるガジュマルの木の仲間で、成長すると枝から次々と気根(きこん)と呼ばれる根を垂らします。気根は地上に達すると、そこから根を広げ、やがて気根自体が1本の幹となり広がっていきます。

大きなものでは高さ30mにもなり、1本でも複数の木が集まった森のように見えるほどの大迫力。冷房がなかった時代、強い日差しから人々を守り、涼しい木陰を提供してくれるありがたい存在だったのです。

ハワイには、樹齢100年以上、樹冠100m以上の巨大なバニヤンツリーが数多くあります。バニヤンツリーの木陰は、今も昔も人々の憩いの場。かつては集会所の役目も果たしていました。

暮らしに役立つ木

暮らしに役立つ木

バニヤンツリーの幹は堅く、水中でも耐久性があるため、家具や建材に最適。気根から採れる木材にも強度があります。

樹皮の繊維からは紙やロープが作られ、果実は食用に、樹液からはガムが作られるなど、昔からハワイの人々の暮らしを支えてきました。

また、バニヤンツリーは医療用としても有用です。伝統的な医術では慢性疾患に効果があるといわれ、樹皮と葉の芽は止血剤に、果実は皮膚や粘膜の炎症を沈め、液状の樹液は打撲傷用の外用薬や歯の鎮痛剤として用いられたそうです。

神話にも登場するバニヤンツリー

神秘のパワーが宿るバニヤンツリー。ここではハワイやインドの神話にもたびたび登場するバニヤンツリーをご紹介します。

ヒナにまつわるバニヤンツリーの誕生秘話

ハワイの神話に登場する、月の女神ヒナ。半神マウイの母でもあるヒナは、タパ作りの名人として知られています。(タパとは樹皮をはがして水につけ叩いて作る伝統的な不織布のこと)

夫の暴力から逃れるため、虹を渡って月に昇ったヒナは、月でも毎日タパを作って暮らしていました。ハワイでは、月の表面の暗く見える部分は、タパの材料であるバニヤンツリーだと考えられています。ヒナはその木の下にある家に住んでいました。

ある日いつものようにタパを作るため、バニヤンツリーの樹皮を採っていたところ、折れた枝が誤って地球に落ちてしまいます。この枝が根付き、地球で最初のバニヤンツリーになったのだとか。

ヒンドゥー教では「望みを叶える木」

ヒンドゥー教では「望みを叶える木」

バニヤンツリーは別名ベンガル菩提樹(ぼだいじゅ)。ヒンドゥー教では非常に神聖な木です。ヒンドゥー教の神話では「望みを叶える木」として描かれていることから、この木の下で多くの信者たちが熱心に祈りを捧げています。

木の根には宇宙の創造を司る神、枝には維持・繁栄を司る神、幹には宇宙の破壊を司る神が宿ると考えられています。樹冠が広がり続ける生態から「永遠の命」の象徴ともいわれています。

他にも信仰に深く関わっており、仏教ではブッダが悟りを開いた木であり、「輪廻」の象徴とされています。

ハワイでバニヤンツリーが見られる場所

ハワイのいたるところで見かけるバニヤンツリーですが、中でも特に歴史が古く有名なバニヤンツリーをご紹介します。

マウイ島 ラハイナ

マウイ島 ラハイナ

ハワイでもっとも有名な「マウイ島 ラハイナ」のバニヤンツリーは、なんとアメリカ合衆国最大級!高さ20m、1本が100m四方に広がるほどの大樹です。

この木は、1873年にキリスト教の布教50周年を記念して植樹されたもの。樹齢150年を越えるラハイナのシンボルだったバニヤンツリーは、残念ながら2023年8月マウイ島を襲った山火事で焼けてしまいました。

しかし、その後の専門家チームによる調査で、この木が生きていたことが判明!ボランティアの懸命な救護活動もあって、焼けてしまった枝から緑の葉が生えてきたというのです。

現在も回復したとはいえず、専門家によるケアが続けられていますが、きっとこれからもマウイの人々の希望となってくれることでしょう。

ワイキキ モアナサーフライダー

ワイキキ モアナサーフライダー

「ワイキキのファーストレディ」の愛称で親しまれるワイキキ最古のリゾートホテル「モアナサーフライダー・ウェスティン・リゾート&スパ」。

この歴史あるリゾートホテルの象徴といえば、1904年に植樹された見事なバニヤンツリー。120年もの間、この地の人々を見守り続けてきた貴重な木です。

この木は、1979年にハワイで最初にホノルル州のエクセプショナル・ツリー・リスト※に登録されたことでも知られています。

※エクセプショナル・ツリー・リストとは、ホノルルの都市開発が進む中、歴史、文化的に価値のある植物を指定してリストに載せることで、保護することを目的としています。

ワイキキ インターナショナルマーケットプレイス

ワイキキ インターナショナルマーケットプレイス

ワイキキの歴史とともに歩んできた有名なバニヤンツリーは、ワイキキの中心に位置するショッピングモール「インターナショナルマーケットプレイス」にあります。

この木は、1800年代中頃この地に住んでいたニュージーランド人のヘンリー・マクファーレン夫妻が植えたもの。後にこの場所に住居を構えた歴代王族たちを見守り続けてきました。

樹齢150年を越える立派なバニヤンツリーを囲んだオープンエアのショッピングモールで、お買い物ついでに、バニヤンツリーの下でのんびりするのもおすすめです。

ハワイ島 バニヤン・ドライブ

ハワイ島 バニヤン・ドライブ

ハワイ島ヒロのベイフロントに「バニヤン・ドライブ」と呼ばれる通りがあります。ここは巨大なバニヤンツリーの並木道で、名前の由来にもなっています。

この木はベーブ・ルースやマリリン・モンローなど、全米の著名人が植樹したものだそう。他にも、ヒロの「レインボーフォールズ」にあるバニヤンツリーの森も必見です。

その他

時間がない人は、遠くまで足を延ばさなくても大丈夫。ワイキキのホテルやクヒオビーチ、カピオラニ公園、イオラニ宮殿など、いたるところでバニヤンツリーに出会えます。訪れた先々で探してみてください。

ちなみに、5歳で初めてハワイに行った私の娘。当時の記憶はほとんどないそうです。ただ大人になって唯一覚えているのが、広い公園で「大きな木(バニヤンツリー)から垂れ下がったツル(気根)でターザンごっこをしたこと」だそう。

現地の子供たちに誘われ、言葉もわからないまま日が暮れるまで遊んでいた姿を思い出します。大人が用意した感動体験より、バニヤンツリーの魅力が勝ったのでしょうか。

ハワイを象徴する木「バニヤンツリー」とは

ハワイへ行くと、公園やホテル、ビーチ沿いなどで見かけるバニヤンツリー。枝から地面まで続く長い気根をたくさん垂らしたバニヤンツリーは、ハワイを象徴する木。ハワイには100年以上も人々を見守り続けてきた情緒あるバニヤンツリーがたくさんあります。

ヒンドゥー教では「望みを叶える木」、仏教ではブッダが悟りを開いた神聖な木として大切にされてきました。

この記事では、バニヤンツリーの魅力と、ハワイでバニヤンツリーが見られるおすすめスポットをご紹介!今度ハワイを訪れる際には、ぜひバニヤンツリーを探してみてください。

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