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ハワイをはじめポリネシアの島々に伝わる伝統的なタトゥー。 ディズニー映画「モアナと伝説の海」で勇者マウイの全身に彫られていた、幾何学模様の入れ墨といえばイメージできるかもしれませんね。
伝統的なタトゥーは、単なる装飾ではありません。個々の社会的地位や家系、信仰や仲間との絆を表す、古代から伝承されるとても神聖なもの。
今回は、その芸術性の高さから、近年世界から注目を集めている「ポリネシアンタトゥー」についてお届けします。
ポリネシアンタトゥーは、太平洋のポリネシア諸島に住む人々が古くから施してきた伝統的なタトゥーのこと。ハワイ、タヒチ、サモア、ニュージーランドのマオリ族などに伝わり、地域ごとにそれぞれの特徴があります。
「タトゥー」という言葉は、タヒチ語の「タタウ(Tatau)」からきており、「叩く」という意味があります。トンガでは「タタタウ(Tatatau)」、マルケサスでは「タトゥ(Tatu)」、ハワイでは「カカウ(Kakau)」と呼ばれ、その起源は3,000年前に遡ります。
神話によると、初めてタトゥー(タタウ)を入れたのは、ポリネシア全域の最高神タアロア(カナロア)の2人の息子たち。その後、彼らが人々にタトゥーを広めたのだとか。そのため、2人の息子はタトゥーの守護神といわれています。
ポリネシアに広く伝わる伝統的タトゥーは単なる装飾ではありません。タトゥーはその人の社会的地位、所属、家系、信仰、強さなどを伝える役割を持っていました。
特定のデザインを体に刻むことで、同じ村出身であること、同じ団体に所属すること、同じ職業や信仰を持つことを表していたのです。
かつてマウイ島の大酋長カヘキリとその戦士たちは、先祖である雷の神を模して、右半身をタトゥーで覆っていたことは有名。遠目からでもひと目でカヘキリ軍だとわかったそうです。
また、タトゥーは時として、死者の追悼のために彫られることもありました。カメハメハ大王に寵愛を受けたカアフマヌ妃は、大王亡き後、カメハメハ大王の名と命日を自らの腕に刻んでいたといわれています。
ポリネシアンタトゥーは、彫る位置によって意味が異なります。
また、腕に施されたタトゥーは力や勇気を、顔に刻まれたタトゥーは高い地位を表します。タトゥーは、その位置とデザインの組み合わせによって、その人のルーツや信念など巧みに表現することができたのです。
ポリネシアンタトゥーを彫るためには、動物の骨や貝殻、竹などで作ったギザギザした針のついた道具を使います。ククイノキの木炭を油や水で薄めたインクを浸し、針で皮膚に傷を付け、インクを叩き込んでいきます。
当時の技術では、完成まで何年もかかることも珍しくありませんでした。しかも大変な痛みを伴うため、タトゥーは痛みに耐え抜いた強さのシンボルでもありました。
現代では、機械を使ったタトゥーが一般的ですが、伝統的な技術を受け継ぐアーティストもいます。どちらの方法も、衛生面の配慮と熟練した技術が求められます。
ポリネシアンタトゥーは地域ごとに独自の進化を遂げ、異なる特徴を持っています。 では代表的なものを見てみましょう。
ハワイアンタトゥーは、地域性が強いのが特徴です。モチーフの意味は、島やエリアによって異なる場合もあります。
一族や階級、家族、地域、部族、守護神など多くのモチーフが共有されており、仲間同士で同じデザインのタトゥーを彫ることで、連帯感や士気を高めていました。
タトゥーは、その人の所属やルーツを示すハワイの神聖な伝統文化。一方、世界有数のリゾート地となった今では、観光客も気軽にハワイアンタトゥーを楽しむことができます。
「タトゥー」の語源となったタヒチ。タヒチでは「成人の儀式」として、思春期を迎える男子がタトゥーを入れるというしきたりがありました。
タトゥーは勇気や強さ、社会的な地位を表し、そのデザインを見れば、その人がどこの誰で、どんな職業についているかひと目でわかります。
また、最近ではタヒチアンダンサーが、腰にセクシーなタトゥーをしているのを見たことがあるかもしれませんね。
サモアンタトゥーは民族的なタトゥーとして最も歴史が古く、起源はおよそ3,000年前。サモアンタトゥーには以下の3つのルールが存在します。
また、サモアでは男女でタトゥーのデザインが異なります。男性は「ペア」と呼ばれる腰から膝まで360度びっしり埋め尽くされたデザイン、女性は「マル」と呼ばれる太ももや膝に施される点々模様のタトゥーが代表的。マルは儀式や祭りの時以外は人に見せてはならないとされています。
サモアでは、タトゥーは成人の証として重要な儀式の一部であり、人々の誇りでもありました。
ニュージーランドの先住民マオリ族のタトゥーは「タ・モコ」と呼ばれ、他の地域と比べ綿密にデザインされ、より複雑な意味を持つといわれています。
マオリ族の男性は、ほとんどが顔中にタトゥーを入れています。顔や頭は最も神聖な場所で、次のように8つの部分に分かれています。
マオリ族のタトゥーは、芸術性が非常に高く、かつてヨーロッパ人のコレクターによって奴隷として人身売買されていたという悲しい歴史があるほどです。
伝統的なハワイアンタトゥーは、19世紀ハワイにキリスト教宣教師団が訪れたことから衰退の一途を辿ります。ハワイ固有の文化としてタトゥーは危険視され、罪深い行為として抑圧の対象となったのです。
しかし、1970年代に始まったハワイアンルネッサンス(ハワイ文化復興運動)が活発化したことで、伝統的なハワイアンタトゥーが再び評価され、その文化背景と芸術性の高さから、注目される存在になりました。
ポリネシアンタトゥーに使われるモチーフには、どんなものがあり、どんな意味があるのでしょうか。よく使われるモチーフを紹介します。
ポリネシアンタトゥーは、約3,000年前からポリネシア全域に継承される伝統的な刺青のこと。これらは単なる装飾ではなく、社会生活で大変重要な意味を持っています。
伝統的なタトゥーに使われる美しく大胆なモチーフには、それぞれ異なる意味があり、個人の社会的地位やルーツ、信仰などを巧みに表現しているのです。
かつて、キリスト教宣教師らによって禁じられ、一時は途絶えたかと思われたポリネシアンタトゥー。近年その文化的意義や芸術性が見直され、世界中から注目を集めています。
ハワイをはじめポリネシアの島々に伝わる伝統的なタトゥー。
ディズニー映画「モアナと伝説の海」で勇者マウイの全身に彫られていた、幾何学模様の入れ墨といえばイメージできるかもしれませんね。
伝統的なタトゥーは、単なる装飾ではありません。個々の社会的地位や家系、信仰や仲間との絆を表す、古代から伝承されるとても神聖なもの。
今回は、その芸術性の高さから、近年世界から注目を集めている「ポリネシアンタトゥー」についてお届けします。
目次
ポリネシアンタトゥーとは
ポリネシアンタトゥーは、太平洋のポリネシア諸島に住む人々が古くから施してきた伝統的なタトゥーのこと。ハワイ、タヒチ、サモア、ニュージーランドのマオリ族などに伝わり、地域ごとにそれぞれの特徴があります。
言葉の語源と起源
「タトゥー」という言葉は、タヒチ語の「タタウ(Tatau)」からきており、「叩く」という意味があります。トンガでは「タタタウ(Tatatau)」、マルケサスでは「タトゥ(Tatu)」、ハワイでは「カカウ(Kakau)」と呼ばれ、その起源は3,000年前に遡ります。
神話によると、初めてタトゥー(タタウ)を入れたのは、ポリネシア全域の最高神タアロア(カナロア)の2人の息子たち。その後、彼らが人々にタトゥーを広めたのだとか。そのため、2人の息子はタトゥーの守護神といわれています。
タトゥーの目的
ポリネシアに広く伝わる伝統的タトゥーは単なる装飾ではありません。タトゥーはその人の社会的地位、所属、家系、信仰、強さなどを伝える役割を持っていました。
特定のデザインを体に刻むことで、同じ村出身であること、同じ団体に所属すること、同じ職業や信仰を持つことを表していたのです。
かつてマウイ島の大酋長カヘキリとその戦士たちは、先祖である雷の神を模して、右半身をタトゥーで覆っていたことは有名。遠目からでもひと目でカヘキリ軍だとわかったそうです。
また、タトゥーは時として、死者の追悼のために彫られることもありました。カメハメハ大王に寵愛を受けたカアフマヌ妃は、大王亡き後、カメハメハ大王の名と命日を自らの腕に刻んでいたといわれています。
彫る位置の違いによる意味
ポリネシアンタトゥーは、彫る位置によって意味が異なります。
また、腕に施されたタトゥーは力や勇気を、顔に刻まれたタトゥーは高い地位を表します。タトゥーは、その位置とデザインの組み合わせによって、その人のルーツや信念など巧みに表現することができたのです。
タトゥーの入れ方
ポリネシアンタトゥーを彫るためには、動物の骨や貝殻、竹などで作ったギザギザした針のついた道具を使います。ククイノキの木炭を油や水で薄めたインクを浸し、針で皮膚に傷を付け、インクを叩き込んでいきます。
当時の技術では、完成まで何年もかかることも珍しくありませんでした。しかも大変な痛みを伴うため、タトゥーは痛みに耐え抜いた強さのシンボルでもありました。
現代では、機械を使ったタトゥーが一般的ですが、伝統的な技術を受け継ぐアーティストもいます。どちらの方法も、衛生面の配慮と熟練した技術が求められます。
ポリネシアンタトゥーの種類
ポリネシアンタトゥーは地域ごとに独自の進化を遂げ、異なる特徴を持っています。
では代表的なものを見てみましょう。
ハワイアンタトゥー
ハワイアンタトゥーは、地域性が強いのが特徴です。モチーフの意味は、島やエリアによって異なる場合もあります。
一族や階級、家族、地域、部族、守護神など多くのモチーフが共有されており、仲間同士で同じデザインのタトゥーを彫ることで、連帯感や士気を高めていました。
タトゥーは、その人の所属やルーツを示すハワイの神聖な伝統文化。一方、世界有数のリゾート地となった今では、観光客も気軽にハワイアンタトゥーを楽しむことができます。
タヒチアンタトゥー
「タトゥー」の語源となったタヒチ。タヒチでは「成人の儀式」として、思春期を迎える男子がタトゥーを入れるというしきたりがありました。
タトゥーは勇気や強さ、社会的な地位を表し、そのデザインを見れば、その人がどこの誰で、どんな職業についているかひと目でわかります。
また、最近ではタヒチアンダンサーが、腰にセクシーなタトゥーをしているのを見たことがあるかもしれませんね。
サモアンタトゥー
サモアンタトゥーは民族的なタトゥーとして最も歴史が古く、起源はおよそ3,000年前。サモアンタトゥーには以下の3つのルールが存在します。
また、サモアでは男女でタトゥーのデザインが異なります。男性は「ペア」と呼ばれる腰から膝まで360度びっしり埋め尽くされたデザイン、女性は「マル」と呼ばれる太ももや膝に施される点々模様のタトゥーが代表的。マルは儀式や祭りの時以外は人に見せてはならないとされています。
サモアでは、タトゥーは成人の証として重要な儀式の一部であり、人々の誇りでもありました。
ニュージーランド マオリ族のタトゥー
ニュージーランドの先住民マオリ族のタトゥーは「タ・モコ」と呼ばれ、他の地域と比べ綿密にデザインされ、より複雑な意味を持つといわれています。
マオリ族の男性は、ほとんどが顔中にタトゥーを入れています。顔や頭は最も神聖な場所で、次のように8つの部分に分かれています。
マオリ族のタトゥーは、芸術性が非常に高く、かつてヨーロッパ人のコレクターによって奴隷として人身売買されていたという悲しい歴史があるほどです。
ハワイアンルネッサンス
伝統的なハワイアンタトゥーは、19世紀ハワイにキリスト教宣教師団が訪れたことから衰退の一途を辿ります。ハワイ固有の文化としてタトゥーは危険視され、罪深い行為として抑圧の対象となったのです。
しかし、1970年代に始まったハワイアンルネッサンス(ハワイ文化復興運動)が活発化したことで、伝統的なハワイアンタトゥーが再び評価され、その文化背景と芸術性の高さから、注目される存在になりました。
ポリネシアンタトゥーの有名なモチーフ
ポリネシアンタトゥーに使われるモチーフには、どんなものがあり、どんな意味があるのでしょうか。よく使われるモチーフを紹介します。
ポリネシアンタトゥーの魅力
ポリネシアンタトゥーは、約3,000年前からポリネシア全域に継承される伝統的な刺青のこと。これらは単なる装飾ではなく、社会生活で大変重要な意味を持っています。
伝統的なタトゥーに使われる美しく大胆なモチーフには、それぞれ異なる意味があり、個人の社会的地位やルーツ、信仰などを巧みに表現しているのです。
かつて、キリスト教宣教師らによって禁じられ、一時は途絶えたかと思われたポリネシアンタトゥー。近年その文化的意義や芸術性が見直され、世界中から注目を集めています。