人気のキーワード
★隙間時間にコラムを読むならアプリがオススメ★
ヨルダンを代表する世界遺産ペトラ遺跡は、まだまだ謎の多い遺跡です。21世紀の今でもなんと全体の80%がまだ未発掘なんだとか。今回はペトラ遺跡内で遭遇した研究者たちの一行と、地図にない秘密の絶景スポットを紹介します。
前回までのペトラ遺跡の記事はこちらから↓
【ヨルダンの世界遺産「ペトラ遺跡」の入場料が高すぎる!?】
【ペトラ遺跡内で横行するロバのぼったくりに要注意!】
Lucia Travel連載一覧はこちら
それはペトラ遺跡観光3日目に起きました。ペトラ遺跡は広大です。3日間フル稼働で動いても、あちこちに点在する遺跡を見尽くすことは不可能に近いとやっと悟ったところでした。バラ色をした岩の道を奥へ奥へと進みます。気が付けば、遊園地並みにいた観光客の数がまばらになっていました。道を間違えたかな?なんて思っていたら、一本の坂道が目に止まりました。地図にはない道のようで周囲を見渡せど看板もありません。
実はペトラ遺跡には地図に載っていない道やルートがたくさん存在します。地図に載っていないので、行った先に何があるのかは分かりません。ただ道が続いているだけで、何もない可能性だってあります。でも、なぜか気になるその坂道。なんとなく導かれている気がしてその坂を進むことにしました。
〝この坂の先には、どんな景色が広がっているのかな〟
ペトラの遺跡は広大過ぎて地図にない見どころスポットも多いと聞きます。冒険者気分で探検するのも良し!そんな一文を思い出した私の胸はワクワク高鳴っていました。
何もない岩道を登って20分ほど経った頃でしょうか。そろそろ引き返した方が良いのかなと不安になった頃、少し先に大きなバックパックを背負った5人ほどのグループを見つけました。
白人2人と、現地人3人のそのグループは、ほかの観光客と明らかに違う装いをしていました。キャンプでもするの?という感じの大荷物。友達同士という雰囲気でもなく、現地の人たちは何かを手伝っているようにも見えます。
〝変わったグループ〟
それが第一印象でした。広大なペトラの敷地を野宿して観光しているのかな?とも思いました。象牙色の肌をした現地の人はベドウィン族でしょうか?彼らはガイドのようにも見えます。少し白人に気を使っている感じもしました。
〝旅行者がプライベートツアーをしている?〟
それなら私はラッキーです。何となく進んだ坂道がプライベートツアーで紹介されるほどの場所なんて、ただラッキーとしか言いようがありません。
実際ペトラ遺跡にはプライベートガイドなる人が存在しています。何度目かの説明になってしまいますが遺跡はとても広大です。入口でもらえる地図はよく出来てはいますが完璧ではありません。地図に載っていないルートやガイドブックに載っていない見どころも多々存在します。また岩山だらけのペトラは、まるで砂漠の迷路。あっちにこっちに無数に道が伸びていて、素人にはどの道も同じに見えてしまいます。
だからでしょうか、「ガイドするよ~」のベドウィン族の声掛けに反応して、プライベートでガイドを雇っている観光客の姿を何度か見かけました。お客さんは家族連れだったりカップルだったりさまざま。熱心な遺跡ファンでなくとも、効率的に遺跡を見られるなら、むしろ良い!みたいなカジュアルなノリで依頼している人が多い印象です。
一本道だったので、何となく彼らの後をついていく形になりました。歩いて歩いて、さらに20分。岩山の頂上に着きました。
〝あっ!〟
そこには息を呑む景色が広がっていました。映画『インディ・ジョーンズ』にも出てくるペトラを代表する遺跡「エル・カズネ」がそびえ立っていたのです。
嬉しい誤算でした。エル・カズネを上から眺める特別なスポットの存在は知っていました。でも私が知る限りそこはプライベートでガイドを雇わないと見つけられない入り組んだ場所、観光客がたどり着くのは難しい…と。
〝なんてラッキー〟
普通、巨大な遺跡は下から見上げることしかできません。でもこの場所からは、巨大な遺跡を見下ろすことができるのです。エル・カズネの高さは40m。それより高い位置に今、私は立っています。
〝こんなステキな場所に来れるなんて〟
絶景に言葉を失った私は、そのままバラ色に輝く岩に腰掛けきっちり1時間、遺跡を眺めました。遺跡の下を行き交う人やロバはアリのように小さく見えます。
振り返ると私の前を先導していた5人グループが荷物を置いて円陣を組んでいました。遺跡観光には不似合いな荷物の量が気になります。よく見ると白人の一人は女性でした。大きな帽子を被って、双眼鏡を覗いています。男性は荷物をゴソゴソ。ベドウィン族らしき現地の人は、地図を広げて何かを討論しています。ここでやっと気付きました。彼らは研究者なのだと。
ペトラ遺跡は発掘されている遺跡より、未発掘の遺跡の方が多いと聞きます。だから考古学者を筆頭にたくさんの研究者がこの地でフィールドワークを行っているそうです。でも、まさか現実に調査を行っている一団に出会えるなんて…。なんだか不思議な気持ちです。彼らは有名なエル・カズネには目もくれず、何かを探しています。
〝ペトラ遺跡では、今この瞬間も謎を解くために研究者たちが動いている〟頭では分かっていましたが、実際自分の目で見ると感慨深いものがありました。
ペトラの別名は「バラ色の都市」。どうしてバラ色と称えられるのかというと、日の出から日没まで太陽の光の当たり具合によって、岩がまるでバラのように輝くからです。もともとピンク色をした岩。午前中であればピンクがかった真珠色に、夕日であれば赤みの強いピンクに移り変わります。刻一刻と変化する岩の色は、どれだけ眺めても飽きることはありませんでした。
悠久の時の流れに思いを馳せます。荘厳な遺跡は研磨したのかと思うほどピカピカに磨かれていて、どう考えても2000年も前に造られた遺跡だとは思えませんでした。エジプトのアブ・シンベル宮殿やカンボジアのアユタヤ遺跡、ペルーのマチュピチュ遺跡を見た時も、古代の人々が一体どうやって?とその神秘さに首を傾けました。ペトラ遺跡も間違いなく同じスケールの偉大さです。砂漠の中で、その遺跡を貸し切りで見られる幸福をかみしめました。
今では映えスポットとして少し有名になっているので、みなさんもガイドにお願いすれば辿り着けるかもしれません。「私と遺跡」だけが広がる幸福を味わって見てください。
※ペトラでは毎年、滑落事故が発生しています。ガイドさんも玉石混淆。ペトラの岩は柔らかいのに、崖登りを案内する人もいます。充分ご注意下さい。
前回の記事はこちら
大学卒業後、ライター&編集者として出版社や新聞社に勤務。マイナーな国をメインに、世界中を旅する。旅先で出会ったイスラム教徒と国際結婚。出産&離婚&再婚を経て現在は2児の母。公式HP:Lucia Travel
ヨルダンを代表する世界遺産ペトラ遺跡は、まだまだ謎の多い遺跡です。21世紀の今でもなんと全体の80%がまだ未発掘なんだとか。
今回はペトラ遺跡内で遭遇した研究者たちの一行と、地図にない秘密の絶景スポットを紹介します。
前回までのペトラ遺跡の記事はこちらから↓
【ヨルダンの世界遺産「ペトラ遺跡」の入場料が高すぎる!?】
【ペトラ遺跡内で横行するロバのぼったくりに要注意!】
Lucia Travel連載一覧はこちら
目次
まるで冒険!地図なき道を歩く
それはペトラ遺跡観光3日目に起きました。
ペトラ遺跡は広大です。3日間フル稼働で動いても、あちこちに点在する遺跡を見尽くすことは不可能に近いとやっと悟ったところでした。
バラ色をした岩の道を奥へ奥へと進みます。気が付けば、遊園地並みにいた観光客の数がまばらになっていました。
道を間違えたかな?なんて思っていたら、一本の坂道が目に止まりました。地図にはない道のようで周囲を見渡せど看板もありません。
実はペトラ遺跡には地図に載っていない道やルートがたくさん存在します。
地図に載っていないので、行った先に何があるのかは分かりません。ただ道が続いているだけで、何もない可能性だってあります。
でも、なぜか気になるその坂道。なんとなく導かれている気がしてその坂を進むことにしました。
〝この坂の先には、どんな景色が広がっているのかな〟
ペトラの遺跡は広大過ぎて地図にない見どころスポットも多いと聞きます。冒険者気分で探検するのも良し!そんな一文を思い出した私の胸はワクワク高鳴っていました。
ペトラ遺跡の中でキャンプ?
何もない岩道を登って20分ほど経った頃でしょうか。そろそろ引き返した方が良いのかなと不安になった頃、少し先に大きなバックパックを背負った5人ほどのグループを見つけました。
白人2人と、現地人3人のそのグループは、ほかの観光客と明らかに違う装いをしていました。
キャンプでもするの?という感じの大荷物。友達同士という雰囲気でもなく、現地の人たちは何かを手伝っているようにも見えます。
〝変わったグループ〟
それが第一印象でした。広大なペトラの敷地を野宿して観光しているのかな?とも思いました。
象牙色の肌をした現地の人はベドウィン族でしょうか?彼らはガイドのようにも見えます。少し白人に気を使っている感じもしました。
〝旅行者がプライベートツアーをしている?〟
それなら私はラッキーです。何となく進んだ坂道がプライベートツアーで紹介されるほどの場所なんて、ただラッキーとしか言いようがありません。
地図に無い場所はプライベートガイドにお任せ
実際ペトラ遺跡にはプライベートガイドなる人が存在しています。
何度目かの説明になってしまいますが遺跡はとても広大です。入口でもらえる地図はよく出来てはいますが完璧ではありません。地図に載っていないルートやガイドブックに載っていない見どころも多々存在します。
また岩山だらけのペトラは、まるで砂漠の迷路。あっちにこっちに無数に道が伸びていて、素人にはどの道も同じに見えてしまいます。
だからでしょうか、「ガイドするよ~」のベドウィン族の声掛けに反応して、プライベートでガイドを雇っている観光客の姿を何度か見かけました。
お客さんは家族連れだったりカップルだったりさまざま。熱心な遺跡ファンでなくとも、効率的に遺跡を見られるなら、むしろ良い!みたいなカジュアルなノリで依頼している人が多い印象です。
エル・カズネを上から見下ろせる秘密の絶景スポットを発見
一本道だったので、何となく彼らの後をついていく形になりました。歩いて歩いて、さらに20分。岩山の頂上に着きました。
〝あっ!〟
そこには息を呑む景色が広がっていました。映画『インディ・ジョーンズ』にも出てくるペトラを代表する遺跡「エル・カズネ」がそびえ立っていたのです。
嬉しい誤算でした。エル・カズネを上から眺める特別なスポットの存在は知っていました。
でも私が知る限りそこはプライベートでガイドを雇わないと見つけられない入り組んだ場所、観光客がたどり着くのは難しい…と。
〝なんてラッキー〟
普通、巨大な遺跡は下から見上げることしかできません。でもこの場所からは、巨大な遺跡を見下ろすことができるのです。
エル・カズネの高さは40m。それより高い位置に今、私は立っています。
〝こんなステキな場所に来れるなんて〟
絶景に言葉を失った私は、そのままバラ色に輝く岩に腰掛けきっちり1時間、遺跡を眺めました。遺跡の下を行き交う人やロバはアリのように小さく見えます。
隣では研究者たちがペトラ遺跡を調査中
振り返ると私の前を先導していた5人グループが荷物を置いて円陣を組んでいました。遺跡観光には不似合いな荷物の量が気になります。
よく見ると白人の一人は女性でした。大きな帽子を被って、双眼鏡を覗いています。男性は荷物をゴソゴソ。ベドウィン族らしき現地の人は、地図を広げて何かを討論しています。
ここでやっと気付きました。彼らは研究者なのだと。
ペトラ遺跡は発掘されている遺跡より、未発掘の遺跡の方が多いと聞きます。だから考古学者を筆頭にたくさんの研究者がこの地でフィールドワークを行っているそうです。
でも、まさか現実に調査を行っている一団に出会えるなんて…。なんだか不思議な気持ちです。彼らは有名なエル・カズネには目もくれず、何かを探しています。
〝ペトラ遺跡では、今この瞬間も謎を解くために研究者たちが動いている〟頭では分かっていましたが、実際自分の目で見ると感慨深いものがありました。
バラ色の都市の秘密
ペトラの別名は「バラ色の都市」。どうしてバラ色と称えられるのかというと、日の出から日没まで太陽の光の当たり具合によって、岩がまるでバラのように輝くからです。
もともとピンク色をした岩。午前中であればピンクがかった真珠色に、夕日であれば赤みの強いピンクに移り変わります。
刻一刻と変化する岩の色は、どれだけ眺めても飽きることはありませんでした。
悠久の時の流れに思いを馳せます。
荘厳な遺跡は研磨したのかと思うほどピカピカに磨かれていて、どう考えても2000年も前に造られた遺跡だとは思えませんでした。
エジプトのアブ・シンベル宮殿やカンボジアのアユタヤ遺跡、ペルーのマチュピチュ遺跡を見た時も、古代の人々が一体どうやって?とその神秘さに首を傾けました。
ペトラ遺跡も間違いなく同じスケールの偉大さです。砂漠の中で、その遺跡を貸し切りで見られる幸福をかみしめました。
今では映えスポットとして少し有名になっているので、みなさんもガイドにお願いすれば辿り着けるかもしれません。「私と遺跡」だけが広がる幸福を味わって見てください。
※ペトラでは毎年、滑落事故が発生しています。ガイドさんも玉石混淆。ペトラの岩は柔らかいのに、崖登りを案内する人もいます。充分ご注意下さい。
前回の記事はこちら
Lucia Travel連載一覧はこちら
筆者プロフィール:R.香月(かつき)
大学卒業後、ライター&編集者として出版社や新聞社に勤務。
マイナーな国をメインに、世界中を旅する。
旅先で出会ったイスラム教徒と国際結婚。
出産&離婚&再婚を経て現在は2児の母。
公式HP:Lucia Travel