人気のキーワード
★隙間時間にコラムを読むならアプリがオススメ★
ラムネの魅力とは、はて。
涼やかな瓶の色、傾けるたびにカラコロンといい音を響かせるビー玉、キュンとなるあの味。 どうして大人になってもラムネって、こんなにも心躍る存在なのでしょう。
夏の季語にもなっているラムネ。 実は日本生まれではないということをご存知ですか? そしてビー玉は、元々ラムネ瓶のために生まれたものだということを。
透き通ったあの飲み物には、実は秘密がたくさん隠れていますよ! ここでは、ラムネがこの国で愛されるようになった歴史と、ラムネにまつわる雑学を紹介していきます。
まずはラムネの歴史を紐解いていきましょう。
今では日本の夏の風物詩ともいえるラムネですが、実は江戸時代、海を渡ってやってきたのです。
ラムネはイギリスで生まれ、はじめはあのビー玉も入っていませんでした。そして、瓶の中身はというと、炭酸入りのレモネードだったのです。 1809年にイギリス人ウィリアム・ハミルトンによって考案された、きゅうりのような形の「ハミルトンボトル」に入り、口はコルクが詰められ、針金などで瓶の口に結えつけられていました。 コルクが乾燥して空気を通さないよう常に湿らせておくために、寝かせて保管する仕様だったことから底も平らではありませんでした。 このハミルトンボトル、日本での呼び名は形そのまま「きゅうり瓶」!
そのきゅうり瓶入りのラムネが日本に伝わったのは、かの有名なアメリカのペリー提督を乗せた黒船が浦賀に来航した際だといわれています。1853年、嘉永6年のこと。 艦上で交渉にあたった江戸幕府の役人に、アメリカ側から振る舞われたのがラムネでした。
コルク栓を抜いた際、「ポンッ」というあの音に驚いた日本の役人たちは、銃声か何かと勘違いし、思わず一斉に刀に手をかけたのだそうです。
それから長崎や横浜では、イギリス船が持ち込むきゅうり瓶入りのラムネが販売されるようになります。
初めて日本人によってラムネが作られたのは1865年。 ラムネの作り方を学んだ長崎の藤瀬半兵衛が、「レモン水」の名で日本初のラムネを売り始めました。
その後、東京の実業家千葉勝五郎がラムネの製造販売の許可を取得します。1872年5月4日のことです。今では5月4日はラムネの日と定められていますよ! 1890年ころから、日本でもラムネが本格的に製造販売され、東京をはじめ各地にラムネは広がっていきます。
1872年には、ついにあのラムネ瓶がイギリスで生まれます。 コルク会社のセールスマンをしていたハイラム・コッドが、新たなガラス瓶「コッド・ネック・ボトル」を発明しました。 このコッド・ネック・ボトルこそが、私たちに親しみのあるラムネ瓶。 ここに、晴れてあのビー玉入りの瓶に入ったラムネが誕生したのです!
でも、ラムネ瓶が日本で作られるようになるのは、これより20年ほど後の話。 ラムネ瓶についていろいろと気になる方も多いですよね! それはのちほど詳しくご紹介しましょう。
すでにお気づきの方もいらっしゃいますか? ラムネという名前は、もともと「レモネード」から派生した言葉なのだそう。
日本で初めて、長崎でレモネードが売られたときは、「レモン水」という名前がつけられました。 しかし、この「レモン水」の呼び名はなぜか定着せず、レモネードが訛った形の「ラムネ」が広まったのだそうです。
ラムネの一番の魅力ともいえるのが、あのガラス瓶ですよね。 さあ、あのラムネ独特の瓶、そしてビー玉についてみていきましょう。
ラムネ瓶のビー玉は、実は「栓」。 夏にぴったりの風情ある演出というわけではないのです。
きゅうり瓶の栓に使われていたコルクは、高価な上、密封性が低いため炭酸が少しずつ抜けてしまうという、炭酸飲料にとっては痛すぎる欠点がありました。 そこで、先ほどもご紹介した通り、“内側から”ガラス玉で栓をする、画期的なコッド・ネック・ボトル、現在のラムネ瓶の形が生まれたのです。
1892年には大阪のガラス会社が製造に成功したことで、日本でもラムネが大流行します。 日本で製造されたこの瓶、イギリス製のものに比べてもとてもクオリティが高く、イギリス人が驚いたのだそうです。
「ビー玉をいったいどうやって瓶に入れるの?」
ふと頭をよぎったことがある方も多いのではないでしょうか?
これは、昔と現代とは少し違っています。 それはラムネ瓶の口部分が、ガラスからプラスチック製に変わったためです。
初期のラムネ瓶は、オールガラス。 一つひとつ職人さんが吹いて作っていました。 オールガラスの瓶は、瓶本体を吹きながら、ビー玉を入れて閉じていきます。
この転倒式のワンウェイ瓶は、口がプラスチックのタイプ。 ガラス瓶にビー玉を入れて口元にゴムパッキンをつけ、プラスチック製のキャップをネジのように回して閉じます。
現代の主流、打ち込み式は、すでにプラスチック製のキャップにビー玉がセットされた状態のものを、機械で瓶に打ち込んで閉じます。
玉押しを飲み口にあて、ぐっと力を込めてビー玉を落とす、独特のラムネの開け方。 子どものころは自分でできなくて、大人にお願いして開けてもらった人も多いのではないでしょうか。 意外に力が必要です。
このきっちりと飲み口にはまっているビー玉、実は中の炭酸の圧力を使って栓としての役割を果たしています。 瓶にラムネシロップを注いで炭酸水を一気に吹き込み、瓶の中の空気が抜けていっぱいになった瞬間に瓶をくるりと逆さまに。 すると瓶の中は圧が強いまま、ビー玉が重みで飲み口のパッキンのところまで降りてきて、しっかりパッキンに押し付けられることで栓をしてくれるのです。
内側から栓がしてあるなんて、その発想ちょっとすごいですよね。 実用的で美しいのが、このラムネ瓶なのです。
今ではおもちゃとして知られるビー玉ですが、もともとこのラムネ瓶のために生まれたもの。
ラムネ瓶の栓のために作られたガラス玉の中で、歪みなどがなく使用することができるものをA玉、歪みがあったり傷があったりするものを規格外のB玉と呼んでいたのだそうです。 A玉はラムネ瓶の中に、B玉は子どものおもちゃとして使われるようになりました。
ということは…、 ラムネ瓶の中にあるのは本当はビー玉ではなく、エー玉?
ちなみに、ポルトガル語でガラスのことをビードロと呼んだことから、「ビードロ玉」が略されてビー玉となったという説もあります。
子どものころ、瓶の中のビー玉を取り出したくて試行錯誤したという思い出はありませんか? 大人になっても、やっぱり気になりますよね。 瓶の種類によって、ビー玉の取り出し方が違います。
この瓶のキャップ部分は、ビー玉の誤飲を防ぐためにとても強く締められていますが、開けることができます。
普通のペットボトルなどのキャップとは違い、キャップを締めるように回すことで開く仕組み。開けにくい場合は、50℃ほどのお湯に少し浸すと緩んで開けやすくなりますよ。
キャップがガラス瓶の口を覆うようにしっかりと機械で打ち込まれているこの瓶は、開けないことを前提として作られているものが多いため、ビー玉を取り出すのは少し大変です。
50℃ほどのお湯に浸して、キャップ全体を柔らかくします。 そしてキャップと瓶の間に栓抜きや缶切りを差し込んでみましょう。瓶を回しながら、何ヶ所か場所を変えてやってみるのがポイントです。
それでも外れない場合は、ハサミやニッパーで少し切れ込みを入れると外れやすくなります。
ラムネ瓶は、種類によって捨て方や分別方法が異なります。
今ではほとんど見かけなくなってしまった、風情あるオールガラスのラムネ瓶。 もともと、この瓶は飲み終わると回収され、きれいに洗浄されて再利用されていました。
このオールガラスのラムネに出会えたら、とても幸運。 それは昔製造された瓶を、業者さんや販売先が大切に大切に扱いながら、作られているラムネだから。 もしオールガラスのラムネ瓶を使ったラムネに出会えたら、瓶は持ち帰ったり、割ってしまったりせず、ぜひ回収に協力しましょう。
プラスチック製のキャップが使われている2種類の瓶はどのように捨てたらよいのでしょうか。お住まいの地域によって分別方法が変わる場合もあります。
転倒式(ねじ式)ワンウェイ瓶…時計回りに回すと、キャップが外れ、ガラス瓶・プラスチック製のキャップ・ゴムパッキン・ビー玉の4つのパーツに分けることができます。 ゴムパッキン以外はリサイクル可能です。
打ち込み式ワンウェイ瓶…キャップを外すことは難しい場合があります。その場合は無理やり外さずに、そのままガラス瓶のリサイクルに出しましょう。
先ほども触れたように、オールガラスのラムネ瓶はリターナブル。 殺菌洗浄されて、再びラムネを詰めて出荷されます。もう現存するものが少なくなってしまってはいますが、本当は今の時代にぴったりの環境にとてもやさしい瓶です。
他のワンウェイ瓶も、回収されてリサイクルが可能ですよ。回収された瓶は、再びガラスとなって生まれ変わります。
こんなにも私たちの生活になじんでいるラムネですが、意外に知らないことが多くてびっくり。ここからもラムネについてちょっとしたお話を。
ラムネとサイダー、似ているようだけれど、どんな違いがあるのでしょうか。 ラムネはイギリス生まれのレモネードが始まりでした。ではサイダーは?
サイダーの始まりはフランス語でいう「シードル」。 りんごの発泡酒が語源だといわれています。
サイダーが日本で発売されたのはラムネより少し後、明治のころでした。
ラムネはあのビー玉で栓がされるラムネ瓶であるのに対し、サイダーはアメリカで誕生した王冠で栓をする瓶が採用されます。
瓶の構造からも、ラムネは長期の保存には向かず、輸送にも弱いという特徴がありました。かつてはその土地その土地にラムネメーカーがあり、飲み終わって回収された瓶はきれいに洗浄されて、またラムネが詰められその地域の商店などで売られるという流れができていました。その地域に根ざしていたそれぞれのラムネがあったのです。
一方、サイダーは長期保存ができ、長距離輸送にも強い王冠だったため、全国的に流通し、お中元の品としても人気があったよう。 当時、ラムネは庶民の飲み物、りんご風味のシードルはラムネよりもかなり高価、高級な飲み物とされていました。 時代は流れ、現在というとラムネとサイダーは、瓶があのビー玉で栓がされた瓶か、王冠で栓がされた瓶かの違いのみ。中身は一緒、ということになっています。
ラムネは、開ける際のドキドキもまた魅力ですよね。噴き出さないように、上手に開けられるかどうか。
まずはラムネをよく冷やすことが大切です。 また瓶についている気泡をコンコンと叩いてあらかじめ上に移動させておきます。 そしてビー玉を押し込んだら、しっかりとそのまま10秒ほど待ちましょう。そうすると泡が落ち着いてきます。
また、ラムネを傾けると、ビー玉が飲み口を塞いでしまって飲みにくい!という経験がある方もいるはず。 ビー玉は、瓶中ほどにある窪みに引っ掛けるようにして飲みます。 このラムネ瓶はつくづく、よくできているのです!
ラムネというと、飲むラムネと「食べる」ラムネ菓子が思い浮かぶ、という方も多いのではないでしょうか。 最近では、「頭の栄養」ブドウ糖を手軽に摂れるサプリ的な存在として、受験生や二日酔いのビジネスパーソンにも人気です。
そもそもラムネ菓子は、より手軽に安価に、子どもたちにラムネのシュワッと感と甘い幸せを楽しんでもらうため生み出されました。
また、ラムネ菓子には2種類あるのもご存知ですか? 口に入れるとあっという間にスーッと溶けてなくなる、少し粉っぽい食感なのが湿式ラムネ。口に入れてもすぐには溶けず、カリッとした歯応えが特徴なのが乾式ラムネです。
今ではもう、幻といえるくらいの存在になってしまった、オールガラスの瓶に入ったラムネですが、ごく限られた地域ではまだ現役です。
オールガラス瓶は、中のビー玉を交換することができないため、ビー玉が傷ついてふたとして機能しなくなると寿命となります。 現在使われている瓶がなくなると、オールガラスのラムネは消えてしまうのです。
かつて、オールガラス瓶のラムネが売られていた時代、すべての瓶はリターナブルで、ラムネメーカーの所有物でした。 つまり、売られるのはラムネの中身だけ。瓶は容器として貸すだけで、また回収することが前提だったのです。 そのため、サイダーに比べて価格も安く、庶民の味として親しまれたのでしょう。 瓶がどこのメーカーかわかるよう、目印として、瓶を吹く際に所有者の印が押されていたのだそうです。
いかがでしたか? そうか、中身はサイダーと一緒だったのか!と思った方、いらっしゃいませんか? それでも、ラムネってやっぱり何か特別。
機能的で美しいあの瓶と、たとえようのない風味、そして「ラムネ」という名前の耳ごこち。 この組み合わせの妙が、私たちの心をとらえて離さない理由なのかもしれません。
大人になっても、いや、きっと大人になったからこそ、心躍るラムネ。
あのビー玉の音を響かせながら、また喉を鳴らす。 みなさん、ラムネがおいしい季節がやってきましたよ!
ラムネの魅力とは、はて。
涼やかな瓶の色、傾けるたびにカラコロンといい音を響かせるビー玉、キュンとなるあの味。
どうして大人になってもラムネって、こんなにも心躍る存在なのでしょう。
夏の季語にもなっているラムネ。
実は日本生まれではないということをご存知ですか?
そしてビー玉は、元々ラムネ瓶のために生まれたものだということを。
透き通ったあの飲み物には、実は秘密がたくさん隠れていますよ!
ここでは、ラムネがこの国で愛されるようになった歴史と、ラムネにまつわる雑学を紹介していきます。
目次
ラムネの歴史
まずはラムネの歴史を紐解いていきましょう。
ラムネ伝来!
今では日本の夏の風物詩ともいえるラムネですが、実は江戸時代、海を渡ってやってきたのです。
ラムネはイギリスで生まれ、はじめはあのビー玉も入っていませんでした。そして、瓶の中身はというと、炭酸入りのレモネードだったのです。
1809年にイギリス人ウィリアム・ハミルトンによって考案された、きゅうりのような形の「ハミルトンボトル」に入り、口はコルクが詰められ、針金などで瓶の口に結えつけられていました。
コルクが乾燥して空気を通さないよう常に湿らせておくために、寝かせて保管する仕様だったことから底も平らではありませんでした。
このハミルトンボトル、日本での呼び名は形そのまま「きゅうり瓶」!
黒船に乗って日本上陸
そのきゅうり瓶入りのラムネが日本に伝わったのは、かの有名なアメリカのペリー提督を乗せた黒船が浦賀に来航した際だといわれています。1853年、嘉永6年のこと。
艦上で交渉にあたった江戸幕府の役人に、アメリカ側から振る舞われたのがラムネでした。
コルク栓を抜いた際、「ポンッ」というあの音に驚いた日本の役人たちは、銃声か何かと勘違いし、思わず一斉に刀に手をかけたのだそうです。
5月4日はラムネの日
それから長崎や横浜では、イギリス船が持ち込むきゅうり瓶入りのラムネが販売されるようになります。
初めて日本人によってラムネが作られたのは1865年。
ラムネの作り方を学んだ長崎の藤瀬半兵衛が、「レモン水」の名で日本初のラムネを売り始めました。
その後、東京の実業家千葉勝五郎がラムネの製造販売の許可を取得します。1872年5月4日のことです。今では5月4日はラムネの日と定められていますよ!
1890年ころから、日本でもラムネが本格的に製造販売され、東京をはじめ各地にラムネは広がっていきます。
ラムネ瓶誕生!
1872年には、ついにあのラムネ瓶がイギリスで生まれます。
コルク会社のセールスマンをしていたハイラム・コッドが、新たなガラス瓶「コッド・ネック・ボトル」を発明しました。
このコッド・ネック・ボトルこそが、私たちに親しみのあるラムネ瓶。
ここに、晴れてあのビー玉入りの瓶に入ったラムネが誕生したのです!
でも、ラムネ瓶が日本で作られるようになるのは、これより20年ほど後の話。
ラムネ瓶についていろいろと気になる方も多いですよね!
それはのちほど詳しくご紹介しましょう。
ラムネの語源は?
すでにお気づきの方もいらっしゃいますか?
ラムネという名前は、もともと「レモネード」から派生した言葉なのだそう。
日本で初めて、長崎でレモネードが売られたときは、「レモン水」という名前がつけられました。
しかし、この「レモン水」の呼び名はなぜか定着せず、レモネードが訛った形の「ラムネ」が広まったのだそうです。
ビー玉なしでは語れぬのがラムネ
ラムネの一番の魅力ともいえるのが、あのガラス瓶ですよね。
さあ、あのラムネ独特の瓶、そしてビー玉についてみていきましょう。
なぜラムネにはビー玉が入っているの?
ラムネ瓶のビー玉は、実は「栓」。
夏にぴったりの風情ある演出というわけではないのです。
きゅうり瓶の栓に使われていたコルクは、高価な上、密封性が低いため炭酸が少しずつ抜けてしまうという、炭酸飲料にとっては痛すぎる欠点がありました。
そこで、先ほどもご紹介した通り、“内側から”ガラス玉で栓をする、画期的なコッド・ネック・ボトル、現在のラムネ瓶の形が生まれたのです。
1892年には大阪のガラス会社が製造に成功したことで、日本でもラムネが大流行します。
日本で製造されたこの瓶、イギリス製のものに比べてもとてもクオリティが高く、イギリス人が驚いたのだそうです。
ラムネ瓶にビー玉はどうやって入れるの?
「ビー玉をいったいどうやって瓶に入れるの?」
ふと頭をよぎったことがある方も多いのではないでしょうか?
これは、昔と現代とは少し違っています。
それはラムネ瓶の口部分が、ガラスからプラスチック製に変わったためです。
オールガラス瓶
初期のラムネ瓶は、オールガラス。
一つひとつ職人さんが吹いて作っていました。
オールガラスの瓶は、瓶本体を吹きながら、ビー玉を入れて閉じていきます。
転倒式(ネジ式)ワンウェイ瓶
この転倒式のワンウェイ瓶は、口がプラスチックのタイプ。
ガラス瓶にビー玉を入れて口元にゴムパッキンをつけ、プラスチック製のキャップをネジのように回して閉じます。
打ち込み式ワンウェイ瓶
現代の主流、打ち込み式は、すでにプラスチック製のキャップにビー玉がセットされた状態のものを、機械で瓶に打ち込んで閉じます。
どうやってビー玉でふたをしてあるの?
玉押しを飲み口にあて、ぐっと力を込めてビー玉を落とす、独特のラムネの開け方。
子どものころは自分でできなくて、大人にお願いして開けてもらった人も多いのではないでしょうか。
意外に力が必要です。
このきっちりと飲み口にはまっているビー玉、実は中の炭酸の圧力を使って栓としての役割を果たしています。
瓶にラムネシロップを注いで炭酸水を一気に吹き込み、瓶の中の空気が抜けていっぱいになった瞬間に瓶をくるりと逆さまに。
すると瓶の中は圧が強いまま、ビー玉が重みで飲み口のパッキンのところまで降りてきて、しっかりパッキンに押し付けられることで栓をしてくれるのです。
内側から栓がしてあるなんて、その発想ちょっとすごいですよね。
実用的で美しいのが、このラムネ瓶なのです。
ラムネ瓶のビー玉は実は【ビー玉】ではない⁈
今ではおもちゃとして知られるビー玉ですが、もともとこのラムネ瓶のために生まれたもの。
ラムネ瓶の栓のために作られたガラス玉の中で、歪みなどがなく使用することができるものをA玉、歪みがあったり傷があったりするものを規格外のB玉と呼んでいたのだそうです。
A玉はラムネ瓶の中に、B玉は子どものおもちゃとして使われるようになりました。
ということは…、
ラムネ瓶の中にあるのは本当はビー玉ではなく、エー玉?
ちなみに、ポルトガル語でガラスのことをビードロと呼んだことから、「ビードロ玉」が略されてビー玉となったという説もあります。
ラムネ瓶からビー玉を取り出す方法
子どものころ、瓶の中のビー玉を取り出したくて試行錯誤したという思い出はありませんか?
大人になっても、やっぱり気になりますよね。
瓶の種類によって、ビー玉の取り出し方が違います。
転倒式(ネジ式)ワンウェイ瓶
この瓶のキャップ部分は、ビー玉の誤飲を防ぐためにとても強く締められていますが、開けることができます。
普通のペットボトルなどのキャップとは違い、キャップを締めるように回すことで開く仕組み。開けにくい場合は、50℃ほどのお湯に少し浸すと緩んで開けやすくなりますよ。
打ち込み式ワンウェイ瓶
キャップがガラス瓶の口を覆うようにしっかりと機械で打ち込まれているこの瓶は、開けないことを前提として作られているものが多いため、ビー玉を取り出すのは少し大変です。
50℃ほどのお湯に浸して、キャップ全体を柔らかくします。
そしてキャップと瓶の間に栓抜きや缶切りを差し込んでみましょう。瓶を回しながら、何ヶ所か場所を変えてやってみるのがポイントです。
それでも外れない場合は、ハサミやニッパーで少し切れ込みを入れると外れやすくなります。
ラムネ瓶の捨て方・処分の方法は?
ラムネ瓶は、種類によって捨て方や分別方法が異なります。
オールガラス瓶の捨て方
今ではほとんど見かけなくなってしまった、風情あるオールガラスのラムネ瓶。
もともと、この瓶は飲み終わると回収され、きれいに洗浄されて再利用されていました。
このオールガラスのラムネに出会えたら、とても幸運。
それは昔製造された瓶を、業者さんや販売先が大切に大切に扱いながら、作られているラムネだから。
もしオールガラスのラムネ瓶を使ったラムネに出会えたら、瓶は持ち帰ったり、割ってしまったりせず、ぜひ回収に協力しましょう。
プラスチック製のキャップが使われた瓶の捨て方
プラスチック製のキャップが使われている2種類の瓶はどのように捨てたらよいのでしょうか。お住まいの地域によって分別方法が変わる場合もあります。
転倒式(ねじ式)ワンウェイ瓶…時計回りに回すと、キャップが外れ、ガラス瓶・プラスチック製のキャップ・ゴムパッキン・ビー玉の4つのパーツに分けることができます。
ゴムパッキン以外はリサイクル可能です。
打ち込み式ワンウェイ瓶…キャップを外すことは難しい場合があります。その場合は無理やり外さずに、そのままガラス瓶のリサイクルに出しましょう。
ラムネ瓶は再利用できる?
先ほども触れたように、オールガラスのラムネ瓶はリターナブル。
殺菌洗浄されて、再びラムネを詰めて出荷されます。もう現存するものが少なくなってしまってはいますが、本当は今の時代にぴったりの環境にとてもやさしい瓶です。
他のワンウェイ瓶も、回収されてリサイクルが可能ですよ。回収された瓶は、再びガラスとなって生まれ変わります。
ラムネの雑学
こんなにも私たちの生活になじんでいるラムネですが、意外に知らないことが多くてびっくり。ここからもラムネについてちょっとしたお話を。
ラムネとサイダーって何が違うの?
ラムネとサイダー、似ているようだけれど、どんな違いがあるのでしょうか。
ラムネはイギリス生まれのレモネードが始まりでした。ではサイダーは?
サイダーの始まりはフランス語でいう「シードル」。
りんごの発泡酒が語源だといわれています。
サイダーが日本で発売されたのはラムネより少し後、明治のころでした。
ラムネはあのビー玉で栓がされるラムネ瓶であるのに対し、サイダーはアメリカで誕生した王冠で栓をする瓶が採用されます。
瓶の構造からも、ラムネは長期の保存には向かず、輸送にも弱いという特徴がありました。かつてはその土地その土地にラムネメーカーがあり、飲み終わって回収された瓶はきれいに洗浄されて、またラムネが詰められその地域の商店などで売られるという流れができていました。その地域に根ざしていたそれぞれのラムネがあったのです。
一方、サイダーは長期保存ができ、長距離輸送にも強い王冠だったため、全国的に流通し、お中元の品としても人気があったよう。
当時、ラムネは庶民の飲み物、りんご風味のシードルはラムネよりもかなり高価、高級な飲み物とされていました。
時代は流れ、現在というとラムネとサイダーは、瓶があのビー玉で栓がされた瓶か、王冠で栓がされた瓶かの違いのみ。中身は一緒、ということになっています。
ラムネのツウな飲み方とは
ラムネは、開ける際のドキドキもまた魅力ですよね。噴き出さないように、上手に開けられるかどうか。
まずはラムネをよく冷やすことが大切です。
また瓶についている気泡をコンコンと叩いてあらかじめ上に移動させておきます。
そしてビー玉を押し込んだら、しっかりとそのまま10秒ほど待ちましょう。そうすると泡が落ち着いてきます。
また、ラムネを傾けると、ビー玉が飲み口を塞いでしまって飲みにくい!という経験がある方もいるはず。
ビー玉は、瓶中ほどにある窪みに引っ掛けるようにして飲みます。
このラムネ瓶はつくづく、よくできているのです!
ラムネ菓子の誕生について
ラムネというと、飲むラムネと「食べる」ラムネ菓子が思い浮かぶ、という方も多いのではないでしょうか。
最近では、「頭の栄養」ブドウ糖を手軽に摂れるサプリ的な存在として、受験生や二日酔いのビジネスパーソンにも人気です。
そもそもラムネ菓子は、より手軽に安価に、子どもたちにラムネのシュワッと感と甘い幸せを楽しんでもらうため生み出されました。
また、ラムネ菓子には2種類あるのもご存知ですか?
口に入れるとあっという間にスーッと溶けてなくなる、少し粉っぽい食感なのが湿式ラムネ。口に入れてもすぐには溶けず、カリッとした歯応えが特徴なのが乾式ラムネです。
幻のオールガラス瓶ラムネ
今ではもう、幻といえるくらいの存在になってしまった、オールガラスの瓶に入ったラムネですが、ごく限られた地域ではまだ現役です。
オールガラス瓶は、中のビー玉を交換することができないため、ビー玉が傷ついてふたとして機能しなくなると寿命となります。
現在使われている瓶がなくなると、オールガラスのラムネは消えてしまうのです。
かつて、オールガラス瓶のラムネが売られていた時代、すべての瓶はリターナブルで、ラムネメーカーの所有物でした。
つまり、売られるのはラムネの中身だけ。瓶は容器として貸すだけで、また回収することが前提だったのです。
そのため、サイダーに比べて価格も安く、庶民の味として親しまれたのでしょう。
瓶がどこのメーカーかわかるよう、目印として、瓶を吹く際に所有者の印が押されていたのだそうです。
日本人の心をくすぐり続けるラムネ
いかがでしたか?
そうか、中身はサイダーと一緒だったのか!と思った方、いらっしゃいませんか?
それでも、ラムネってやっぱり何か特別。
機能的で美しいあの瓶と、たとえようのない風味、そして「ラムネ」という名前の耳ごこち。
この組み合わせの妙が、私たちの心をとらえて離さない理由なのかもしれません。
大人になっても、いや、きっと大人になったからこそ、心躍るラムネ。
あのビー玉の音を響かせながら、また喉を鳴らす。
みなさん、ラムネがおいしい季節がやってきましたよ!