掲載日:2024.06.17

ハワイアンが大切にしている「ククイ」とは?~ポリネシアからやってきた万能の木~

ククイと聞いて思い浮かぶのは、ククイナッツ のレイ?
美肌効果の高い古代ハワイから伝わるククイナッツオイル?

ハワイ州の州木でもあるククイの木。その実から採れる油は、古くから明かりを灯す燃料として、また肌を守るオイルや薬として重宝されてきました。

ククイがすごいのは、実だけではないんです。花や葉や幹などあらゆる部位が有用で、捨てるところがない万能植物として、古来ハワイの暮らしを支えてきました。

今回は、そんなハワイの伝統植物「ククイ」の素晴らしさについてご紹介します。

ククイの基本情報

ククイとは何か?植物としての特徴やルーツについてなど基本情報をまとめてみました。

ククイとは(特徴)

ククイとは(特徴)

ククイ(ハワイ語:Kukui)の和名はククイノキ、トウダイグサ科に属し、樹高20mにもなる東南アジア原産の常緑樹です。小さな花の集合体の大きさは20~40cm程度、花弁は白に近いクリーム色か、淡いピンク色でマンゴーの花に似ています。

実は丸く直径4~7cm程度。若い実は緑色をしており、完熟すると褐色に変化します。大きな葉は表面には繊毛があり、光の加減で銀色に輝いて見えることから、遠くからでも一目でククイの木だとわかるでしょう。

実は外来種

ククイは、1,600年ほど昔、ポリネシア人がハワイに移住する際に持ちこんだカヌープランツです※。彼らは「これさえあれば、未知の島でもなんとか生きていける!」と考えたに違いありません。

ククイの実には多くの油が含まれています。そのため別名キャンドルナッツと呼ばれ、灯りの燃料として重宝されてきました。ククイ(Kukui)はハワイ語で「明るい」「知識」などを意味します。

燃料や薬、染料として古代ハワイアンの暮らしに欠かせない植物だったククイ。ハワイ原産でないにもかかわらず、1959年にはハワイ州の州木に指定されました。

※カヌープランツとは、ポリネシア人が故郷の島からカヌーで運んできた、暮らしに不可欠な植物のこと。伝統植物とも呼ばれ、ククイの他にもカロ(タロイモ)やウル(パンノキ)などがあります。

モロカイ島の花

モロカイ島の花

ハワイ主要8島には、それぞれ「島の花」が決められています。ククイはモロカイ島の花。そのためモロカイ島を歌ったメレ(歌詞)には、よくククイが登場します。

ククイはハワイ全域でよく見かける一般的な木ですが、モロカイ島の東端、プウ・オ・ホク牧場の敷地内に、とても有名なククイの森があることをご存じでしょうか?

そこは、かつて絶大な霊力を持っていたカフナ(神官)、ラニカウラが眠るお墓。彼の亡骸が敵に悪用されないよう、ククイの木を植えて隠した場所といわれています。(現在一般公開はされていません)

プウ・オ・ホク牧場の先にあるハラヴァ渓谷では、落ちたククイの実が川で流されてくるため、たくさん拾うことができます。

モロカイ島については こちら

万能の木

ククイは「万能の木」と呼ばれ、実・樹皮・花・葉・茎・幹・根っこに至るまで、あらゆる部位がハワイの人々の暮らしを支えてきました。具体的にどのように使われていたのでしょうか?

実の役割

実の役割

ククイの実の内側にある白い部分は「仁」と呼ばれ、50%以上の油分を含んでいます。そのまま火であぶると、簡単に燃え上がるほどです。仁を絞って作られた油は、かつてハワイで鯨油が普及するまで、灯りの燃料として使用されていました。

ククイの実から採れる油は、オレイン酸やリノール酸(脂肪酸)による抗酸化作用があり、ビタミンA・C・Eを多く含むため、美肌効果が高いのが特徴。現代でも、ロミロミマッサージのオイルや赤ちゃんの日焼け止めとしても使われています。

若い実から採れる油は切り傷の治療や便秘薬、下剤などに用いられていました。仁に塩をからめて炒めて作った「イナモナ」は、ハワイ定番の調味料。ポケの味付けにも使います。

また、実の殻を磨き上げて作ったレイは、ハワイ王朝時代、王族だけが身に着けることができる特別なものでした。

その他の部位の役割

ククイといえば、その実の有用性が注目されますが、古代ハワイではククイの樹皮は赤色の染料や薬用に使用されていました。花は絞って口内炎の治療薬として、葉や茎も薬として利用され、レイの素材としても使われていました。

また、幹はカヌーや漁業で使う「浮き」や火起こしの道具として使われていました。さらに、ククイの樹液とハウの蕾(つぼみ)を調合したものは出産の痛みを和らげる薬として用いられました。

そして、根っこは黒や茶色の染料や薬に使われるなど、ククイのすべての部位がハワイの人々の生活に役立てられていたのです。

ククイにまつわる伝承

ククイにまつわる伝承

ククイは信仰の世界でも重要な意味を持っていました。オイルを燃やした後に出る煤(すす)は、神々への祈りを込めて描くタトゥーの素材になり、仁は魔除けとして用いられていたとか。これは、ククイオイルの腐臭が災難を遠ざけると信じられていたためです。

ハワイの創世神話をまとめた『クムリポ』の中でも、ククイは「われわれ人間を護る木」として記されています。

一方、タヒチでは「われわれの土地に光をもたらす木」とされ、ククイはポリネシアの全域で欠かすことのできない特別な木だったに違いありません。

ククイを歌った曲

※曲名/アーティスト

①Pua Kukui/Gabby Pahinui

愛する人をククイの花の蕾(つぼみ)に例えた恋の歌

②Lei Kuku/Kuana Torres Kahele

ククイのレイを通してモロカイ島の美しさとアロハの心を讃える曲

③Ku'u Lei Pua Kukui O Kamakou/Raiatea Helm

モロカイ島のカマコウ山、ククイの花のレイの素晴らしさを歌った曲

④Kaulana Moloka`i/Natalie Ai Kamauu

偉大なモロカイ島は、女神ヒナとククイに守られた島と歌っています

⑤Honomuni/Kamaka Kukona

モロカイ島をドライブ。カラウパパの絶景はククイのレイで飾られると歌った曲

ハワイアンにとってククイとは

古来、ハワイアンの暮らしを支えてきたククイ。ハワイ州の州木であり、ニイハウ島の花として知られていますが、実はハワイ原産の植物ではありません。ククイは、古代ポリネシアの人々が、その万能さゆえにハワイに持ち込んだカヌープランツ(伝統植物)です。

ククイはかつて灯りの燃料として使われていたことから、キャンドルナッツと呼ばれています。ククイの実から採れる油は、ククイナッツオイルと呼ばれ、現在でも美肌効果の高いボディオイルとして人気があります。

ククイは他にも薬や染料としてなど多様な利用法があり、ハワイでは、光、知識、治癒の象徴として、古くから多くの人々に大切にされてきました。

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