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みなさんは、アフリカンプリントの「キテンゲ」を知っていますか? 普段、アフリカの生地や布に触れる機会があまりない……という方も多いかもしれません。
キテンゲは、プリントの種類が豊富なだけでなく、ユニークな歴史も持っています。 また、オーダーメイドで服に仕立てる布だからこそ、流行のファッションを反映しやすいことも特徴です。
このコラムでは、キテンゲの種類やルーツ、「カンガ」との違い、そして絵柄や配色の特徴・意味などについてわかりやすくご紹介します。 ぜひ、このコラムを読んでキテンゲの魅力を味わってみてくださいね。
キテンゲは、タンザニアなどの東アフリカ地域で愛されているアフリカンプリントです。アフリカンプリントとは、アフリカで流通しているプリント更紗の総称を指します。綿100%で肌触りがよく、生地がしっかりしていることが特徴です。
アフリカでは、キテンゲを使ってワンピースやメンズシャツを仕立てたり、腰に巻いて巻スカートにしたり、雑貨小物を作ったりと、日常生活にかかせない布となっています。
タンザニアは、農業大国です。コーヒーと並んで、上質な綿花の産地でもあります。キテンゲは、その品質の高さから、世界中で需要があります。また、キテンゲは、しっかりとした生地ながら、風通しもよいため、夏は涼しく、冬は暖か。日本の気候にもなじむ素材で、1年中大活躍します。
キテンゲには、大きくわけて以下3つの種類があります。
ワックスプリントは、ろうけつ染めのバティック技法を応用して染工場で生産される平織りの生地です。大胆なデザインや特徴的な色合いが目を引き、テイラー仕立てで楽しむために生産されています。また、藍染(インディゴ染)も使われ続けており、絵柄は各地の伝統にもとづいています。工程もかかることから、値段も少しお高めです。
イミテーションワックスプリントは、ろうけつ染めではなく機械で印刷したものを指します。イミテーションは「真似・模倣」という意味で、イミテーションワックスプリントは、ろうけつ染め風にバブルやひびを模写印刷しています。
ファンシープリントはバティックの模倣をデジタルプリント化して生産された布で、新しいデザインが特徴。速くたくさんの布を作ることができますが、色落ちしやすいという面もあります。ワックスプリントと比べると値段はお手ごろです。
東アフリカでは「キテンゲ」と呼ばれていますが、地域によって呼び名が変わり、西アフリカでは「パーニュ」と呼ばれています。 「キテンゲ」はスワヒリ語で「布」、「パーニュ」はフランス語で「腰巻布」という意味があります。
キテンゲは、オーダーメイドで服に仕立てる布。マーケットの生地屋で生地を買い、仕立て屋で好みのデザインを指定していきます。 お店で既製服を買う、というのに慣れていると、こうしてデザインから選ぶのは異文化を感じられますよね。
キテンゲはモードへの進出もしており、クリスチャンディオールなどのビッグメゾンにも取り入れられています。 キテンゲを使った大胆なデザインは、ファッション業界においてもトレンドのひとつとなっています。
キテンゲはユニークなルーツや歴史を持っています。 産業革命が起こり、効率よく生産ができるようになった時代。1800年代にオランダ商人がインドネシアの手染めバティックの技法を使い、自国の工場でワックスプリントを量産するようになりました。
そこで作り出されたワックスプリントは、イギリスやフランスの企業を通じて、アフリカに渡ります。アフリカ各地で人気となり、しだいに布の柄は現地の人々の好みに合わせて独自に発展していきました。ちなみに、インドネシアではあまり人気がなかったといわれています。
このように、キテンゲはヨーロッパ、アフリカ、アジアをめぐり育まれた布なのです。ちなみに、キテンゲは日本でも生産されていました。 日本では、1970年代以降は、ワックスプリントからファンシープリントへの切り替えが起こりました。
続いて、「キテンゲ」と似ていて間違えやすい「カンガ」との違いをわかりやすく解説します。
カンガとは、ケニアやタンザニアに代表される東アフリカ地域で人気のあるアフリカンコットン布のことを指します。衣類や風呂敷などとして広く利用される一枚布です。
カンガは、現地の言葉で「ホロホロ鳥(チョウ)」という意味があります。美しい柄の布を身にまとっておしゃれをしている女性たちをホロホロ鳥の姿にたとえたことがカンガという名前の由来です。別名「レソ(leso:ハンカチ、スカーフを指す)」と呼ばれることもあります。
カンガについてもっと詳しくは こちら
まず、ルーツに違いがあります。キテンゲはヨーロッパ、アフリカ、アジアをめぐり育まれた布であるのに対して、カンガはケニアのスワヒリ族がカンガ布を考え出し、19世紀に広まりました。カンガは東アフリカの文化と歴史の中から誕生したといえます。
また、キテンゲは、カンガに比べてサイズも一回り大きく、厚手です。主に服飾に使われるのがキテンゲで、カンガは日用品として、テーブル掛けや小さな子どもをおんぶするときにも使われます。
さらに、カンガはことわざやメッセージなどの文字が記されている特徴的なデザインをしています。多くのキテンゲは連続パターンが一面を覆うデザインになっていて、文字は書かれていません。
キテンゲは、大胆な絵柄や特徴的な配色が魅力。ここからは、4つの柄の特徴や意味などについてご紹介します。
アイ(EYE)は、ガーナやコートジボワールで使用されているアカン語で「Nsubra」と呼ばれています。Nsubraは「井戸」という意味があります。井戸で水を汲んだあとに滴る水滴や、小石を落としたときに広がる波紋をイメージしてデザインされた柄が特徴です。
ひとつぶの雫が水面に落ち、美しい波紋が広がっていくような情景が浮かぶデザインです。また、「良い方向か、はたまた悪い方向かはわからないが、あなたの行動は周りに影響を及ぼす」という意味も込められているんだとか。
力強い印象を与えるヤシの木柄のキテンゲ。ヤシの木は生命力や不屈の精神のシンボルともいわれています。
目を引くような、チャンスの実がごろごろと転がっているような印象的なデザイン。 これを身にまとう人にも、チャンスを手に入れてほしいという願いを込めて商品が作られることも。
グルスティーは、天然素材のうちわです。暑い日の多いアフリカでは、うちわは日々の生活に欠かせないもの。 そんな自分たちの生活に身近なものに愛着を持ち、身にまとうプリントにしてしまうという、アフリカらしいプライドが感じられる柄です。
キテンゲの商品のお手入れ方法は、基本的に柄ものの綿生地の扱いと同じです。中性洗剤を使って手洗いをするのがベスト。洗濯機を使う場合は、ネットに入れて手洗いコースを選んでくださいね。
洗濯し終えたあとは、直射日光を避けて日陰干ししましょう。シワを伸ばし、形を整えて干すと、より長持ちしますよ。
なお、色落ち・色移りには十分注意してくださいね。
保管するときには、クローゼットやたんすの埃を定期的に払うようにしましょう。また、しまう場所は、できるだけスペースに余裕があり、風通しが良い状態にしておくことをおすすめします。
このコラムでは、アフリカンプリント「キテンゲ」の歴史や種類、柄や配色の特徴・意味などをご紹介しました。 私はイギリスに住んでいますが、大きな都市や空港などでは、アフリカルーツの人たちがキテンゲを身にまとっているのを見たことがあります。彼らのアイデンティティや誇りを感じられる瞬間だなと感じます。
ワンピースやスカートにキテンゲを取り入れても素敵ですし、キテンゲを使った小物もおしゃれ。みなさんも、ファッションにちょっとしたアフリカンプリントのスパイスを取り入れて、毎日を豊かにしてみませんか?
みなさんは、アフリカンプリントの「キテンゲ」を知っていますか?
普段、アフリカの生地や布に触れる機会があまりない……という方も多いかもしれません。
キテンゲは、プリントの種類が豊富なだけでなく、ユニークな歴史も持っています。
また、オーダーメイドで服に仕立てる布だからこそ、流行のファッションを反映しやすいことも特徴です。
このコラムでは、キテンゲの種類やルーツ、「カンガ」との違い、そして絵柄や配色の特徴・意味などについてわかりやすくご紹介します。
ぜひ、このコラムを読んでキテンゲの魅力を味わってみてくださいね。
目次
アフリカンプリント「キテンゲ」とは
キテンゲは、タンザニアなどの東アフリカ地域で愛されているアフリカンプリントです。アフリカンプリントとは、アフリカで流通しているプリント更紗の総称を指します。綿100%で肌触りがよく、生地がしっかりしていることが特徴です。
アフリカでは、キテンゲを使ってワンピースやメンズシャツを仕立てたり、腰に巻いて巻スカートにしたり、雑貨小物を作ったりと、日常生活にかかせない布となっています。
タンザニアは、農業大国です。コーヒーと並んで、上質な綿花の産地でもあります。キテンゲは、その品質の高さから、世界中で需要があります。また、キテンゲは、しっかりとした生地ながら、風通しもよいため、夏は涼しく、冬は暖か。日本の気候にもなじむ素材で、1年中大活躍します。
種類(品質の違い)
キテンゲには、大きくわけて以下3つの種類があります。
ワックスプリント(wax):ろうけつ&藍
ワックスプリントは、ろうけつ染めのバティック技法を応用して染工場で生産される平織りの生地です。大胆なデザインや特徴的な色合いが目を引き、テイラー仕立てで楽しむために生産されています。また、藍染(インディゴ染)も使われ続けており、絵柄は各地の伝統にもとづいています。工程もかかることから、値段も少しお高めです。
イミテーションワックスプリント:ローラー捺染
イミテーションワックスプリントは、ろうけつ染めではなく機械で印刷したものを指します。イミテーションは「真似・模倣」という意味で、イミテーションワックスプリントは、ろうけつ染め風にバブルやひびを模写印刷しています。
ファンシープリント(fancy):新しいデザイン
ファンシープリントはバティックの模倣をデジタルプリント化して生産された布で、新しいデザインが特徴。速くたくさんの布を作ることができますが、色落ちしやすいという面もあります。ワックスプリントと比べると値段はお手ごろです。
地域で変わる呼び名
東アフリカでは「キテンゲ」と呼ばれていますが、地域によって呼び名が変わり、西アフリカでは「パーニュ」と呼ばれています。
「キテンゲ」はスワヒリ語で「布」、「パーニュ」はフランス語で「腰巻布」という意味があります。
オーダーメイドで服に仕立てる布
キテンゲは、オーダーメイドで服に仕立てる布。マーケットの生地屋で生地を買い、仕立て屋で好みのデザインを指定していきます。
お店で既製服を買う、というのに慣れていると、こうしてデザインから選ぶのは異文化を感じられますよね。
モードへの進出
キテンゲはモードへの進出もしており、クリスチャンディオールなどのビッグメゾンにも取り入れられています。
キテンゲを使った大胆なデザインは、ファッション業界においてもトレンドのひとつとなっています。
19世紀にオランダの工場で製造されたプリント更紗がルーツ!?
キテンゲはユニークなルーツや歴史を持っています。
産業革命が起こり、効率よく生産ができるようになった時代。1800年代にオランダ商人がインドネシアの手染めバティックの技法を使い、自国の工場でワックスプリントを量産するようになりました。
そこで作り出されたワックスプリントは、イギリスやフランスの企業を通じて、アフリカに渡ります。アフリカ各地で人気となり、しだいに布の柄は現地の人々の好みに合わせて独自に発展していきました。ちなみに、インドネシアではあまり人気がなかったといわれています。
このように、キテンゲはヨーロッパ、アフリカ、アジアをめぐり育まれた布なのです。ちなみに、キテンゲは日本でも生産されていました。
日本では、1970年代以降は、ワックスプリントからファンシープリントへの切り替えが起こりました。
「キテンゲ」と「カンガ」の違い
続いて、「キテンゲ」と似ていて間違えやすい「カンガ」との違いをわかりやすく解説します。
カンガとは
カンガとは、ケニアやタンザニアに代表される東アフリカ地域で人気のあるアフリカンコットン布のことを指します。衣類や風呂敷などとして広く利用される一枚布です。
カンガは、現地の言葉で「ホロホロ鳥(チョウ)」という意味があります。美しい柄の布を身にまとっておしゃれをしている女性たちをホロホロ鳥の姿にたとえたことがカンガという名前の由来です。別名「レソ(leso:ハンカチ、スカーフを指す)」と呼ばれることもあります。
カンガについてもっと詳しくは こちら
「キテンゲ」と「カンガ」の比較
まず、ルーツに違いがあります。キテンゲはヨーロッパ、アフリカ、アジアをめぐり育まれた布であるのに対して、カンガはケニアのスワヒリ族がカンガ布を考え出し、19世紀に広まりました。カンガは東アフリカの文化と歴史の中から誕生したといえます。
また、キテンゲは、カンガに比べてサイズも一回り大きく、厚手です。主に服飾に使われるのがキテンゲで、カンガは日用品として、テーブル掛けや小さな子どもをおんぶするときにも使われます。
さらに、カンガはことわざやメッセージなどの文字が記されている特徴的なデザインをしています。多くのキテンゲは連続パターンが一面を覆うデザインになっていて、文字は書かれていません。
魅力たっぷり!キテンゲの絵柄や配色に込められた意味とは?
キテンゲは、大胆な絵柄や特徴的な配色が魅力。ここからは、4つの柄の特徴や意味などについてご紹介します。
アイ(EYE)
アイ(EYE)は、ガーナやコートジボワールで使用されているアカン語で「Nsubra」と呼ばれています。Nsubraは「井戸」という意味があります。井戸で水を汲んだあとに滴る水滴や、小石を落としたときに広がる波紋をイメージしてデザインされた柄が特徴です。
ひとつぶの雫が水面に落ち、美しい波紋が広がっていくような情景が浮かぶデザインです。また、「良い方向か、はたまた悪い方向かはわからないが、あなたの行動は周りに影響を及ぼす」という意味も込められているんだとか。
ヤシの木
力強い印象を与えるヤシの木柄のキテンゲ。ヤシの木は生命力や不屈の精神のシンボルともいわれています。
チャンスの実
目を引くような、チャンスの実がごろごろと転がっているような印象的なデザイン。
これを身にまとう人にも、チャンスを手に入れてほしいという願いを込めて商品が作られることも。
グルスティー(天然素材のうちわ)
グルスティーは、天然素材のうちわです。暑い日の多いアフリカでは、うちわは日々の生活に欠かせないもの。
そんな自分たちの生活に身近なものに愛着を持ち、身にまとうプリントにしてしまうという、アフリカらしいプライドが感じられる柄です。
アフリカのキテンゲ柄をイメージした夏にぴったりのファッション
たっぷりとしたシルエットで前はアーチ形、後ろはお尻まで隠れる丈感がスタイルを綺麗に魅せてくれるキテンゲの商品の手入れ方法
キテンゲの商品のお手入れ方法は、基本的に柄ものの綿生地の扱いと同じです。中性洗剤を使って手洗いをするのがベスト。洗濯機を使う場合は、ネットに入れて手洗いコースを選んでくださいね。
洗濯し終えたあとは、直射日光を避けて日陰干ししましょう。シワを伸ばし、形を整えて干すと、より長持ちしますよ。
なお、色落ち・色移りには十分注意してくださいね。
保管するときには、クローゼットやたんすの埃を定期的に払うようにしましょう。また、しまう場所は、できるだけスペースに余裕があり、風通しが良い状態にしておくことをおすすめします。
ファッションに、キテンゲのスパイスを取り入れよう
このコラムでは、アフリカンプリント「キテンゲ」の歴史や種類、柄や配色の特徴・意味などをご紹介しました。
私はイギリスに住んでいますが、大きな都市や空港などでは、アフリカルーツの人たちがキテンゲを身にまとっているのを見たことがあります。彼らのアイデンティティや誇りを感じられる瞬間だなと感じます。
ワンピースやスカートにキテンゲを取り入れても素敵ですし、キテンゲを使った小物もおしゃれ。みなさんも、ファッションにちょっとしたアフリカンプリントのスパイスを取り入れて、毎日を豊かにしてみませんか?