世界のお餅料理

お正月に食べるものといえばお餅が挙げられます。
お餅ならではの食感は老若男女を問わず愛されていますよね。
そんなお餅ですが、日本以外の国々でも食べられていることをご存知ですか?
特にアジアの国々ではそれぞれのお国柄が感じられるお餅料理を食べています。

今回は世界各国のバラエティ豊かなお餅料理や、日本でのお餅の食べ方についてご紹介します。

バラエティ豊かな世界のお餅料理

中国:年糕

世界のお餅料理

年糕(ねんこう)は中国で旧正月に食べられるお餅のことで、日本のお餅とは作り方がかなり違っています。
日本のお餅はもち米を蒸してからついて出来上がりますが、中国の年糕はもち米粉に水と砂糖を加え、形を整えてからせいろで蒸して作ります。

年糕は形を整えるときに油を使用するのが日本のお餅と大きく違う点です。
地方によっても年糕の作り方が違い、使う食材が変わることでその色も様々。中にはいろいろな食材を使った年糕を9層に重ねる地域もあります。

年糕は一年成長したことを示す「年高」という言葉と読み方が同じであることから縁起物とされ、除夜に先祖に祀った後、春節の日に食べるのが習慣となっています。
食べるときは薄くスライスしてフライパンで焼きますが、日本のお餅とは違い、ふわふわもちもちした食感なのが特徴です。

韓国:トッポギ

世界のお餅料理

直訳すると「お餅炒め」を意味するトッポギは、コチュジャンと砂糖を加えた甘辛いたれで煮込んだ細長いお餅の料理のことを指します。

トッポギに使われているお餅はうるち米を使って作られるのが一般的。もち米を使ったものと違って伸びたりせず、歯切れのよいもちっとした食感が特徴です。

トッポギは元々、醤油で味付けをして肉や野菜と合わせる宮廷料理でした。
1953年にマ・ボンニムという女性が、チャジャンミョン(韓国の炸醤麺)にお餅を落としてしまったことをヒントに、コチュジャン味のトッポギを開発。露天で売るようになると、あっという間にソウルの街に広まっていったのだといわれています。

スリランカ:イドゥリ

世界のお餅料理

イドゥリは南インドやスリランカの朝食に食べられるお餅です。
日本のお米とは違い、お米とウラド豆(日本で言うもやし豆)が原料になっています。

お米とウラド豆を水に浸してから細かく挽いて、混ぜ合わせたものを一晩かけて発酵させるため、独特の酸味があるのが特徴です。プレーンなものはマイルドな味わいで、チャツネやサンバルをつけて食べます。

中国の年糕と同じように様々なバリエーションがあるのも特徴のひとつ。セモリナ粉を使ったものやスパイスを混ぜ込んだものなどに加え、じゃがいもや豆を包んで蒸し上げたものもあります。

地方によって種類も違うので、南インドやスリランカを旅する機会がある方は、地方に根付いたイドゥリを試すのも楽しいかもしれませんね。

インドネシア:クレポン

世界のお餅料理

海外では日本のように食事としてお餅を食べるのではなく、和菓子のようにデザートとして食べる国もたくさんあります。その筆頭ともいえるのがインドネシアのクレポンです。

バナナの葉にくるまれて売られていることが多く、バリ島などで見かけたことがある人もいるかも知れませんね。中に入っているのは緑色のお餅。一口大のお餅にココナッツがまぶしてあり、お餅の中にはグラバリと呼ばれる黒糖を溶かしたものが包まれていて、噛むとプチュッと蜜が出てきます。

お餅の緑色は日本のようによもぎのような草を使っているのではなく、パンダンリーフを粉にしたものを混ぜて色付けしています。
パンダンリーフを使った料理はシンガポールのカヤトーストなどがありますが、パンダンリーフはその甘い香りから「東洋のバニラ」とも呼ばれています。インドネシアに行って見かけることがあったらぜひ試してみたいですね。

お餅の雑学

日本のお餅とどう違う?欧米のお餅事情

先に述べたように、お餅はアジアの国々を中心に食べられているものということもあり、欧米には昔からあったわけではありません。欧米でもお餅を食べますが、食べるようになったのはごく最近のこと。しかも日本のお餅の食べ方とはちょっと違っています。

欧米で「MOCHI」と呼ばれるのはアイスを包んだお餅のようなものが多く、日本のように焼いたり煮たりして食べるものではないのです。

というのも、欧米ではお餅は危険な食べ物だと考えられているため、普通の大きさで食べると命に関わると恐れられているのです。そのため、危険性の少ないアイスを包んだ一口大のものが人気となっています。

お餅を正月に食べるのは日本だけ?

日本のお正月というとお雑煮やお汁粉、磯辺焼きなどでお餅をよく食べますが、お正月にお餅を食べるのは日本だけではありません。

先にもご紹介したように中国では春節のお祝いにお餅を食べますし、韓国でも「トック」という、うるち米で作られた薄切りのお餅をお雑煮にして食べる習慣があります。ただし、日本のように厚みのあるお餅を焼いて食べる国は他になく、他の国とは違った独自の形で日本に根づいていることがわかります。

お餅とお団子の違いは?

同じように白くてもちもちしたものにはお団子もあります。お餅とお団子は同じではないのかと思う方もいるかも知れません。しかし、お餅とお団子はその材料が全く違うものなのです。

お餅はもち米をそのまま蒸らして臼や杵を使ってついて作りますが、お団子はお米などの粉に水を加えてこね、蒸し上げて作ります。使うお米の種類も違っており、お餅はもち米、お団子はうるち米の粉を使います。

よく似た食感なので同じなのではと思いがちですが、原料の違いがあることを覚えておくと良いでしょう。

日本におけるお餅

独自の形で発展してきた日本のお餅文化。その成り立ちや由来には長い歴史があります。ここではそうした歴史や語源、由来などについてご紹介します。

お餅の歴史と由来

日本でお餅が生まれたのは2千年以上も前のこと。縄文時代にその原型があるといわれています。稲作の技術とともに東南アジアからお米が伝わり、同時にお餅も伝えられました。

当時は節句で神様へ供えられるのが一般的で、使われていたお米も今のように白くはなく、赤米が使われていたといいます。平安時代になると三種の神器のひとつである銅鏡に似せた鏡餅を供える文化が生まれ、晴れの日の料理のひとつとして定着していきました。

お餅という名前は満月の別名である「望月(もちづき)」に由来するとされ、鏡餅を拝むことで望みが叶うと信じられていました。現代でもお正月に供える鏡餅は歳神様への供物であり、歳神様が家に来たときの居場所になるものとされていることを考えても、神様への信仰と切っても切れない関係であることがわかりますね。

日本全国のお餅料理

ここまでご紹介したように日本のお餅文化は海外とは違い、独自に発展してきた側面があります。お雑煮に代表されるように、日本全国いろいろな地域で様々なお餅料理があることはご存知でしょうか。ここではその一部をご紹介します。

宮城県:ずんだ餅

世界のお餅料理

ずんだ餅は宮城県を代表するお餅料理のひとつです。枝豆に砂糖を加えて作る「ずんだ餡」をつきたてのお餅に絡めて食べますが、今ではずんだ餡のおいしさから様々なお菓子にアレンジされるようになっています。

宮城県の小学校では調理実習でずんだ餅を作ることも。つぶつぶとした枝豆の食感と砂糖の甘さが癖になる一品です。

高知県:いりもち

世界のお餅料理

いりもちは高知県の仁淀村などに伝わるお餅料理で、新芽が出たよもぎをたっぷりと使ったお餅で餡を包んだものです。お餅といってももち米が使われているわけではなく、小麦粉に水や塩を加えたものを混ぜ合わせて作ります。

よもぎ餅で餡を包むというと、草餅を思い出す人もいるかも知れませんが、いりもちは平たい円盤状をしており、ふっくらと丸い草餅とはその点でもちょっと違っています。

円盤状に整えられたいりもちは、フライパンなどで両面を焼いて食べます。今でも手作りのおやつとして、お茶請けなどに親しまれている、地域に伝わる味です。

お餅を通じて世界を知ろう

世界各国で様々なものがあり、材料も食べ方も違うものが独自の文化として根付いているお餅。もち米をついて作る日本のお餅とは全く違ったものもあり、お餅という言葉の解釈がその国によっても違うことがわかります。いろいろな国の文化に思いを馳せながら、様々なお餅料理をもっと楽しみたいですね。

世界の食についてもっと知りたい方におすすめ!▼
食文化の極み!個性豊かな世界の行事食
この記事が好きなあなたにおすすめ!▼
お浄めLIFEを楽しもう。甘酒編 其ノ一
cayhaneオンラインショップ

  • Twitter
  • Facebook
  • LINE