2023.08.23

世界各地の楽しい行事食!

日本に住み、節分に太巻きを食べ、ひな祭りにはちらし寿司を食べるという方は多いのではないでしょうか。
これらは「行事食」と呼ばれ、日本では毎月、各地域で何かしらの行事食が食べられています。
では、世界にはどんな行事食があるのでしょうか。
ここでは、世界各地で楽しまれているユニークな行事食を紹介します。

行事食って?

行事食とは、季節の行事やお祝いの場などで、家族の幸せや健康を願って食べる料理のこと。
正月のおせち料理や冬至のかぼちゃなどが行事食に当たり、季節の風物詩でもあるんですね。
そして、使われる食材や料理には、それぞれ意味がこめられているんです。
例えば、小豆の朱色が邪気を祓うと言われているのが、お祝いの席で振る舞われる赤飯。

行事食01

また、端午の節句に食べる柏餅には、新芽が出るまで古葉が落ちない柏の木の特徴から、子孫繁栄の意味がこめられているそうですよ。

日本の地方ではこんなものも!

行事食には全国的なもののほか、各地の食文化が反映された地域独特のものも。また同じ行事でも、地域によっては違うものを食べることもあるんです。
例えば節分の日。島根辺りでは、子供たちが将来大物になることを祈って、くじらの皮を使った炊き込みご飯、「くじらご飯」を食べるそう。
また、北陸地方を中心に、仏事や新築祝いに「みたま」という、喪の色である黒を使った黒豆おこわを振る舞う習慣があるんだとか。新築祝いでも振る舞うのは、火事を連想させる赤飯の代わりだそう。昔、日常的に手に入れられなかったもち米は、これらの行事の際に振る舞って、気持ちを共有するのにぴったりの食材だったのでしょう。

世界の行事食を一挙に紹介!

日本国内でも無数の行事食があるのなら、世界に目を向けると各国で食べられている行事食は無限大。
さっそく、世界の行事食を見ていきましょう。

中国のお月見

中国で中秋節に食べる「月餅」。中秋節とは、日本で言う中秋の名月のことで、丸く平らな形の月餅を月に見立てて、家族の健康と円満を願って食べるそうです。
中の餡は地域によってさまざまですが、1番広く知られているのは、塩漬けにしたアヒルの卵の黄身が入ったもの。甘さと塩辛さの塩梅が絶妙な味なんだとか。

月餅

アメリカの感謝祭(Thanksgiving Day)

アメリカで11月の第4木曜日は、秋の収穫を感謝して祝うThanksgiving Dayで、祝日になります。七面鳥の丸焼きをメインディッシュとして食べることから、’Turkey Day’(七面鳥の日)と呼ばれることも。
これは16世紀、食料に困っていた移住者に、先住民が七面鳥を分け与えたお礼にと、翌秋の感謝祭で、移住者が先住民に七面鳥を振る舞ったことに由来するそう。(諸説あり)
内臓を取り除いた七面鳥に、パンや野菜、ハーブなどを詰めてオーブンで焼いた後、七面鳥の肉汁やクランベリーソースなどをかけるのが一般的。

七面鳥の丸焼き

フィンランドのクリスマス

フィンランドのクリスマスは24日がメイン。この日は、米をミルクで炊いたミルク粥から1日が始まり、締めは家族揃ってのディナー。
メインは「ヨウルキンク」という、オーブンで焼いた豚肉のハムのマスタード添え。また、野菜のグラタンのような料理「キャセロール」のほか、デザートにはジャムをのせた星型のパイの焼き菓子「ヨウルトルットゥ」も。
飲み物もクリスマス仕様で、赤ワインや赤いジュースにスパイスを混ぜ、レーズンやアーモンドを加えた温かい飲み物「グロギ」を用意するんだとか。

ヨウルキンク

ブラジルは大きな肉の塊でお祝い

ブラジルの誕生日やパーティーは、「シュラスコ」というブラジル風のバーベキューでお祝い。
これは、肉の塊を1メートルほどの長い串に刺して、炭火で焼くもの。時間をかけて焼くので、余分な脂が落ち、肉の旨みが凝縮されているんです。

シュラスコ

お肉本来のおいしさを味わうために、味付けは岩塩のほか、野菜を混ぜたオリーブオイルやワインビネガーなどのシンプルなもの。
メインは牛、豚、鶏などの肉ですが、口直しとしてパイナップルや皮つきのバナナも焼くようです。

フランスでは香り付きのお菓子

フランスでは、イースターまでの40日間は食事制限をして肉や卵などを控えます。その食事制限前に3~8日かけて行われる祝祭がカーニバル(謝肉祭)で、その最終日に食べるのが「ベニエ」という、卵と小麦の生地を揚げたお菓子。
ベニエは地域ごとに特徴があり、「ビューニュ」と呼ばれるリヨンのベニエは特に有名です。
ビューニュは、小麦粉をバラで香り付けし、薄く伸ばしてパリパリに揚げ、最後に粉砂糖をふるいます。ベニエには他に、オレンジの花やコニャックで香り付けしたもの、ドーナツのようなふわふわした食感のものもあって、バラエティー豊か。

ビューニュ

トルコでは調理自体が行事?

トルコでは、宗教行事や結婚式、葬儀といった大きな儀式の際に「ケシケキ」というお粥のような料理を作るそう。小麦、肉、牛乳などを一緒に煮込む料理ですが、100人前ほどの量を、小麦を挽く作業から準備して長時間煮込んで作るので、親戚や村民が総出となり、調理自体が一大イベント!
粘り気のある食感で肉の旨みがありますが、さらにバターや赤唐辛子をかけて食べるようですよ。

ケシケキ

一風変わった、こんな料理もお祝いに!?

世界を見渡すと、まだまだインパクトの強い料理があります。
縁起の良いものだけではなく、食べ物に込められた想いや願いがストレートに伝わってくる見た目は世界の文化ならでは。
食への興味関心が強い日本で育っても、見たことのない組み合わせの背景には文化や歴史があるんですね。
そんな「ちょっと変わった」行事食変、ご紹介します!

イギリス「スターゲイジーパイ」

「星を見上げるパイ」といったところでしょうか。’Stargazy pie’と書き、名前の由来は、その料理の見た目。気になった方はぜひ検索してみてください。
ニシイワシを卵やじゃがいもと一緒にパイ生地に包んで焼いた料理ですが、なんと魚の頭と尻尾がパイ生地から突き出ているんです!
16世紀に住民を飢餓から救ったトム・バーコックスを称えるお祭りが、イギリスのコーンウォール地方で12月23日に開かれ、その時に食べられるのがこの料理。
頭と尻尾は取り除いて食べますが、味の感想については賛否両論あるんだとか。

ブルガリア「ポガチャ」

ブルガリアで、結婚式や宗教行事の際に、家で焼くのが「ポガチャ」というヨーグルト入りのパン。
特にクリスマス前夜に焼くポガチャは豪華!具材の種類が多く、表面は華やかにデザインされます。そして中には、銀のコインも1枚。
切り分けた最初の一切れをマリア像の前に置いた後、家族で取り分けた時に、銀のコインが入っていた人は、1年間幸せが続くという言い伝えもあるそう。

メキシコ「チレスエンノガダ」

9月16日の独立記念日に、国旗の色の料理でお祝いするのがメキシコ。
その料理「チレスエンノガダ」は、炒めた豚の挽肉を「ポブラノ」という緑の唐辛子に詰めたものがメイン。まるでピーマンの肉詰めのようですが、こちらはポプラノの形を残したまま。
これに、クルミの入ったクリームソースとザクロを散らして出来上がり。ポブラノは辛くないので、意外にも優しい味わいの料理なんですよ。

チレスエンノガダ

タイ「カオチェー」

タイで4月の正月に食べるのが、冷たいジャスミン水に浸したごはん「カオチェー」。お茶漬けのようで庶民的な印象を受けますが、昔は王宮で食べられていた高級料理なんです。というのも、当時は氷が貴重で、冷たい水が高級品だったという話。
カオチェー自体には味が付いていないので、付け合わせは豚肉の甘辛煮など味の濃いおかず。この時、ごはんにおかずをのせて食べるのはマナー違反とされているので、ご注意を!
爽やかなジャスミンの香りのお陰で、食欲がなくなる暑い日でも、さらさらと食べやすいんだそう。

カオチェー

世界の行事食まとめ

このように、行事食には地域や国ならではの伝統や文化が垣間見えるものがたくさんあります。
日本でもよく食べられるようになったものから、その地域でしか食べられずレシピもあまり出回ってないものまでご紹介しました。
行事のタイミングを狙って旅行するもよし、旅行中に偶然何かの行事とご縁があれば、それは幸運な出逢いといえるでしょう!
ぜひ、その土地・その時期ならではの食文化を、行事と一緒に味わってみてください。

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