人気のキーワード
★隙間時間にコラムを読むならアプリがオススメ★
先日、トルコ・シリアで大規模な地震が発生しました。現段階で死者は4万人を超えています。トルコは大好きな国の一つです。お茶目で心優しい人が多く、旅をしている時にはこちらが申し訳なくなるくらい親切にしてもらった記憶が沢山あります。
今回は青の洞窟に向かう途中、トルコを旅した時に出会った人々と、パンケーキクラッシュの要因となる現場を目撃した時のことを紹介します。
※この大地震では、隣国シリアでも甚大な被害がでました。心痛む気持ちは変わりませんが、今回は私自身が実際に旅をしたトルコに関してのみ記載しています。
前回の記事はこちら
Lucia Travel連載一覧はこちら
長期間、日本を離れているバックパッカーたち。仲良くなると、多くの人がこういいます。 「長距離バス(もしくは電車)に乗っているときが一番安心する。観光とか、もうしなくてもいいんだよね」
初めてこの言葉を聞いた時は、ビックリしました。世界を自分の目で見たくて日本を飛び出したんじゃないの?自分の思うがままにしたいからバックパッカースタイルを選んだんじゃないの?と…。
思い起こせばこの言葉を聞いたとき、私はまだバックパッカーのひよこでした。5~6ヵ国程度巡っただけで、半年以上日本を離れるような長期の旅行もしておらず、バックパッカーが何かをまだよく理解していませんでした。だからこそ「好きで旅行しているんじゃないの?」と、反発の気持ちが芽生えました。
でも、今なら分かる。トルコの玄関口イスタンブールから、アンタルヤ地方へと向かう15時間にも及ぶ長距離バスの中で、 私はかつて聞いたこの言葉の意味をやっと理解し、同時に激しく同意していました。「今なら100%頷けるのに」と。
私は疲れ切っていました。 特に直前に訪れたエジプトでの疲労は相当なものでした。
バックパッカー旅行というのは戦いの連続です。安い値段で自由に旅ができる特典と引き換えに得るのは、緊張(例えば南米ツアーの場合、1週間で30万円程度の金額がかかりますが、バックパックスタイルで旅する場合、その料金があれば半年間は滞在できます)。
ただツアーと違って誰にも守ってもらえないので、心休まる間がありません。 後ろから強盗に襲われないか、今夜泊まれる宿はあるのか。1杯のコーヒーに10倍の値段をふっかけられたり、頼んでいない料理の料金を請求されたりしないか…。いつも緊張していなければならないし、その時がきたら戦わなければいけません。
だから長距離バスに乗っている間は緊張から開放されます。乗っていれば希望の地へ連れて行ってもらえるうえ、その間は何も心配がいりません。
でも現地の人が利用する長距離は安価ですが、降りる場所(アナウンスがない&標識が現地語で読めない)が分からなかったり、理由もなく4時間も遅延したり、指定席なのに席が早いもの順になっていたりと、さまざまな障害があり、結構ハードルが高めです。
奮発してタクシーに乗るときもありますが、心配は尽きません。 今、乗っているタクシーは果たして本物のタクシーなのか、ちゃんと私の言葉は通じているのか、運転手が悪い人で、わざと目的地でないに連れて行かれたらどうしよう、そして遠回りされたうえに乗車料金を上乗せされたらどうしよう…。 変な土産物屋さんに連れていかれたら?でも、最悪なのは変な場所に連れ去られることかな。身ぐるみはがされて山や海に捨てられるとか?あ、体を捨ててもらえるだけマシだよね?
こんな風に、常に自分の身を守るために緊張を強いられる、それがバックパッカー旅行です。でもトルコの長距離バスは全く別物でした。前回も紹介しましたが、あまりに快適で、何よりバスアテンドがビックリする位に親切で、その安心感を前に長時間爆睡してしまったほどでした(海外で絶対にやってはいけないことナンバー3に輝く行為ですが、安心しきって、それまでの疲れがドッとでました)
「着いたよ」
旅の間中、ずっと私を気にかけてくれていた男性バスアテンダントが私に声をかけてくれました。
「カシュ?」 「そう、カシュだよ」
そう教えられて降り立った地は、暖かく明るい、まさにリゾート地と呼ばれるのに相応しい気候でした。でも、長距離バスのバス停なのに、旅行者も従業員も人は誰もいません。切符売り場もありません、海辺と聞いていたのに海も見えず、ただ何もない広場でたった一人降ろされて戸惑う私。でもバスアテンダントは、最後まで親切でした。
「泊まるとこ、決まっているの?」 「決まってない」 「この道をまっすぐ行って、右に曲がればすぐに海が見えるから。海に向かってくだっていけば宿が幾つもあるよ」 「高い?」 「高くないのも、いっぱいあるから」 「青の洞窟に行くフェリーもある?」 「海に行けばすぐ分かるよ。大丈夫、小さな町だから、宿もフェリーも歩いてすぐだから」
二度と会わないかもしれない外国人旅行者の面倒を道中ずっと見続け、バスを降りてからも親切にしてくれた男性バスアテンダント。世界の色んな国で長距離バスに乗りましたが、ここまで親切にしてくれた人は初めてで、一人静かに感動しました。
それにしても、私に青の洞窟の存在を教えてくれた人も、バスアテンダントも、口をそろえていいます「行けば分かるよ」と。カシュはそんなに小さな町なのでしょうか。
アンタルヤ地方のカシュは、トルコきってのリゾート地。トルコなのに、トルコらしさが薄く街も人もヨーロッパな雰囲気を漂わせています。リゾート地という場所柄か、みんなどこかおっとり。治安もかなり良い地域です。
リゾートというとお高めのちゃんとしたホテルしかないのでは?と少々、身構えつつ、教えてもらった通りに海を目指して道をくだっていきます。すると真っ白な西洋風のおしゃれな造りの建物が見えてきました。 そして意外なことに、あっちにもこっちにもHOTELの文字。想像していたような豪華なホテルより、こじんまりした可愛らしい宿が多い印象でした。
それでも、1泊10ドル前後の安宿が目安の私としては、やっぱり身構えてしまいます。何軒も何軒も尋ね歩く覚悟で、目に留まった宿に値段を聞きにいくことにしました。
5階建て?くらいでしょうか。やはり真っ白な色をした建物には可愛らしい装飾の入口があり、そこを入っていくと少し傾斜が厳しい階段がありました。音を立てて登っていくものの、館内に誰もいません。どこにも従業員がいない…。
ウロウロしていると掃除中らしき女性に出会いました。私と荷物を見て、旅行者と判断したらしく何かを話しかけてくれます。でもトルコの現地語たったため、お互い意思疎通ができず…。それでも、女性は階段の上を指さして何かを伝えてきてくれました。
「上?上に行けば英語が話せる人がいるの?」ジェスチャーだけの意思疎通ではありましたが、感じの良い女性が教えてくれた通り、とりあえず上の階にいくことにしました。
よく安宿で見かける長距離滞在の旅行者がいる風でもなく、そもそも人の気配もなく、「ここはダメかな?」と思いつつ、おそるおそる階段を登って、屋上へ。そこには手にセメントやパテの工具を持った男性が2人作業をしていました。笑顔で迎えてくれるものの、やっぱり余り英語が通じない。。。
それでも「自分たちでホテルを造っているんだよ!まだ未完成だから、今も頑張っているんだ!泊まりたいの?OK!OK!部屋見せてあげるよ」
まだ未完成でも宿として営業はしているらしく、心よくお部屋を見せてくれました。 お部屋はドミトリーではなく、ちゃんとした個室。値段も私が想像していたよりずっと安価でした。宿そのものもステキでしたが、その場で3泊するのを決めてしまったのは、彼らの人柄があまりに素晴らしかったからだと思います。
「自分たちでホテルを造っているんだ」
そう誇らしそうに話してくれたホテルのオーナー。人柄が伝わってくるような素朴な笑顔が印象的でした。 ヨーロッパを旅していても、アジアを旅していても中東でも、外国の人々は特別な道具なしに何かを造ったり直したりするのが得意で、そのアイデアに感心することが多くあります(モロッコでは、塗装した卵の空きパックを壁や天井に貼り付けた防音効果付きのサイケ風?テクノ風?の超クールなお部屋を見たことがあります。タイの路上では空き缶で弦楽器を造っている路上生活者を見ました)。
そしてトルコ。まさか、自分たちでホテルまで造ってしまうとは!ただただ、感心した記憶があります。
でも、このトルコ・シリアで起きた大地震。被害が甚大になった要因の一つには、多くの建物でパンケーキクラッシュと呼ばれる崩壊が起きたためと言われています。パンケーキクラッシュの原因は耐震不足。強いはずのコンクリートの強度が弱く、柱も充分な強度が備わっていないために起こります。下から順番に崩れていくのではなく、上の階から一気に崩れるため、逃げる時間もありません。
私が宿泊したこのホテルがそうだとは言いません。もしかしたらあの笑顔がステキなオーナーは、建築士の免許をもっていて耐震工事もバッチリであったのかも知れないからです。
でも、まるで日曜大工のような感覚で、自分たちの手だけでホテルを造っていた彼ら。 特別な何かがなくても建物を自分たちで造れてしまうその自由さやその感覚が今回のパンケーキクラッシュの一因だったとしたら…。これまで何度も地震を経験しているトルコで耐震工事がなかなか進まないのは、上の人々の旗振りももちろん問題ですが、市井の人々の市民感覚も日本のそれとは違うのかも知れません。
建物を造る人も住む人も利用する人も、こうした被害が起きることを知っていたなら、また何か変わっていたでしょうか。
本当に悲しいことですが、このトルコ地震での死者はさらに増えるでしょう。リミットと呼ばれる72時間を超えた奇跡的な救出劇も数々起こりましたが、その裏には4万人を超える死者がいます。そして生き延びても、更なる二次被害に見舞われる人々がいます。
一日でも早く苦しむ人々に支援の手が届きますように。こんな時くらいは、国や宗教、文化の垣根をこえて人々が手を取り合えますように。祈り、自分ができる事をしたいと思います。
チャイハネでは、2月6日に発生したトルコ大地震への緊急支援として、「Pray for Turkey トルコ地震救済支援」を実施しています。チャイハネの方針として、地元に近い信頼筋の寄付先を弊社の人脈を通じて調査中です。
全国のチャイハネ店舗、または公式オンラインショップより活動にご参加いただけますので、一人でも多くの方々にご協力いただけますと幸いです。
救済支援について詳しくはこちらから
大学卒業後、ライター&編集者として出版社や新聞社に勤務。 マイナーな国をメインに、世界中を旅する。 旅先で出会ったイスラム教徒と国際結婚。 出産&離婚&再婚を経て現在は2児の母。 公式HP:Lucia Travel
先日、トルコ・シリアで大規模な地震が発生しました。現段階で死者は4万人を超えています。トルコは大好きな国の一つです。お茶目で心優しい人が多く、旅をしている時にはこちらが申し訳なくなるくらい親切にしてもらった記憶が沢山あります。
今回は青の洞窟に向かう途中、トルコを旅した時に出会った人々と、パンケーキクラッシュの要因となる現場を目撃した時のことを紹介します。
※この大地震では、隣国シリアでも甚大な被害がでました。心痛む気持ちは変わりませんが、今回は私自身が実際に旅をしたトルコに関してのみ記載しています。
前回の記事はこちら
Lucia Travel連載一覧はこちら
目次
今なら分かる バックパッカーの憂鬱
長期間、日本を離れているバックパッカーたち。仲良くなると、多くの人がこういいます。
「長距離バス(もしくは電車)に乗っているときが一番安心する。観光とか、もうしなくてもいいんだよね」
初めてこの言葉を聞いた時は、ビックリしました。世界を自分の目で見たくて日本を飛び出したんじゃないの?自分の思うがままにしたいからバックパッカースタイルを選んだんじゃないの?と…。
思い起こせばこの言葉を聞いたとき、私はまだバックパッカーのひよこでした。5~6ヵ国程度巡っただけで、半年以上日本を離れるような長期の旅行もしておらず、バックパッカーが何かをまだよく理解していませんでした。だからこそ「好きで旅行しているんじゃないの?」と、反発の気持ちが芽生えました。
でも、今なら分かる。トルコの玄関口イスタンブールから、アンタルヤ地方へと向かう15時間にも及ぶ長距離バスの中で、 私はかつて聞いたこの言葉の意味をやっと理解し、同時に激しく同意していました。「今なら100%頷けるのに」と。
長距離バスで爆睡する
私は疲れ切っていました。
特に直前に訪れたエジプトでの疲労は相当なものでした。
バックパッカー旅行というのは戦いの連続です。安い値段で自由に旅ができる特典と引き換えに得るのは、緊張(例えば南米ツアーの場合、1週間で30万円程度の金額がかかりますが、バックパックスタイルで旅する場合、その料金があれば半年間は滞在できます)。
ただツアーと違って誰にも守ってもらえないので、心休まる間がありません。
後ろから強盗に襲われないか、今夜泊まれる宿はあるのか。1杯のコーヒーに10倍の値段をふっかけられたり、頼んでいない料理の料金を請求されたりしないか…。いつも緊張していなければならないし、その時がきたら戦わなければいけません。
だから長距離バスに乗っている間は緊張から開放されます。乗っていれば希望の地へ連れて行ってもらえるうえ、その間は何も心配がいりません。
でも現地の人が利用する長距離は安価ですが、降りる場所(アナウンスがない&標識が現地語で読めない)が分からなかったり、理由もなく4時間も遅延したり、指定席なのに席が早いもの順になっていたりと、さまざまな障害があり、結構ハードルが高めです。
奮発してタクシーに乗るときもありますが、心配は尽きません。
今、乗っているタクシーは果たして本物のタクシーなのか、ちゃんと私の言葉は通じているのか、運転手が悪い人で、わざと目的地でないに連れて行かれたらどうしよう、そして遠回りされたうえに乗車料金を上乗せされたらどうしよう…。
変な土産物屋さんに連れていかれたら?でも、最悪なのは変な場所に連れ去られることかな。身ぐるみはがされて山や海に捨てられるとか?あ、体を捨ててもらえるだけマシだよね?
こんな風に、常に自分の身を守るために緊張を強いられる、それがバックパッカー旅行です。でもトルコの長距離バスは全く別物でした。前回も紹介しましたが、あまりに快適で、何よりバスアテンドがビックリする位に親切で、その安心感を前に長時間爆睡してしまったほどでした(海外で絶対にやってはいけないことナンバー3に輝く行為ですが、安心しきって、それまでの疲れがドッとでました)
至れり尽くせりのサービス
「着いたよ」
旅の間中、ずっと私を気にかけてくれていた男性バスアテンダントが私に声をかけてくれました。
「カシュ?」
「そう、カシュだよ」
そう教えられて降り立った地は、暖かく明るい、まさにリゾート地と呼ばれるのに相応しい気候でした。でも、長距離バスのバス停なのに、旅行者も従業員も人は誰もいません。切符売り場もありません、海辺と聞いていたのに海も見えず、ただ何もない広場でたった一人降ろされて戸惑う私。でもバスアテンダントは、最後まで親切でした。
「泊まるとこ、決まっているの?」
「決まってない」
「この道をまっすぐ行って、右に曲がればすぐに海が見えるから。海に向かってくだっていけば宿が幾つもあるよ」
「高い?」
「高くないのも、いっぱいあるから」
「青の洞窟に行くフェリーもある?」
「海に行けばすぐ分かるよ。大丈夫、小さな町だから、宿もフェリーも歩いてすぐだから」
二度と会わないかもしれない外国人旅行者の面倒を道中ずっと見続け、バスを降りてからも親切にしてくれた男性バスアテンダント。世界の色んな国で長距離バスに乗りましたが、ここまで親切にしてくれた人は初めてで、一人静かに感動しました。
それにしても、私に青の洞窟の存在を教えてくれた人も、バスアテンダントも、口をそろえていいます「行けば分かるよ」と。カシュはそんなに小さな町なのでしょうか。
リゾート地で見つけた 手作りの安宿
アンタルヤ地方のカシュは、トルコきってのリゾート地。トルコなのに、トルコらしさが薄く街も人もヨーロッパな雰囲気を漂わせています。リゾート地という場所柄か、みんなどこかおっとり。治安もかなり良い地域です。
リゾートというとお高めのちゃんとしたホテルしかないのでは?と少々、身構えつつ、教えてもらった通りに海を目指して道をくだっていきます。すると真っ白な西洋風のおしゃれな造りの建物が見えてきました。
そして意外なことに、あっちにもこっちにもHOTELの文字。想像していたような豪華なホテルより、こじんまりした可愛らしい宿が多い印象でした。
それでも、1泊10ドル前後の安宿が目安の私としては、やっぱり身構えてしまいます。何軒も何軒も尋ね歩く覚悟で、目に留まった宿に値段を聞きにいくことにしました。
5階建て?くらいでしょうか。やはり真っ白な色をした建物には可愛らしい装飾の入口があり、そこを入っていくと少し傾斜が厳しい階段がありました。音を立てて登っていくものの、館内に誰もいません。どこにも従業員がいない…。
ウロウロしていると掃除中らしき女性に出会いました。私と荷物を見て、旅行者と判断したらしく何かを話しかけてくれます。でもトルコの現地語たったため、お互い意思疎通ができず…。それでも、女性は階段の上を指さして何かを伝えてきてくれました。
「上?上に行けば英語が話せる人がいるの?」ジェスチャーだけの意思疎通ではありましたが、感じの良い女性が教えてくれた通り、とりあえず上の階にいくことにしました。
よく安宿で見かける長距離滞在の旅行者がいる風でもなく、そもそも人の気配もなく、「ここはダメかな?」と思いつつ、おそるおそる階段を登って、屋上へ。そこには手にセメントやパテの工具を持った男性が2人作業をしていました。笑顔で迎えてくれるものの、やっぱり余り英語が通じない。。。
それでも「自分たちでホテルを造っているんだよ!まだ未完成だから、今も頑張っているんだ!泊まりたいの?OK!OK!部屋見せてあげるよ」
まだ未完成でも宿として営業はしているらしく、心よくお部屋を見せてくれました。
お部屋はドミトリーではなく、ちゃんとした個室。値段も私が想像していたよりずっと安価でした。宿そのものもステキでしたが、その場で3泊するのを決めてしまったのは、彼らの人柄があまりに素晴らしかったからだと思います。
パンケーキクラッシュの要因
「自分たちでホテルを造っているんだ」
そう誇らしそうに話してくれたホテルのオーナー。人柄が伝わってくるような素朴な笑顔が印象的でした。
ヨーロッパを旅していても、アジアを旅していても中東でも、外国の人々は特別な道具なしに何かを造ったり直したりするのが得意で、そのアイデアに感心することが多くあります(モロッコでは、塗装した卵の空きパックを壁や天井に貼り付けた防音効果付きのサイケ風?テクノ風?の超クールなお部屋を見たことがあります。タイの路上では空き缶で弦楽器を造っている路上生活者を見ました)。
そしてトルコ。まさか、自分たちでホテルまで造ってしまうとは!ただただ、感心した記憶があります。
でも、このトルコ・シリアで起きた大地震。被害が甚大になった要因の一つには、多くの建物でパンケーキクラッシュと呼ばれる崩壊が起きたためと言われています。パンケーキクラッシュの原因は耐震不足。強いはずのコンクリートの強度が弱く、柱も充分な強度が備わっていないために起こります。下から順番に崩れていくのではなく、上の階から一気に崩れるため、逃げる時間もありません。
私が宿泊したこのホテルがそうだとは言いません。もしかしたらあの笑顔がステキなオーナーは、建築士の免許をもっていて耐震工事もバッチリであったのかも知れないからです。
でも、まるで日曜大工のような感覚で、自分たちの手だけでホテルを造っていた彼ら。
特別な何かがなくても建物を自分たちで造れてしまうその自由さやその感覚が今回のパンケーキクラッシュの一因だったとしたら…。これまで何度も地震を経験しているトルコで耐震工事がなかなか進まないのは、上の人々の旗振りももちろん問題ですが、市井の人々の市民感覚も日本のそれとは違うのかも知れません。
建物を造る人も住む人も利用する人も、こうした被害が起きることを知っていたなら、また何か変わっていたでしょうか。
大地震。支援の手は
本当に悲しいことですが、このトルコ地震での死者はさらに増えるでしょう。リミットと呼ばれる72時間を超えた奇跡的な救出劇も数々起こりましたが、その裏には4万人を超える死者がいます。そして生き延びても、更なる二次被害に見舞われる人々がいます。
一日でも早く苦しむ人々に支援の手が届きますように。こんな時くらいは、国や宗教、文化の垣根をこえて人々が手を取り合えますように。祈り、自分ができる事をしたいと思います。
前回の記事はこちら
Lucia Travel連載一覧はこちら
トルコ地震救済支援にご協力を
チャイハネでは、2月6日に発生したトルコ大地震への緊急支援として、「Pray for Turkey トルコ地震救済支援」を実施しています。チャイハネの方針として、地元に近い信頼筋の寄付先を弊社の人脈を通じて調査中です。
全国のチャイハネ店舗、または公式オンラインショップより活動にご参加いただけますので、一人でも多くの方々にご協力いただけますと幸いです。
救済支援について詳しくはこちらから
筆者プロフィール:R.香月(かつき)
大学卒業後、ライター&編集者として出版社や新聞社に勤務。
マイナーな国をメインに、世界中を旅する。
旅先で出会ったイスラム教徒と国際結婚。
出産&離婚&再婚を経て現在は2児の母。
公式HP:Lucia Travel