ギリシャにあるの?幻の青の洞窟を探して

「トルコとギリシャの間の小さな島にも『青い洞窟』があるよ」
「有名なイタリアのそれより、ずっとキレイだった。絶対におススメ!」

旅先で出会った人から教えてもらったステキな情報。今回は、旅人から聞いた情報を元にギリシャ『幻の青の洞窟』を目指します。

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本家よりステキ?ギリシャ版青の洞窟

それは中東を旅していたときのこと。中東は安全な地域が限られるためか、意外と何度も同じ旅人とすれ違います。ヨルダンで出会った人とイスラエルで再開したり…。安宿を渡り歩くバックパッカーならではの、あるある話ですね。

そうして顔見知りになると自然と交流が生まれます。

「〇〇見た?『地球の歩き方』にも載っていないけれど、あれ最高だったよ」
「〇〇には気を付けなよ。え?知らないの⁈」

今この瞬間を旅している旅人の情報は、ネットや本からは得られない有益な情報が満載です。そんな何度もすれ違った日本人の旅人に教えてもらったのは幻の青の洞窟のお話でした。

「青の洞窟って知っている?」
「イタリアのでしょ?カプリ島だっけ?」
「そう思うでしょ。トルコとギリシャの間にも「青の洞窟」と呼ばれる青い湖があるんだよ。すっごくおススメ!」
「トルコに? そんな話、聞いたことない!」
「でしょ。でしょ。イタリアの『青の洞窟』にも行ったけれど、あそこは観光客が多すぎて青色の綺麗さよりも観光客の多さに圧倒されるんだよね。でも、こっちは全く有名じゃないから、観光客はほとんどいない。穴場だから泳げたりもするよ。とにかくキレイだよ」
「どうやって行くの?」
「トルコの最南東カシュからからフェリーが出ている。行けば分かるよきっと! カシュは遠いけれど。でもその価値はある! 絶対におススメだから!」

残念ながら中東を旅して巡る中では、ギリシャまで足を延ばすことはできませんでしたが、日本に戻ってからもこの言葉はずっと頭の中に残っていました。
「遠いけれど、行く価値あるから」

そして月日は流れある時、思いつきました。
『あ、ギリシャの青い洞窟に行ってみよう』

本家よりステキ?ギリシャ版青の洞窟中東イスラエルを旅した時の一コマ。中東では見どころが決まっているためか、旅人同士が自然と顔なじみになります

ギリシャ領なのにトルコからアクセス?旅人の「行けば分かる!」を信じて

行くと決めたものの情報が少なすぎて、青の洞窟へのアクセス方法を突き止めるのには少し時間がかかりました。
教えてくれた旅人を疑うわけではありませんが、会話の流れから自然に出てきた情報。名前を間違えていたり、場所を勘違いしていたりすることもあります。もちろん、私の記憶違いもあります。

それにギリシャ領ならギリシャからアプローチした方が良いのでは?という思いもありました。

穴場なので、ガイドブックにはもちろん掲載がありません。ネットで検索しても、出てくるのは個人のブログばかり…。私は、公式な情報にはたどりつけませんでした。

それでも調べを進めるうちに、なんとなく分かったのは洞窟は、ギリシャの小島の一つメイス島にあるということ。ギリシャ領だけれど、ギリシャ側からのアクセスは難しいらしく、トルコからフェリーにのって行くのが現実的ということ。

そして、想像以上に青の洞窟がキレイらしいという嬉しい情報も!
大絶賛の嵐で、「行って残念だった」とか、「だまされた!」「身の危険を感じた!」なんて情報には出会いませんでした。

でも、フェリーの時刻表や値段、1日に出ている本数はイマイチ分かりませんでした。船着き場であるトルコのアンタルヤ・カシュの情報も〝リゾート地〟であるということ意外はあまり情報がなく…。
大きい街なのか、フェリー乗り場は簡単に行けるのか、リゾート地にも安宿はあるのか、不透明なことも多々ありましたが。頭の中に響くのはこの情報をくれた旅人の「大丈夫!行けば分かる!」の言葉。

フェリーが出ているアンタルヤ地区のカシュへはトルコの玄関口イスタンブールから飛行機またはバスが出ているらしいので、とりあえずイスタンブールへ行くことにしました。

ギリシャ領なのにトルコからアクセス?旅人の「行けば分かる!」を信じてどこまでも続く透明なブルー。ギリシャ領土のメイス島にある青の洞窟は、とにかく美しいようで期待が高まります

移動距離860㎞!でも快適なバスの旅

ギリシャにある青い洞窟を求めて、たどり着いたのはトルコ最大の都市イスタンブール。ここからカシュまでは飛行機を利用する手もありますが、時間があってお金がない私は長距離バスで青い洞窟を目指すことにしました。

イスタンブールからフェリーの乗り場があるアンタルヤ地区のカシュまでは、なんと860㎞!

トルコは長距離バスが交通手段として、とても発達しています。
広いトルコ国内を網羅するように走る長距離バスは、快適そのもの。車内は清潔でシートはリクライニング可、座席前にはドリンクを置く簡易テーブルもあります。

バスの本数も多くだいたい時刻も守られ、外国人にも親切。何よりサービスが秀逸!
乗車するとフライトアテンダントならぬバスアテンダントが、お茶や軽食の無料サービスを行ってくれることもあります(移動距離によります)。
制服をビシっと着こなしたバスアテンダントが、熱々の紅茶をサーブする姿は本当に素敵で、個人的にはトルコの長距離バスサービスは世界一だと思っています。

さてさて、飛行機を降りてそのままの足で長距離バスが発着するバスセンターに行った私。バスのチケットは窓口で購入するのですが、トルコ語ができない私は看板を見てもさっぱり、どの窓口に並んでよいのか分かりません。

バス会社の人に「アンタルヤ地区にあるカシュ行きのバスは何番?」と聞くものの、英語が通じない…。

なんでちゃんと調べてこなかったのだろうと後悔すると同時に、今ここでネット検索している余裕はないので(そういうのは余り好きではないので)、バス停で待っている人々に声をかけました「カシュに行くバス教えて!」。

子ども連れの女性、タバコを吸っているおじさん、色々声をかけましたが、やっぱり英語が通じない…。でもトルコ人は基本的に親切な人が多い国です。そのうちに、誰かが英語を喋れる人を見つけて連れてきてくれました。そして「3番目の窓口で買えるよ」「トルコ語で書いてあげるから、このメモ見せなよ」と。

時刻表も本数も分からず、明日か明後日にでも乗車できたら良いかな?と吞気にかまえていた私ですが、人々の親切なリレーのおかげで幸福なことにトルコに到着したのと同じ日のバスに乗ることができました。

旅の神様はやっぱり、やさしい。
カシュまでは15時間!着いたらいよいよ、目的地の「青の洞窟」を探します!

移動距離860㎞!でも快適なバスの旅

観光できなくなるかも?変わりゆくアヤソフィア

今回は通過だけで終わってしまったトルコ最大の都市イスタンブール。この都市は魅力的で、特に歴史地区とよばれる地域は地域そのものが世界遺産に認定されています。

多々ある見どころの中でも私が一番好きなのは「アヤソフィア」。博物館でありながら壮大な雰囲気が漂っていて、建物内はキリスト教とイスラム教、異なる宗教の美であふれています。
人気観光スポットなので入口に大行列ができていることもありますが、いつ行ってもアヤソフィアは圧巻の美しさ。宗教や歴史に興味がない人も、美術館感覚でぜひ訪れて欲しいと思っています。

そんなアヤソフィアは、大教会の聖堂として建てられた後に何世紀にも渡ってイスラム教のモスクとして使用され、その後に無宗教の博物館になった過去をもっています。

宗教が変わるということは、支配者が変わるということ。歴史にあまり興味がない人も、コンスタンティノープルやオスマン帝国、ビザンティン建築という言葉を聞いたことありませんか?教科書で聞いたその言葉の面影を残している建物、それがアヤソフィアです。

ユネスコの世界遺産であり、トルコ最大の観光地でもあるこのアヤソフィアですが、2020年にトルコ政府が「博物館をやめモスクとして使用する!」と宣言をしました。この発表に世界は驚愕。ユネスコはもちろんのこと教会からも反発の声があがりました。

そんな世界の驚きを意に介さずその年の夏、トルコ政府は宣言通りイスラム教の礼拝を開催。それによりアヤソフィアは約100年続いた無宗教という立ち位置を失うことになりました。

トルコ政府は「今後もイスラム教徒以外にも門戸を開いていく。トルコ人も外国人も歓迎する」と発表していますが、博物館として機能していたときの公式HPは閉鎖されてしまいました。もしかしたら、今後「外国人にも非イスラムにも門戸を開く」という宣言も撤回されるかも知れません。またユネスコが遺憾表明をしているため、世界遺産から外される可能性もないとは言い切れません。

大好きなアヤソフィア。いつか「外国人観光客は立ち入り禁止」になってしまうのではないかと、少しだけ心配しています。

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R.香月(かつき)プロフィール画像

筆者プロフィール:R.香月(かつき)

大学卒業後、ライター&編集者として出版社や新聞社に勤務。
マイナーな国をメインに、世界中を旅する。
旅先で出会ったイスラム教徒と国際結婚。
出産&離婚&再婚を経て現在は2児の母。
公式HP:Lucia Travel

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