イタリア マンマの笑顔と優しい家庭の食卓

ロンバルディアは州都ミラノを中心とした北イタリアの地方です。肥沃な大地と湖、アルプスの山々に囲まれた美しい土地を有しています。
州内に点在する湖から流れ出す川は、やがてポー川と合流し、アドリア海へと注がれます。
ポー川の流域に広がる平原では稲作が盛んに行われています。
州内には有名なミラノだけでなく、ブレーシャ、マントヴァ、ベルガモ、クレモナなどたくさんの美しい街があります。

欧州8カ国を訪れ、イタリア各地に滞在したブランシェ枝里子が、ミラノの街とロンバルディアの魅力についてご紹介いたします。

 

魅力溢れるイタリア・ロンバルディア州

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ミラノを訪れたら、まずはドゥオーモ大聖堂。

ヨーロッパの大聖堂をいくつも回った人間でも
「ミラノのドゥオーモは別格。思わず見とれてしまった」と語ります。
歩いて屋上へ登ると、繊細な装飾の尖塔が間近に迫り、ミラノの街やロンバルディアの平野、さらには雪を頂くアルプスが見渡せる、素晴らしい眺めを楽しめます。

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次にドゥオーモのすぐ脇のガッレリアに向かいましょう。

ガラス張りのアーケードの中には、おしゃれなカフェがずらり。中央のガラスドームの四隅にはフレスコ画があり、その美しさに見惚れてしまいます。
頭上だけでなく、足元も意識してみてください。いつも人だかりが出来ているのが、牡牛のモザイク画です。牡牛の一番大事なところに踵をつけ、くるっと一回転すると幸せが訪れるのだとか。
ぜひ挑戦してみて下さいね。

 

イタリア料理なんてものはない

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イタリア人にイタリア料理について尋ねると、
「イタリア料理なんてものはないよ。郷土料理ならあるけどね」と口を揃えて答えます。

イタリアは、国家統一まで国土が分割されていた歴史があり、料理にも領土色が濃いのです。
北イタリア料理の特徴は、たっぷりのバターと生クリーム。バターで焼いたり揚げたりするミラノカツレツが特に有名ですね。

ロンバルディアは穀倉地帯でもあり、とうもろこしの粉であるポレンタを主食とすることも多いので、イタリアではロンバルディアの人々をポレントーネ(ポレンタを食べる人たち)と揶揄することも。

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美食の国イタリアでは、食品を取り寄せるのではなく、人が名産地へ足を運び、その名産物を食べることが最高の贅沢なのだそう。

ジビエが食べたければ山へ、魚が食べたければ海へと出かけるのがイタリア人なのです。

ミラノは内陸地にも関わらず、国内一の魚市場があり、イタリア中から新鮮なお魚が集まってきます。そのため、食通たちが美味しい魚料理を求めて、ミラノへ集まるのです。

 

イタリアのマンマがいる、にぎやかな優しい食卓

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にぎやかな家庭の中心には、
いつもマンマがいます。

冬のある日、親交のあるイタリアファミリーのお宅のランチにお招きいただきました。
イタリアでは約束の時間に少し遅れていくものだと聞いたので、私も5分ほど遅く到着。

エプロンを付けたマンマが出迎えてくれましたが「まだまだ準備はこれからよ。のんびりくつろいで待っていて」とのこと。
あとから知ったことですが、イタリアのホームパーティーでは、全員が集まるのは集合時間の1時間後でも珍しくないのだとか。さすが、のんびりやさんのイタリア人らしいですね。


カジュアルな短めのテーブルクロスをさらりとかけて、花瓶代わりの水差しにお花を飾り、みんなでお食事会の準備に取り掛かります。

イタリアに限らずヨーロッパでは、食事に必ずテーブルクロスかランチョンマットを使います。
もちろん、時には赤ワインやトマトソースの染みがつき、取れなくなってしまうことも。しかし、イタリアのマンマ達は大して気にしません。清潔に洗濯をし、しっかりとアイロンをかけてあることが何より重要なのであり、テーブルクロスの染みもまた、家族の思い出のひとつと割り切っているようです。
そのためか、イタリアのテーブルクロスは濃い色で描かれた大柄な模様が多い印象です。染みを目立たなくするための、マンマたちの知恵なのかもしれませんね。
 

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いい匂いが漂ってきたキッチンに、にぎやかな子どもたちの声が響きます。
「マンマ、このお皿を出せばいいの?」、
「ぼくはカトラリーを並べるね!」、
こどもたちは、競うようにマンマのお手伝いをします。

私もお手伝いをしたくなりますが、あくまで『ゲスト』ですので、ぐっと我慢。
Aperitivo(アペリティーヴォ)と呼ばれる軽いお酒とおつまみで、パパとお話して待ちました。

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マンマの「A Tavola!(アターヴォラ:席について!)」の号令で、いよいよ楽しいランチのはじまりです。

ワインを片手に「Buon Appetito!(ヴォナペティート:いただきます!)」。
気取らない、気軽な雰囲気がイタリア流です。

前菜のカプレーゼをいただいたら、今日のメインディッシュ、ロンバルディアの郷土料理『カッサーノ』の登場です。
カッサーノは豚肉とキャベツなどの野菜の煮込み料理です。食欲をそそる香りが、家中に広がります。
マンマが順番に料理を盛り付ける、カラフルな丸いフォルムの食器は、イタリアの伝統陶器でした。温かみのある手描きの模様に、素朴な家庭料理が良く映えます。

「たくさん食べるのよ。遠慮なんかしないでね」とマンマがにっこり。
彼女に限らず、イタリア人女性はフレンドリーで優しい性格の人が多いように感じています。
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取り分けたあと、子どもたちが何かをマンマの器に入れているのに気づきました。
キャベツの芯のようです。
好き嫌いかなと思いましたが、違いました。パパが言うには「彼女はキャベツの芯の部分が大好きなんだ。この家ではキャベツの芯は、全部妻のものなのさ」とのこと。
キャベツの芯は、子どもたちからマンマへの贈り物だったのです。
マンマは私を見て、恥ずかしそうに笑っていました。
食事をしながら、イタリアの料理について質問をすると、パパがうっとりと目を細めながら「マンマの味は世界一だよ」と母親の料理を懐かしんでいました。世界中の男性がそうでありますが、ことさらイタリア人男性にとって『マンマ』というのは特別な存在なのです。
ちなみに「もちろん妻の料理も、僕のマンマと同じくらい最高さ!」とパパが愛妻の手の甲にキスをして、フォローを忘れなかったことも、ここに付け加えておきますね。

 

小さくても、さすがイタリア紳士


この日のドルチェ(デザート)はティラミスでした。聞けばティラミスの原料であるマスカルポーネチーズはロンバルディア州の名物とのこと。
さすがに濃厚でクリーミー!とても美味しかったです。
食後のコーヒーはエスプレッソをいただくのがイタリア式。イタリアではドルチェを食べたあと、本当の『食後』に、とても濃いエスプレッソを少量飲みます。

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10歳の男の子フランチェスコが、私のところにコーヒーカップを運んできてくれました。
こぼれないように慎重に運ぶ姿が微笑ましいです。
私がお礼を言うと
「気にしないで!マンマと美人には優しくするっていうのが、この家のルールなの」。
何でもないことのようにさらりと言われ、思わずキュン!と、ときめいてしまいました。10歳でも、さすがはイタリア人男性。彼の10年後が、今から楽しみですね。

 

イタリアファミリーの優しく幸せいっぱいの食卓風景。
美食の国イタリアの家庭の食卓は、家族団欒で、なんとも温かく楽しいものでした。
今でも思い出すと幸せな気持ちになります。
今でこそ黙食など促されていますが、早く会話の絶えない楽しい食事ができるようになることを心から願っています。

イタリアの郷土料理はこちら

“美食の国イタリアのふるさと料理”

ポーランドの伝統陶器

“伝統ポタリーのある温かな暮らし”


 

ヨーロッパ雑貨店「欧州航路」では、
イタリアのロンバルディア州より、素敵なキッチン&テーブルウェアを仕入れています。
気になる方はオンラインショップ、もしくは実店舗まで。
 

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欧州各地にはそれぞれの歴史に紐づく伝統に裏打ちされた、ストーリーとそれにまつわる素敵なモノに溢れています。
そんな素敵なモノが生活のなかにあることで毎日がちょっと豊かに。
「日常の中の小さな幸せ」を感じてもらえるようなモノづくりを目指しています。
 

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