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インド料理と聞くとナンやカレーを思い浮かべる人が多いと思いますが、現地ではナンよりもチャパティの方が主流とされています。 今回はそんなナンとチャパティの違いを中心に、北インドと南インドの食文化を紹介します。
南北で異なる食文化を知れば、旅行の際も食事選択の幅が広がること間違いなしです!
インド料理と聞くと「ナン」を思い浮かべる人が多いですが、実はインドの主食としてメジャーなのはナンではなく「チャパティ」です。
チャパティは「アタ粉」「アーター」と呼ばれるふすま成分が豊富な全粒粉を使い、熱した鉄板で焼く平たくて丸いパンのこと。
「チャパ」とは「平たい」という意味があり、インドではカレーやダル(豆の煮込み料理)と一緒に食べられることが一般的です。北インドを中心にインド、南アジア各地で広く親しまれており、毎日の食卓に欠かせない存在となっています。
ナンと異なりチャパティは発酵させないため、素朴で軽い仕上がりになります。 ナンのように専用のタンドール窯がなくても鉄板やフライパンがあれば作れる手軽さもチャパティが広く親しまれる理由のひとつです。
「ナン=インド料理」というイメージが強いですが、実はナンのルーツはインドではなくペルシャ(現在のイラン)にあります。
ペルシャ語で「ナン」は「パン」を意味し、7000年以上前とかなり古くから食べられていた料理のひとつです。ペルシャからタンドール窯を使う文化が伝わり、インドでナンが広まったとされています。
しかし、タンドール窯は円筒形で大型の設備が必要だったこと、ナンで使う精製された小麦粉「マイダ」が高級品だったこと、発酵が必要で手間がかかることなどの理由で一般家庭には普及しませんでした。
インドでナンが食べられるのは主にレストランや高級ホテルなどで、一般家庭の食卓やカジュアルな屋台等にはあまり登場しません。
ナンとチャパティに加え、インド料理でよく耳にする「ロティ」との違いを比較してみましょう。
実は、ロティは「パン類一般」を意味する言葉で、ナンやチャパティも広義ではロティに含まれます。ナンやタンドール・ロティ(タンドール窯で焼いたシンプルなパン)は特別な調理法を必要とするため外食で、鉄板で作れるチャパティは家庭でよく食べられています。
北インドでは小麦がよく育つことからパン食が発達しており、チャパティを始め色々なパンが食べられています。 同じカレーでも、北インドのものはギー(バター)やナッツ、乳製品を使っているのが特徴です。 肉料理や揚げ物の名物も多く、全体的にこってりと濃厚な味付けの料理が多いです。
日本でもおなじみのバターチキンカレーは、タンドリーチキンをトマトやバター、生クリームで煮込んだ料理です。 発祥は1947年にデリーで開業した「モティ・マハル」というパンジャーブ料理レストランとされており、北インドを代表するカレーとして親しまれています。 スパイスを使用しているものの、まろやかで甘味のあるカレーなので、辛い物が苦手な方でも食べやすいですよ。
プーリーとはチャパティの生地を焼かずに油で揚げたもので、北インドの朝食の定番としてカレーと一緒に食べられています。
サクッとした触感が特徴で、スパイスを加えたものはマサラプリ、たこ焼きほどのサイズのプーリーにソースやパクチー等の具を入れたパニプリなど様々なバリエーションがあり、北インドではスナック感覚で食べられています。
ちなみにパニプリは地域によってはゴールガッパ(北インド)、プチュカ(東部インド)など様々な呼び方もあり、中に入っている具もバラエティ豊かです。
シークカバーブ、日本では「シシカバブ」と呼ばれることが多い串焼きのお肉の料理です。 シークは長い串、カバーブは焼いたお肉を意味し、ミンチ肉に玉ねぎやスパイス、パクチー等を混ぜて串につけて焼きます。
カバーブの標準的なサイズは地域によって異なり、焼き鳥と同じくらいの20cm程度の串や40cmほどあるの剣のような串を使うエリアなどがあります。中には1mほどもある大きな串を使用することも。
イスラム教徒が多い北インドでは羊肉や山羊肉のミンチを使用するのが一般的です。 中には魚や鶏肉のシークカバーブもあるようですが、羊肉に比べるとそこまでメジャーではないようです。
南インドや東インドは気温が高く、稲作が盛んな地域のため、主食は米が中心です。 スパイシーなドーナツ状のスナック「ライス コドゥボレ」、米とカルダモン、ミルクで作るお菓子の「パヤサム」など米を使ったスナックや軽食も多く、食文化の特徴の一つです。
カレーの特徴も北インドとは異なり、とろみの強い北インドのカレーに対して、南インドのカレーはさらっとしたスープ状で、スパイスの辛味やトマトやタマリンドといった酸味が強いのが特徴です。
「ミールス」と呼ばれるごはんとカレーがセットになった定食もよく食べられています。 米を主食とする日本と似た共通する部分もあり、近年国内でも南インドカレーやミールスを提供するレストランも増えています。
「ミールス」は、ターリーと呼ばれる平たい金属のお皿に米やカレー、副菜を盛り付けた南インド式の定食です。複数のカレーを米やパパド(極薄のクラッカー)と共に楽しむのが一般的で、それぞれを自分の好みで混ぜながら食べます。
南インドのカレーは北インドとは違ってバターやクリームなどの油分が少なく、軽やかで食べやすいのも特徴です。
ミールスのカレーは菜食カレーが基本で、中でもメインとなるのが「サンバル」と呼ばれるさらっとした豆と野菜のカレーです。「南インドの味噌汁」と言われるほど日常的に愛されているカレーです。
他にも豆を使ったダールカレー、辛味と酸味が聞いたラッサムなどもミールスの定番です。
「ドーサ」は、米とウラッド・ダールという豆をすりつぶして発酵させた生地を薄く焼き上げた南インドの代表的な軽食です。 見た目からインド版クレープと呼ばれることもありますが、クレープとは違って表面がパリパリしていて少し酸味があります。大きく焼かれ、くるっと円筒状に丸めて提供されます。
塩味のチャツネ(ソース)や、豆と野菜で作るスープ「サンバル」、またはスパイシーなカレーと共に食べるのが一般的です。
スパイスで味付けしたジャガイモをスパイスと共に炒め煮した具材を包んだ「マサラ・ドーサ」や、カッテージチーズのようなパニールを包んだ「パニール・ドーサ」など、バリエーションも豊富です。
「ワダ」はペースト状にした豆に香味野菜やスパイスを混ぜ、ドーナツ状に成形して揚げた南インドの軽食です。豆をベースに使用しているため、ホロホロとした食感が特徴です。
サンバルやラッサムといったスープに浸しながら食べたり、ココナッツチャツネ(ココナッツとスパイスを合わせたペースト)をつけて食べたりします。
使用している材料によって呼び名が異なり、豆をベースにしたものは「メドゥワダ」、ジャガイモをベースにしたものは「バタタワダ」、スパイス等がブレンドされた「マサラワダ」などがあります。
北インドと南インドの食文化には大きな違いがあることがお分かりいただけたかと思います。
小麦文化が発展した北インドではナンやチャパティといったパンが主食で、寒く過酷な気候に堪えるためか脂肪分が多くクリーミーなカレーが好まれます。
一方、南インドは稲作が盛んな地域で主食や軽食に米がよく用いられており、カレーもスパイシーでさらっとしています。
今回は北インドと南インドの例をご紹介しましたが、インドは地域ごとに多様な食文化が花開いています。近年では日本でもインド料理フェスティバルが開催されるなど、よりインド料理が身近なものになってきました。
現地で味わうのは勿論、地域ごとの特徴を押さえながらフェスティバルを楽しむのもいいですね。
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インド料理と聞くとナンやカレーを思い浮かべる人が多いと思いますが、現地ではナンよりもチャパティの方が主流とされています。
今回はそんなナンとチャパティの違いを中心に、北インドと南インドの食文化を紹介します。
南北で異なる食文化を知れば、旅行の際も食事選択の幅が広がること間違いなしです!
目次
インドの主食はチャパティ!
インド料理と聞くと「ナン」を思い浮かべる人が多いですが、実はインドの主食としてメジャーなのはナンではなく「チャパティ」です。
チャパティは「アタ粉」「アーター」と呼ばれるふすま成分が豊富な全粒粉を使い、熱した鉄板で焼く平たくて丸いパンのこと。
「チャパ」とは「平たい」という意味があり、インドではカレーやダル(豆の煮込み料理)と一緒に食べられることが一般的です。北インドを中心にインド、南アジア各地で広く親しまれており、毎日の食卓に欠かせない存在となっています。
ナンと異なりチャパティは発酵させないため、素朴で軽い仕上がりになります。
ナンのように専用のタンドール窯がなくても鉄板やフライパンがあれば作れる手軽さもチャパティが広く親しまれる理由のひとつです。
ナンはインド料理ではない?!
「ナン=インド料理」というイメージが強いですが、実はナンのルーツはインドではなくペルシャ(現在のイラン)にあります。
ペルシャ語で「ナン」は「パン」を意味し、7000年以上前とかなり古くから食べられていた料理のひとつです。ペルシャからタンドール窯を使う文化が伝わり、インドでナンが広まったとされています。
しかし、タンドール窯は円筒形で大型の設備が必要だったこと、ナンで使う精製された小麦粉「マイダ」が高級品だったこと、発酵が必要で手間がかかることなどの理由で一般家庭には普及しませんでした。
インドでナンが食べられるのは主にレストランや高級ホテルなどで、一般家庭の食卓やカジュアルな屋台等にはあまり登場しません。
ナン・チャパティ・ロティの違いは?
ナンとチャパティに加え、インド料理でよく耳にする「ロティ」との違いを比較してみましょう。
ナン
チャパティ
ロティ
実は、ロティは「パン類一般」を意味する言葉で、ナンやチャパティも広義ではロティに含まれます。ナンやタンドール・ロティ(タンドール窯で焼いたシンプルなパン)は特別な調理法を必要とするため外食で、鉄板で作れるチャパティは家庭でよく食べられています。
北インドの食文化・代表的なメニュー
北インドでは小麦がよく育つことからパン食が発達しており、チャパティを始め色々なパンが食べられています。
同じカレーでも、北インドのものはギー(バター)やナッツ、乳製品を使っているのが特徴です。
肉料理や揚げ物の名物も多く、全体的にこってりと濃厚な味付けの料理が多いです。
マイルドな甘みの「バターチキンカレー」
日本でもおなじみのバターチキンカレーは、タンドリーチキンをトマトやバター、生クリームで煮込んだ料理です。
発祥は1947年にデリーで開業した「モティ・マハル」というパンジャーブ料理レストランとされており、北インドを代表するカレーとして親しまれています。
スパイスを使用しているものの、まろやかで甘味のあるカレーなので、辛い物が苦手な方でも食べやすいですよ。
朝食や軽食にピッタリの「プーリー」
プーリーとはチャパティの生地を焼かずに油で揚げたもので、北インドの朝食の定番としてカレーと一緒に食べられています。
サクッとした触感が特徴で、スパイスを加えたものはマサラプリ、たこ焼きほどのサイズのプーリーにソースやパクチー等の具を入れたパニプリなど様々なバリエーションがあり、北インドではスナック感覚で食べられています。
ちなみにパニプリは地域によってはゴールガッパ(北インド)、プチュカ(東部インド)など様々な呼び方もあり、中に入っている具もバラエティ豊かです。
肉の旨味際立つ「シークカバーブ」
シークカバーブ、日本では「シシカバブ」と呼ばれることが多い串焼きのお肉の料理です。
シークは長い串、カバーブは焼いたお肉を意味し、ミンチ肉に玉ねぎやスパイス、パクチー等を混ぜて串につけて焼きます。
カバーブの標準的なサイズは地域によって異なり、焼き鳥と同じくらいの20cm程度の串や40cmほどあるの剣のような串を使うエリアなどがあります。中には1mほどもある大きな串を使用することも。
イスラム教徒が多い北インドでは羊肉や山羊肉のミンチを使用するのが一般的です。
中には魚や鶏肉のシークカバーブもあるようですが、羊肉に比べるとそこまでメジャーではないようです。
南インドの食文化・代表的なメニュー
南インドや東インドは気温が高く、稲作が盛んな地域のため、主食は米が中心です。
スパイシーなドーナツ状のスナック「ライス コドゥボレ」、米とカルダモン、ミルクで作るお菓子の「パヤサム」など米を使ったスナックや軽食も多く、食文化の特徴の一つです。
カレーの特徴も北インドとは異なり、とろみの強い北インドのカレーに対して、南インドのカレーはさらっとしたスープ状で、スパイスの辛味やトマトやタマリンドといった酸味が強いのが特徴です。
「ミールス」と呼ばれるごはんとカレーがセットになった定食もよく食べられています。
米を主食とする日本と似た共通する部分もあり、近年国内でも南インドカレーやミールスを提供するレストランも増えています。
南インドの典型的なカレー定食「ミールス」
「ミールス」は、ターリーと呼ばれる平たい金属のお皿に米やカレー、副菜を盛り付けた南インド式の定食です。複数のカレーを米やパパド(極薄のクラッカー)と共に楽しむのが一般的で、それぞれを自分の好みで混ぜながら食べます。
南インドのカレーは北インドとは違ってバターやクリームなどの油分が少なく、軽やかで食べやすいのも特徴です。
ミールスのカレーは菜食カレーが基本で、中でもメインとなるのが「サンバル」と呼ばれるさらっとした豆と野菜のカレーです。「南インドの味噌汁」と言われるほど日常的に愛されているカレーです。
他にも豆を使ったダールカレー、辛味と酸味が聞いたラッサムなどもミールスの定番です。
豆や米でできたクレープ「ドーサ」
「ドーサ」は、米とウラッド・ダールという豆をすりつぶして発酵させた生地を薄く焼き上げた南インドの代表的な軽食です。
見た目からインド版クレープと呼ばれることもありますが、クレープとは違って表面がパリパリしていて少し酸味があります。大きく焼かれ、くるっと円筒状に丸めて提供されます。
塩味のチャツネ(ソース)や、豆と野菜で作るスープ「サンバル」、またはスパイシーなカレーと共に食べるのが一般的です。
スパイスで味付けしたジャガイモをスパイスと共に炒め煮した具材を包んだ「マサラ・ドーサ」や、カッテージチーズのようなパニールを包んだ「パニール・ドーサ」など、バリエーションも豊富です。
豆でできた甘くないドーナツ「ワダ」
「ワダ」はペースト状にした豆に香味野菜やスパイスを混ぜ、ドーナツ状に成形して揚げた南インドの軽食です。豆をベースに使用しているため、ホロホロとした食感が特徴です。
サンバルやラッサムといったスープに浸しながら食べたり、ココナッツチャツネ(ココナッツとスパイスを合わせたペースト)をつけて食べたりします。
使用している材料によって呼び名が異なり、豆をベースにしたものは「メドゥワダ」、ジャガイモをベースにしたものは「バタタワダ」、スパイス等がブレンドされた「マサラワダ」などがあります。
インドの多様な食文化を楽しもう!
北インドと南インドの食文化には大きな違いがあることがお分かりいただけたかと思います。
小麦文化が発展した北インドではナンやチャパティといったパンが主食で、寒く過酷な気候に堪えるためか脂肪分が多くクリーミーなカレーが好まれます。
一方、南インドは稲作が盛んな地域で主食や軽食に米がよく用いられており、カレーもスパイシーでさらっとしています。
今回は北インドと南インドの例をご紹介しましたが、インドは地域ごとに多様な食文化が花開いています。近年では日本でもインド料理フェスティバルが開催されるなど、よりインド料理が身近なものになってきました。
現地で味わうのは勿論、地域ごとの特徴を押さえながらフェスティバルを楽しむのもいいですね。
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