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「馬」の鏡文字のような文字が彫られた将棋の駒を見たことがありますか?もしかして、トランプのジョーカーのような、将棋で使う秘密兵器?いえ、いえ、「馬」の鏡文字のような将棋の駒は「左馬(ひだりうま)」といって、日本の伝統的な縁起物のひとつなのです。
このコラムでは、この、ちょっと不思議な「左馬」の意味と歴史、その由来について解説します。
「左馬」は「ひだりうま」と読みます。「馬」という漢字はウマが右を向いている姿を表しています。この「馬」の字を左右反転させると、ウマが左を向いている姿に見えるので「左馬(ひだりうま)」と言うのです。ですが、左を向いている馬だから「左馬(ひだりうま)」と書くわけではありません(こんな漢字はありません)。「左馬(ひだりうま)」という、鏡文字で書かれていることそのものに意味があるのです。
一般的に、「左馬(ひだりうま)」は馬という漢字を鏡文字で刻んだ「飾り駒」を指します。飾り駒は実際に将棋に使う駒ではなく、縁起物として玄関や店先に飾ったり、お店の開店や新築のお祝いに贈るものです。「左馬(ひだりうま)」は将棋の駒の生産で有名な山形県天童市を代表する伝統工芸品で、商売繁盛の縁起物として有名です。
「左馬(ひだりうま)」は実際に将棋に使う駒ではありませんが、「王将」などと並んで「飾り駒」として制作されるようになったようです。
山形県天童市は、織田信長の子孫にあたる織田藩の領地でしたが、織田藩に伝わる将棋の駒作りが江戸時代後期から盛んになりました。今では全国の将棋の駒の9割が天童産とか。そんなわけで、「左馬(ひだりうま)」と言えば、天童市の伝統工芸品を指す場合が多いのです。実際、市販の「左馬(ひだりうま)」の飾り駒は、ほとんどが天童産だそうです。いつから「左馬(ひだりうま)」の飾り駒が製作されるようになったかは定かではありませんが、古くても江戸時代の後期以降、「左馬」という文字に縁起物としての意味づけがされてからでしょう。
馬は古来、貴族や武将の贈り物にもされる貴重品で高価なものでした。風水でも馬は、勢いがあって盛んな陽の気に満ちた動物とされています。また、中国には「左」は「右」よりも優位に立つという思想もありました。中国の影響を受けた日本の官位制度でも右大臣よりも左大臣の方が上位ですね。なので、馬自体縁起の良い動物であることと、左向きの方が尊いという文化的な背景はありました。ですが、なぜ鏡文字の「左馬(ひだりうま)」が特に縁起物とされるのでしょうか?
「左馬(ひだりうま)」が、縁起が良いとされる理由をいくつかご紹介しましょう。
・舞いが連想される
「舞い」は神様に捧げる神事です。「舞い」が奉納されるのはおめでたい席である場合がほとんどでした。ところで、「うま」を左右反対に読むと、「まう」となります。これが「舞う」を連想させるので、「左馬(ひだりうま)」は縁起が良いとされた、という説があります。なんだか「謎かけ」のようで、愉快な解釈ですね。
・馬の下の字が財布のきんちゃくに似ている
昔の財布はきんちゃく袋でした。馬の字の下の部分がきんちゃく袋の口に似ているので、「しっかり口が閉まって、お金が出て行かない」ということで縁起が良いという説もあります。これも、文字の形をきんちゃくに「見立てる」というセンスが感じられます。
・馬が人を引く
普通は人が先立って馬を引いていくものですが、「左馬」は馬が先になって人を引いていくつまり「左馬(ひだりうま)」とは、「馬が人を連れてきてくれる」という解釈です。そのようなわけで、「左馬(ひだりうま)」は商売繁盛につながり、縁起が良いとされました。少し難しいですが、これも「謎かけ」や「とんち」のような粋な解釈です。
・馬は左から乗ることを取り入れている
馬に乗る文化のある国では、ほとんどの場合、馬には左から乗るそうです。確かに、右利きの人は右手で馬を引いてくるので、そのまま馬の左から乗る方が理にかなっていますね。左から乗馬すれば、落馬の危険も少なく、安全であることから、「左馬(ひだりうま)」は「万事が順調に行く」という意味で縁起が良いとされています。
ところが、幕末まで日本の武士は右から馬に乗っていたようなのです。武士は左側に刀を差していたので、左側から乗りにくかったのがその理由ではないかとされています。
左からの乗馬が主流になったのは、西洋文化の流入とともに明治になってからだとか。そうすると、「馬には左から乗るものだから」という理由は少し歴史が浅いかもしれませんね。
このように、そのいわれはさまざまですが、「左馬(ひだりうま)」は縁起が良い、ラッキーアイテムとして日本文化に定着しています。
江戸東京博物館 レファレンス事例集
商売繁盛、運気向上の縁起の品としての「左馬(ひだりうま)」は、実は競馬愛好家の中では「持っているとよく馬券が当たる」と評判の験担ぎ(げんかつぎ)のアイテムのひとつだそうです。お守りはもちろん、持ち歩ける根付けや、ストラップに小さな「左馬(ひだりうま)」の飾り駒をあしらったもの、その他、馬券ケースや帽子、財布も左馬を取り入れたデザインが売り出されています。競馬好きには「左馬(ひだりうま)」は必携アイテムかもしれません。
ギャンブル運ばかりでなく、勝負事の成就、厄除けとして左馬のお守りを頂ける神社も各地にあるようです。
また、「左馬(ひだりうま)」で縁起を担ぐに習慣はそのほかにもあります。陶芸家の間では、初めて自分の窯で焼く焼き物に「左馬(ひだりうま)」の文字を入れるそうです。そして「左馬(ひだりうま)」の文字の入った器で初めてお茶を飲むことは大変縁起が良いとされ、「中風(脳血管障害の後遺症)にかからない」と言われたとか。また、芸妓さんは三味線の胴に「左馬(ひだりうま)」の字を入れて芸の上達を願うこともあるそうです。
倭物やカヤでは、馬など、縁起の良い動物をあしらったメンズファッションのほか、店舗限定の飾り駒も販売しています。
虎、鷹、馬といえば、日本画定番の縁起物の動物です。そんな動物たちをあしらった獣寄りメンズシャツは、カジュアルななかにも和風のテイストを生かして、男女を問わずに軽やかに装える開襟シャツです。ペアで合わせるのもおすすめです。GR UMAで奔馬を身に纏ったら、運気がグッと上昇しそうです。
獣寄りメンズパンツは、一見すると袴のような個性的なパンツ。袷にあたる部分に、獣寄りメンズシャツと同様の華やかな動物柄がちら見えするデザインです。GR UMAのシャツと合わせれば、粋で個性的な和風スタイルに。
吉野敏充デザイン事務所さまと共同で開発、製作したモダンテイストな飾り駒。素材は、和紙と木材の積層合板で、美しい木口が特徴のラバーウッド、本来は墨色の文字は、ピンク、パープル、グリーン、オレンジ、ホワイト、ライトブルーの6色です。大切な人と、色違いでお守りにしてもいいですね。「左馬」の飾り駒をカジュアルに持ちたい人におすすめです。
「左馬(ひだりうま)」は馬という文字の鏡文字を、謎かけやとんちで粋に意味付けした縁起物。商売繁盛や招福のほか、今は競馬好きの間では必携のラッキーアイテムのようですね。ミニサイズの飾り駒の根付けやストラップなら、気軽に身につけることもできそうです。競馬ばかりでなく、自分自身の小さな必勝祈願のために「左馬」を取り入れてみませんか?
「馬」の鏡文字のような文字が彫られた将棋の駒を見たことがありますか?
もしかして、トランプのジョーカーのような、将棋で使う秘密兵器?
いえ、いえ、「馬」の鏡文字のような将棋の駒は「左馬(ひだりうま)」といって、日本の伝統的な縁起物のひとつなのです。
このコラムでは、この、ちょっと不思議な「左馬」の意味と歴史、その由来について解説します。
目次
左馬とは?意味と縁起物としての由来
「左馬」は「ひだりうま」と読みます。
「馬」という漢字はウマが右を向いている姿を表しています。この「馬」の字を左右反転させると、ウマが左を向いている姿に見えるので「左馬(ひだりうま)」と言うのです。
ですが、左を向いている馬だから「左馬(ひだりうま)」と書くわけではありません(こんな漢字はありません)。
「左馬(ひだりうま)」という、鏡文字で書かれていることそのものに意味があるのです。
左馬(ひだりうま)とは?
一般的に、「左馬(ひだりうま)」は馬という漢字を鏡文字で刻んだ「飾り駒」を指します。
飾り駒は実際に将棋に使う駒ではなく、縁起物として玄関や店先に飾ったり、お店の開店や新築のお祝いに贈るものです。
「左馬(ひだりうま)」は将棋の駒の生産で有名な山形県天童市を代表する伝統工芸品で、商売繁盛の縁起物として有名です。
左馬(ひだりうま)の歴史
「左馬(ひだりうま)」は実際に将棋に使う駒ではありませんが、「王将」などと並んで「飾り駒」として制作されるようになったようです。
山形県天童市は、織田信長の子孫にあたる織田藩の領地でしたが、織田藩に伝わる将棋の駒作りが江戸時代後期から盛んになりました。今では全国の将棋の駒の9割が天童産とか。
そんなわけで、「左馬(ひだりうま)」と言えば、天童市の伝統工芸品を指す場合が多いのです。実際、市販の「左馬(ひだりうま)」の飾り駒は、ほとんどが天童産だそうです。
いつから「左馬(ひだりうま)」の飾り駒が製作されるようになったかは定かではありませんが、古くても江戸時代の後期以降、「左馬」という文字に縁起物としての意味づけがされてからでしょう。
左馬(ひだりうま)が縁起物とされる理由
馬は古来、貴族や武将の贈り物にもされる貴重品で高価なものでした。風水でも馬は、勢いがあって盛んな陽の気に満ちた動物とされています。
また、中国には「左」は「右」よりも優位に立つという思想もありました。中国の影響を受けた日本の官位制度でも右大臣よりも左大臣の方が上位ですね。
なので、馬自体縁起の良い動物であることと、左向きの方が尊いという文化的な背景はありました。ですが、なぜ鏡文字の「左馬(ひだりうま)」が特に縁起物とされるのでしょうか?
左馬(ひだりうま)の意味
「左馬(ひだりうま)」が、縁起が良いとされる理由をいくつかご紹介しましょう。
・舞いが連想される
「舞い」は神様に捧げる神事です。「舞い」が奉納されるのはおめでたい席である場合がほとんどでした。
ところで、「うま」を左右反対に読むと、「まう」となります。これが「舞う」を連想させるので、「左馬(ひだりうま)」は縁起が良いとされた、という説があります。
なんだか「謎かけ」のようで、愉快な解釈ですね。
・馬の下の字が財布のきんちゃくに似ている
昔の財布はきんちゃく袋でした。馬の字の下の部分がきんちゃく袋の口に似ているので、「しっかり口が閉まって、お金が出て行かない」ということで縁起が良いという説もあります。これも、文字の形をきんちゃくに「見立てる」というセンスが感じられます。
・馬が人を引く
普通は人が先立って馬を引いていくものですが、「左馬」は馬が先になって人を引いていく
つまり「左馬(ひだりうま)」とは、「馬が人を連れてきてくれる」という解釈です。そのようなわけで、「左馬(ひだりうま)」は商売繁盛につながり、縁起が良いとされました。
少し難しいですが、これも「謎かけ」や「とんち」のような粋な解釈です。
・馬は左から乗ることを取り入れている
馬に乗る文化のある国では、ほとんどの場合、馬には左から乗るそうです。
確かに、右利きの人は右手で馬を引いてくるので、そのまま馬の左から乗る方が理にかなっていますね。左から乗馬すれば、落馬の危険も少なく、安全であることから、「左馬(ひだりうま)」は「万事が順調に行く」という意味で縁起が良いとされています。
ところが、幕末まで日本の武士は右から馬に乗っていたようなのです。武士は左側に刀を差していたので、左側から乗りにくかったのがその理由ではないかとされています。
※※『うまはくブックレット No7 横浜ウマ物語 文明開化の蹄音』左からの乗馬が主流になったのは、西洋文化の流入とともに明治になってからだとか。
そうすると、「馬には左から乗るものだから」という理由は少し歴史が浅いかもしれませんね。
このように、そのいわれはさまざまですが、「左馬(ひだりうま)」は縁起が良い、ラッキーアイテムとして日本文化に定着しています。
江戸東京博物館 レファレンス事例集
「左馬(ひだりうま)」は競馬でのゲン担ぎにも!
商売繁盛、運気向上の縁起の品としての「左馬(ひだりうま)」は、実は競馬愛好家の中では「持っているとよく馬券が当たる」と評判の験担ぎ(げんかつぎ)のアイテムのひとつだそうです。
お守りはもちろん、持ち歩ける根付けや、ストラップに小さな「左馬(ひだりうま)」の飾り駒をあしらったもの、その他、馬券ケースや帽子、財布も左馬を取り入れたデザインが売り出されています。
競馬好きには「左馬(ひだりうま)」は必携アイテムかもしれません。
ギャンブル運ばかりでなく、勝負事の成就、厄除けとして左馬のお守りを頂ける神社も各地にあるようです。
また、「左馬(ひだりうま)」で縁起を担ぐに習慣はそのほかにもあります。
陶芸家の間では、初めて自分の窯で焼く焼き物に「左馬(ひだりうま)」の文字を入れるそうです。そして「左馬(ひだりうま)」の文字の入った器で初めてお茶を飲むことは大変縁起が良いとされ、「中風(脳血管障害の後遺症)にかからない」と言われたとか。
また、芸妓さんは三味線の胴に「左馬(ひだりうま)」の字を入れて芸の上達を願うこともあるそうです。
馬モチーフがおしゃれ!倭物やカヤの商品を紹介!
倭物やカヤでは、馬など、縁起の良い動物をあしらったメンズファッションのほか、店舗限定の飾り駒も販売しています。
獣寄りメンズシャツ GR UMA
虎、鷹、馬といえば、日本画定番の縁起物の動物です。そんな動物たちをあしらった獣寄りメンズシャツは、カジュアルななかにも和風のテイストを生かして、男女を問わずに軽やかに装える開襟シャツです。ペアで合わせるのもおすすめです。
GR UMAで奔馬を身に纏ったら、運気がグッと上昇しそうです。
獣寄りメンズパンツ GR UMA
獣寄りメンズパンツは、一見すると袴のような個性的なパンツ。袷にあたる部分に、獣寄りメンズシャツと同様の華やかな動物柄がちら見えするデザインです。
GR UMAのシャツと合わせれば、粋で個性的な和風スタイルに。
店舗限定 飾り駒 左馬NEO
吉野敏充デザイン事務所さまと共同で開発、製作したモダンテイストな飾り駒。素材は、和紙と木材の積層合板で、美しい木口が特徴のラバーウッド、本来は墨色の文字は、ピンク、パープル、グリーン、オレンジ、ホワイト、ライトブルーの6色です。
大切な人と、色違いでお守りにしてもいいですね。「左馬」の飾り駒をカジュアルに持ちたい人におすすめです。
伝統の粋なラッキーアイテム「左馬(ひだりうま)」で気持ちもアップ!
「左馬(ひだりうま)」は馬という文字の鏡文字を、謎かけやとんちで粋に意味付けした縁起物。商売繁盛や招福のほか、今は競馬好きの間では必携のラッキーアイテムのようですね。
ミニサイズの飾り駒の根付けやストラップなら、気軽に身につけることもできそうです。
競馬ばかりでなく、自分自身の小さな必勝祈願のために「左馬」を取り入れてみませんか?