人気のキーワード
★隙間時間にコラムを読むならアプリがオススメ★
年内最後の行事といえば、大晦日の年越しそばです。 そこで今回は、「年越しそばの意味や由来」から始めて「世界の年末年始の食習慣」まで、いろいろと調べてみました。興味深いことがいっぱいです。焦らずに、まず年越しそばを食べてリラックスしてから、記事を読んでください。
年越しそばの習慣が、いつどこでどのようにして生まれたか、はっきりとわかっていません。さまざまな説がありますが、その始まりは、江戸中期であるといわれています。
いくつかある年越しそばの由来のうち、最も有力な説は、以下のものです。
江戸中期の商家では、奉公人をねぎらうために晦日(みそか、月末)にそばを振る舞う習慣がありました。それがいつの間にか一般にも広まり、「晦日そば」「節分(立春・立夏・立秋・立冬のそれぞれの前日)そば」と呼ばれるようになり、さらに年末(つまり大晦日)のものが、特別に扱われるようになりました。「年越しそば」と呼ばれるようになったのは、明治時代以降です。
年越しそばが商家から庶民の間に広まったのは、そばが手軽で美味しく縁起が良い食べ物だからです。それに加えて当時流行っていた脚気(かっけ)という病気に効果のある(ビタミンB1が多く含まれていた)ことを、人々が経験で知っていたことも、あげられます。
江戸時代中期に著された「本朝食鑑(ほんちょうしょっかん)」という様々な食物の効能を説明した一種のガイドブックにも、そばが体に良い健康食であることが記されています。
年越しそばは、当時からポピュラーな習慣でした。江戸中期に編纂された「眉斧日録(びふにちろく)」という俳諧集や、江戸後期に刊行された「大坂繁花風土記(おおさかはんかふどき)」という地誌にも、年越しそば(当時は「運そば」や「年取りそば」と呼ばれていた)が登場します。
江戸中期に商家の習慣から始まった年越しそばの習慣ですが、その由来をさらにたどっていくと、一杯の年越しそばに、さまざまな願いが込められていたことがわかります。
まず、そばは細く長い食物であるため、長寿を願って食べたそうです。また家運が伸びるようにという意味も、含まれています。
そばは、他の麺類と比べて食べている最中に切れやすいので、苦労や災厄の縁を旧年中に切り捨ててしまおうと願って食べたという説もあります。
そばの原料であるそばの実は、激しい雨風を受けて元気がなくなっても、太陽が照るとすぐ元気になる丈夫な植物です。またそばは五臓の毒を抜いてくれると信じられており、その両方の意味から健康を願って食べられたといわれています。
そばは、金運上昇にも一役かっていました。金細工師が飛び散った金粉を集めるために、そば粉を水で練った塊を使って集めたから、お金が集まるだろうというわけです。
最後に、年越しそばには運気上昇の意味もあります。鎌倉時代に博多の承天寺で、年を越せない貧しい人々にそば餅を配ったところ、振る舞われた人々には翌年に幸運が巡ってきた、という故事に由来するものです。
さまざまな願いが込められた年越しそばですが、最大限効果を発揮してもらうには、大晦日のいつ頃に食べたら良いでしょうか?食べるタイミング以外で注意しないといけないことはあるでしょうか?
年越しそばは縁起担ぎのための料理なので、正しい方法で、気持ちよくそばを食べたいものです。
実は年越しそばは、大晦日ならいつ食べても良いのです。多くの家庭では、夕食か夜食として食べます。そば屋へ行って、昼食に食べる人もいるでしょう。
ただしひとつだけ、大切なルールがあります。それは必ず大晦日中に食べ終わることです。年をまたいで食べてはいけません。年越しそばは「苦労や災厄の縁を旧年中に断ち切ってしまい、新年に持ち越さない」という縁起を担いで食べるものです。年越しそばは、除夜の鐘が鳴り終わる前に食べ終わるべきでしょう。
一方で、地域によっては新年が明けてからそばを食べるケースもあり、上記のルールが100パーセント通用するとは限りません。福島県会津地方の一部が、その代表例です。この地域では、年が明けてから縁起の良い食べ物としてそばを食べ、その代わり大晦日には郷土の料理を食べるのが伝統になっています。
年が明ける前ならいつ食べても良い年越しそばですが、タイミング以外の面で、いくつかのルールが決まっています。
そのひとつは「残さない」ことです。年越しそばを残すと、翌年の幸せが逃げてしまう、と言われています。「年越しそばを食べ残すと、新しい年にはお金に苦労する」といった言い伝えもあります。食の細い人は、あらかじめ食べられる量だけを盛り付けて、食べ残しのないように注意しましょう。
もうひとつ、「一本をかみ切らずに食べる」というルールもあります。こうすると、翌一年間、縁が切れないそうです。長いそばを切らずにすすることで、長寿や健康につながるという説もあります。
年越しそばにはトッピング(具材)が付きものですが、ここでも縁起の良いものが選ばれています。具材は地方によって違いがありますが、最も一般的なものを紹介しましょう。
誰もが大好きな具材といえば、海老の天ぷらで間違いありません。赤い海老は縁起の良い食材です。赤は高貴な色とされているからです。また海老は曲って見えることから、「長寿」すなわち「腰が曲るまで元気でいること」のシンボルにもなっています。
紅白のかまぼこも、おめでたい席に付きものの食材です。赤のかまぼこは「祝い事」や「幸福」を、白のかまぼこは「清浄」や「神聖」をあらわすと共に、薄切りにしたときの半円形の形が初日の出を連想させます。
薬味であるネギは、身体を温める効果があり風邪の予防などにもオススメな食材です。また「一年の苦労を労う(ねぎらう)」という語呂合わせで、縁起の良い食材とされています。
ゆずは、とても香りが良い柑橘類(かんきつるい)です。ゆずは香りが強く、魔よけの効果や邪気を払うといわれており縁起が良いとされています。
油揚げは、キツネ(商売繁盛や五穀豊穣の神様であるお稲荷様の使い)の大好物です。そのため運を呼び寄せる縁起物の具材として、油揚げは重宝されています。
日本では大晦日に年越しそばを食べ、年が明けたらおせち料理やお雑煮を食べて、新年を祝います。ところで日本以外の国では、大晦日や新年に何を食べてお祝いするのでしょう?ここでは特徴のある料理で新年をお祝いする国々のいくつかを取り上げます。
ドイツでは、大晦日を「聖シルベスターの前夜祭」と呼びます。ドイツの大晦日では豚が特別な意味を持っています。マジパンで作った子豚のお菓子「グリュックスシュバイン」を食卓に飾り、夕食に子豚を食べるのです。子豚の付け合わせは、ドイツ料理でお馴染みの「ザワークラウト(千切りキャベツの漬物)」です。大晦日のメニューは豊かさと繁栄のシンボルで、食べると「新しい年には幸福と富が手に入る」と伝えられています。
飲み物はもちろんシャンパンです。あるいはグリューワインというシナモンやスパイスを加えて温めた赤ワインが出されます。グリューワインは寒い季節にぴったりの飲み物で、とても人気があります。
スペインでは、新年の午前0時から12回鳴る年越しの鐘の音に合わせて12粒のぶどうを食べる「ドセ・ウヴァス(Doce uvas/12粒のブドウ)」という習慣があります。鐘が1回鳴る度にひと粒ずつ食べて、12回鳴る間に12粒のぶどうを食べ切ると、その年は幸運が訪れると言われています。
鐘の音のカウントダウンは、マドリードのプエルタ・デル・ソル広場からのものが特に有名です。大晦日になると、スペインの人々は集まって、プエルタ・デル・ソル時計台からのテレビ中継を見る(もちろんぶどうを食べながら)のが恒例になっています。
鐘が鳴り終わったら、新年を迎えられたことを、乾杯で祝います。
イタリアでは、大晦日に「コテキーノ」と「レンズ豆」を食べてお祝いをします。コテキーノは豚肉に香辛料などを加えたソーセージのことで、レンティッケはレンズ豆の煮込みのことです。
レンズ豆は金色の硬貨に似た形をしていることから、豊かさと繁栄の象徴とみなされています。お腹がいっぱいの状態でさらにコテキーノ・コン・レンティッケを食べれば、翌年の金運が良くなると信じられています。
この風習はイタリア全土で行われていますが、特にコテキーノが元々よく食べられている北部のモデナ地方で盛んです。
アメリカの南部では、伝統的な新年の習慣が今も残っています。大晦日は「コーンブレッド」を食べて、新年になると「ブラックアイドピー」という伝統料理を食べるのです。
コーンブレッドはとうもろこしの粉で焼いたパンのことです。とうもろこしの黄色が金色に見えるため、金運アップに効果ありとされています。
一方ブラックアイドピーは、黒目豆(ブラックアイドピー)を玉ねぎやベーコンなどと一緒に煮込んでトマト味に仕上げた料理です。栄養のある料理を年の初めにしっかりと食べることで「一年中健康に過ごせる」と信じられています。また黒目豆の見た目がコインに似ているので、金運が上昇するともいわれています。
中国では旧暦で新年を祝うため、大晦日も元旦も、毎年西暦の1月下旬から2月中旬の間を移動しています。そして正月(春節)になると、人々は旅行へ出かけたり故郷へ帰ったりして、家族とお祝いをします。春節の食事は地域ごとに特色がありますが、大雑把に北部と南部に分けてみると、次のような特徴が目立ちます。
中国北部では、春節の御馳走は「餃子」です。餃子はその形が古代の貨幣に似ているため、富を象徴しているのです。 春節には魚料理も重要な意味を持ちます。中国語の「魚」の発音(ユ)が「余」と同じであるからです。「余裕のある生活」を願って、北部では淡水魚で蒸し魚料理を作ります。
中国南部では餃子ではなく、年糕(ニエンガオ)というお餅や湯圓(タンユエン)と呼ばれるスイーツなどを食べます。年糕も湯圓も「家族の繁栄・団結・幸福」などの象徴です。
また南部でも魚料理が食べられます。理由は北部と同じです。ただし、南部では食べる魚の種類も料理法も異なっており、尾頭付きの魚を煮たり揚げたりする料理が好まれます。
日本の年越しそばの意味や由来からスタートして、世界の年末年始の食事事情まで、たどり着きました。記事をまとめてわかったことは、年越しそばにはいろいろ縁起の良いものが詰まっているということです。
何から何まで縁起担ぎだらけ…でもこれは、決して悪い意味ではありません。人々の新年に対する願いや期待が大きいからこそ、「年越しそば」という縁起担ぎの集合体のような料理が生まれたのです。
世界の国々でも大晦日やお正月に、縁起を担いだ料理をいろいろと食べています。特に金運に関するものが多いようです。「新しい年が幸せで恵まれた一年であるように」と願う風習は、世界中で共通なのでしょう。
皆さんも年越しそばを食べて、良い年をお迎えください!
年内最後の行事といえば、大晦日の年越しそばです。
そこで今回は、「年越しそばの意味や由来」から始めて「世界の年末年始の食習慣」まで、いろいろと調べてみました。興味深いことがいっぱいです。焦らずに、まず年越しそばを食べてリラックスしてから、記事を読んでください。
目次
年越しそばはいつから食べられるようになったのか
年越しそばの習慣が、いつどこでどのようにして生まれたか、はっきりとわかっていません。さまざまな説がありますが、その始まりは、江戸中期であるといわれています。
年越しそばの由来、始まりはいつ?
いくつかある年越しそばの由来のうち、最も有力な説は、以下のものです。
江戸中期の商家では、奉公人をねぎらうために晦日(みそか、月末)にそばを振る舞う習慣がありました。それがいつの間にか一般にも広まり、「晦日そば」「節分(立春・立夏・立秋・立冬のそれぞれの前日)そば」と呼ばれるようになり、さらに年末(つまり大晦日)のものが、特別に扱われるようになりました。「年越しそば」と呼ばれるようになったのは、明治時代以降です。
年越しそばが商家から庶民の間に広まったのは、そばが手軽で美味しく縁起が良い食べ物だからです。それに加えて当時流行っていた脚気(かっけ)という病気に効果のある(ビタミンB1が多く含まれていた)ことを、人々が経験で知っていたことも、あげられます。
江戸時代中期に著された「本朝食鑑(ほんちょうしょっかん)」という様々な食物の効能を説明した一種のガイドブックにも、そばが体に良い健康食であることが記されています。
年越しそばは、当時からポピュラーな習慣でした。江戸中期に編纂された「眉斧日録(びふにちろく)」という俳諧集や、江戸後期に刊行された「大坂繁花風土記(おおさかはんかふどき)」という地誌にも、年越しそば(当時は「運そば」や「年取りそば」と呼ばれていた)が登場します。
年越しそばに込められた意味の紹介
江戸中期に商家の習慣から始まった年越しそばの習慣ですが、その由来をさらにたどっていくと、一杯の年越しそばに、さまざまな願いが込められていたことがわかります。
まず、そばは細く長い食物であるため、長寿を願って食べたそうです。また家運が伸びるようにという意味も、含まれています。
そばは、他の麺類と比べて食べている最中に切れやすいので、苦労や災厄の縁を旧年中に切り捨ててしまおうと願って食べたという説もあります。
そばの原料であるそばの実は、激しい雨風を受けて元気がなくなっても、太陽が照るとすぐ元気になる丈夫な植物です。またそばは五臓の毒を抜いてくれると信じられており、その両方の意味から健康を願って食べられたといわれています。
そばは、金運上昇にも一役かっていました。金細工師が飛び散った金粉を集めるために、そば粉を水で練った塊を使って集めたから、お金が集まるだろうというわけです。
最後に、年越しそばには運気上昇の意味もあります。鎌倉時代に博多の承天寺で、年を越せない貧しい人々にそば餅を配ったところ、振る舞われた人々には翌年に幸運が巡ってきた、という故事に由来するものです。
年越しそばを食べるタイミング、注意点は?
さまざまな願いが込められた年越しそばですが、最大限効果を発揮してもらうには、大晦日のいつ頃に食べたら良いでしょうか?食べるタイミング以外で注意しないといけないことはあるでしょうか?
年越しそばは縁起担ぎのための料理なので、正しい方法で、気持ちよくそばを食べたいものです。
年越しそばはいつ食べるのが正解か
実は年越しそばは、大晦日ならいつ食べても良いのです。多くの家庭では、夕食か夜食として食べます。そば屋へ行って、昼食に食べる人もいるでしょう。
ただしひとつだけ、大切なルールがあります。それは必ず大晦日中に食べ終わることです。年をまたいで食べてはいけません。年越しそばは「苦労や災厄の縁を旧年中に断ち切ってしまい、新年に持ち越さない」という縁起を担いで食べるものです。年越しそばは、除夜の鐘が鳴り終わる前に食べ終わるべきでしょう。
一方で、地域によっては新年が明けてからそばを食べるケースもあり、上記のルールが100パーセント通用するとは限りません。福島県会津地方の一部が、その代表例です。この地域では、年が明けてから縁起の良い食べ物としてそばを食べ、その代わり大晦日には郷土の料理を食べるのが伝統になっています。
食べる際の注意点
年が明ける前ならいつ食べても良い年越しそばですが、タイミング以外の面で、いくつかのルールが決まっています。
そのひとつは「残さない」ことです。年越しそばを残すと、翌年の幸せが逃げてしまう、と言われています。「年越しそばを食べ残すと、新しい年にはお金に苦労する」といった言い伝えもあります。食の細い人は、あらかじめ食べられる量だけを盛り付けて、食べ残しのないように注意しましょう。
もうひとつ、「一本をかみ切らずに食べる」というルールもあります。こうすると、翌一年間、縁が切れないそうです。長いそばを切らずにすすることで、長寿や健康につながるという説もあります。
年越しそばに使われる縁起のいい食材を紹介
年越しそばにはトッピング(具材)が付きものですが、ここでも縁起の良いものが選ばれています。具材は地方によって違いがありますが、最も一般的なものを紹介しましょう。
海老
誰もが大好きな具材といえば、海老の天ぷらで間違いありません。赤い海老は縁起の良い食材です。赤は高貴な色とされているからです。また海老は曲って見えることから、「長寿」すなわち「腰が曲るまで元気でいること」のシンボルにもなっています。
紅白かまぼこ
紅白のかまぼこも、おめでたい席に付きものの食材です。赤のかまぼこは「祝い事」や「幸福」を、白のかまぼこは「清浄」や「神聖」をあらわすと共に、薄切りにしたときの半円形の形が初日の出を連想させます。
ネギ
薬味であるネギは、身体を温める効果があり風邪の予防などにもオススメな食材です。また「一年の苦労を労う(ねぎらう)」という語呂合わせで、縁起の良い食材とされています。
ゆず
ゆずは、とても香りが良い柑橘類(かんきつるい)です。ゆずは香りが強く、魔よけの効果や邪気を払うといわれており縁起が良いとされています。
油揚げ
油揚げは、キツネ(商売繁盛や五穀豊穣の神様であるお稲荷様の使い)の大好物です。そのため運を呼び寄せる縁起物の具材として、油揚げは重宝されています。
世界の年越し・お正月料理を紹介
日本では大晦日に年越しそばを食べ、年が明けたらおせち料理やお雑煮を食べて、新年を祝います。ところで日本以外の国では、大晦日や新年に何を食べてお祝いするのでしょう?ここでは特徴のある料理で新年をお祝いする国々のいくつかを取り上げます。
ドイツ 新年の縁起物「グリュックスシュバイン」と「ザワークラウト」
ドイツでは、大晦日を「聖シルベスターの前夜祭」と呼びます。ドイツの大晦日では豚が特別な意味を持っています。マジパンで作った子豚のお菓子「グリュックスシュバイン」を食卓に飾り、夕食に子豚を食べるのです。子豚の付け合わせは、ドイツ料理でお馴染みの「ザワークラウト(千切りキャベツの漬物)」です。大晦日のメニューは豊かさと繁栄のシンボルで、食べると「新しい年には幸福と富が手に入る」と伝えられています。
飲み物はもちろんシャンパンです。あるいはグリューワインというシナモンやスパイスを加えて温めた赤ワインが出されます。グリューワインは寒い季節にぴったりの飲み物で、とても人気があります。
飲み物はもちろんシャンパンです。あるいはグリューワインというシナモンやスパイスを加えて温めた赤ワインが出されます。グリューワインは寒い季節にぴったりの飲み物で、とても人気があります。
スペイン 幸運を祈って食べる「12粒のブドウ」
スペインでは、新年の午前0時から12回鳴る年越しの鐘の音に合わせて12粒のぶどうを食べる「ドセ・ウヴァス(Doce uvas/12粒のブドウ)」という習慣があります。鐘が1回鳴る度にひと粒ずつ食べて、12回鳴る間に12粒のぶどうを食べ切ると、その年は幸運が訪れると言われています。
鐘の音のカウントダウンは、マドリードのプエルタ・デル・ソル広場からのものが特に有名です。大晦日になると、スペインの人々は集まって、プエルタ・デル・ソル時計台からのテレビ中継を見る(もちろんぶどうを食べながら)のが恒例になっています。
鐘が鳴り終わったら、新年を迎えられたことを、乾杯で祝います。
イタリア 素朴な縁起物「豚のソーセージ」と「レンズ豆」
イタリアでは、大晦日に「コテキーノ」と「レンズ豆」を食べてお祝いをします。コテキーノは豚肉に香辛料などを加えたソーセージのことで、レンティッケはレンズ豆の煮込みのことです。
レンズ豆は金色の硬貨に似た形をしていることから、豊かさと繁栄の象徴とみなされています。お腹がいっぱいの状態でさらにコテキーノ・コン・レンティッケを食べれば、翌年の金運が良くなると信じられています。
この風習はイタリア全土で行われていますが、特にコテキーノが元々よく食べられている北部のモデナ地方で盛んです。
アメリカ 幸福の象徴「コーンブレッド」と「ブラックアイドピー」
アメリカの南部では、伝統的な新年の習慣が今も残っています。大晦日は「コーンブレッド」を食べて、新年になると「ブラックアイドピー」という伝統料理を食べるのです。
コーンブレッドはとうもろこしの粉で焼いたパンのことです。とうもろこしの黄色が金色に見えるため、金運アップに効果ありとされています。
一方ブラックアイドピーは、黒目豆(ブラックアイドピー)を玉ねぎやベーコンなどと一緒に煮込んでトマト味に仕上げた料理です。栄養のある料理を年の初めにしっかりと食べることで「一年中健康に過ごせる」と信じられています。また黒目豆の見た目がコインに似ているので、金運が上昇するともいわれています。
中国 春節を祝う「餃子」
中国では旧暦で新年を祝うため、大晦日も元旦も、毎年西暦の1月下旬から2月中旬の間を移動しています。そして正月(春節)になると、人々は旅行へ出かけたり故郷へ帰ったりして、家族とお祝いをします。春節の食事は地域ごとに特色がありますが、大雑把に北部と南部に分けてみると、次のような特徴が目立ちます。
中国北部では、春節の御馳走は「餃子」です。餃子はその形が古代の貨幣に似ているため、富を象徴しているのです。
春節には魚料理も重要な意味を持ちます。中国語の「魚」の発音(ユ)が「余」と同じであるからです。「余裕のある生活」を願って、北部では淡水魚で蒸し魚料理を作ります。
中国南部では餃子ではなく、年糕(ニエンガオ)というお餅や湯圓(タンユエン)と呼ばれるスイーツなどを食べます。年糕も湯圓も「家族の繁栄・団結・幸福」などの象徴です。
また南部でも魚料理が食べられます。理由は北部と同じです。ただし、南部では食べる魚の種類も料理法も異なっており、尾頭付きの魚を煮たり揚げたりする料理が好まれます。
年越しそばには縁起担ぎがいっぱい!年越しそばを食べて良い年を迎えよう!
日本の年越しそばの意味や由来からスタートして、世界の年末年始の食事事情まで、たどり着きました。記事をまとめてわかったことは、年越しそばにはいろいろ縁起の良いものが詰まっているということです。
何から何まで縁起担ぎだらけ…でもこれは、決して悪い意味ではありません。人々の新年に対する願いや期待が大きいからこそ、「年越しそば」という縁起担ぎの集合体のような料理が生まれたのです。
世界の国々でも大晦日やお正月に、縁起を担いだ料理をいろいろと食べています。特に金運に関するものが多いようです。「新しい年が幸せで恵まれた一年であるように」と願う風習は、世界中で共通なのでしょう。
皆さんも年越しそばを食べて、良い年をお迎えください!