全国のご当地お雑煮5選!年神様の力がもらえる!?

おせち料理と並ぶお正月の風物詩といえば、お雑煮です。あなたはもう食べましたか?
お雑煮のメイン具材であるお餅は、もともとお正月に訪れる年神様へのお供え物。収穫した野菜とともに煮て食べることで、年神様の力を授かるとされていました。そんな縁起物のお雑煮ですが、地域ごとに特色があります。具材や出汁の違いだけでなく、お餅の形や調理方法まで違うんです。ここでは、日本全国の珍しい「ご当地お雑煮」を紹介します。

お雑煮の始まり・食べる意味とは?

お雑煮の名前の由来には、主に2つの説があります。

  • ●いろいろな具材を混ぜて煮る(煮雑ぜる)
  • ●饗応膳(きょうおうぜん)のひとつ「烹雑(ほうぞう)」

※饗応膳とは、武家が客人をもてなすための料理のこと。

本来、お雑煮はめでたい日に食べる縁起物で、年神様へお供えしたお餅をお下がりとして汁物にして食べたのが始まりです。
日本には「神人共食(しんじんきょうしょく)」という考え方があり、神様と同じものを食べることでご加護を受けられると信じられてきました。前年の豊作を年神様に感謝するとともに、同じものを食べて「力を授かる」という意味が込められています。

なぜお正月にお雑煮を食べるのか?

ひとつは、元旦(1月1日の朝)にやってくる「年神様」をお迎えするため。
年神様は新年を司る神様で、初日の出とともに一年分の幸福を持って高い山から降りてきます。かつては、前年に収穫したお米で作ったお餅に山と海の幸を加え、新年の最初に汲んだ水「若水」と最初に灯した火でお雑煮を作っていました。年神様に前年の豊作の感謝を伝え、同時に新しい一年の幸福を願ったというわけです。

もうひとつは、お正月のお餅には年神様が宿るとされているから。丸い鏡餅は、年神様の魂を表すと考えられています。今でも1月11日には「鏡開き」として鏡餅を食べ、長寿を願う風習が残っていますね。

全国のご当地お雑煮

お雑煮はいつ食べるのが正解?

お雑煮は三が日(1月1日~3日)に食べるのが一般的ですが、実は明確な決まりはありません。
実際、地域によって食べるタイミングが違います。たとえば、北海道や東北の一部では大みそかにおせち料理を食べる風習があり、元日(1月1日中)におせちの残りと一緒にお雑煮を食べるのが通例です。

各家庭の習慣や家族のライフスタイルに合わせて、好きなタイミングで食べるとよいでしょう。以下の2点は、お雑煮を食べる際に行うと縁起がいいとされていますよ。

  • ●おせち料理を食べたあとにお雑煮を食べる
  • ●毎日ひとつずつお餅を増やしていく

全国の珍しいご当地お雑煮5選

お雑煮は全国共通の食べ物ですが、地域によってさまざまなご当地お雑煮が存在します。その土地に伝わる風習や、時代背景が大きく影響しているからです。具材や出汁に地域ごとの特色が出るので、全国の名産品に詳しい人なら初見でどこのご当地お雑煮かわかるかもしれませんね。

今回は47都道府県の中から、とくに珍しいものを5つ紹介します。

北海道の鶏ガラ出汁雑煮

出汁は鶏ガラベースに醤油で味付けしたおすましタイプで、お餅は焼いた角餅を入れます。砂糖を使って、甘めに味付けするのが特徴です。

具材は鶏もも肉・大根・人参・ごぼう・油揚げなどで、「つと巻」というご当地ならではの具材も入ります。つと巻はなるとによく似た練り物で、切り口の模様がうずまきではなく「つ」の字に見えることから名付けられました。

実は北海道のお雑煮は、約1/3が東北にルーツを持っています。明治から大正時代にかけて多くの開拓者が移住しており、さまざまなお雑煮文化が持ち込まれました。

全国のご当地お雑煮

岩手県のくるみ雑煮

煮干しベースのおすましに、焼いた角餅を入れます。千切りにした野菜と焼き豆腐を、醤油味の出汁で煮て作るのが特徴。大根・人参・ごぼう・しいたけ・こんにゃく・ちくわ・焼き豆腐などの具材が入ります。

珍しいのはお雑煮に入っているお餅の食べ方。そのまま食べるのはもちろん、別皿に用意した「くるみダレ」を絡め2種類の味を楽しむのが岩手流です。

海に近い沿岸部では冷害のためお米が育ちにくく、お餅が作れませんでした。2種類の食べ方は、貴重なお餅を大切に味わうための工夫だといえるでしょう。

くるみは岩手県のご当地食材です。古くから地元に根付いていて、味がよいことを「くるみあじ(くるびあじ)」と表現することもあるそうですよ。現在もお正月が近くなると、殻をむいたくるみがスーパーに並びます。

全国のご当地お雑煮

京都府の白味噌雑煮

かつおと昆布の出汁に、ご当地名産の白味噌を溶いた味噌仕立て。白味噌の味を引き立てるため、焼かずに煮た丸餅を入れるのが主流です。白味噌は京都が発祥といわれており、始まりは平安時代とも。

具材は大根・里芋の親芋である頭芋(かしらいも)・京野菜の金時人参などです。野菜を丸い亀甲型に切るのが特徴で「円満」や「長寿」の意味が込められています。

京都では小学校から白味噌づくりを通してお雑煮の作り方を学んだり、料理学校で伝統的な白味噌仕立てのお雑煮について学んだりできます。それだけお雑煮文化が浸透しているといえるでしょう。

全国のご当地お雑煮

香川県のあんもち雑煮

ご当地らしく香川特産のいりこ(煮干し)で出汁を取り、白味噌で味付けします。お餅は煮た丸餅を入れ、具材は大根・金時人参・豆腐など。「家庭円満」の意味を込めて、野菜を丸く輪切りにするのが特徴です。

珍しいのは、お餅の中に甘いあんが入っていること。「お雑煮に甘いあんこ?!」と思うかもしれませんが、甘みのある白味噌に小豆あんがよく合いますよ。

あんもち雑煮が食べられるようになったのは、江戸末期から明治時代。温暖な気候を利用したサトウキビ栽培が奨励されたことで、白砂糖を作るようになったのがキッカケです。

しかし、当時の砂糖は高級品で、庶民の口には滅多に入りませんでした。そこで、お正月くらいは砂糖を贅沢に使った特別な料理を作ろうと、お餅にたっぷりのあんを入れるようになったといわれています。

全国のご当地お雑煮

福岡県のブリ雑煮

九州特有の焼きアゴ(干しトビウオ)で取った出汁に、丸餅を入れたお雑煮。具材は大根・人参・里芋・しいたけなどのほかに、福岡のご当地野菜である「かつお菜」と縁起物の「ブリ」を入れるのが特徴です。

かつお菜は高菜の一種で、茎の部分にかつお節のような味と香りがあります。福岡県では「勝男菜」と表記するのが一般的で、縁起物野菜の定番です。お雑煮専用の食材として、お正月には県内の小売店に並びます。

ブリは大きくなるにつれて名前が変わる出世魚で、こちらも縁起がよい食材です。福岡には嫁ブリという風習があり、結婚した年の暮れにお婿さんの実家からお嫁さんの実家へブリを丸ごと1本贈ります。

「嫁さんぶりがよい(お嫁さんっぷりがいい)」との意味で「いいお嫁さんをいただき、ありがとうございます」という感謝の気持ちを表したものです。

全国のご当地お雑煮

<番外編>地域ごとのお雑煮の違いは?

どのご当地お雑煮もお椀に出汁を張った汁物スタイルですが、岐阜県の関ヶ原あたりを境に東西で大きく違います。主な違いは以下の3つ。

  • ●お餅の違い
  • ●出汁の違い
  • ●具材の違い

東西で異なる理由は、歴史的な背景が大きく関係しているからです。東の武家・西の公家(貴族)、江戸と京の文化の違いともいえるでしょう。

お餅の違い|丸か四角か?焼くか焼かないか?

東日本と西日本で、お餅の形や調理方法が違います。

お餅の形 お餅の調理法
東日本 四角 焼くのが主流
西日本 丸い 煮るのが主流

もともとお餅はすべて丸い形で、平安時代の京が始まりです。江戸時代に入ると、大量生産に向いているなどの理由で平たく伸ばしたお餅を切り分ける方法が開発され、江戸を中心に広まります。そのなごりで東日本では角餅、西日本では丸餅をお雑煮に入れる地域が多いようです。

調理方法も東西で違いますが、境界線近くの中部地方では角餅を煮るのが主流です。名古屋では白いお餅を焼くことは「城(白)を焼く」とされ、縁起が悪いと考えられていました。

ほかにも例外として、丸餅を焼く地域もあります。北前船(きたまえぶね)や大名の参勤交代で物流が盛んになり、東西の食文化が入り混じったことが要因です。

※北前船とは、日本海や北海道の港から江戸や大阪へ物資を運んでいた船のこと。

全国のご当地お雑煮

出汁の違い|おすましか味噌か?おしるこの地域も

東日本のお雑煮は醤油ベースのおすましですが、西日本は味噌出汁とおすましに分かれます。

京都府を中心に関西では味噌出汁が多いものの、中国・四国・九州地方はおすましが主流です。山陰地方では、小豆を使ったおしるこやぜんざいバージョンのご当地お雑煮が食べられていますよ。

全国的に味噌出汁よりおすましが多いのは、武家文化の広まりによるもの。武家では失敗することを「味噌をつける」と表現していたため、縁起が悪いとして味噌が避けられていました。

全国のご当地お雑煮

具材の違い|縁起物やご当地ならではの名産品も

お雑煮の具材にはご当地ならではの名産品やお正月らしい食材を使いますが、それぞれの具材に意味があり縁起を担いでいます。

たとえば、東京都のお雑煮は「菜鶏(名取り)雑煮」とも呼ばれ、青菜と鶏肉を一緒に食べることで「名を取る=名を上げる」という意味の縁起物です。

一方で、大阪府のあきない雑煮のように、元旦と2日目以降で具材や出汁を変え「商い」と「飽きない」をかけた言葉遊びもあります。

なかには、お雑煮のメイン食材であるお餅を使っていないご当地お雑煮も。餅米が収穫しにくかった徳島県の一部では、今でもお餅の代わりに名産の岩豆腐を使います。沖縄県にいたっては、お雑煮を食べる文化自体がありません。かつおと干ししいたけの出汁に豚モツを入れた「中身汁」が食べられています。

<番外編>真似したくなる!?余ったお雑煮のアレンジレシピ3選

お雑煮の出汁(スープ)が余ったときのアレンジ方法を紹介します。硬くなってしまったお餅を復活させる方法も解説するので、参考にしてみてください!

【超簡単!麺つゆで作る力そば・うどん】

  • 麺つゆに記載の「かけそば」に合わせて希釈する(薄めに希釈して味を見て足す)
  • お雑煮の出汁に希釈した麵つゆを加えて温める
  • そば・うどんを別鍋で茹で丼の中に入れる
  • 温まった出汁をかけて完成

お好みの濃さになるまで麺つゆを加えるだけです。お餅は出汁の中で煮てもよし、焼いて後乗せするもよし。白だしや本だし+水でも代用可能ですよ。

全国のご当地お雑煮

【定番の出汁に飽きたらカレー雑煮】

  • 水1カップ(200ml)にカレールウ15gをお雑煮の出汁に加える
  • 弱火で煮込みながらときどきかき混ぜる
  • ルウがなじんで味が決まったら水溶き片栗粉でとろみを付けて完成

フレークタイプのカレールウがおすすめ。出汁の塩分が濃い場合は、カレー粉(赤缶)で代用してもよいでしょう。

全国のご当地お雑煮

【硬くなったお餅を復活させる方法】

  • 耐熱容器に硬くなったお餅を入れ浸るくらいの水を入れる
  • フタかラップをして電子レンジ600Wで約20秒加熱
  • 柔らかさを確認しながら10秒ずつ追加で加熱

様子を見ながら小刻みに加熱するのがコツ。加熱しすぎるとお餅が溶けるので注意しましょう。

全国のご当地お雑煮

ご当地お雑煮のまとめ

お雑煮は年神様へお供えしたお餅を、お下がりとしていただける縁起物です。年神様と同じものを食べることで「神様の力をもらえる」とされています。

かといって食べるタイミングや中身に厳格な決まりはなく、自由に楽しめるのがいいところ。本記事で紹介したご当地お雑煮をまねるもよし、自分でアレンジするもよし、家族で囲んで食べれば美味しさもひとしおです。

2024年も健康に安全に過ごせるよう、縁起物のお雑煮を食べて神様の力をもらいましょう。

プロフィール画像

筆者プロフィール:テルトラ

24歳のときに未経験で料理の世界へ。出汁の取り方や刺身の切り方などを覚えていくうち、和食のおもしろさに夢中になる。
割烹・寿司・海鮮居酒屋などを経て、現在は友人の店で仕入れからメニュー開発までを担当。料理人歴17年の経験をいかし、プロの技を主婦・主夫の人たちに届けるべく情報を発信中。
得意料理は魚の煮付けと出汁巻き玉子。

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