知っている?神社と神宮、大社と宮の違いを徹底解説!

神社は街中や海辺、山や森の中などいたるところにあり、私たちにとって身近な存在です。
その数なんと、コンビニよりも多いって知っていましたか?

普段は神社を訪れない人でも初詣で参拝をしたり、試験の前に合格祈願をしたり、七五三や神前式などの人生の節目で訪れたりするのではないでしょうか。

そのくらい私たちの暮らしの身近にある神社ですが、同じく神様をお祀りしている神宮と何が違うのでしょうか?
今回のコラムでは神社と神宮、大社と宮の違いについて紹介していきます。

そもそも神社とは?

そもそも神社とは?

神社とは、神々をお祀りする場所で、日本人の暮らしの中で生まれた神道(しんとう)に深い繋がりがあります。

神道とは、私たちの祖先が自然と関わりながら生活する中で生まれた、日本独自の信仰です。

古来より日本人は、生命の恵みをくださる一方で自然災害などの脅威をもたらす自然に対し、畏敬の念とともに神々の働きを感じていました。

神道には、自然そのものを神と考え、この世界の全てのものに神が宿るという「八百万の神(やおろずのかみ)」の考えがあります。
この全てには、衣食住に関わることから、山や岩、海、木や滝などの自然物にも当てはまり、そうした神々を祀るための場所に鳥居や建物が建てられ、今の神社の形になったとされています。

信仰というと、少し距離を置きたくなる方も少なくないはず。
しかしその起源を見ていくと、日本人の生活に深く根ざした自然への感謝や畏敬の心がみえてくるのではないでしょうか。

そもそも神社とは? 出雲大神宮(京都)にある磐座(いわくら)

神社と神宮、大社と宮の違いとは?

神社には「神社」以外にも、「神宮」や「大社」と名付けられているものがあります。これは 「社号(しゃごう)」 と呼ばれる神社の格式を表す名前のことです。

それでは、それぞれについて紹介していきます。

「神宮(じんぐう)」とは

神宮とは、皇室または皇室と縁が深い方を祀っている神社で、元々は伊勢神宮のみをさす名前でした。
その伊勢神宮には天皇の祖先とされている天照大神(アマテラスオオカミ)が祀られています。

また、神宮の中でも格式が高いものを「大神宮(だいじんぐう)」と呼び、伊勢神宮の内宮の皇大神宮、外宮の豊受大神宮、また伊勢神宮の遥拝殿(ようはいでん:遠く離れた場所から参拝する場所)として建てられた東京大神宮などがあります。

神宮の社号を持つ主な神社の例としては、歴代の天皇をお祀りしている平安神宮や明治神宮、皇室のご先祖様をお祀りしている霧島神宮や鹿児島神宮などが代表的です。

主な代表

●平安神宮(京都府)/祭神:桓武天皇、孝明天皇

●明治神宮(東京都)/祭神:明治天皇、昭憲皇太后(明治天皇の皇后)

●霧島神宮(鹿児島県)/祭神:瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)

●鹿児島神宮(鹿児島県)/祭神:山幸彦(ヤマサチヒコ)、豊玉比売命(トヨタマヒメノミコト)

「宮(ぐう)」とは

「宮」 は、皇室の皇子や皇孫(親王)を祭神とする神社や、歴史上の要人を祀る神社に使われます。

宮の社号を持つ神社の例として、鎌倉宮や八幡宮、天満宮、東照宮など、聞いたことや訪れたことがある方もいるのではないでしょうか。

主な代表

●八幡宮/全国に4万6000社あり、総本宮は宇佐八幡宮(大分県)

祭神:八幡大神(応神天皇)、比売大神(ヒメノオオカミ)、神功皇后。

●天満宮:全国に各地にあり、総本宮は太宰府天満宮(福岡県)

祭神:菅原道真

●東照宮:全国に各地にあり、総本宮は日光東照宮(栃木県)

祭神:徳川家康

「大社(たいしゃ、おおやしろ)」とは

大社とは、もともとは島根県にある出雲大社(いずもたいしゃ)を示す社号でした。出雲大社は日本の国造りを行ったとされる大国主命(おおくにぬしのみこと)を祀っています。

出雲大社だけだった「大社」ですが、戦後の社号の再整備が行われた際、同名の神社をまとめる役割を担う歴史ある神社やその地域で一番大きな神社に「大社」の社号が与えられました。
現在では全国に24ヶ所大社がみられます。

代表的な大社として、春日大社や諏訪大社があります。
現在、大社の名称は広く崇敬を集める神社でも使われています。

主な代表

●春日大社(奈良県)/祭神:武甕槌命(タケミカヅチノミコト)、経津主命(フツヌシノミコト)、天児屋根命(アメノコヤネノミコト)、比売大神(ヒメノオオカミ)

●諏訪大社(長野県)/祭神:建御名方神(タケミナカタノカミ)、八坂刀売神(ヤサカトメノカミ)、八重事代主神(ヤエコトシロヌシノカミ)

「神社」とは

最も一般的に使われる社号で、全国の神社のほとんどが「神社」を名乗っています。全国にある神社には、山や木々などの自然をはじめ米などの食物に至るまで様々な神が祀られています。

● 「社(やしろ)」とは

社は、「屋代(やしろ)」を語源としており、「代(しろ)」は神を祀るために清められた場所を意味します。大きな神社の境内の中や近くに祭神に縁のある神様を祀った小規模な神社を「社」と呼ぶことがあります。

大明神や権現とはなに?社号以外の称号を解説!

神社や神宮のほかに、「大明神(だいみょうじん)」や「権現(ごんげん)」という名前を耳にしたことはありませんか?
2つとも正式な社号ではありませんが、神社と同じように使われている名称です。
以下よりそれぞれについて、紹介していきます。

「大明神(だいみょうじん)」とは

大明神とは、社号のひとつとして一般的に使われてきました。
神社の格式を表す社号とは異なり、古くから人々に篤く信仰されている神様に敬意を込めて、「大神(だいじん)」や「大明神」と呼ばれてきました。

有名な大明神としては、稲荷大明神の伏見稲荷大社や笠間稲荷大社、鹿島大明神として有名な鹿島神宮が挙げられます。

「権現(ごんげん)」とは

権現とは、神仏習合の影響によって生まれた称号です。仏教用語が転用されて生まれ、仏や菩薩(ぼさつ)が人々を救うために仮の姿で現れ出た、権化(ごんげ)したと考えられた場合に使われてきました。

例えば、春日権現や山王権現、三島権現、熊野権現などが有名です。しかし、1868年3月の神仏分離令によって権現号は廃止されました。

【歴史を紐解く】社号が今のカタチになったのはなぜ?

「神宮」や「大社」が伊勢神宮や出雲大社など、特定の神社を指すものだったのがなぜ今のカタチになったのでしょうか。

社号が私たちの知るカタチとなったのには、明治維新や第二次世界大戦後と深い関係があります。

明治維新後、神社は国の管理下に置かれるようになり、「神宮」や「大社」といった社号を名乗るには、天皇の許可である「勅許」が必要となりました。
これは、明治政府が国家神道を推進する中で、神社の管理体制を整備しようとしたためです。

しかし、第二次世界大戦後になると「政教分離」の原則により、神社は国の管理から外れることになりました。
その結果、神社は自由に社号を名乗れるようになりました。

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社号が違っても、人々の思いは変わらない

今回のコラムでは、神社や神宮、大社と宮の違いについて解説していきました。

神社は私たちの祖先が自然に対する畏敬の念から信仰が始まり、現在でも心のよりどころとして私たちの身近にあります。

祀られている神々などにより社号は異なりますが、それぞれの神社や神宮に対する人々の思いは変わりません。

お住まいの地域の神社を参拝したり、旅先で神社を訪れたりした際には、今回のコラムのことを思い出して神社の名前を確認してみてくださいね。

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