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ニュースでは毎日のように「猛暑日」というワードが聞こえていた今年。振り返ってみても異常な暑さだったかと思います。そんな体感通り2024年6月~8月の平均気温は平年と比べ1.76度高く、去年に続き統計史上最も高い結果となりました。
日本の蒸し暑さも耐え難いものですが、世界にはもっともっと暑い国があります。では一体、その国の最高気温ってどうなってしまうのでしょう。
この記事では、日本と世界の最高気温を、気温計測の歴史と現在のランキングから紐解いていきます。世界で一番暑い国の、一番高い気温を見てみましょう!
気温という概念について軽く触れておきましょう。温度計によって気温の観測が行われるようになったのは1850年頃とされています。このころは、イギリス発祥の百葉箱が用いられていました。百葉箱は木製の遮光のために外側が白く塗られた通気性のよい箱です。小学校で見た事がある人もいるのではないでしょうか。
日本では、1872年に気象観測が開始されました。その後百葉箱が1874年に導入され、1875年から正式に記録がスタートしたと言われています。『最高気温』という言葉が産まれたのもここからがはじまりといえますね。
ランキングを見る前に、どのような基準で計測されているのか見てみましょう。
世界の気温計測は、地上から1.25m~2.0mの高さで、温度計を直接外気に当てないことが条件とされています。
日本では気象庁によって定められた、さらに細かいルールに基づいて気温が計測されています。
上記の条件だと、計測される温度は風通しの良い日陰で測った時と同じくらいの結果になるそうです。そのため、アスファルトの照り返しなどで実際は発表された気温よりも更に高い気温になっているケースもあります。
さて、みなさんは『最高気温』というと何℃くらいをイメージするでしょうか。近年はエアコン必須の危険な暑さになってきた日本。40℃超えという言葉もちらほら聞こえてきて怖くなりますよね。
意外と日本も世界のランキングに食い込むかもしれません。まずは日本の最高気温をランキング形式で見ていきましょう。
気象庁の発表によると、日本国内の歴代最高気温は熊谷(埼玉県)と浜松(静岡県)の41.1℃で、それぞれ2018年、2020年に記録されています。3位は佐野(栃木県)、美濃・金山(岐阜県)、江川崎(高知県)となっています。また、実はこの佐野の41.0℃は、2024年7月29日に観測された気温です。
これらの地域で高温が記録されたのはなぜなのか、原因を後ほど解説します。
旅行情報誌『じゃらん』が発表した「暑い都道府県イメージランキング」で、埼玉県は堂々の1位です。
Q.『日本で一番暑い』と聞いてイメージする都道府県を教えてください。
(出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002658.000011414.html)
沖縄より暑い、というイメージのある埼玉。埼玉県が暑い理由のひとつが、埼玉県が内陸県であることです。歴代最高気温ランキングにも、栃木・岐阜・埼玉といった内陸の海なし県が多くランクインしています。内陸部は、海から吹き付ける海風の到達が遅く、最高気温が高くなる傾向があるようです。
もうひとつの原因に、ヒートアイランド現象があります。埼玉県は戦後東京のベッドタウンとして急速に都市開発が進んだ地域です。人口急増に伴う自動車などの排熱量の増加や、高層ビルが熱を溜め込みやすいことが、農地や緑地に比べて気温が高い一因になっています。
これらの相乗効果が合わさり、埼玉は「日本で一番暑い県」として有名になりました。
埼玉県は暑い県としてすっかり名を馳せていますが、静岡県が歴代最高気温を記録していると知っている方は少ないのではないでしょうか。この浜松の高温の原因は、フェーン現象の発生だと推察されています。
フェーン現象が起きると、高温で乾燥した風が発生し風下の盆地や平野が高温になります。浜松では濃尾平野で発生した高温の風が、連日の晴天により乾燥した地面を通過してさらに高温化し、歴代最高記録に並んだと考えられています。
日本の都市部には高層ビルがたくさん建ち並んでいます。高層ビルは、ヒートアイランド現象はもちろんのこと、山と同じ役割となりフェーン現象の一因になってしまいます。都市部には今後、熊谷や浜松よりも暑くなる場所が出てくるかもしれませんね。
今まで紹介してきた気温も、人が生きていくにはかなり厳しい温度です。しかしなんと、同じアジア圏にも40℃どころか50℃超えを記録した場所があるのです!実は中国!正式な記録としては50.5℃にも上ったそうです。ちなみに非公式な記録では、黄砂の源であるタクラマカン砂漠で52.5℃というとんでもない数字をたたきだしているとか。
しかし今回は世界一の最高気温!こんなものでは済みません。
ついに発表します。とんでもない高温の世界をどうぞご覧ください。
1位はデスバレー(アメリカ合衆国)の56.7℃。2位はケビリ(チュニジア)の55.0℃で、続いて3位がアフワズ(イラン)の53.9℃
デスバレーの歴代最高気温記録は1913年に計測されたもので、日本ではありえない驚くほどの高温となっています。それぞれの国の特徴もあわせて見てみましょう!
世界の歴代最高気温は、1913年にデスバレー(アメリカ合衆国)で計測された56.7℃で、100年経った今も塗り替えられていない記録です。
デスバレーはアメリカ西部のカリフォルニア州に広がる乾燥地帯です。アメリカ最大の国立公園でもあるデスバレーは世界一暑い場所とも呼ばれ、その暑さを体感してみようという猛者が世界中から集まる観光地にもなっています。
「死の谷」という名前のとおり、デスバレーは四方を山々に囲まれており、熱が非常にこもりやすくなっています。一番低い地点の海抜はマイナス86メートルと海面よりも低くなり、一度谷底に空気が沈むと熱が逃げない地形です。
この過酷な気候は、塩が地面を覆う「バッドウォーター」や「ひとりでに動く石」といった他の地域では絶対に見られない風景を作り出しています。
1931年に世界2位の気温を記録したのが、ケビリ(チュニジア)です。チュニジアは北アフリカにある国で、「モザイクのような歴史を持つ国」とも呼ばれています。アフリカ・ヨーロッパをはじめとする多様な歴史と文化が混在したエキゾチックな雰囲気が魅力的な国です。
ケビリは隣国アルジェリアとの国境付近にある都市で、ジェリド湖というサハラ砂漠北部最大の塩湖があります。ここは映画「スター・ウォーズ エピソードⅠ」のロケ地にもなった場所です。
2017年に世界3位の気温を記録したのが、アフワズ(イラン)です。イランは中東アジアにあるイスラム教国家で、ペルシャ絨毯などが有名です。古くから優れた文明を持ち、ペルシャブルーのタイル細工が美しいイスラム建築は訪れた人々を魅了しています。
アフワズはイラン南西部のフーゼスターン州内にある都市で、たくさんの油田があるイランでも指折りの工業地帯です。夏の平均気温は45℃と非常に高く、周囲は砂漠で雨もほとんど降りません。そのため砂嵐やダストストームと言った自然現象がしばしば発生しています。
油田の開発が進んでからは大気汚染が深刻で、2011年にはWHO(世界保健機関)から「世界で最も汚染された街」という指摘を受けています。
『世界一の最高気温』を観測した場所としてデスバレーを紹介しましたが、実は『世界一暑い国』で知られている国があります。
アフリカ大陸の下方に位置する小国、ジブチ共和国。
年中気温が高く、冬でも30℃は切らないそうです。そんな暑すぎる生活を垣間見れる旅行記は、こちらからからご覧いただけます。
最高気温は70度超!世界一暑い国「ジブチ」のビックリ体験談
デスバレーの記録は100年以上昔の数値のため、現代とは観測方法が異なり正確な数値か定かではないという意見もあります。非公式の記録を含めると、ヒートバーストなどの影響で瞬間的に90℃を計測したこともあるようです。
2024年7月21、22日は世界の観測史上最も暑い日となりました。世界平均気温は21日に17.09℃、22日に17.15℃を記録し、温暖化の影響が年々深刻になっていることがわかります。日本でも平均気温が平年と比較しプラス1.76℃となり、2023年と並んで観測史上最も暑い夏になりました。
世界はいったいどこまで暑くなるのでしょうか?
レディング大学国立大気科学センター・気象学部研究員のアクシャイ・デオラス博士は、「温室効果ガスの排出を急速に削減し、地球温暖化を抑制しない限り、気象記録は今後も頻繁に更新される」と発言しています。
今回、日本よりも暑い国をたくさん紹介してきましたが、体感気温は実際の数値だけでなく、湿度や太陽光などの様々な要因で感じ方が変わるものです。徐々に涼しくなってきてはいますが、まだまだ油断は禁物。熱中症にはくれぐれも注意しましょう。
地球温暖化が世界中で騒がれる中、日本もまだまだ暑い日々が続きます。節電やエコバッグの活用など、身近なところから地球にやさしい活動を心がけていきたいですね。
ニュースでは毎日のように「猛暑日」というワードが聞こえていた今年。
振り返ってみても異常な暑さだったかと思います。
そんな体感通り2024年6月~8月の平均気温は平年と比べ1.76度高く、去年に続き統計史上最も高い結果となりました。
日本の蒸し暑さも耐え難いものですが、世界にはもっともっと暑い国があります。
では一体、その国の最高気温ってどうなってしまうのでしょう。
この記事では、日本と世界の最高気温を、気温計測の歴史と現在のランキングから紐解いていきます。世界で一番暑い国の、一番高い気温を見てみましょう!
目次
世界最高気温の歴史
気温という概念について軽く触れておきましょう。
温度計によって気温の観測が行われるようになったのは1850年頃とされています。このころは、イギリス発祥の百葉箱が用いられていました。百葉箱は木製の遮光のために外側が白く塗られた通気性のよい箱です。小学校で見た事がある人もいるのではないでしょうか。
日本では、1872年に気象観測が開始されました。その後百葉箱が1874年に導入され、1875年から正式に記録がスタートしたと言われています。
『最高気温』という言葉が産まれたのもここからがはじまりといえますね。
ランキングを見る前に、どのような基準で計測されているのか見てみましょう。
気温の観測方法
世界の気温計測は、地上から1.25m~2.0mの高さで、温度計を直接外気に当てないことが条件とされています。
日本では気象庁によって定められた、さらに細かいルールに基づいて気温が計測されています。
上記の条件だと、計測される温度は風通しの良い日陰で測った時と同じくらいの結果になるそうです。そのため、アスファルトの照り返しなどで実際は発表された気温よりも更に高い気温になっているケースもあります。
各国の最高気温は!?
さて、みなさんは『最高気温』というと何℃くらいをイメージするでしょうか。
近年はエアコン必須の危険な暑さになってきた日本。40℃超えという言葉もちらほら聞こえてきて怖くなりますよね。
意外と日本も世界のランキングに食い込むかもしれません。
まずは日本の最高気温をランキング形式で見ていきましょう。
日本最高気温ランキング
気象庁の発表によると、日本国内の歴代最高気温は熊谷(埼玉県)と浜松(静岡県)の41.1℃で、それぞれ2018年、2020年に記録されています。3位は佐野(栃木県)、美濃・金山(岐阜県)、江川崎(高知県)となっています。
また、実はこの佐野の41.0℃は、2024年7月29日に観測された気温です。
これらの地域で高温が記録されたのはなぜなのか、原因を後ほど解説します。
日本で一番暑い都道府県といえば、埼玉
旅行情報誌『じゃらん』が発表した「暑い都道府県イメージランキング」で、埼玉県は堂々の1位です。
Q.『日本で一番暑い』と聞いてイメージする都道府県を教えてください。
(出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002658.000011414.html)
沖縄より暑い、というイメージのある埼玉。
埼玉県が暑い理由のひとつが、埼玉県が内陸県であることです。歴代最高気温ランキングにも、栃木・岐阜・埼玉といった内陸の海なし県が多くランクインしています。内陸部は、海から吹き付ける海風の到達が遅く、最高気温が高くなる傾向があるようです。
もうひとつの原因に、ヒートアイランド現象があります。埼玉県は戦後東京のベッドタウンとして急速に都市開発が進んだ地域です。人口急増に伴う自動車などの排熱量の増加や、高層ビルが熱を溜め込みやすいことが、農地や緑地に比べて気温が高い一因になっています。
これらの相乗効果が合わさり、埼玉は「日本で一番暑い県」として有名になりました。
隠れ日本一暑い県「静岡」
埼玉県は暑い県としてすっかり名を馳せていますが、静岡県が歴代最高気温を記録していると知っている方は少ないのではないでしょうか。この浜松の高温の原因は、フェーン現象の発生だと推察されています。
フェーン現象が起きると、高温で乾燥した風が発生し風下の盆地や平野が高温になります。浜松では濃尾平野で発生した高温の風が、連日の晴天により乾燥した地面を通過してさらに高温化し、歴代最高記録に並んだと考えられています。
日本の都市部には高層ビルがたくさん建ち並んでいます。
高層ビルは、ヒートアイランド現象はもちろんのこと、山と同じ役割となりフェーン現象の一因になってしまいます。
都市部には今後、熊谷や浜松よりも暑くなる場所が出てくるかもしれませんね。
世界の最高気温ランキング
今まで紹介してきた気温も、人が生きていくにはかなり厳しい温度です。
しかしなんと、同じアジア圏にも40℃どころか50℃超えを記録した場所があるのです!
実は中国!正式な記録としては50.5℃にも上ったそうです。
ちなみに非公式な記録では、黄砂の源であるタクラマカン砂漠で52.5℃というとんでもない数字をたたきだしているとか。
しかし今回は世界一の最高気温!こんなものでは済みません。
世界最高気温ランキング
ついに発表します。とんでもない高温の世界をどうぞご覧ください。
1位はデスバレー(アメリカ合衆国)の56.7℃。2位はケビリ(チュニジア)の55.0℃で、続いて3位がアフワズ(イラン)の53.9℃
デスバレーの歴代最高気温記録は1913年に計測されたもので、日本ではありえない驚くほどの高温となっています。それぞれの国の特徴もあわせて見てみましょう!
世界一暑い死の谷「デスバレー」
世界の歴代最高気温は、1913年にデスバレー(アメリカ合衆国)で計測された56.7℃で、100年経った今も塗り替えられていない記録です。
デスバレーはアメリカ西部のカリフォルニア州に広がる乾燥地帯です。アメリカ最大の国立公園でもあるデスバレーは世界一暑い場所とも呼ばれ、その暑さを体感してみようという猛者が世界中から集まる観光地にもなっています。
「死の谷」という名前のとおり、デスバレーは四方を山々に囲まれており、熱が非常にこもりやすくなっています。一番低い地点の海抜はマイナス86メートルと海面よりも低くなり、一度谷底に空気が沈むと熱が逃げない地形です。
この過酷な気候は、塩が地面を覆う「バッドウォーター」や「ひとりでに動く石」といった他の地域では絶対に見られない風景を作り出しています。
気温差激しい過酷な地域「ケビリ」
1931年に世界2位の気温を記録したのが、ケビリ(チュニジア)です。チュニジアは北アフリカにある国で、「モザイクのような歴史を持つ国」とも呼ばれています。アフリカ・ヨーロッパをはじめとする多様な歴史と文化が混在したエキゾチックな雰囲気が魅力的な国です。
ケビリは隣国アルジェリアとの国境付近にある都市で、ジェリド湖というサハラ砂漠北部最大の塩湖があります。ここは映画「スター・ウォーズ エピソードⅠ」のロケ地にもなった場所です。
高温かつ大気汚染が深刻な工業地帯「アフワズ」
2017年に世界3位の気温を記録したのが、アフワズ(イラン)です。イランは中東アジアにあるイスラム教国家で、ペルシャ絨毯などが有名です。古くから優れた文明を持ち、ペルシャブルーのタイル細工が美しいイスラム建築は訪れた人々を魅了しています。
アフワズはイラン南西部のフーゼスターン州内にある都市で、たくさんの油田があるイランでも指折りの工業地帯です。夏の平均気温は45℃と非常に高く、周囲は砂漠で雨もほとんど降りません。そのため砂嵐やダストストームと言った自然現象がしばしば発生しています。
油田の開発が進んでからは大気汚染が深刻で、2011年にはWHO(世界保健機関)から「世界で最も汚染された街」という指摘を受けています。
世界で一番暑い国
番外編!
『世界一の最高気温』を観測した場所としてデスバレーを紹介しましたが、実は『世界一暑い国』で知られている国があります。
アフリカ大陸の下方に位置する小国、ジブチ共和国。
年中気温が高く、冬でも30℃は切らないそうです。
そんな暑すぎる生活を垣間見れる旅行記は、こちらからからご覧いただけます。
最高気温は70度超!世界一暑い国「ジブチ」のビックリ体験談
どこが世界一!?非公認の主張もある
デスバレーの記録は100年以上昔の数値のため、現代とは観測方法が異なり正確な数値か定かではないという意見もあります。非公式の記録を含めると、ヒートバーストなどの影響で瞬間的に90℃を計測したこともあるようです。
世界はどこまで暑くなるのか
2024年7月21、22日は世界の観測史上最も暑い日となりました。
世界平均気温は21日に17.09℃、22日に17.15℃を記録し、温暖化の影響が年々深刻になっていることがわかります。日本でも平均気温が平年と比較しプラス1.76℃となり、2023年と並んで観測史上最も暑い夏になりました。
世界はいったいどこまで暑くなるのでしょうか?
レディング大学国立大気科学センター・気象学部研究員のアクシャイ・デオラス博士は、「温室効果ガスの排出を急速に削減し、地球温暖化を抑制しない限り、気象記録は今後も頻繁に更新される」と発言しています。
世界には日本より暑い場所がたくさんある
今回、日本よりも暑い国をたくさん紹介してきましたが、体感気温は実際の数値だけでなく、湿度や太陽光などの様々な要因で感じ方が変わるものです。徐々に涼しくなってきてはいますが、まだまだ油断は禁物。熱中症にはくれぐれも注意しましょう。
地球温暖化が世界中で騒がれる中、日本もまだまだ暑い日々が続きます。節電やエコバッグの活用など、身近なところから地球にやさしい活動を心がけていきたいですね。