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砂漠に住んでいる穏やかで優しそうなラクダ。体の特徴と言えば、誰もが背中にある大きなこぶを思い浮かべますよね。砂漠や荒野で飲まず食わず何日も生活できる生体の秘密は、こぶにあるようです。
ラクダの種類によってこぶの数が変わりますが、何か違いがあるのでしょうか。そもそも、なぜラクダにこぶがあるのか気になりますよね。
このコラムではラクダのこぶの秘密はもちろん、同じような体の役割をもつ他の動物も紹介します。動物園に行ったときや小さいお子さんから質問されたときに、きっと役立つナレッジですので、ぜひチェックしてくださいね。
広大な砂漠や岩ばかりの荒地が生息地であるラクダは、-30℃~40℃という寒暖差の激しい環境で暮らしています。ラクダの体は砂漠で暮らすのに適したつくりをしており、その特徴の1つが背中のこぶです。
ラクダのこぶは砂漠を生き抜くための「貯水タンク」と呼ばれることがありますが、実のところ、こぶの中身は水ではなく脂肪です。30kg~100kgとラクダによってこぶの重さは違いますが、食事ができない期間が続くと、こぶに蓄えている脂肪を消費するため徐々に小さくなります。
また、脂肪を燃焼させる際にわずかながら水素が水になるため、口から水分や食べ物を摂らなくても2~3か月は生活できるのがラクダの特徴です。あまりにも飲まず食わずで広大な砂漠を旅していると、こぶの中の脂肪を使い果たしてしまい、こぶがしぼんだり垂れたりすることもあるようです。
ラクダのこぶの脂肪は断熱材の働きもあります。日光が照りつける背中から熱が入り込むのを防ぎ、体温が上昇しすぎないように放熱を促す働きもあり万能なスペックです。
ラクダは生まれたときからこぶがあるのでしょうか。 実は、らくだの赤ちゃんはこぶが膨らんでいない状態で生まれてきます。こぶになる背中の部分は脂肪をまだ蓄えていないため皮膚がたるんでいます。成長の過程で、背中の貯蔵袋に脂肪が蓄えられていくのです。
こぶが1つしかないラクダがヒトコブラクダで、2つあるのがフタコブラクダです。こぶの数以外にも生息地やからだのつくりが違います。 ヒトコブラクダは西アジアやアフリカに生息しており、短い体毛と長くすらっとした足が特徴です。対して、フタコブラクダは中央アジアの岩場や砂漠で暮らしており、多い体毛と短い足が特徴です。
ヒトコブラクダとフタコブラクダをかけ合わせて生まれるラクダのこぶは何個になるのでしょうか。 正解は1.5個で、ヒトコブハンラクダと呼ばれます。大きく明瞭なこぶではなく、なだらかで長く低いこぶが特徴です。異種のラクダをかかけ合わせるとどちらかが優劣になると思いきや、中間の形質となっているようですね。
ラクダと聞くとこぶがすぐに思い浮かびますが、実はほかにも砂漠や荒地という過酷な環境で生き延びるための体の特徴があります。どのような特徴があるか、以下で詳しく見ていきましょう。
1つは反芻(はんすう)です。 ラクダが主食にする植物は消化が悪いため、何度もよく噛んですりつぶさなければなりません。まずは丈夫な舌と唇を使って硬い植物もよく噛んで飲み込みます。胃である程度消化されると口に戻し、もう一度よく噛み飲み込みます。この工程を繰り返すことで栄養価の低い植物のみでも生きていけるのです。
ちなみに、反芻動物は胃が4つに分かれていますが、ラクダは3つ目と4つ目の胃の区別がつきにくいため、3つの胃をもつ珍しい反芻動物と言われることもあります。
ラクダの基本体温は36℃前後。しかし、日中は暑く夜は冷え込む砂漠で、外気温と体温との温度差を減らすために34~42℃まで体温調節ができます。外気温に合わせて体温を変化させるので、ラクダは汗をあまりかきません。1度に80~135Lの水を飲むラクダですが、何日も水を飲まず生活できるので、体内水分の節約家といえますね。
ほとんどの哺乳類は体内の毒素を排出するために尿を出しますが、ラクダは尿をリサイクルできるため、尿の濃度は濃く、排出量が1日当たり1Lと体の大きさに対してかなり少ないのも特徴です。
また、人間であれば体重の10%の水分が失われると危険ですが、ラクダは体重の40%の水分が失われても生命の危機にはなりません。砂漠で生きていくためのラクダ特有のスペックですね。
ラクダの乳はドバイではスーパーに行っても買えるほど流通しており、牛乳とは違う独特の野性的な香りが特徴です。また、中東アジアではラクダの肉も栄養価の高い食材として一般の過程で食べられています。
では、脂肪の貯蔵庫であるラクダのこぶも食べられるのでしょうか。こぶも食用になりますが日本でほとんど見かけません。それもそのはず脂肪の塊なので、クセが強くて脂っこい味わいは日本人の口にはあまり合わないのでしょう。 ちなみにラクダの肉であれば、こぶよりは日本人も食べやすい味と言われていますよ。
水や食べ物を数日摂れない環境でも生き延びるラクダの秘密は、脂肪を蓄えている背中のこぶにありました。 世界には他にも、ラクダのように生息地の環境に合わせて生き延びるため、脂肪を体内に蓄えている動物がいます。特に極寒の地で生活している動物や冬眠する動物は、体温維持するために脂肪の蓄えは大切です。 ここからはラクダ以外に脂肪を蓄えている3種類の動物を紹介していきます。
アザラシは極寒の地で暮らし、冷たい海でエサを探し泳ぎ回りますが、体毛は短いので保温効果はあまりないのが現実です。しかし、分厚い脂肪をため込んでいるので、アザラシの体脂肪率は50%以上もあります。脂肪の厚さは約10cmにもなるようで、寒さをしのぐために役立っています。
また、ラクダと同じようになかなかエサを摂れないときは、ため込んでいる脂肪を燃焼させてしのぐこともあります。 ちなみにアザラシを主食とするホッキョクグマにとっては、アザラシの脂肪を摂取することが生き延びることにつながっています。
ペンギンもアザラシに負けず劣らずの体脂肪率40%。寒い氷の上や海中でも動き回れるように足首のほうまで分厚い脂肪で覆われており、股はほとんど開きません。ペンギンならではの愛くるしいよちよち歩きは、脂肪が理由だったのですね。
羽毛と蓄えた脂肪による断熱効果で、ペンギンの体温は約38℃と高いのが特徴です。南極の寒く過酷な環境の中でも成長してゆくために、脂肪の貯蔵は欠かせませんね。
コウモリは冬は昆虫が少なくなり食料を手に入れにくくなるため、生き延びるために冬眠します。秋頃から脂肪を蓄えはじめ、越冬に必要な脂肪がしっかり貯まった状態で冬眠を始めます。
冬眠中はほぼ仮死状態にあり、もちろん食べることができません。11月~3月の間は外気温と同じレベルまで体温を下げることで省エネ化し、体内に貯蔵している脂肪を燃焼させて命をつなぎます。
垂れ目気味でのんびりゆったりとした雰囲気が人気のラクダ。日本では動物園でしか見られませんが、その愛らしい姿には砂漠や荒野など過酷な環境でも生き抜くための不思議な魅力がたくさんあります。
背中のこぶというエネルギータンクを持っているので、少ない水と食料しかなくても生き延びるラクダは、広大な砂漠を旅する人間たちにとって心強い相棒だったことでしょう。 動物園へラクダに会いに行ったときは、魅力たっぷりの背中のこぶをじっくり観察してみてくださいね。
砂漠に住んでいる穏やかで優しそうなラクダ。体の特徴と言えば、誰もが背中にある大きなこぶを思い浮かべますよね。砂漠や荒野で飲まず食わず何日も生活できる生体の秘密は、こぶにあるようです。
ラクダの種類によってこぶの数が変わりますが、何か違いがあるのでしょうか。そもそも、なぜラクダにこぶがあるのか気になりますよね。
このコラムではラクダのこぶの秘密はもちろん、同じような体の役割をもつ他の動物も紹介します。動物園に行ったときや小さいお子さんから質問されたときに、きっと役立つナレッジですので、ぜひチェックしてくださいね。
目次
ラクダのこぶは何のためにある?
広大な砂漠や岩ばかりの荒地が生息地であるラクダは、-30℃~40℃という寒暖差の激しい環境で暮らしています。ラクダの体は砂漠で暮らすのに適したつくりをしており、その特徴の1つが背中のこぶです。
ラクダのこぶは砂漠を生き抜くための「貯水タンク」と呼ばれることがありますが、実のところ、こぶの中身は水ではなく脂肪です。30kg~100kgとラクダによってこぶの重さは違いますが、食事ができない期間が続くと、こぶに蓄えている脂肪を消費するため徐々に小さくなります。
また、脂肪を燃焼させる際にわずかながら水素が水になるため、口から水分や食べ物を摂らなくても2~3か月は生活できるのがラクダの特徴です。あまりにも飲まず食わずで広大な砂漠を旅していると、こぶの中の脂肪を使い果たしてしまい、こぶがしぼんだり垂れたりすることもあるようです。
ラクダのこぶの脂肪は断熱材の働きもあります。日光が照りつける背中から熱が入り込むのを防ぎ、体温が上昇しすぎないように放熱を促す働きもあり万能なスペックです。
ラクダのこぶは生まれたときからある?
ラクダは生まれたときからこぶがあるのでしょうか。
実は、らくだの赤ちゃんはこぶが膨らんでいない状態で生まれてきます。こぶになる背中の部分は脂肪をまだ蓄えていないため皮膚がたるんでいます。成長の過程で、背中の貯蔵袋に脂肪が蓄えられていくのです。
ヒトコブラクダとフタコブラクダの違いは?
こぶが1つしかないラクダがヒトコブラクダで、2つあるのがフタコブラクダです。こぶの数以外にも生息地やからだのつくりが違います。
ヒトコブラクダは西アジアやアフリカに生息しており、短い体毛と長くすらっとした足が特徴です。対して、フタコブラクダは中央アジアの岩場や砂漠で暮らしており、多い体毛と短い足が特徴です。
ヒトコブラクダとフタコブラクダの子供は何個のこぶを持つ?
ヒトコブラクダとフタコブラクダをかけ合わせて生まれるラクダのこぶは何個になるのでしょうか。
正解は1.5個で、ヒトコブハンラクダと呼ばれます。大きく明瞭なこぶではなく、なだらかで長く低いこぶが特徴です。異種のラクダをかかけ合わせるとどちらかが優劣になると思いきや、中間の形質となっているようですね。
こぶ以外にも特徴があるって本当?
ラクダと聞くとこぶがすぐに思い浮かびますが、実はほかにも砂漠や荒地という過酷な環境で生き延びるための体の特徴があります。どのような特徴があるか、以下で詳しく見ていきましょう。
反芻して栄養を摂る
1つは反芻(はんすう)です。
ラクダが主食にする植物は消化が悪いため、何度もよく噛んですりつぶさなければなりません。まずは丈夫な舌と唇を使って硬い植物もよく噛んで飲み込みます。胃である程度消化されると口に戻し、もう一度よく噛み飲み込みます。この工程を繰り返すことで栄養価の低い植物のみでも生きていけるのです。
ちなみに、反芻動物は胃が4つに分かれていますが、ラクダは3つ目と4つ目の胃の区別がつきにくいため、3つの胃をもつ珍しい反芻動物と言われることもあります。
体温変化と水分調節
ラクダの基本体温は36℃前後。しかし、日中は暑く夜は冷え込む砂漠で、外気温と体温との温度差を減らすために34~42℃まで体温調節ができます。外気温に合わせて体温を変化させるので、ラクダは汗をあまりかきません。1度に80~135Lの水を飲むラクダですが、何日も水を飲まず生活できるので、体内水分の節約家といえますね。
ほとんどの哺乳類は体内の毒素を排出するために尿を出しますが、ラクダは尿をリサイクルできるため、尿の濃度は濃く、排出量が1日当たり1Lと体の大きさに対してかなり少ないのも特徴です。
また、人間であれば体重の10%の水分が失われると危険ですが、ラクダは体重の40%の水分が失われても生命の危機にはなりません。砂漠で生きていくためのラクダ特有のスペックですね。
ラクダのこぶは食べられる?
ラクダの乳はドバイではスーパーに行っても買えるほど流通しており、牛乳とは違う独特の野性的な香りが特徴です。また、中東アジアではラクダの肉も栄養価の高い食材として一般の過程で食べられています。
では、脂肪の貯蔵庫であるラクダのこぶも食べられるのでしょうか。こぶも食用になりますが日本でほとんど見かけません。それもそのはず脂肪の塊なので、クセが強くて脂っこい味わいは日本人の口にはあまり合わないのでしょう。
ちなみにラクダの肉であれば、こぶよりは日本人も食べやすい味と言われていますよ。
ラクダ以外に脂肪を蓄える動物はいる?
水や食べ物を数日摂れない環境でも生き延びるラクダの秘密は、脂肪を蓄えている背中のこぶにありました。
世界には他にも、ラクダのように生息地の環境に合わせて生き延びるため、脂肪を体内に蓄えている動物がいます。特に極寒の地で生活している動物や冬眠する動物は、体温維持するために脂肪の蓄えは大切です。
ここからはラクダ以外に脂肪を蓄えている3種類の動物を紹介していきます。
アザラシ
アザラシは極寒の地で暮らし、冷たい海でエサを探し泳ぎ回りますが、体毛は短いので保温効果はあまりないのが現実です。しかし、分厚い脂肪をため込んでいるので、アザラシの体脂肪率は50%以上もあります。脂肪の厚さは約10cmにもなるようで、寒さをしのぐために役立っています。
また、ラクダと同じようになかなかエサを摂れないときは、ため込んでいる脂肪を燃焼させてしのぐこともあります。
ちなみにアザラシを主食とするホッキョクグマにとっては、アザラシの脂肪を摂取することが生き延びることにつながっています。
ペンギン
ペンギンもアザラシに負けず劣らずの体脂肪率40%。寒い氷の上や海中でも動き回れるように足首のほうまで分厚い脂肪で覆われており、股はほとんど開きません。ペンギンならではの愛くるしいよちよち歩きは、脂肪が理由だったのですね。
羽毛と蓄えた脂肪による断熱効果で、ペンギンの体温は約38℃と高いのが特徴です。南極の寒く過酷な環境の中でも成長してゆくために、脂肪の貯蔵は欠かせませんね。
コウモリ
コウモリは冬は昆虫が少なくなり食料を手に入れにくくなるため、生き延びるために冬眠します。秋頃から脂肪を蓄えはじめ、越冬に必要な脂肪がしっかり貯まった状態で冬眠を始めます。
冬眠中はほぼ仮死状態にあり、もちろん食べることができません。11月~3月の間は外気温と同じレベルまで体温を下げることで省エネ化し、体内に貯蔵している脂肪を燃焼させて命をつなぎます。
ラクダのこぶには過酷な環境で生き抜く工夫がつまっている
垂れ目気味でのんびりゆったりとした雰囲気が人気のラクダ。日本では動物園でしか見られませんが、その愛らしい姿には砂漠や荒野など過酷な環境でも生き抜くための不思議な魅力がたくさんあります。
背中のこぶというエネルギータンクを持っているので、少ない水と食料しかなくても生き延びるラクダは、広大な砂漠を旅する人間たちにとって心強い相棒だったことでしょう。
動物園へラクダに会いに行ったときは、魅力たっぷりの背中のこぶをじっくり観察してみてくださいね。