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皆さんは、世界中で抹茶ブームが巻き起こっていることをご存知でしょうか? 農林水産省の統計によると、昨年、抹茶を含む日本茶の輸出額は約292億円となって過去最高額を記録し、一昨年と比べても約1.3倍に増加しているということです。 欧米やアジアを中心に『Japanese Tea』や『Matcha』と呼ばれて大人気になっています。
今回は、その抹茶に焦点をあて、抹茶好きな人にも、これから好きになりたい人にも、楽しんでいただける豆知識と情報をまとめて提供したいと思います。
抹茶に、少し抵抗を感じてしまう人のほとんどは、作法が心配なのではないでしょうか? しかし、外出先で抹茶をいただく際に気をつけなければならないことは、実は、それほど多くありません。
今回紹介する3つのポイントさえ押さえておけば、お茶席でも安心して抹茶を楽しむことができるようになります。さっそく、学んでいきましょう。
お茶会の席では、最初にお菓子、次に抹茶が出てきます。 最近は、両方同時に出てくるケースも多いようですが、問題ありません。 どちらにしても、まずは、お菓子を食べると覚えましょう。 食べ方は、一口で食べたり、細切れにはせず、半分に切って食べれば間違いありません。
お菓子を食べるとき、抹茶をいただくとき、どちらの場合でも軽くご挨拶をしてください。お茶会の席では、同席者への気配りがマナーの1つになります。『お先に』のあと『お点前頂戴します』といって飲むようにしましょう。
お菓子を食べきったら、抹茶の番です。
ご挨拶をしてから、出されたお茶碗は、右手で取って左手にのせ、両手で時計回りに180度回したあと、出されたときとは反対むきにして飲むようにします。 左手でお茶碗の底を持ち、右手はお茶碗の右側に添えるような形ですね。
抹茶は、3~4回に分けて飲みきってください。 お茶碗の飲み口を右手の親指と人差し指で拭い、指は懐紙か、懐紙がないときはハンカチなどで拭きましょう。
最後に、お茶碗を反時計回りに回し、正面を元に戻して終了です。 お茶碗の正面には、綺麗な絵つけがされていることが多く、正面を汚さないことで持ち主への敬意を表すと考えれば、理解し易いのではないでしょうか。
お茶室の内外には、季節を感じさせる生け花や茶道具など、和の趣を感じさせる演出がされています。茶をいただいたあとは、これらの景色も存分に体験して楽しんでくださいね。 もしかしたら、お茶室が日本庭園の中にあるかも知れません。 そんなときは、楽しみがより膨らみ、豊かな時間が過ごせそうです。
和室のお茶室には、季節を盛り込んだ様々な演出が施されています。 掛け軸や生け花は、季節を反映したものになっているのが基本です。 『侘び寂び(わびさび)』の精神を尊重している茶道ですから、ルールとして華やかな飾りつけはされていません。質素な中に趣を感じて欲しい、そんな演出がなされているはずです。
また、茶道具自体にも和の趣が凝縮されています。 お茶碗・茶入・茶杓(ちゃしゃく)置き・花瓶・茶釜など、細かいところにも気を配って鑑賞すれば、心を豊かにする時間を過ごすことができるでしょう。
お茶室の外側にあるお庭は『内露地(うちろじ)』と呼ばれ、お茶室に入るまでの待合のようなところは『外露地(そとろじ)』と呼ばれています。 お茶席への参加は、お茶室に入る前から始まり、この露地には松や熊笹などの植栽や飛び石、ししおどしなどが配置されています。ひとつひとつ鑑賞していけば十分に風情を楽しむことができますね。
そして、お茶室の中からの景色にもぜひ注目してみましょう。 お茶室の中は畳に土壁、竹細工などが用いられ、連子窓(れんじまど)が設けられていることが多いですが、光と陰のバランスが絶妙になる時間帯もあり、変化は尽きないと思います。
お茶席での作法も、それほど心配する必要がないと分りましたが、自宅でいただくのが自由で一番リラックスできますよね。 自宅で抹茶を点てることは、ハードルが高いと思う方もいるかも知れませんが、そんなことはありません。では、抹茶を自宅で楽しむには、どのような茶道具が必要なのでしょうか。
自宅で抹茶をいただく場合、最低限あった方がよい道具を紹介しましょう。
※抹茶と粉末茶を間違えないようご注意ください。抹茶は、碾茶(てんちゃ)を石臼で挽いたものです。粉末茶は煎茶など緑茶を粉状にしたもので、抹茶とは製法も味わいも大きく異なります。(後の章で詳しく解説)
お茶碗は、基本的にはお好きなカップを使っていただいて構いません。マグカップのようなものでも大丈夫ですが、茶筅を使用しますので、飲み口が広めのタイプのものをお勧めします。
また器によって味が変わるということは、実際に言われているそうです。できれば専用の抹茶椀をお茶屋さんの店頭や焼物市、和雑貨店などでお気に入りのひとつを購入してみるといいでしょう。
倭物やカヤでも販売されていますのでぜひお立ち寄りください。
※店舗によりラインナップが異なります。 詳しくはスタッフへお問い合わせください
抹茶は『淹れる』ではなく『点てる』と表現しますね。 これは『点心』が由来になっています。 『点心』には、空腹に点を打つという『小腹を満たす』意味があり、仏教の禅宗では茶と一緒に食べる食事のことも指しているようです。 お茶請けに欠かせない饅頭は、肉まんがヒントになったという説もあります。 それでは、自宅での抹茶の点て方について、流れを見ていきましょう。
まずは、準備です。 最初に、抹茶を茶こしでふるいにかけてください。 これは、茶筅でかき混ぜるとき、抹茶がダマにならないようにするためです。 一杯分の抹茶は1.5~2g(茶杓2杯分)が目安となります。
次に、お茶碗と茶筅をお湯で温めます。 お茶碗に熱湯を注ぎ、茶筅でかき混ぜてください。 これは、お茶碗が冷えていると抹茶の温度が下がってしまい、風味が十分に楽しめなくなってしまうからです。 また、茶筅は乾燥していると穂先が折れやすくなるため、事前に温めて湿らすことで、抹茶をしなやかに点てることができるようになります。
これで準備は完了です。
お茶碗に抹茶を入れたら、夏であれば70~80度、冬であれば75~85度ぐらいのお湯を70ccぐらい注いでください。
茶筅での混ぜ方は、茶筅で『M』の字を描くように素早く上下に15秒ぐらいかき混ぜてください。綺麗に泡立ったら、目の粗い泡を茶筅で潰して、滑らかに整えます。 最後に『の』の字を描くように一混ぜし、真ん中から茶筅を引き上げてください。 当然ですが、お茶碗は片手で押さえながらの所作となります。
料理は目で楽しむという言葉があります。 抹茶が料理なのかは、意見が分かれるかも知れませんが、お茶碗やお菓子をのせる器を一工夫してみたり、お菓子そのものに趣向を凝らして新鮮な楽しみ方ができるのも、自宅抹茶の魅力の1つかも知れないですね。
お茶席では、和菓子が定番で『練り切り』が出されることが多いと思います。 自宅なら思い切って、おいしいと思っている洋菓子にしてみたり、自分が好きなお菓子を試してみることもできます。
器にしても、和洋を問わず、色々と試してみるのも一興です。
抹茶の飲み方・楽しみ方について紹介してきました。 ここからは、ちょっとした雑学として、抹茶の作られ方と茶道の代名詞ともいえる三千家(さんせんけ)について、解説してみようと思います。
抹茶は緑茶の一種ですが、碾茶を石臼で粉末状にしたものです。 では、その碾茶とはどういうものなのでしょうか。
碾茶は、茶葉に日光が当たらないよう、収穫の3週間ぐらい前から茶畑をよしずなどで覆い、茶葉が大きくなり過ぎる前に収穫、次のような工程で作られています。
収穫された茶葉は、すぐに蒸されて酸化酵素の働きをとめ、乾燥させてから葉脈と茎を取り除きます。そして、炉を使ってさらに乾燥させ、冷蔵庫に移して、冷温除湿の常態で熟成させているのです。
このような工程を経た碾茶を粉末にすることで、ふくよかな香りとまろやかな味、とろけるような舌ざわりが実現されています。
碾茶の製法は、安土桃山時代に上林久重(かんばやしひさしげ)が考案したということです。
日本にお茶の木が伝わったのは、鎌倉時代です。 臨済宗の開祖である栄西が、中国での仏教修行のあと、お茶の種を持ち帰っていて、そのため、栄西は『茶祖』と呼ばれています。14世紀になると石臼が使われるようになり、現在に通じるきめ細かな抹茶が作られるようになっています。
私たちは、茶道といえば千家とか千利休を思い浮かべてしまいますが、安土桃山時代や江戸時代においては、抹茶は非常に高価なもので、庶民には縁遠いものでした。 抹茶の原料になる碾茶は、幕府の許可を得た宇治茶師にしか生産が許されていません。 一方、煎茶については、江戸時代には庶民の暮らしに定着していたようです。
抹茶が庶民の間に普及していくのは、大正時代以降となります。 三千家とは、表千家・裏千家・武者小路千家の総称。三千家とも、始祖は千利休とされていますが、千利休直系の本家が表千家、分家が裏千家と武者小路千家で、三千家を名乗り始めた3人の人物は、全員が千利休のひ孫で兄弟でした。これ以降、三千家は分家を認めていないので、千家といえば、この三家しかないということになります。
現在では千家以外にも多数の流派が存在しますが、今もなお三千家は現在まで茶道を歴史を紡いできているのです。
いかがでしたでしょうか。その飲み方から楽しみ方、雑学までご紹介してきました。
今や、日本のみにとどまらず世界中で大人気の抹茶。 お茶席にはマナーがありましたが、それは難しいものではなく、同席者への思いやりの心さえあれば、数回で身についてしまうものです。次に抹茶をいただく機会があるときには、その深い魅力に、あらためて気づくことができるかもしれません。
私たちの生活に浸透してきている抹茶。私たち日本人にとってそうであったように、これからは、世界中の人々にとって、なくてはならない存在になっていくのではないでしょうか。より抹茶に親しみ、「和の心」を伝えていきたいですね。
皆さんは、世界中で抹茶ブームが巻き起こっていることをご存知でしょうか?
農林水産省の統計によると、昨年、抹茶を含む日本茶の輸出額は約292億円となって過去最高額を記録し、一昨年と比べても約1.3倍に増加しているということです。
欧米やアジアを中心に『Japanese Tea』や『Matcha』と呼ばれて大人気になっています。
今回は、その抹茶に焦点をあて、抹茶好きな人にも、これから好きになりたい人にも、楽しんでいただける豆知識と情報をまとめて提供したいと思います。
目次
大切なポイントは3つだけ!抹茶の正しい飲み方(お菓子・挨拶・回し方)
抹茶に、少し抵抗を感じてしまう人のほとんどは、作法が心配なのではないでしょうか?
しかし、外出先で抹茶をいただく際に気をつけなければならないことは、実は、それほど多くありません。
今回紹介する3つのポイントさえ押さえておけば、お茶席でも安心して抹茶を楽しむことができるようになります。さっそく、学んでいきましょう。
一、抹茶とお菓子が同時に出てきたら、まずはお菓子を
お茶会の席では、最初にお菓子、次に抹茶が出てきます。
最近は、両方同時に出てくるケースも多いようですが、問題ありません。
どちらにしても、まずは、お菓子を食べると覚えましょう。
食べ方は、一口で食べたり、細切れにはせず、半分に切って食べれば間違いありません。
二、マナーとしてのご挨拶を忘れずに
お菓子を食べるとき、抹茶をいただくとき、どちらの場合でも軽くご挨拶をしてください。お茶会の席では、同席者への気配りがマナーの1つになります。『お先に』のあと『お点前頂戴します』といって飲むようにしましょう。
三、お茶碗の回し方
お菓子を食べきったら、抹茶の番です。
ご挨拶をしてから、出されたお茶碗は、右手で取って左手にのせ、両手で時計回りに180度回したあと、出されたときとは反対むきにして飲むようにします。
左手でお茶碗の底を持ち、右手はお茶碗の右側に添えるような形ですね。
抹茶は、3~4回に分けて飲みきってください。
お茶碗の飲み口を右手の親指と人差し指で拭い、指は懐紙か、懐紙がないときはハンカチなどで拭きましょう。
最後に、お茶碗を反時計回りに回し、正面を元に戻して終了です。
お茶碗の正面には、綺麗な絵つけがされていることが多く、正面を汚さないことで持ち主への敬意を表すと考えれば、理解し易いのではないでしょうか。
心を豊かにもち、お茶室やお庭を楽しみましょう
お茶室の内外には、季節を感じさせる生け花や茶道具など、和の趣を感じさせる演出がされています。茶をいただいたあとは、これらの景色も存分に体験して楽しんでくださいね。
もしかしたら、お茶室が日本庭園の中にあるかも知れません。
そんなときは、楽しみがより膨らみ、豊かな時間が過ごせそうです。
お茶室の中
和室のお茶室には、季節を盛り込んだ様々な演出が施されています。
掛け軸や生け花は、季節を反映したものになっているのが基本です。
『侘び寂び(わびさび)』の精神を尊重している茶道ですから、ルールとして華やかな飾りつけはされていません。質素な中に趣を感じて欲しい、そんな演出がなされているはずです。
また、茶道具自体にも和の趣が凝縮されています。
お茶碗・茶入・茶杓(ちゃしゃく)置き・花瓶・茶釜など、細かいところにも気を配って鑑賞すれば、心を豊かにする時間を過ごすことができるでしょう。
お茶室のまわり
お茶室の外側にあるお庭は『内露地(うちろじ)』と呼ばれ、お茶室に入るまでの待合のようなところは『外露地(そとろじ)』と呼ばれています。
お茶席への参加は、お茶室に入る前から始まり、この露地には松や熊笹などの植栽や飛び石、ししおどしなどが配置されています。ひとつひとつ鑑賞していけば十分に風情を楽しむことができますね。
そして、お茶室の中からの景色にもぜひ注目してみましょう。
お茶室の中は畳に土壁、竹細工などが用いられ、連子窓(れんじまど)が設けられていることが多いですが、光と陰のバランスが絶妙になる時間帯もあり、変化は尽きないと思います。
自宅で楽しむ!おいしい抹茶の飲み方
お茶席での作法も、それほど心配する必要がないと分りましたが、自宅でいただくのが自由で一番リラックスできますよね。
自宅で抹茶を点てることは、ハードルが高いと思う方もいるかも知れませんが、そんなことはありません。では、抹茶を自宅で楽しむには、どのような茶道具が必要なのでしょうか。
茶道具の紹介
自宅で抹茶をいただく場合、最低限あった方がよい道具を紹介しましょう。
※抹茶と粉末茶を間違えないようご注意ください。抹茶は、碾茶(てんちゃ)を石臼で挽いたものです。粉末茶は煎茶など緑茶を粉状にしたもので、抹茶とは製法も味わいも大きく異なります。(後の章で詳しく解説)
器選びは大切。お茶碗によって味が変わることも。
お茶碗は、基本的にはお好きなカップを使っていただいて構いません。マグカップのようなものでも大丈夫ですが、茶筅を使用しますので、飲み口が広めのタイプのものをお勧めします。
また器によって味が変わるということは、実際に言われているそうです。できれば専用の抹茶椀をお茶屋さんの店頭や焼物市、和雑貨店などでお気に入りのひとつを購入してみるといいでしょう。
倭物やカヤでも販売されていますのでぜひお立ち寄りください。
※店舗によりラインナップが異なります。
詳しくはスタッフへお問い合わせください
自宅でゆっくりと抹茶時間を楽しむ、抹茶の点て方
抹茶は『淹れる』ではなく『点てる』と表現しますね。
これは『点心』が由来になっています。
『点心』には、空腹に点を打つという『小腹を満たす』意味があり、仏教の禅宗では茶と一緒に食べる食事のことも指しているようです。
お茶請けに欠かせない饅頭は、肉まんがヒントになったという説もあります。
それでは、自宅での抹茶の点て方について、流れを見ていきましょう。
一、準備のポイント
まずは、準備です。
最初に、抹茶を茶こしでふるいにかけてください。
これは、茶筅でかき混ぜるとき、抹茶がダマにならないようにするためです。
一杯分の抹茶は1.5~2g(茶杓2杯分)が目安となります。
次に、お茶碗と茶筅をお湯で温めます。
お茶碗に熱湯を注ぎ、茶筅でかき混ぜてください。
これは、お茶碗が冷えていると抹茶の温度が下がってしまい、風味が十分に楽しめなくなってしまうからです。
また、茶筅は乾燥していると穂先が折れやすくなるため、事前に温めて湿らすことで、抹茶をしなやかに点てることができるようになります。
これで準備は完了です。
二、お茶碗にお湯を
お茶碗に抹茶を入れたら、夏であれば70~80度、冬であれば75~85度ぐらいのお湯を70ccぐらい注いでください。
三、茶筅(ちゃせん)で点てる
茶筅での混ぜ方は、茶筅で『M』の字を描くように素早く上下に15秒ぐらいかき混ぜてください。綺麗に泡立ったら、目の粗い泡を茶筅で潰して、滑らかに整えます。
最後に『の』の字を描くように一混ぜし、真ん中から茶筅を引き上げてください。
当然ですが、お茶碗は片手で押さえながらの所作となります。
器やお菓子を工夫して、より楽しんでみる!
料理は目で楽しむという言葉があります。
抹茶が料理なのかは、意見が分かれるかも知れませんが、お茶碗やお菓子をのせる器を一工夫してみたり、お菓子そのものに趣向を凝らして新鮮な楽しみ方ができるのも、自宅抹茶の魅力の1つかも知れないですね。
お茶席では、和菓子が定番で『練り切り』が出されることが多いと思います。
自宅なら思い切って、おいしいと思っている洋菓子にしてみたり、自分が好きなお菓子を試してみることもできます。
器にしても、和洋を問わず、色々と試してみるのも一興です。
抹茶の基礎知識
抹茶の飲み方・楽しみ方について紹介してきました。
ここからは、ちょっとした雑学として、抹茶の作られ方と茶道の代名詞ともいえる三千家(さんせんけ)について、解説してみようと思います。
抹茶の製法と碾茶(てんちゃ)
抹茶は緑茶の一種ですが、碾茶を石臼で粉末状にしたものです。
では、その碾茶とはどういうものなのでしょうか。
碾茶は、茶葉に日光が当たらないよう、収穫の3週間ぐらい前から茶畑をよしずなどで覆い、茶葉が大きくなり過ぎる前に収穫、次のような工程で作られています。
収穫された茶葉は、すぐに蒸されて酸化酵素の働きをとめ、乾燥させてから葉脈と茎を取り除きます。そして、炉を使ってさらに乾燥させ、冷蔵庫に移して、冷温除湿の常態で熟成させているのです。
このような工程を経た碾茶を粉末にすることで、ふくよかな香りとまろやかな味、とろけるような舌ざわりが実現されています。
碾茶の製法は、安土桃山時代に上林久重(かんばやしひさしげ)が考案したということです。
抹茶の由来と日本の茶文化
日本にお茶の木が伝わったのは、鎌倉時代です。
臨済宗の開祖である栄西が、中国での仏教修行のあと、お茶の種を持ち帰っていて、そのため、栄西は『茶祖』と呼ばれています。14世紀になると石臼が使われるようになり、現在に通じるきめ細かな抹茶が作られるようになっています。
私たちは、茶道といえば千家とか千利休を思い浮かべてしまいますが、安土桃山時代や江戸時代においては、抹茶は非常に高価なもので、庶民には縁遠いものでした。
抹茶の原料になる碾茶は、幕府の許可を得た宇治茶師にしか生産が許されていません。
一方、煎茶については、江戸時代には庶民の暮らしに定着していたようです。
抹茶が庶民の間に普及していくのは、大正時代以降となります。
三千家とは、表千家・裏千家・武者小路千家の総称。三千家とも、始祖は千利休とされていますが、千利休直系の本家が表千家、分家が裏千家と武者小路千家で、三千家を名乗り始めた3人の人物は、全員が千利休のひ孫で兄弟でした。これ以降、三千家は分家を認めていないので、千家といえば、この三家しかないということになります。
現在では千家以外にも多数の流派が存在しますが、今もなお三千家は現在まで茶道を歴史を紡いできているのです。
抹茶は和の心、そして、世界へ!
いかがでしたでしょうか。その飲み方から楽しみ方、雑学までご紹介してきました。
今や、日本のみにとどまらず世界中で大人気の抹茶。
お茶席にはマナーがありましたが、それは難しいものではなく、同席者への思いやりの心さえあれば、数回で身についてしまうものです。次に抹茶をいただく機会があるときには、その深い魅力に、あらためて気づくことができるかもしれません。
私たちの生活に浸透してきている抹茶。私たち日本人にとってそうであったように、これからは、世界中の人々にとって、なくてはならない存在になっていくのではないでしょうか。より抹茶に親しみ、「和の心」を伝えていきたいですね。