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世界中でも愛好者が多いインド音楽。 インド音楽は世界中にいろんな影響を与えています。 日本の三味線もインドの楽器の奏法をまねて成立したと考えられており興味深いですね。 またビートルズがシタールという弦楽器を使ったことでも有名です。 今回は世界中で人気のインド音楽について詳しく見ていきましょう!
インド音楽は北インドと南インドで特徴が異なります。 インドの音楽は北インドでも南インドでもラーガと呼ばれるメロディの旋律とターラと呼ばれるリズムの規則があるのが特徴です。
ラーガは西洋音楽で言う音階に当たると考えられますが、それだけでなく表現すべき感情や演奏する時間帯や季節なども含まれています。 その数は膨大だと考えられており、インド音楽の魅力を引き立たせるのに一役買っているとか。
この規則にのっとって即興で演奏が奏でられるため、同じ奏者、同じ曲であっても一回一回違う演奏になるのもインド音楽の面白いところです。
北インドはヒンドゥスターニー音楽と呼ばれイスラム王朝の宮廷音楽を指します。 インド各地やペルシア、中央アジアからの客人にもわかりやすい音楽を演奏するために「ああ~」と声を伸ばした瞑想的な音楽が特徴です。
また、ドローン音という演奏中背後で流れる基準音がインドの古典音楽の特徴のひとつでタンプーラという弦楽器が使われます。 この音楽はもともと演劇に付随するものでしたが、現在では音楽単体でも楽しまれています。
南インドの音楽はカルナーティック音楽と呼ばれ、イスラムの勢力の影響が少なかった影響か、インド独自の伝統が色濃く残っています。 「カルナータカ」とも言われ「南インド」「伝統」という意味が含まれていますが、現在のインドではロックやポップスなどの音楽と古典音楽の融合が頻繁に行われていて新しいジャンルの音楽も誕生しています。
こちらの古典音楽もほとんどが即興演奏でヒンドゥスターニー音楽と似ていますが、厳密な規則を持って理論が重視されるのが大きく異なるポイントです。 また楽器よりも声楽が重視され、ボーカル主体のメロディが決まった歌が多いことも特徴です。
個性的なものが多いインドの楽器。神話と関係のあるものも多くみられます。 ここではインドの楽器の歴史や演奏方法などをご紹介していきます。
タンプーラはドローン音と呼ばれる基準音を奏でるための楽器です。 見た目はリュートのようですがラーガにふさわしい響きを作る役割を持ち、淡々と決められた音を弾き続けます。演奏方法はハープに近いです。
タンブーラの音色は蜂の羽音のような独特な雰囲気を持ちます。 弦を微妙に触れさせてビリビリした音を出すことも可能で、これは「ジャワリ」と呼ばれます。 これは日本の三味線の「サワリ」という微妙に本体に触れさせ音を出す奏法にあたり、三味線もインド楽器の影響が強いと考えられています。
音楽といえば「ノリ」が重要になると考える人も多いですが「一定に淡々と音を奏でる」という点がタンブーラの大きな特徴で、インド古典音楽において重要な楽器の一つです。
サントゥールはピアノの前身となったと考えられている楽器です。その起源はイランと言う説もあります。
名前の由来はペルシア語で「100本の弦」という意味を持ち、たくさんの弦が張られているのが特徴です。 台形の薄い木箱に弦を張った楽器で2本のミズバラと呼ばれるバチを小指以外の指で支え、弦を叩いて音を出します。
一つの音に対し4弦の弦が張られトレモロ(震えるという意味)奏法で演奏され、ピアノにはない4分の1低い音も含まれており独特で繊細な音色を奏でる独特な世界観を持つ楽器でもあります。
ピアノは鍵盤を押さえることによって中でハンマーが弦を叩き音が出る仕組みになっていますが、現代音楽ではピアノの弦を直接叩く奏法も見られます。まさにその演奏風景はサントゥールを彷彿とさせるでしょう。
グングルーは複数の鈴を紐や皮などでつなげた楽器です。楽器本体の振動によって音がなる体鳴楽器です。 打楽器を演奏する際、右腕に巻いて音を装飾的にだす役割を担います。
北インドで最も踊られるカタックダンスをはじめとする舞踊では足首に巻いて音を奏でます。カタックダンスは手の動きとフットワーク、眉を動かして表情を変えることなどによって様々な物語を語ります。ヒンドゥーとイスラム、両方の様式や文化を持っているのが特徴です。
マンジーラは北インドで見られる小型の2つ一組の小型シンバルです。 南インドではターラムと呼ばれます。
小型シンバルの楽器はネパールやチベットなどアジア広域でも使用され、それぞれ名称が異なります。
両手に一つずつ持って打つ奏法が最も一般的ですが、地域によっては振り回して使う場合もあり曲芸的にも使われます。面白い奏法もインド楽器の特徴だと言えるでしょう。
歌や踊りなどの宗教儀式や祭事にも古くから用いられ、キルタンという唄う瞑想でもよく使われます。 瞑想というと静かなイメージがありますが、キルタンは音楽が重視され非常に情緒的な瞑想です。インドならではの文化もインド音楽が発展を遂げてきた理由とも言えるでしょう。
プーンギは蛇使いの笛として知られています。ヒョウタンの底に竹などの筒を2本差し込んだもので、1本は低めの音程がなりつづけドローン音を奏でる役割をします。もう1本は穴が開いておりメロディを奏でます。
息を鼻から吸い込み頬を膨らませ循環呼吸を使うことで、絶えず音を出すことが可能です。 笛でありながら音を鳴らし続けることができる特殊な奏法が画期的であったため、様々な国にわたりました。 トルコではトルン、アフリカではガイタ、ハンガリーではドゥダという名称で呼ばれています。
ちなみに蛇には耳がないため、プーンギの動きによって反応していると考えられていますが、現在インドでは野生動物保護法が厳しくなり蛇使いは減少しているようです。
サラスワティ・ヴィーナはインドの代表的な弦楽器です。ヴィーナはインド古典音楽に用いられる弦楽器の総称で、古代インドの神話に登場する女神、サラスヴァティが演奏する聖なる楽器としても知られます。
サラスヴァティは学問や知恵、音楽などの女神で、その信仰は仏教を経て日本に渡りました。日本では弁財天として知られ、ヴィーナの代わりに琵琶を持っています。
床の上で足を組み、左手でフレットを押さえ、右手の人差し指と中指に金属製の爪を付けて弦をはじき、小指で副弦を響かせて演奏します。 7本の弦が張られており、演奏者に近い4本の弦が高弦で残りの3本はドローン音を鳴らします。
北インドのシタールに似ていますが、ネックには龍の飾りがついており、直径50センチの中が空洞の大きな共鳴器がついているのが違いです。
サラスワティ・ヴィーナは南インドでは楽器の女王と考えられ孔雀や白鳥、蓮の花などの装飾が施されている場合もあり見た目にも美しい楽器です。
ラーヴァナハタはバイオリンのもととなったと考えられている楽器です。 スリランカの王ラーヴァナの時代のタミル人やヘラ人の名前が由来とされています。 ラーヴァナがシヴァ神を崇めるためにラーヴァナハタを使ったという説もあります。
その奏法もバイオリンと同じで、竹や金属管、ココナッツの殻、馬の毛を使って作られています。 ヨーロッパの弓楽器はもとを辿るとアジアの楽器にさかのぼります。 馬の毛などを張った弓で弦を擦って鳴らす弦楽器はアジアで発明され、その後長い期間を経て広く普及しアラビアに伝わり、ラバーヴやルバーブなどいう名称で親しまれました。
その後それぞれスペインや東ヨーロッパなどにも伝わり、幾度もの進化を経てやがて16世紀の初めにバイオリンが誕生しました。
今回はインドの楽器に注目してみましたが、バイオリンや三味線などインドの楽器が世界中の楽器に影響を与えているということがわかります。 インドの古典音楽は現代の音楽を語る場合においてもとても重要です。インドでは頻繁に他の国の音楽との融合が行われ、今もなお進化し続けています。
日本でもインド映画から音楽(楽器)に興味を持った人もいるのではないでしょうか? 今回紹介した楽器はほんの一部。食や美術はもちろん、楽器からインドを知るのもおすすめです。
世界中でも愛好者が多いインド音楽。
インド音楽は世界中にいろんな影響を与えています。
日本の三味線もインドの楽器の奏法をまねて成立したと考えられており興味深いですね。
またビートルズがシタールという弦楽器を使ったことでも有名です。
今回は世界中で人気のインド音楽について詳しく見ていきましょう!
目次
南北で異なるインド音楽の特徴
インド音楽は北インドと南インドで特徴が異なります。
インドの音楽は北インドでも南インドでもラーガと呼ばれるメロディの旋律とターラと呼ばれるリズムの規則があるのが特徴です。
ラーガは西洋音楽で言う音階に当たると考えられますが、それだけでなく表現すべき感情や演奏する時間帯や季節なども含まれています。
その数は膨大だと考えられており、インド音楽の魅力を引き立たせるのに一役買っているとか。
この規則にのっとって即興で演奏が奏でられるため、同じ奏者、同じ曲であっても一回一回違う演奏になるのもインド音楽の面白いところです。
北インド:ヒンドゥスターニー音楽
北インドはヒンドゥスターニー音楽と呼ばれイスラム王朝の宮廷音楽を指します。
インド各地やペルシア、中央アジアからの客人にもわかりやすい音楽を演奏するために「ああ~」と声を伸ばした瞑想的な音楽が特徴です。
また、ドローン音という演奏中背後で流れる基準音がインドの古典音楽の特徴のひとつでタンプーラという弦楽器が使われます。
この音楽はもともと演劇に付随するものでしたが、現在では音楽単体でも楽しまれています。
南インド:カルナーティック音楽
南インドの音楽はカルナーティック音楽と呼ばれ、イスラムの勢力の影響が少なかった影響か、インド独自の伝統が色濃く残っています。
「カルナータカ」とも言われ「南インド」「伝統」という意味が含まれていますが、現在のインドではロックやポップスなどの音楽と古典音楽の融合が頻繁に行われていて新しいジャンルの音楽も誕生しています。
こちらの古典音楽もほとんどが即興演奏でヒンドゥスターニー音楽と似ていますが、厳密な規則を持って理論が重視されるのが大きく異なるポイントです。
また楽器よりも声楽が重視され、ボーカル主体のメロディが決まった歌が多いことも特徴です。
インドの楽器
個性的なものが多いインドの楽器。神話と関係のあるものも多くみられます。
ここではインドの楽器の歴史や演奏方法などをご紹介していきます。
タンブーラ
タンプーラはドローン音と呼ばれる基準音を奏でるための楽器です。
見た目はリュートのようですがラーガにふさわしい響きを作る役割を持ち、淡々と決められた音を弾き続けます。演奏方法はハープに近いです。
タンブーラの音色は蜂の羽音のような独特な雰囲気を持ちます。
弦を微妙に触れさせてビリビリした音を出すことも可能で、これは「ジャワリ」と呼ばれます。
これは日本の三味線の「サワリ」という微妙に本体に触れさせ音を出す奏法にあたり、三味線もインド楽器の影響が強いと考えられています。
音楽といえば「ノリ」が重要になると考える人も多いですが「一定に淡々と音を奏でる」という点がタンブーラの大きな特徴で、インド古典音楽において重要な楽器の一つです。
サントゥール
サントゥールはピアノの前身となったと考えられている楽器です。その起源はイランと言う説もあります。
名前の由来はペルシア語で「100本の弦」という意味を持ち、たくさんの弦が張られているのが特徴です。
台形の薄い木箱に弦を張った楽器で2本のミズバラと呼ばれるバチを小指以外の指で支え、弦を叩いて音を出します。
一つの音に対し4弦の弦が張られトレモロ(震えるという意味)奏法で演奏され、ピアノにはない4分の1低い音も含まれており独特で繊細な音色を奏でる独特な世界観を持つ楽器でもあります。
ピアノは鍵盤を押さえることによって中でハンマーが弦を叩き音が出る仕組みになっていますが、現代音楽ではピアノの弦を直接叩く奏法も見られます。まさにその演奏風景はサントゥールを彷彿とさせるでしょう。
グングルー
グングルーは複数の鈴を紐や皮などでつなげた楽器です。楽器本体の振動によって音がなる体鳴楽器です。
打楽器を演奏する際、右腕に巻いて音を装飾的にだす役割を担います。
北インドで最も踊られるカタックダンスをはじめとする舞踊では足首に巻いて音を奏でます。カタックダンスは手の動きとフットワーク、眉を動かして表情を変えることなどによって様々な物語を語ります。ヒンドゥーとイスラム、両方の様式や文化を持っているのが特徴です。
マンジーラ
マンジーラは北インドで見られる小型の2つ一組の小型シンバルです。
南インドではターラムと呼ばれます。
小型シンバルの楽器はネパールやチベットなどアジア広域でも使用され、それぞれ名称が異なります。
両手に一つずつ持って打つ奏法が最も一般的ですが、地域によっては振り回して使う場合もあり曲芸的にも使われます。面白い奏法もインド楽器の特徴だと言えるでしょう。
歌や踊りなどの宗教儀式や祭事にも古くから用いられ、キルタンという唄う瞑想でもよく使われます。
瞑想というと静かなイメージがありますが、キルタンは音楽が重視され非常に情緒的な瞑想です。インドならではの文化もインド音楽が発展を遂げてきた理由とも言えるでしょう。
プーンギ
プーンギは蛇使いの笛として知られています。ヒョウタンの底に竹などの筒を2本差し込んだもので、1本は低めの音程がなりつづけドローン音を奏でる役割をします。もう1本は穴が開いておりメロディを奏でます。
息を鼻から吸い込み頬を膨らませ循環呼吸を使うことで、絶えず音を出すことが可能です。
笛でありながら音を鳴らし続けることができる特殊な奏法が画期的であったため、様々な国にわたりました。
トルコではトルン、アフリカではガイタ、ハンガリーではドゥダという名称で呼ばれています。
ちなみに蛇には耳がないため、プーンギの動きによって反応していると考えられていますが、現在インドでは野生動物保護法が厳しくなり蛇使いは減少しているようです。
サラスワティ・ヴィーナ
サラスワティ・ヴィーナはインドの代表的な弦楽器です。ヴィーナはインド古典音楽に用いられる弦楽器の総称で、古代インドの神話に登場する女神、サラスヴァティが演奏する聖なる楽器としても知られます。
サラスヴァティは学問や知恵、音楽などの女神で、その信仰は仏教を経て日本に渡りました。日本では弁財天として知られ、ヴィーナの代わりに琵琶を持っています。
床の上で足を組み、左手でフレットを押さえ、右手の人差し指と中指に金属製の爪を付けて弦をはじき、小指で副弦を響かせて演奏します。
7本の弦が張られており、演奏者に近い4本の弦が高弦で残りの3本はドローン音を鳴らします。
北インドのシタールに似ていますが、ネックには龍の飾りがついており、直径50センチの中が空洞の大きな共鳴器がついているのが違いです。
サラスワティ・ヴィーナは南インドでは楽器の女王と考えられ孔雀や白鳥、蓮の花などの装飾が施されている場合もあり見た目にも美しい楽器です。
ラーヴァナハタ
ラーヴァナハタはバイオリンのもととなったと考えられている楽器です。
スリランカの王ラーヴァナの時代のタミル人やヘラ人の名前が由来とされています。
ラーヴァナがシヴァ神を崇めるためにラーヴァナハタを使ったという説もあります。
その奏法もバイオリンと同じで、竹や金属管、ココナッツの殻、馬の毛を使って作られています。
ヨーロッパの弓楽器はもとを辿るとアジアの楽器にさかのぼります。
馬の毛などを張った弓で弦を擦って鳴らす弦楽器はアジアで発明され、その後長い期間を経て広く普及しアラビアに伝わり、ラバーヴやルバーブなどいう名称で親しまれました。
その後それぞれスペインや東ヨーロッパなどにも伝わり、幾度もの進化を経てやがて16世紀の初めにバイオリンが誕生しました。
まとめ
今回はインドの楽器に注目してみましたが、バイオリンや三味線などインドの楽器が世界中の楽器に影響を与えているということがわかります。
インドの古典音楽は現代の音楽を語る場合においてもとても重要です。インドでは頻繁に他の国の音楽との融合が行われ、今もなお進化し続けています。
日本でもインド映画から音楽(楽器)に興味を持った人もいるのではないでしょうか?
今回紹介した楽器はほんの一部。食や美術はもちろん、楽器からインドを知るのもおすすめです。