心ときめく、お花のある暮らし

ヨーロッパの人々にとって、お花は暮らしに欠かせないものです。
町を歩けば、公園や広場、市役所の前、道沿いや曲がり角、家々の窓辺、レストランやショップなど、そこかしこに、色とりどりのお花が植えられているのを目にするでしょう。

もちろんお家の中にも、季節やイベント、その時の気分に合わせてお花を飾ります。ヨーロッパの多種多様なお花の楽しみ方を、あなたの日常にも取り入れてみませんか?

ヨーロッパに根付くお花のある暮らし

日本では古来より、梅や桜などを愛でる文化があります。
数多くの文学作品で、その美しさや儚さについて言及されてきました。時代の移り変わりと共に、貴族から武士、庶民へと、お花見の文化が受け継がれ、近代には欧米の花文化も伝わり、お花の楽しみ方が多様化しています。

一方ヨーロッパでは、お花は生活だけでなく、宗教や芸術、国や民族と深く結びついています。古代ギリシャの時代から、お花は、神々の象徴や芸術作品のモチーフとして人々に親しまれてきました。近代には国や民族の象徴ともなり、愛・自由・平和などの理想を具現化するものともなりました。

そして現在、ヨーロッパの人々はどのようにお花を楽しみ、暮らしに取り入れているのでしょうか。少し覗いてみましょう。

自分流でお花を楽しむ

ヨーロッパの人々を見ていると、老若男女問わず、心からお花が好きなのがよく分かります。
家の窓辺に鉢植えを飾り、玄関脇に花壇を作り、壁に蔦を這わせ、庭で野菜を育て、ブドウ棚で木陰を作る。絵本の中のような素敵なお家を至るところで目にします。都会に住んでいても、お花を買ったり、レンタル花壇で育てたり、週末に森に行ったり、自然に触れる機会を積極的に取る人が多くいます。

お花の楽しみ方は人それぞれ。草花で溢れているお家もあれば、手入れが簡単な小さな鉢植えをポンと置いているだけのお家もあり、無理をしないのがヨーロッパ流です。

自分流でお花を楽しむ

お花で溢れる街々

個人だけでなく、ヨーロッパでは町を挙げて「花のある町づくり」に取り組みます。
フランスでは、自治体の景観や草花、環境などを評価する「花の町と村」認証ラベルがあり、認証されると町の入口に看板が立ち、観光客が立ち寄るきっかけになります。スイスやドイツでは、窓辺に花を飾ることが条例で定められている町もあります。そこに住む人々も、町を訪れる人々も、お花を楽しめる政策ですね。
公共の公園や広場などはもちろんのこと、環状交差点や曲がり角の内側まで花壇になっていることもあります。

これらのお花を美しく保つために、職員や業者の方が枯れたお花を入れ替えたり、伸びた枝を切ったりしている姿をよく見かけます。

お花で溢れる街々

季節を彩るお花たち

ヨーロッパでは、季節の花を楽しみに待つ習慣もあります。
フランスではミモザ、ドイツではヤグルマギク、イギリスではスイセン、オランダではチューリップが、春の花として親しまれています。春の訪れを祝う花祭りも、各地で開催されます。

季節を彩るお花たち

車で田舎道を走っていると、菜の花やヒマワリの黄色、ポピーの赤、ラベンダーの紫と、一面に広がる色鮮やかなお花畑が目に飛び込んでくることもありますし、クリスマスが近付けば、オーナメントで華やかに飾り付けられたモミの木が、町のあちこちに出現します。

暮らしの中にお花を取り入れるには?

「ヨーロッパのようなお花のある暮らし…憧れるけれど、私には難しそう」なんて思っていませんか?
ノン、ノン、ノン。やってみたら意外と簡単です。

まずは、お花屋さんで好きなお花を探してみる

まずはお花屋さんで好きなお花を1本買うところから。
少し贅沢をするなら同じお花を1束に葉物を少し追加するのも素敵です。スタイリッシュにするならグリーンだけ葉物だけというのもいいですよ。それを家にあるガラス瓶やホーローの水差しに挿し、好きなところに飾るだけ。
最近はセンスのいいお花屋さんがどんどん増えています。雰囲気やディスプレイが自分の好みに合うお店を見つければ、好きな色味や雰囲気のお花も見つけやすいですし、活け方や飾り方も参考になります。
もっと手軽に始めるなら、野原や道端に咲いている野草も、よく見ると可愛らしいものです。タンポポやシロツメクサの花束を小瓶にぎゅっと活けてみてはいかがでしょう。

まずは、お花屋さんで好きなお花を探してみる

鉢植えにお花を植えてみる

鉢植えやプランターでももちろん、お花のある暮らしが楽しめます。ヨーロッパ風にするなら、色鮮やかなゼラニウムや小振りなシクラメン、可憐なビオラがおすすめ。同色または同系色でまとめるとシックです。
ヨーロッパの窓辺風に出窓に置いてみるのも、玄関脇やベランダに大きな寄せ植えを飾るのも素敵。はたまた、小さな鉢をテーブルや棚にたくさん並べるのも、台所でハーブを育てるのも、暮らしにお花を取り入れたい人には楽しく始めることができる簡単な方法だと思います。
陶器やカゴの鉢カバーもぜひ試してみてください。大きさや高さに差のある鉢をいくつか無造作に置いたり、いろいろなテイストをミックスしたりすると、一段と洗練されます。

鉢植えにお花を植えてみる

気持ちを込めてお花を贈る

大切な人にお花をプレゼントしたことはありますか?お花にはもらった人もあげた人も思わず笑顔になる不思議な力があります。

「可愛いお花を見つけたから」と一輪だけ気軽に渡すのもいい、感謝の気持ちを込めて、特別な日に両手で抱える程の花束をあげるのもいい。誕生日やバレンタインに花言葉を添えて渡してもいいし、ホームパーティーの手土産に、小さなランの鉢植えを持って行ってもいい。春の暖かい日にスズランを一束、綺麗に色付いた紅葉をひとカゴ、しんしんと降る雪の日に南天を一枝、季節のお花を一緒に楽しむのも粋です。

特別なことだと気負わず、家族や恋人や友達に渡してみると、喜んでくれるかもしれません。

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筆者プロフィール:gracen

ヨーロッパ在住ライター・翻訳家。
海外在住歴15年・旅行歴25ヶ国の経験を活かして幅広い分野で執筆。
幼少期に「いろいろな国の本当の姿をこの目で確かめたい」と強烈に感じたことが原動力に。得意分野は、海外移住・旅行、語学、お花・農業、自然療法、IT、法律など。パリの老舗花店であるMouliéとLa Maison Vertumneで花修行の経験あり。

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