コンチョとは?~ネイティブアメリカンの歴史あるインディアンジュエリー~

“コンチョ” ってご存知ですか?
コンチョと聞くと、何とも可愛らしい響き!というのが第一印象の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

コンチョは一言でいえば、“ネイディブアメリカン”との深い絆で結ばれた、“インディアンジュエリー”の一つ。見たことがある、もしかしてあれってコンチョなのかも?など、無意識にもコンチョを目にしている方って意外に多いかもしれませんね。

コンチョは、ネイティブアメリカンの様々な希望や願いが込められた“芸術作品”!
現在でも尚人気が絶えることのないコンチョの歴史や魅力、使い方、そしてネイティブアメリカンってどんな人達なの?などなど。
コンチョの全てをご紹介します!

コンチョとは?

コンチョとは?

コンチョとは、冒頭でもお伝えした通り、“ネイティブアメリカン”によって作られたインディアンジュエリーの一つです。
もっと正確に言うと......コンチョ=“飾り(装飾)ボタン”。現在ではお財布やバッグ、洋服などのボタン留め等、アクセサリーとして大人気!ファッションアイテムとして欠かせない飾りボタンの1つといえば、“コンチョ”なのです。

コンチョの起源と歴史~元々はスペインで生まれた?~

大航海時代にあたる17世紀は、植民地時代とも言われていましたよね。その頃、スペインは新大陸アメリカに入植。彼らは何を持ち込んだと思いますか?
それは“大量の銀”!
また、銀の採鉱が盛んだったメキシコから持ち込まれたという話もあります(諸説あり)。
先(原)住民であったネイティブアメリカンは、その大量の銀を使ってあるものを作り始めることに......。
それが、“インディアンジュエリー”。
そして、その代表として今でも受け継がれているのが、“コンチョ” なのです。

コンチョの語源

“コンチョ(Concho)”の語源は、“コンチャ(Concha)。
コンチャは、スペイン語で“貝殻”を意味するのですが、英語発音にした時に訛って、コンチョになったのだとか!

ところで何で貝殻なのでしょう?
それは、“硬貨”を叩いて伸ばして飾りボタンに加工するという銀細工技術が伝承されたことが始まりのようです。
硬貨が生まれる以前は、“貝”が使われていたことから、
硬貨で作られた飾りボタンをコンチャ(→コンチョ)と呼ぶようになったのです。

コンチョの魅力って?

コンチョの魅力を一言で言うならば、“おしゃれ”!
“コンチョとの相性”の項目でもご紹介しますが、レザーやデニム素材の小物、アクセサリーやキーホルダーの飾りなど、様々なアイテムのアクセントとして大活躍のコンチョ。
まさに良い意味で自己主張⁈できるのが、コンチョの魅力です!

コンチョの種類

コンチョの種類

最近ではコンチョの素材も豊富ですが、やはりオリジナルはシルバー製。
石(ターコイズ、ラピスラズリ、タイガーアイ等々)を飾ったストーンコンチョ、実物のコインを曲げて加工されたコインコンチョ、合金仕立てのメタル系コンチョ等々、様々なコンチョがあります。形状は、丸いコンチョボタンが一般的ですが、ひし形や楕円、デザインそのものを型取りされたデザインコンチョも人気のようです。

また、後にもご紹介しますが、コンチョは何よりデザインが豊富!
その一つ一つには、ネイティブアメリカンの想いが詰まっているというのですから、コンチョを手に取ってみたくなりますよね!

ネイティブアメリカンの部族や国によって違いはあるの?

コンチョを含めたインディアンジュエリーは、全て同じではありません。なぜなら“ネイティブアメリカン”は沢山の部族に分かれていたからです。

インディアンジュエリーの技法は、スペイン人やメキシコ人から “ナバホ族”へ。ナバホ族からズニ族、ズニ族からホピ族、サント・ドミンゴ族へ......と伝承されました。
インディアンジュエリーはシルバー素材のもの、またそこに天然石をあしらったものが一般的ですが、部族によって技法やデザインが異なっているんです。
代表として4部族のデザインや技法を挙げてみましょう。

•ナバホ族

“銀細工”のパイオニア(族)。シンプルなのに大胆なデザイン。コンチョの原点です。

•ズニ族

シルバー土台に天然石を幾何学にはめ込み模様を描く“インレイ技法”が特徴

•ホピ族

銀板2枚を重ねて模様を浮き立たせる“オーバーレイ技法”やインレイ技法を用いる

•サント・ドミンゴ族

貝や天然石を円盤やひし形等に研磨した“ヒシ”と呼ばれる素材を繋ぐ技術が特徴

生活環境や文化、言葉や風習の違いから、部族独特の世界観を営んできたネイティブアメリカン。彼らの想いは、インディアンジュエリーにも顕著に現れていたようです。

ネイティブアメリカンとコンチョの関係

ネイティブアメリカンとコンチョの関係

そもそも、ネイティブアメリカンってどんな人達なのでしょうか?
コロンブスがアメリカ大陸周辺諸島へ到着した際、それは「新世界の発見」とたたえられ、その後多くのヨーロッパ人がアメリカ大陸へ渡ることに。
しかし、このコロンブスが新世界に到着する以前(紀元前12,000年頃)から、アメリカ大陸には既に先住民族が独自の文化を築き定住していました。
その先住民族こそが、“ネイティブアメリカン”

その当時、南北アメリカには約7,500万人のネイティブアメリカンが生活し、約2,000もの独自言語が存在していました。人を疑うことのない純粋で素朴な彼らに刻まれた、悲しい歴史の中から生まれたのがインディアンジュエリーなのです。

起源はナバホ族?

合衆国最大の人口を有するナバホ族。(2番目に大きい部族という説もあり)
1400年頃に現在の北米南西部に移住した彼らによって作製されたのが、インディアンジュエリーのはじまりです。
シンプルな彫金技法で作られたナバホ族のジュエリーは、“オールドスタイル”と呼ばれ、日本ではもちろん、世界中で人気が高いのだとか。

インディアンジュエリー~ターコイズやシルバーに込められた意味~

インディアンジュエリー~ターコイズやシルバーに込められた意味~

“ターコイズ”という石を知っていますか?
最近では、天然石のお店やアクセサリーショップなどで見かけることも多いですよね。スカイブルーの色をしたきれいな石。私も大好きです!
インディアンジュエリーに使用されることの多い、通称「空の石」ターコイズは、神の祝福や旅の守護、幸運をもたらす石と信じられ、装飾品や交易品、お守りとして扱われてきました。ネイティブアメリカンの伝統文化や日常生活は、ターコイズと共にあるのかもしれませんね。

インディアンジュエリーの主な素材となるのは、“シルバー”。それは“大量の銀”が持ち込まれた歴史をふり返っても頷けますよね。シルバーは、魔除けや厄除け、幸運、冷静な判断力、成長を促すなどの意味を持つと言われているんです。

こうして見てみると、ターコイズやシルバーに込められた意味には、逆境に負けない強さや優しさ、分かち合いを大切にしてきたネイティブアメリカンの生き方そのものに思えてしまうのは、私だけでしょうか?

“ターコイズ”と“シルバー”と“インディアンジュエリー”
ネイティブアメリカンとの深い絆は永遠なのかもしれません。

コンチョのデザインに込められた意味~ネイティブアメリカンの想い~

コンチョのデザインに込められた意味~ネイティブアメリカンの想い~

コンチョはデザイン(モチーフ)も豊富で、見ているだけでも楽しめます。
実はコンチョのデザインには、家族や仲間への思いやり、自然に対する尊敬や感謝など、ネイティブアメリカンのスピリット(心や精神)の想いが込められているんです。
ここにいくつかご紹介しましょう。

太陽モチーフ

太陽の光は日常の明るさと、強さを与えてくれる存在。そしてネイティブアメリカンにとって癒しの象徴とされている太陽。
また、朝日が昇る東の方角からは、善き者が訪れると信じられています。未来への輝きをももたらしてくれるであろう太陽は、まさに彼らの希望なのです。

フェザーモチーフ

友情や歓迎、そして平和の願いが込められているフェザー。ネイティブアメリカンは、友情の証として羽根を送り合う風習を持ちます。
また、上昇や飛躍の意味をもつことから、運気を高めてポジティブな変化を起こすとも言われています。

イーグルモチーフ

父なる空の神使いとしてメッセージがもたらされると信じられ、空高く舞うイーグルには、物事の判断や名声、リーダーシップの意味が込められています。
また、イーグルの羽は偉大な力を持つことから、力強さがみなぎると言われています。

アイビーモチーフ

緑の葉を絶やすことのない植物とされるアイビー(ツタ)。
葉がしっかりと絡まり、元気に伸びていく様子から、永遠の象徴という意味が込められ、幸せを約束すると信じられています。

フラワーモチーフ

フラワー(花)と言っても様々ありますが、花に共通するのは“美しさとやさしさ”。
幸運の意味が込められたフラワーモチーフは、ネイティブアメリカンに共通すると言われる純粋さと思いやりで、互いの幸せを祈り分かち合っていると言えますね。

コンチョ(シルバー製品)のメンテナンス~お手入れ法と保管方法~

コンチョ(シルバー製品)のメンテナンス~お手入れ法と保管方法~

シルバーのアクセサリー。いつの間にか黒ずんだり変色したりと、輝きが薄れてしまったなんてことありますよね。シルバーなどの銀製品は硫黄分に反応して起こる“硫化”が原因なのです。
コンチョはもちろん、シルバー製品はお手入れをすることで、きれいで清潔な状態を長く保てます。真鍮で作られたコンチョもありますが、ここでは、シルバー製のお手入れ法と併せて保管方法もご紹介しましょう。

お手入れ法

一番のポイントは、使用後のお手入れ。
柔らかい布で表面等についた汚れや汗などを丁寧にやさしく拭き取りましょう。汚れが気になる時は、水またはぬるま湯で洗い、布を押しあてるように水分を拭き取ります。
その後はしっかりと乾燥させるのを忘れずに!
このお手入れだけでもかなりキレイになるのですが、もっと気になる場合は以下の方法も試してみて下さい。

  • シルバーの磨き布や磨き液を使用する
  • 重曹で磨く
    (※ただし、このような方法でお手入れする場合には、異素材(天然石やその他)などが付いたシルバー製品には使用できない場合もあるので、使用上の注意を確認して下さいね。)

保管方法

お手入れをしたのは良いけれど、そのまま放置するのはNGです!きちんと保管してあげましょう。
注意点は、ゴムや洗剤、パーマ液など、硫黄分を含んだ物の近くに置かないこと。先にお伝えしたように硫化が起こってしまうからです。
また空気に触れておくのも良くないため、一つ一つ小さなジップロックの袋などに入れておくのをおすすめします。

まとめ

コンチョについて

いかがでしたか?
今やおしゃれアイテムとして大人気の“コンチョ”。
コンチョは、アメリカ大陸先住民族“ネイティブアメリカン”の辛く悲しい歴史と共に、彼らの希望に満ち溢れた生き方があってこそ生まれた伝統芸術作品!
“インディアンジュエリー”と呼ばれるのは、ネイティブアメリカンによって製作されたシルバー製の装飾品だけなんです。その代表として世界中で注目され、高い評価を受けている“コンチョ”。
是非、一度手にしてみてはいかがでしょうか?

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