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「日本で唯一の砂漠に行きませんか?」そんな謳い文句をみつけたのは23年の秋のこと。実は私、砂漠が大好き!モロッコ、エジプト、ペルー、モンゴル、UAE、たくさんの国で砂と戯れてきました。簡単に国外へ行けなくなった昨今、日本にも砂漠があると知ってしまったら…絶対に行きたい!
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日本で唯一の砂漠と聞いて「アレ?鳥取の砂は砂漠じゃないの?浜松にも砂漠あるよね…」と思った方も多いのでは。私もそうでした。
実は砂漠の定義は細かく決められており、降雨が極端に少なく(年200~250ミリ以下)、砂や岩石が多い土地であることとされています。これに則って日本の地図上で唯一「砂漠」と表記されているのが伊豆諸島・大島の裏砂漠です(厳密には大島の砂漠の降水量は年250ミリ以上あるようです)。
鳥取や浜松にある砂の地は、砂丘(さきゅう)。砂丘とは風が砂を運んで形成された地形のこと。砂漠とは区別されています。
日本で唯一の「砂漠」は東京都の大島にあります。大島、名前を聞いたことはあっても、どこにあるのかイマイチ分からない方も多いのでは?
大島は伊豆諸島にある島の一つで、観光旅行用のサイトやパンフレットなどには「伊豆大島」と表記されます。東京の竹芝埠頭や横浜港からは高速ジェット船で約2時間、大型フェリーで約7時間、調布にある飛行場からは飛行機だと25分程度でアクセスが可能になります。
離島なのに交通手段も多く比較的簡単に訪れることができます。都心からもっとも近い離島、それが大島です。
裏砂漠の入口に立って驚きました。砂漠のその砂の黒さは、まるでタールのよう。太陽の光を受けた大地は、黒いダイヤが散らばっているかのようにキラキラ輝いています。灰色に近い黒色(白っぽい黒)を想像していた私の目に、真っ黒な大地の色はまぶしく映りました。
どれほど黒いのか近付いて見てみると、砂の色は茶色みを帯びていました。大地には砂の粒というには大きすぎる不揃いサイズの石が大小コロコロ転がっています。踏み締めるとザッザッと音がして、サラサラの砂の砂漠を歩いているというより、ゴツゴツした砂利道や新雪の上を歩いている音がします。砂の砂漠しか知らなかった私にとって、ゴロゴロした岩の砂漠は新鮮でした。
延々と続く裏砂漠。その黒々と輝く砂を見ていると、自分がどこにいるのか分からなくなってきました。「ここ、本当に日本かな」
黒い大地を踏み締めて歩きます。裏砂漠は思っていた以上にハードな道。息が切れるほどの急こう配が続きます。あまりにハードでイヤになった私は荷物を投げ、座り込みました。すると眼下にチラリと青いものが…。
それは海でした。青い海は、どこまでもどこまでも遠くまで続いています。色はまるで沖縄の海の色。遠目から見ても波が低く穏やかな状態であることが分かります。
「東京にこんなにキレイでこんなに穏やかな海があったなんて」まるで南国にいる気分。そのまま視線を上にあげると、頭上には同じくらい青い空が広がっていました。
青い海と青い空に挟まれた大地は、ちょっとだけ黒さを増しているようにも見えます。この景色こそ大島でしか味わえない唯一無二の景観。壮大な眺望に圧倒されます。
ザックザックと岩が鳴る音を聞きながら山頂を目指します。強風や雨によって地表が絶えず移動する砂漠には普通、植物は育ちません。でも大島の裏砂漠には植物が育っていました。ちょうど訪れた時期が秋だったこともあり、入口付近にはススキの群生。
またイタドリと呼ばれる多年生植物も至る所に生えていました。イタドリは枯れてこそいましたが、あっちにもこっちにも生えています。これにはちょっと驚き。帰宅してから調べてみるとイタドリは大変繁殖力の強い植物で、あらゆる場所に自生してしまうため、世界の侵略的外来種ワースト100に入れられているそうです。
裏砂漠は三原山という活火山の裾に広がる砂漠のことですが、この噴火口の近くには三原神社と呼ばれる神社が建っています。
この神社は、大島でも随一のパワースポット。
というのも、三原神社は昭和の大噴火のときマグマによる消失を奇跡的に免れているのです。当時、火口から流れ出たマグマは神社を直撃!にも関わらずなぜかマグマは神殿を避け直前で流れを変えました。
これはもう、絶対に実物を見ていただきたいのですが、グルリと社殿を飲み込むように迫ったマグマと神殿の距離は数センチ程度しかありません(場所によっては1センチに満たない距離かも…)。その隙間を見ていると「なぜここでマグマの流れは変わったの?」と神様の存在を感じずにはいられないほど。神様に守られるとはこういうことなのかと、畏怖の念を抱くほどです。
そもそも三原神社は、たびたび噴火を起こす三原山の鎮火のために祀られたお社なんだとか。案内板には「これも信仰のなせる技」という氏子の言葉が記してありました。
信仰のおかげか、神様のおかげか、ぜひ間近で見て感じていただきたい奇跡です。
大学卒業後、ライター&編集者として出版社や新聞社に勤務。マイナーな国をメインに、世界中を旅する。旅先で出会ったイスラム教徒と国際結婚。出産&離婚&再婚を経て現在は2児の母。公式HP:Lucia Travel
「日本で唯一の砂漠に行きませんか?」そんな謳い文句をみつけたのは23年の秋のこと。
実は私、砂漠が大好き!モロッコ、エジプト、ペルー、モンゴル、UAE、たくさんの国で砂と戯れてきました。
簡単に国外へ行けなくなった昨今、日本にも砂漠があると知ってしまったら…絶対に行きたい!
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目次
日本唯一の砂漠が東京都に!?
日本で唯一の砂漠と聞いて「アレ?鳥取の砂は砂漠じゃないの?浜松にも砂漠あるよね…」と思った方も多いのでは。私もそうでした。
実は砂漠の定義は細かく決められており、降雨が極端に少なく(年200~250ミリ以下)、砂や岩石が多い土地であることとされています。
これに則って日本の地図上で唯一「砂漠」と表記されているのが伊豆諸島・大島の裏砂漠です(厳密には大島の砂漠の降水量は年250ミリ以上あるようです)。
鳥取や浜松にある砂の地は、砂丘(さきゅう)。
砂丘とは風が砂を運んで形成された地形のこと。砂漠とは区別されています。
大島って簡単に行けるの?
日本で唯一の「砂漠」は東京都の大島にあります。
大島、名前を聞いたことはあっても、どこにあるのかイマイチ分からない方も多いのでは?
大島は伊豆諸島にある島の一つで、観光旅行用のサイトやパンフレットなどには「伊豆大島」と表記されます。
東京の竹芝埠頭や横浜港からは高速ジェット船で約2時間、大型フェリーで約7時間、調布にある飛行場からは飛行機だと25分程度でアクセスが可能になります。
離島なのに交通手段も多く比較的簡単に訪れることができます。都心からもっとも近い離島、それが大島です。
ここは日本?真っ黒に輝く大地
裏砂漠の入口に立って驚きました。
砂漠のその砂の黒さは、まるでタールのよう。太陽の光を受けた大地は、黒いダイヤが散らばっているかのようにキラキラ輝いています。
灰色に近い黒色(白っぽい黒)を想像していた私の目に、真っ黒な大地の色はまぶしく映りました。
どれほど黒いのか近付いて見てみると、砂の色は茶色みを帯びていました。大地には砂の粒というには大きすぎる不揃いサイズの石が大小コロコロ転がっています。
踏み締めるとザッザッと音がして、サラサラの砂の砂漠を歩いているというより、ゴツゴツした砂利道や新雪の上を歩いている音がします。
砂の砂漠しか知らなかった私にとって、ゴロゴロした岩の砂漠は新鮮でした。
延々と続く裏砂漠。その黒々と輝く砂を見ていると、自分がどこにいるのか分からなくなってきました。
「ここ、本当に日本かな」
黒い砂・青い空・青い海
黒い大地を踏み締めて歩きます。裏砂漠は思っていた以上にハードな道。息が切れるほどの急こう配が続きます。
あまりにハードでイヤになった私は荷物を投げ、座り込みました。すると眼下にチラリと青いものが…。
それは海でした。青い海は、どこまでもどこまでも遠くまで続いています。
色はまるで沖縄の海の色。遠目から見ても波が低く穏やかな状態であることが分かります。
「東京にこんなにキレイでこんなに穏やかな海があったなんて」
まるで南国にいる気分。そのまま視線を上にあげると、頭上には同じくらい青い空が広がっていました。
青い海と青い空に挟まれた大地は、ちょっとだけ黒さを増しているようにも見えます。
この景色こそ大島でしか味わえない唯一無二の景観。壮大な眺望に圧倒されます。
東京都なのに手つかずの自然?
ザックザックと岩が鳴る音を聞きながら山頂を目指します。
強風や雨によって地表が絶えず移動する砂漠には普通、植物は育ちません。でも大島の裏砂漠には植物が育っていました。
ちょうど訪れた時期が秋だったこともあり、入口付近にはススキの群生。
またイタドリと呼ばれる多年生植物も至る所に生えていました。
イタドリは枯れてこそいましたが、あっちにもこっちにも生えています。
これにはちょっと驚き。帰宅してから調べてみるとイタドリは大変繁殖力の強い植物で、あらゆる場所に自生してしまうため、世界の侵略的外来種ワースト100に入れられているそうです。
神様に守られた神社
裏砂漠は三原山という活火山の裾に広がる砂漠のことですが、この噴火口の近くには三原神社と呼ばれる神社が建っています。
この神社は、大島でも随一のパワースポット。
というのも、三原神社は昭和の大噴火のときマグマによる消失を奇跡的に免れているのです。
当時、火口から流れ出たマグマは神社を直撃!にも関わらずなぜかマグマは神殿を避け直前で流れを変えました。
これはもう、絶対に実物を見ていただきたいのですが、グルリと社殿を飲み込むように迫ったマグマと神殿の距離は数センチ程度しかありません(場所によっては1センチに満たない距離かも…)。
その隙間を見ていると「なぜここでマグマの流れは変わったの?」と神様の存在を感じずにはいられないほど。
神様に守られるとはこういうことなのかと、畏怖の念を抱くほどです。
「なぜここで?」と神様の存在を感じずにはいられません。
そもそも三原神社は、たびたび噴火を起こす三原山の鎮火のために祀られたお社なんだとか。
案内板には「これも信仰のなせる技」という氏子の言葉が記してありました。
信仰のおかげか、神様のおかげか、ぜひ間近で見て感じていただきたい奇跡です。
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筆者プロフィール:R.香月(かつき)
大学卒業後、ライター&編集者として出版社や新聞社に勤務。
マイナーな国をメインに、世界中を旅する。
旅先で出会ったイスラム教徒と国際結婚。
出産&離婚&再婚を経て現在は2児の母。
公式HP:Lucia Travel