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火の女神「ペレ」はハワイで最も有名な女神。 ハワイ島のキラウエア火山のハレマウマウ火口に住んでいるといわれています。
火山の噴火はペレの「怒り」と怖れられる一方、気まぐれで情熱的なペレは、ハワイの人々に愛され親しまれてきました。
ハワイ各地にはペレにちなんだ伝承や名所が数多く残り、ペレがハワイの人々にとって特別な存在であることがうかがえます。
ハワイの神話によると、ペレは火の女神であり、火山、炎、稲妻などを支配するとされます。ここではペレの基本情報についてお伝えしましょう。
「長身で絶世の美女」とされるペレ。情熱的で気まぐれ、気性が荒く、怒ると火山を噴火させ溶岩で何でも焼き尽くしてしまいます。古代より人々はペレに畏敬の念を抱き崇拝してきました。
惚れっぽく嫉妬深いため、怒りにまかせて相手を焼き殺し、ときには町ごと焼き尽くしてしまっては反省して周りの神々に助けを求める…そんな人間っぽさも持ち合わせています。
ペレの母親は大地の女神「ハウメア」、父親は天空や太陽の神「カーネ・ホアラニ」とされています。
母親のハウメアにはたくさんの夫がおり、最初の夫は世界創生の神「ワケア」だったとか。 父親のカーネ・ホアラニはハワイ四大神の「カネ」の別名だといわれています。
ペレは兄弟姉妹が多く、特に兄姉妹の3人は有名です。
※ヒイアカと名のつく妹は8人いますが、一般的に末妹のことを指します。
ペレが実際にハワイの人々の暮らしや歴史に深く関わってきたといわれる伝承をご紹介します。
ハワイでは「白い犬を連れた白髪の老婆に出会ったら、親切にしなければいけない」という教えがあります。普段は若く美しいペレですが、ときには老婆の姿に化けて人を試すといわれているからです。
老婆を邪険に扱うと、怒ったペレが火山を噴火させその人の家を溶岩で押し流してしまうのだとか。逆に大切にもてなした人の家は、溶岩が避けて通った…なんて話も。
1790年、カメハメハ一世がハワイ諸島統一を目指して戦っていた頃の話。カメハメハの敵である従兄弟の「ケオウア・クアフウラ」の軍勢が、ハワイ島のキラウエアの付近を通りがかったとき、キラウエア火山の大噴火に見舞われました。
この噴火によりケオウア軍はほぼ全滅。「カメハメハはペレを味方につけている」とうわさが広がりケオウアは戦意を喪失、これを機にカメハメハ軍が優勢に転じハワイ統一を成し遂げたといわれています。
ハワイで最も有名な女神ペレですが、実はハワイ生まれではありません。神話では「ペレはカヒキで生まれハワイ島にやってきた」とされています。
カヒキ(海の彼方)を出発したペレは、兄弟姉妹を連れてハワイ諸島の北端に位置するニイハウ島にやってきました。
ペレたちはニイハウ島からカウアイ島、オアフ島、マウイ島を渡り、最終的にハワイ島にたどり着いたとされています。そのためペレの名のつく名所がハワイ各地にあるというわけです。
ペレがハワイを目指した理由は、姉であるナマカオカハイ(水の女神)の夫を誘惑したことで、怒った姉に追われて逃げてきたのだとか。
ニイハウ島にたどり着いたペレたちは、住める場所を探し、穴を掘りながら島から島へと逃げていきます。ナマカオカハイは水の神、次々とペレが掘った穴を水浸しにしてしまい、ついにマウイ島のハナで、ペレはナマカオカハイに殺されてしまいます。
その後ペレの魂はハワイ島に渡り、海から遠く離れたキラウエア火山のハレマウマウ火口に安住の地を得たとされています。
ハワイ島で暮らす人々は、火山の噴火はペレの思し召し、溶岩はペレの化身だと考えます。溶岩流がやって来るということは、我が家にペレがやってくるということ。必要以上に恐れず受け入れます。
今でも避難勧告が出ると、これから溶岩流で焼けてしまう我が家をきれいに掃除し、ペレを迎える準備をしてから家を出るそうです。
人々は、古代よりペレ(=火山)を崇拝し、噴火が起きるたびハレマウマウ火口にフラを捧げ、またオヒアレフアや豚肉を捧げてペレの怒りを鎮めてきたのです。
ペレが登場する伝説は数えきれないほどありますが、有名な話をいくつかご紹介します。
昔、オヒアというたくましい男性とレフアという美しい女性がいました。2人は恋人同士でしたが、オヒアに一目惚れしたペレは必死にオヒアを誘惑します。しかし、オヒアは振り向いてくれません。
嫉妬に狂ったペレは、2人を焼き殺してしまいます。同情した他の神々が、2人が永遠に一緒に居られるように「オヒアレフア」として1本の樹木に変えてくれました。
オヒアという木に咲くレフアの花。溶岩が固まった大地に真っ先に咲く「オヒアレフア」は、ハワイ島を象徴する花です。
半神「カマプアア」は驚くほど美しい青年ですが、実は獰猛な豚の神。「フムフムヌクヌクアプアア」という魚の化身でもあります。
夫婦だったペレとカマプアアは毎日けんかばかり。それはハワイ全土を揺るがすほどの激しい戦いでした。
ペレが地割れを作り溶岩を噴出させると、カマプアアが大津波を起こし鎮火します。ある日地底の神々がペレを援護したため、追い詰められたカマプアアは魚(フムフムヌクヌクアプアア)に変身し、海へ逃げてしまいます。
結局2人はハワイ島を2つに分けて別々に統治することで和解。ペレは何度もカマプアアに「やり直そう」とラブコールを送りましたが、叶うことはありませんでした。
ペレの怒りを鎮めるためにハレマウマウ火口へ「豚」の捧げものをするのは、この伝説によるものです。
ペレは昼寝中、魂だけになってカウアイ島を訪れ、人間の青年「ロヒアウ」と恋に落ちます。昼寝から目覚めたペレは、妹のヒイアカにカウアイ島にいるロヒアウを迎えに行くようにと命令。40日以内に帰らなければ、大切な親友のホオポエとレフアの森を焼き尽くすと言いました。
心やさしいヒイアカは幾多もの試練を乗り越えカウアイ島へ。しかし島に着くと、ロヒアウはすでに死んでいました。ヒイアカはなんとか彼を蘇生させハワイ島に連れて帰りますが、40日の期限が過ぎてしまいます。
島に帰ると親友もレフアの森も焼きつくされ愕然とするヒイアカ。その頃にはともに旅をしてきたヒイアカとロヒアウは愛し合うようになっていました。
嫉妬したペレは2人を殺そうと襲いかかり、なんとかカウアイ島まで逃げ切った2人は生涯幸せに暮らしました。しかしこれには諸説あり、ロヒアウはペレに殺され、怒りで発狂したヒイアカを見てペレが反省し、ロヒアウを生き返らせた…など、結末は様々です。
ハワイ各地には「ペレの〇〇」と呼ばれる観光名所があります。ここではペレゆかりの有名スポットをご紹介します。
「ペレの住処(すみか)」とされるハワイ島の活火山、キラウエア火山とマウナロアを含む一帯は「ハワイ火山国立公園」として世界遺産に指定された世界で一番火山活動が活発な山。火口は常に白い水蒸気を上げ、大自然のエネルギーを肌で感じることができます。
「火山の石を持ち帰るとペレの呪いで災が起こる」という話を聞いたことありませんか? 実際、ハワイ火山国立公園には「こっそり石を持ち帰ったら不幸が続いた」と世界中から石が送り返されてくるそうです。ただの迷信とは思えませんね。
オアフ島ホノルル屈指の観光スポット「ダイアモンドヘッド」は、ペレが掘った穴だという説があります。
ダイアモンドヘッドは山のようですが、実は火山の巨大クレーター。ハワイに渡ってきたペレたちが、姉のナマカオカハイから逃げながら、住む場所を探して掘った穴のひとつだとされています。
オアフ島のマカプウ岬の近くにある「ペレの椅子」と呼ばれる岩をご存じですか? 約10mの高さの溶岩でできた岩は、遠くから見ると巨大な椅子のように見えます。
神話の時代、ハワイの島々を旅したペレが、ここに座って疲れを癒やしたのかもしれませんね。
ちなみに近くで見ると椅子のようには見えませんが、目の前に海が広がる心地よい場所。なぜか仕事運、金運のパワースポットとしても有名です。
古代よりハワイの人々に怖れられつつ、愛され親しまれている「火の女神ペレ」。 ペレの魅力を感じていただけたでしょうか?
ペレに対する信仰は、火山噴火への恐怖や自然への敬意を擬人化したものだという人もいます。美しく情熱的で気まぐれなペレは、今も昔もハワイに暮らす人々にとっては特別な存在なのです。
火の女神「ペレ」はハワイで最も有名な女神。
ハワイ島のキラウエア火山のハレマウマウ火口に住んでいるといわれています。
火山の噴火はペレの「怒り」と怖れられる一方、気まぐれで情熱的なペレは、ハワイの人々に愛され親しまれてきました。
ハワイ各地にはペレにちなんだ伝承や名所が数多く残り、ペレがハワイの人々にとって特別な存在であることがうかがえます。
目次
火の女神ペレについて
ハワイの神話によると、ペレは火の女神であり、火山、炎、稲妻などを支配するとされます。ここではペレの基本情報についてお伝えしましょう。
火の女神ペレとは
「長身で絶世の美女」とされるペレ。情熱的で気まぐれ、気性が荒く、怒ると火山を噴火させ溶岩で何でも焼き尽くしてしまいます。古代より人々はペレに畏敬の念を抱き崇拝してきました。
惚れっぽく嫉妬深いため、怒りにまかせて相手を焼き殺し、ときには町ごと焼き尽くしてしまっては反省して周りの神々に助けを求める…そんな人間っぽさも持ち合わせています。
ペレの両親
ペレの母親は大地の女神「ハウメア」、父親は天空や太陽の神「カーネ・ホアラニ」とされています。
母親のハウメアにはたくさんの夫がおり、最初の夫は世界創生の神「ワケア」だったとか。
父親のカーネ・ホアラニはハワイ四大神の「カネ」の別名だといわれています。
ペレの兄弟
ペレは兄弟姉妹が多く、特に兄姉妹の3人は有名です。
※ヒイアカと名のつく妹は8人いますが、一般的に末妹のことを指します。
ペレが関わる伝承
ペレが実際にハワイの人々の暮らしや歴史に深く関わってきたといわれる伝承をご紹介します。
白い犬を連れた老婆の伝承
ハワイでは「白い犬を連れた白髪の老婆に出会ったら、親切にしなければいけない」という教えがあります。普段は若く美しいペレですが、ときには老婆の姿に化けて人を試すといわれているからです。
老婆を邪険に扱うと、怒ったペレが火山を噴火させその人の家を溶岩で押し流してしまうのだとか。逆に大切にもてなした人の家は、溶岩が避けて通った…なんて話も。
ペレとカメハメハのハワイ統一
1790年、カメハメハ一世がハワイ諸島統一を目指して戦っていた頃の話。カメハメハの敵である従兄弟の「ケオウア・クアフウラ」の軍勢が、ハワイ島のキラウエアの付近を通りがかったとき、キラウエア火山の大噴火に見舞われました。
この噴火によりケオウア軍はほぼ全滅。「カメハメハはペレを味方につけている」とうわさが広がりケオウアは戦意を喪失、これを機にカメハメハ軍が優勢に転じハワイ統一を成し遂げたといわれています。
ペレのハワイへの移住
ハワイで最も有名な女神ペレですが、実はハワイ生まれではありません。神話では「ペレはカヒキで生まれハワイ島にやってきた」とされています。
ペレがハワイ島に定住するまで
カヒキ(海の彼方)を出発したペレは、兄弟姉妹を連れてハワイ諸島の北端に位置するニイハウ島にやってきました。
ペレたちはニイハウ島からカウアイ島、オアフ島、マウイ島を渡り、最終的にハワイ島にたどり着いたとされています。そのためペレの名のつく名所がハワイ各地にあるというわけです。
ナマカオカハイとの戦い
ペレがハワイを目指した理由は、姉であるナマカオカハイ(水の女神)の夫を誘惑したことで、怒った姉に追われて逃げてきたのだとか。
ニイハウ島にたどり着いたペレたちは、住める場所を探し、穴を掘りながら島から島へと逃げていきます。ナマカオカハイは水の神、次々とペレが掘った穴を水浸しにしてしまい、ついにマウイ島のハナで、ペレはナマカオカハイに殺されてしまいます。
その後ペレの魂はハワイ島に渡り、海から遠く離れたキラウエア火山のハレマウマウ火口に安住の地を得たとされています。
ペレと火山信仰
ハワイ島で暮らす人々は、火山の噴火はペレの思し召し、溶岩はペレの化身だと考えます。溶岩流がやって来るということは、我が家にペレがやってくるということ。必要以上に恐れず受け入れます。
今でも避難勧告が出ると、これから溶岩流で焼けてしまう我が家をきれいに掃除し、ペレを迎える準備をしてから家を出るそうです。
人々は、古代よりペレ(=火山)を崇拝し、噴火が起きるたびハレマウマウ火口にフラを捧げ、またオヒアレフアや豚肉を捧げてペレの怒りを鎮めてきたのです。
ペレにまつわる主な伝説
ペレが登場する伝説は数えきれないほどありますが、有名な話をいくつかご紹介します。
オヒアレフアの伝説
昔、オヒアというたくましい男性とレフアという美しい女性がいました。2人は恋人同士でしたが、オヒアに一目惚れしたペレは必死にオヒアを誘惑します。しかし、オヒアは振り向いてくれません。
嫉妬に狂ったペレは、2人を焼き殺してしまいます。同情した他の神々が、2人が永遠に一緒に居られるように「オヒアレフア」として1本の樹木に変えてくれました。
オヒアという木に咲くレフアの花。溶岩が固まった大地に真っ先に咲く「オヒアレフア」は、ハワイ島を象徴する花です。
ペレとカマプアア
半神「カマプアア」は驚くほど美しい青年ですが、実は獰猛な豚の神。「フムフムヌクヌクアプアア」という魚の化身でもあります。
夫婦だったペレとカマプアアは毎日けんかばかり。それはハワイ全土を揺るがすほどの激しい戦いでした。
ペレが地割れを作り溶岩を噴出させると、カマプアアが大津波を起こし鎮火します。ある日地底の神々がペレを援護したため、追い詰められたカマプアアは魚(フムフムヌクヌクアプアア)に変身し、海へ逃げてしまいます。
結局2人はハワイ島を2つに分けて別々に統治することで和解。ペレは何度もカマプアアに「やり直そう」とラブコールを送りましたが、叶うことはありませんでした。
ペレの怒りを鎮めるためにハレマウマウ火口へ「豚」の捧げものをするのは、この伝説によるものです。
ロヒアウとヒイアカ
ペレは昼寝中、魂だけになってカウアイ島を訪れ、人間の青年「ロヒアウ」と恋に落ちます。昼寝から目覚めたペレは、妹のヒイアカにカウアイ島にいるロヒアウを迎えに行くようにと命令。40日以内に帰らなければ、大切な親友のホオポエとレフアの森を焼き尽くすと言いました。
心やさしいヒイアカは幾多もの試練を乗り越えカウアイ島へ。しかし島に着くと、ロヒアウはすでに死んでいました。ヒイアカはなんとか彼を蘇生させハワイ島に連れて帰りますが、40日の期限が過ぎてしまいます。
島に帰ると親友もレフアの森も焼きつくされ愕然とするヒイアカ。その頃にはともに旅をしてきたヒイアカとロヒアウは愛し合うようになっていました。
嫉妬したペレは2人を殺そうと襲いかかり、なんとかカウアイ島まで逃げ切った2人は生涯幸せに暮らしました。しかしこれには諸説あり、ロヒアウはペレに殺され、怒りで発狂したヒイアカを見てペレが反省し、ロヒアウを生き返らせた…など、結末は様々です。
ペレゆかりの有名スポット
ハワイ各地には「ペレの〇〇」と呼ばれる観光名所があります。ここではペレゆかりの有名スポットをご紹介します。
キラウエア火山
「ペレの住処(すみか)」とされるハワイ島の活火山、キラウエア火山とマウナロアを含む一帯は「ハワイ火山国立公園」として世界遺産に指定された世界で一番火山活動が活発な山。火口は常に白い水蒸気を上げ、大自然のエネルギーを肌で感じることができます。
「火山の石を持ち帰るとペレの呪いで災が起こる」という話を聞いたことありませんか?
実際、ハワイ火山国立公園には「こっそり石を持ち帰ったら不幸が続いた」と世界中から石が送り返されてくるそうです。ただの迷信とは思えませんね。
ダイアモンドヘッド
オアフ島ホノルル屈指の観光スポット「ダイアモンドヘッド」は、ペレが掘った穴だという説があります。
ダイアモンドヘッドは山のようですが、実は火山の巨大クレーター。ハワイに渡ってきたペレたちが、姉のナマカオカハイから逃げながら、住む場所を探して掘った穴のひとつだとされています。
ペレの椅子
オアフ島のマカプウ岬の近くにある「ペレの椅子」と呼ばれる岩をご存じですか?
約10mの高さの溶岩でできた岩は、遠くから見ると巨大な椅子のように見えます。
神話の時代、ハワイの島々を旅したペレが、ここに座って疲れを癒やしたのかもしれませんね。
ちなみに近くで見ると椅子のようには見えませんが、目の前に海が広がる心地よい場所。なぜか仕事運、金運のパワースポットとしても有名です。
まとめ
古代よりハワイの人々に怖れられつつ、愛され親しまれている「火の女神ペレ」。
ペレの魅力を感じていただけたでしょうか?
ペレに対する信仰は、火山噴火への恐怖や自然への敬意を擬人化したものだという人もいます。美しく情熱的で気まぐれなペレは、今も昔もハワイに暮らす人々にとっては特別な存在なのです。