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寒い季節に体を暖かく包んでくれるニット。ひと口にニットと言っても、ケーブルニットやフェアアイルなどいろいろな種類がありますが、みなさんは「カウチンニット」をご存じですか?大胆な絵柄とざっくりした風合いが特徴のニットです。今回は、そんなカナダの伝統的なカウチンニットの魅力をご紹介します。
カウチンニットは、カナダのバンクーバー島にあるカウチン湖の湖畔に定住したセリッシュ・ネイティブインディアン「カウチン族」が狩猟や漁業の際に着用していた、伝統的な衣類に由来すると言われています。
カウチンニットの歴史は、19世紀はじめにスコットランドからカナダに牧羊が入ってきたことが起源となります。
スコットランドからは羊と同時に羊毛を使った編み物の技術が伝えられ、その技術がベースとなってカウチン族固有の文化や神話・伝統を取り入れながら誕生したのがカウチンニットです。
カウチン族の伝統工芸としてのクオリティに敬意を表すために、本場カナダでは認定制度もあるそうですよ。
ファッションとしても防寒着として優秀なカウチンニット。ここではカウチンニットの編み方や柄の意味、風合いの秘密に迫ります。
カウチンニットを編む糸には羊毛を使用します。羊毛は油脂成分を多く含んでおり、さらにアメリカ杉の樹皮繊維を混紡することで、防寒だけでなく防水にも優れている糸を作ることができます。
独自に混紡した毛糸で密度を詰めて編まれるため、セーターにすると1着あたり1.5kg前後の重さになります。
カウチンニットは着用するにつれて毛糸がフェルト状になることで保温性が増し、「50年は着られる」と言われています。長く着用することで、自分だけのカウチンニットを育てる楽しみ方もできますね。
伝統的なカウチンニットは、脱脂や脱色していない羊毛を使うので、真っ白な毛糸ではなくアイボリーがかった色がメインとなります。
模様部分も、黒やグレー・茶色といった羊毛そのものの自然の色の毛糸で編んでいきます。本来は染色しないため、青や赤・黄色などの色は存在しません。シンプルな色使いがカウチンニットの独特の雰囲気を作り出しているのですね。
カウチンニットの編み方は、ほとんどがメリヤス編み(表編み)というシンプルな編み方です。ただ、防寒性を高めるために普通の編み地より密度を詰めてきつめに編まれています。
さらに、カウチンニットの代名詞とも言える模様編みの部分には、カウチンニット独自の工夫が。柄の部分は、機械編みではできない「編みくるむ編み込み(カウチン編み)」という技法で編まれています。
通常、色を変えながら模様を編むときは使わない色を休ませる都合上、渡り糸ができてしまいます。カウチン編みは渡っている糸もくるみながら編むことで、渡り糸をなくすことができます。
渡り糸がなくなると着る時に裏の糸を引っかける心配がなくなり、編み地の厚みもプラスされるので防寒性も高まります。一石二鳥ですね。
カウチンニットは目を引く大きな柄も特徴的。基本的にワシや熊・クジラ・鹿などの動物がモチーフに選ばれます。幾何学模様も使われることがありますが、こちらも大きめに編み込まれています。
実は、カウチンニットに使われている柄にはそれぞれ意味があります。例えば、熊は「雇い主」を意味しますし、ワシは「名声やリーダーシップ」という意味です。また、袖部分などの小さな波の模様は、「精神性」や「清め」を表しています。
さらに、日本の「家紋」のように、それぞれの家で違う柄も存在しているのだそうです。カウチン族の守護神であった雷鳥も登場することがあり、信仰や狩猟の対象となったモチーフが柄として使われています。
せっかく手に入れたカウチンニット。長く大切に着たいですよね。カウチンニットのお手入れ方法と収納方法を知れば、風合いを保ったまま楽しめます。
カウチンニットは水洗いすると繊維が縮んでしまう可能性があるので、クリーニング店でのドライクリーニングがおすすめです。
ただ、手持ちのカウチンニットの洗濯表示を確認してみて手洗い可の表示があれば自宅で洗うこともできます。
自分で手洗いする場合は、繊維を壊さないために強く押しすぎないようにしましょう。脱水も短めに済ませます。ハンガーにかけて干すと型崩れしてしまうので、平らな状態で影干しします。
カウチンニットに限らず、ニット製品は毛玉ができやすいのが難点です。毛玉ができてしまった場合は、毛玉を引っ張らないようにハサミなどで切りましょう。
毛玉ケアで大切なのは、できた毛玉を取ることよりも、毛玉ができるのを防ぐこと。毛玉を作らないために、着た後にはブラシをかけて繊維の毛並みを整えましょう。力を入れすぎないように優しく、一定方向にかけることがコツです。
いろいろな方向にブラッシングすると、繊維が絡まって毛玉ができやすくなってしまうので注意してください。
カウチンニットは重みがあるため、ハンガーに吊るしておくと伸びてしまいます。収納する時は、型崩れを防ぐために必ず平らな場所に畳んで収納しましょう。
また、本場のカウチンニットは毛糸に羊毛が本来持つ油脂が含まれるため、長期保管する場合は他の衣類とは別にして、カウチンニットのみで保管することをおすすめします。
カナダのカウチン族発祥のカウチンニットについてご紹介しました。
主張のあるカウチンニットは、アメカジスタイルとの相性も抜群。チノパンやデニム、冬の定番コーデュロイ素材のボトムスと合わせて、カウチンニットが主役のコーディネートを楽しんでみてはいかがですか?
寒い季節に体を暖かく包んでくれるニット。
ひと口にニットと言っても、ケーブルニットやフェアアイルなどいろいろな種類がありますが、みなさんは「カウチンニット」をご存じですか?大胆な絵柄とざっくりした風合いが特徴のニットです。
今回は、そんなカナダの伝統的なカウチンニットの魅力をご紹介します。
目次
カウチンニットとは?
カウチンニットの由来
カウチンニットは、カナダのバンクーバー島にあるカウチン湖の湖畔に定住したセリッシュ・ネイティブインディアン「カウチン族」が狩猟や漁業の際に着用していた、伝統的な衣類に由来すると言われています。
カウチンニットの歴史
カウチンニットの歴史は、19世紀はじめにスコットランドからカナダに牧羊が入ってきたことが起源となります。
スコットランドからは羊と同時に羊毛を使った編み物の技術が伝えられ、その技術がベースとなってカウチン族固有の文化や神話・伝統を取り入れながら誕生したのがカウチンニットです。
カウチン族の伝統工芸としてのクオリティに敬意を表すために、本場カナダでは認定制度もあるそうですよ。
カウチンニットはどのように作られる?
ファッションとしても防寒着として優秀なカウチンニット。
ここではカウチンニットの編み方や柄の意味、風合いの秘密に迫ります。
カウチンニットの素材
カウチンニットを編む糸には羊毛を使用します。
羊毛は油脂成分を多く含んでおり、さらにアメリカ杉の樹皮繊維を混紡することで、防寒だけでなく防水にも優れている糸を作ることができます。
独自に混紡した毛糸で密度を詰めて編まれるため、セーターにすると1着あたり1.5kg前後の重さになります。
カウチンニットは着用するにつれて毛糸がフェルト状になることで保温性が増し、「50年は着られる」と言われています。長く着用することで、自分だけのカウチンニットを育てる楽しみ方もできますね。
カウチンニットの色
伝統的なカウチンニットは、脱脂や脱色していない羊毛を使うので、真っ白な毛糸ではなくアイボリーがかった色がメインとなります。
模様部分も、黒やグレー・茶色といった羊毛そのものの自然の色の毛糸で編んでいきます。
本来は染色しないため、青や赤・黄色などの色は存在しません。シンプルな色使いがカウチンニットの独特の雰囲気を作り出しているのですね。
カウチンニットの編み方
カウチンニットの編み方は、ほとんどがメリヤス編み(表編み)というシンプルな編み方です。ただ、防寒性を高めるために普通の編み地より密度を詰めてきつめに編まれています。
さらに、カウチンニットの代名詞とも言える模様編みの部分には、カウチンニット独自の工夫が。
柄の部分は、機械編みではできない「編みくるむ編み込み(カウチン編み)」という技法で編まれています。
通常、色を変えながら模様を編むときは使わない色を休ませる都合上、渡り糸ができてしまいます。カウチン編みは渡っている糸もくるみながら編むことで、渡り糸をなくすことができます。
渡り糸がなくなると着る時に裏の糸を引っかける心配がなくなり、編み地の厚みもプラスされるので防寒性も高まります。一石二鳥ですね。
カウチンニットの特徴的な柄
カウチンニットは目を引く大きな柄も特徴的。
基本的にワシや熊・クジラ・鹿などの動物がモチーフに選ばれます。幾何学模様も使われることがありますが、こちらも大きめに編み込まれています。
実は、カウチンニットに使われている柄にはそれぞれ意味があります。
例えば、熊は「雇い主」を意味しますし、ワシは「名声やリーダーシップ」という意味です。また、袖部分などの小さな波の模様は、「精神性」や「清め」を表しています。
さらに、日本の「家紋」のように、それぞれの家で違う柄も存在しているのだそうです。
カウチン族の守護神であった雷鳥も登場することがあり、信仰や狩猟の対象となったモチーフが柄として使われています。
カウチンニットのお手入れ方法
せっかく手に入れたカウチンニット。長く大切に着たいですよね。
カウチンニットのお手入れ方法と収納方法を知れば、風合いを保ったまま楽しめます。
洗濯やクリーニングのポイント
カウチンニットは水洗いすると繊維が縮んでしまう可能性があるので、クリーニング店でのドライクリーニングがおすすめです。
ただ、手持ちのカウチンニットの洗濯表示を確認してみて手洗い可の表示があれば自宅で洗うこともできます。
自分で手洗いする場合は、繊維を壊さないために強く押しすぎないようにしましょう。脱水も短めに済ませます。
ハンガーにかけて干すと型崩れしてしまうので、平らな状態で影干しします。
ニットにありがちな毛玉のケア方法
カウチンニットに限らず、ニット製品は毛玉ができやすいのが難点です。毛玉ができてしまった場合は、毛玉を引っ張らないようにハサミなどで切りましょう。
毛玉ケアで大切なのは、できた毛玉を取ることよりも、毛玉ができるのを防ぐこと。
毛玉を作らないために、着た後にはブラシをかけて繊維の毛並みを整えましょう。力を入れすぎないように優しく、一定方向にかけることがコツです。
いろいろな方向にブラッシングすると、繊維が絡まって毛玉ができやすくなってしまうので注意してください。
カウチンニットの収納方法
カウチンニットは重みがあるため、ハンガーに吊るしておくと伸びてしまいます。
収納する時は、型崩れを防ぐために必ず平らな場所に畳んで収納しましょう。
また、本場のカウチンニットは毛糸に羊毛が本来持つ油脂が含まれるため、長期保管する場合は他の衣類とは別にして、カウチンニットのみで保管することをおすすめします。
ぴったりの1枚を探そう
カナダのカウチン族発祥のカウチンニットについてご紹介しました。
主張のあるカウチンニットは、アメカジスタイルとの相性も抜群。
チノパンやデニム、冬の定番コーデュロイ素材のボトムスと合わせて、カウチンニットが主役のコーディネートを楽しんでみてはいかがですか?